聴(軟)

2017年10月17日 (火)

10/17 【聴】 Naturality / ORB, Castle Face Records(CF-098)

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 オーストラリアを拠点に活動する3人組ロックバンド、ORBのアルバム。メンバーはDaff Gravolin, Jamie Harmer, Zak Olsenということで、「あの」The Orbを想像していた人、残念。全8曲。


 サイケデリック・ロック、グラム・ロック、あるいはクラウト・ロックなどのジャンルに分類されているORB。アルバムは2016年のBirthに続く2枚目、まだまだこれから活動の幅を広げていく最中といったところだろうか。全体的にはほどよく抑制されたロッキン・ビーツ、抜けきらないローファイな音質は彼らの個性だろうか、オーディオ的にはなかなか厳しい。ただ、車の中などで聴くと雰囲気もあって、まるでThe Orbのアンビエントをロッキン・ビーツにアレンジしたようにも聞こえる。この辺はグラム・ロックのテイストが好みの人にはおなじみの音なのかもしれない。 ちなみにプレス数は意外と少なく、アナログ、CD含め3バージョン、特にアナログ盤は世界で1000枚ほどが流通しているのみだという。(2017.10.11)

2017年10月15日 (日)

10/15 【聴】 From My Mind to Yours / Richie Hawtin, Plus(PLUS825)

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 Richie Hawtinが主宰するミニマルテクノのレーベル、Plusから、2枚組コンピレーションが登場。Plastikman(Richie)、Childsplay、80XX、Fuse、R.H.X、Robotman、Circuit BreakerらミニマルDJのトラック全16曲が収録されている。2015年リリース。


 ミニマルテクノという音楽ジャンルが、現在のシーンでどのような位置づけにあるかは亭主自身良く分からない。かつてはJeff Mills、Joey Beltramらなどとともに一大シーンを形成していたミニマルテクノというジャンル、Richieは最近フルアルバムをリリースしたものの、Jeff Millsはアーティスティックかつコンセプチュアルな作品作りに終始しており(アルバムPlanetにおけるオーケストラとの共演はクラシック音楽とテクノを融合した野心作である)、その立ち位置は日々変遷していると言っても良い。一方、カナダ人DJでありデトロイト・テクノと近しい間柄であるRichie Hawtinの本コンピレーションは、軸足どころか両足すらも動かしておらず、ひたすらに基本に忠実、ストイックな曲作りに終始している。ラテントラックやジャズのブレイク、ヴォーカルすらも入らない構成に恐れ入ったのは亭主だけではあるまい。(2017.09.25)

2017年10月11日 (水)

10/11 【聴】 The Business of Basslines / Hardfloor, U/M/A/A(UMA-1097)

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 Oliver BondzioとRamon Zenkerによるテクノユニット・ハードフロアの最新アルバム。1991年にデビュー、昨年が結成25周年だったとのことで、本作にはメモリアルアルバムという位置づけがなされているようだ。映画「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1」挿入曲"Acperience 7"を含む全11曲。


 亭主のような古いファンにとってHardfloorといえば、Roland TB-303を駆使したビヨビヨなテクノサウンドというイメージが強い。のちに「アシッド」などと形容される、ケミカルな四つ打ちのテクノでアルバム全編を構成する精神力、シンセに対する徹底的なこだわりに「男気」を感じていたファンも少なくなかったはずだ。本アルバムはそんな「男気」からは少し軸足をずらし、どちらかといえばアップテンポでポップ、スタイリッシュなテクノサウンドを指向している。四つ打ちからロック的なビートへとリズムが変化した一方、メロディにも様々な要素が加わる。その作風は「華やか」で「色鮮やか」、誰もが素直に楽しめるアルバムに仕上がっている。(2017.09.28)

2017年9月25日 (月)

09/25 【聴】 All the Light Above It Too / Jack Johnson, Brushfire|Universal(UICU-1292)

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 ハワイ出身のシンガー・ソングライター、Jack Johnsonの最新作。ギターを中心としたオーガニックなサウンドと、自身による滋味あふれるヴォーカルが心癒される。全11曲。うち1曲はボーナストラック、とのこと。


 現在もハワイはノースショアに在住、サーフィンと音楽と仲間達、そしてハワイの自然のなかで自由を謳歌するJack Johnson。商業主義の流れに乗ることを良しとせず、あくまでも自らのスタイルを貫く姿には、多くの人々が共感している。一方で音楽活動はかなり積極的。コンスタントなアルバムリリース(商業主義を厭いつつしっかりと作品をリリースしていく堅実さは驚嘆に値する)、ワールドツアー、そして地元ハワイでの(気心知れた仲間達との)ライブ・イベントなどなどそのアクティブさは衰えることがない。最新作である本作もまた意欲的で高い完成度を誇る。オーガニックなフォークから、ソフト・ロックまで、彼の奏でるサウンドは常に聴く人の心を癒す。牧歌的でエモーショナルな歌詞もまた彼の作品の聴きどころの一つ。年や月日に関係なく、自らのエモーションの欲するままに聴いて心地よい音楽。亭主の最近のお気に入り。(2017.09.09)

2017年9月21日 (木)

09/21 【聴】 The September Sessions / Original Soundtrack, Universal(440 060 091-2)

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 ハワイ出身のシンガー・ソングライター、Jack Johnsonが監督・音楽を務めたサーファー・ビデオのサウンドトラック。2002年12月にリリース、Kelly Slater、Rob Machadoほかサーフシーンの重鎮たちをキャストにした1時間のドキュメンタリー・ムービーに仕上がっている。一方サウンドトラックである本作には、Jack Johnsonのほか、Greyboy featuring Karl Denson, G.Love & Special Sause, Ozomatli, Bombay the Hard Way, Princes of Babylon, Beat Down Soundらが参加。詳細は不明だが映画のためのスペシャルユニット、The September Sessions Bandも2曲を担当している。全10曲。


 Jack Johnsonが手掛けたサーフ映画のサントラ、というとオーガニックな雰囲気のあるグッド・ミュージックというイメージがまず第一に浮かぶかもしれないが、実際のところはかなりカジュアルな、というかファンキーな作品に仕上がっている。ヒップホップ、レゲエ、ファンク、ディスコティーク、クラブ・ジャズ、果てはエスノにサイケデリック。いずれもサウンドトラックに参加するアーティストたちの作風らしい。エレクトロニカやIDMといったシンセの香りがしないあたりは統一感がとれているのかもしれないが、あとはわりと自由、好き勝手やっているという感じ。この自由さを前向きに受け止めるか、Jack Johnson「らしくない」と批判的に受け止めるかで、本作のとらえ方はずいぶんと変わってくることだろう。亭主的には「若いなぁ」という印象。様々なジャンルのサウンドが収録されているが、どの曲も一癖、二癖あって、そのクセがある種の「ちょい悪」感を醸し出している。亭主には斜に構えた自己主張に見えている。(2017.09.09)

2017年9月 9日 (土)

09/09 【聴】 Sing-A-Longs and Lullabies for the film Curious George / Jack Johnson and Friends, Brushfire|Universal(UICY-20298)

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 アニメーション"Curious George"邦題「おさるのジョージ」のオリジナルサウンドトラック。全曲をJack Johnsonが担当、G.Love, Matt Costo, Ben Harper, Money Markなどをゲストアーティストに迎えた楽しいアルバム。全14曲、2006年リリース。


 アルバム"In Between Dreams"制作中にこのアルバムのオファーがあり、急遽こちらの作業を優先したと、Marc Shapiro著のJack Johnson自叙伝には書いてある。子供のころから絵本やアニメーションで親しんできた作品、いたずら好きで、常に周囲をてんやわんやさせつつ飄々としたジョージの生き方に共感するものがあったのだろうし、当時生まれた息子のためにこのアルバムをささげようと思ったこともあったのだろう。これまでサウンドトラックのオファーを数多く断ってきた彼が、なぜ本作のオファーを断らなかったのかは様々な憶測を呼ぶところではあるが、とにかくかれは作品を手掛け、そして見事にこれをモノにした。アニメ映画制作の一部に組み込まれることは、彼の行動や考え方が、アニメ製作委員会の意向に左右されることにもなろうし、そもそも子供向けの音楽を彼が上手く書けるとは彼自身思っていなかったのだという。完成したアルバムはまさしくJack Johnsonのそれ、しかも「子供向け」や「映画音楽」という枠組みに一切とらわれず、周囲に迎合せず、大人も子供も楽しめる作品に仕上がっている。


 かくいう亭主も、Jack Johnsonのアルバムを集めていくなかで、この作品を購入すべきかどうかはかなり迷うところだった。アニメのイメージに引っ張られ、リフばかりだったり、断片しかなかったり、あるいは手抜きなインスト作品だったりと、サウンドトラックの最悪形「音楽のバラバラ死体」的な作品に仕上がっていないかと懸念していたのだ。(2017.08.23)

2017年9月 7日 (木)

09/07 【聴】 En Concert / Jack Johnson, Brushfire|Universal(UICU-1193)

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 ハワイ出身のシンガー・ソングライター。オーガニックな作風と、時代に流されない独自の価値観で圧倒的な人気を誇るJack Johnsonの2008年ワールド・ツアーの様子をパッケージしたライブ・アルバム。サンタ・バーバラ、サンフランシスコ、パリ、ワシントン、ホノルル、サンディエゴ、バルセロナ、マンチェスター(テネシー州)、ミリソン(コロラド州)などでのライブ収録、全19曲を収録。2009年リリース。


 彼の代表曲、ヒットシングル、カバー曲。ファンならばもちろん、Jack Johnsonを知らない人も思わず、メロディを辿って即興で鼻歌を歌ってしまいそうな心地よい曲がそろっている。アルバムSleep Through the Staticからは表題曲Sleep Through the Staticを含む全5曲、Brushfire FairytalesからはFlake, Bubble Toesの2曲、In Between DreamsからはBelle, Banana Pancake, Staple It Together, Constellations, Good People, Better Togetherなどなど全8曲、On and OnからはTime Like These, The Horizon Has Been Defeated, Gone, Wasting Timeの4曲。さらにカヴァー曲としてJimi HendrixのRemember、ハワイのシンガーPaula Fugaとの共作Country Roadなども収録されていて、曲数・バリエーションともに非常に充実している(ちなみに合計が19曲を超えるのは複数の曲をカップリングしたトラックがあるため)。トラックごとにライブ会場を変えているものの、全体として途切れることのないミックス、全部入りの豪華ライブ盤に仕上がっているあたりもうれしい。オーディエンスの反応も非常によく、曲によってはJackの歌声に皆が声を合わせるといったアットホームな雰囲気も楽しめる。ハワイ・コクアフェスティバルでの様子を収録したトラックがもっともアットホームだろうか。


 ライブ盤と軽んじることなかれ、この盛りの良さとノリの良さは、他のアルバムではなかなか楽しめない。(2017.08.23)

2017年9月 2日 (土)

09/02 【聴】 Over Flow pH 3.0 / V.A., 涼音堂茶舗(DES-040)

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 東京・吉祥寺と京都を拠点に「電子文化の茶と禅」をコンセプトに活動する音楽レーベル「涼音堂茶舗」より、おなじみ温泉シリーズ第3弾、"Over Flow pH3.0"がリリースされた。鳴子温泉での音楽イベント「鳴響」、渋温泉でのイベント「渋響」、そして肘折温泉での「肘響」という3か所でのライブ音源をふんだんに用いた、温泉コンピレーション。参加アーティストはFiro、森繁哉、佐藤民男、安田寿之、らよち、エンヤカヤカヤカ・ブー、PsysEx、Coniferwind、Jai Machine、Coupie。いずれも涼音堂レーベルから作品をリリースするアーティストたちである。

 エレクトロニカ、アコースティック、そして各所温泉場に縁の深い民謡。ともすればばらばらなジャンルと思われがちなトラックが、チルアウト/アンビエント/トライバルという軸で見事に串刺しとなった奇跡のアルバムが本作。Firoによるダークで、ディープなエレクトロニカ・トラックを呼び水に、様々な作品・様々な曲がつぎつぎとスピーカに現出する。シリーズ開幕当初はサワサキヨシヒロが参加、モロ温泉、厳選かけ流し気持ちいい~的なトラックが目白おしだったが、徐々に温泉のテイストは薄れ、むしろ民俗・習俗的な側面が強調されてきたあたりは興味深い。佐藤民男氏による東北民謡からはじまって、渋温泉の若集による木遣り歌、果ては渋温泉近くの沼に伝わる昔話までがエンタテイメントの俎上である。イロモノとして民謡がアルバム収録される、というのは他のアーティストやタイトルではめったにない。聴いていて楽しいのはもちろんのこと、鄙びた湯治場の様子がしのばれる、旅心をくすぐるコンピレーションに仕上がっている。

 亭主自身は若いころに肘折温泉へと一人旅している。つげ義春が訪れたという狭い温泉街は平成の世になってもその面影を残していて、その雰囲気に(温泉の気持ちよさともども)大いに感銘を受けたことがある。鳴子温泉は途中ちょっと寄り道し、温泉街をざっと眺めた程度である。信州渋温泉は亭主が生まれ育った長野県でも特に古い温泉場、「おさるの温泉」なるキャッチフレーズは今も現役だろうか。

2017年8月23日 (水)

08/23 【聴】 グイン・サーガ/光の公女 / 淡海悟郎, Columbia(COCC-13710)

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 国産ヒロイック・ファンタジーの金字塔・グイン・サーガ。全100巻を目標に1979年に早川文庫より刊行を開始したものの、2009年に作者である栗本薫氏がすい臓がんのため死去、絶筆である130巻が刊行されたのち未完となった。現在は宵野ゆめ氏、五代ゆう氏の両氏が正編の執筆をつづけており、こちらは141巻まで刊行されている。本アルバムは正篇第24巻「赤い街道の盗賊」から27巻「光の公女」までのエピソードのイメージアルバム化したもの。全8曲。シリーズを通じての作者はシンセサイザー奏者でプログレッシヴ・ロックの大家でもある淡海悟郎氏。


 もともと全100巻を構想していたというグイン・サーガ。シリーズ開幕当初は5巻毎にストーリが大きく変転したことから、5巻を節目に1枚のイメージアルバムをリリースする予定であったらしい。正篇100巻に、イメージアルバム20枚。正篇完結の暁には20枚のアルバムをマラソン試聴しよう、などと栗本氏もノリノリであったらしい。実際には正篇に対応するアルバムは6枚、外伝も6枚がリリースされたのみ、そうコトが上手く運ぶわけもない。


 ともあれ、本作「光の公女」。自らの国を立ち上げるべく街道筋の盗賊の頭目となったイシュトヴァーンが、軍師となったアリの力を借りてモンゴール公女アムネリスを幽閉先から救出するまでのエピソードが音楽でつづられている。シンセサイザーを駆使し、民族音楽やプログレをフィーチャーした重厚なサウンドを指向してきた本シリーズ、ただし本アルバムでは新たな試みとしてハードロックもフィーチャーする。盗賊の頭目をきっかけに、国盗りをもくろむイシュトヴァーンと軍師アリの活躍が、ロックという手法によって生き生きと表現されている。本シリーズは主要登場人物それぞれにメロディ(というかテーマ)が設定されており、楽曲の端々に登場人物のテーマが変奏される。まるでオペラやミュージカルを見ているようなドラマ性に、ワクワクしながら正篇を読んでいた亭主浪人時代が思い出された。(2017.08.11)

2017年8月17日 (木)

08/17 【聴】 ワカラナイ / 石川浩司+突然段ボール, 日本カセットレコーヂング(JCRCD-3)

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 蔦木栄一、蔦木俊二の兄弟を中心に結成されたユニット「突然段ボール」と、「たま」のヴォーカル・ドラム担当である石川浩司のコラボにより制作されたアルバム。1996年に「日本カセットレコーヂング」からアルバムリリース、その後2001年にいぬん堂から再リリースされている。全7曲。


 Wikipediaによれば最新のメンバーは蔦木俊二、中野善晴、ユキユキロの3名の突然段ボール。当時は栄一、俊二、そして繰吾(声のみの参加)という兄弟ユニットであった。ギターおよびシンセを駆使したモータリックなテクノ・サウンド(俊二が担当)と、パーカッション、オルガンなどを駆使する人力サウンド(石川が担当)とのコラボレーション。歌詞は栄一・石川が担当し、なんともまったりとした作品に仕上がっている。「たま」にみられた牧歌的あるいは奇妙さとは一味違うまったり感、たとえば「ソフト・パンク」なるジャンルがあるとしたら、真っ先にCDをその棚に置きたいところだ。ヴォーカル曲のみと思いきや、生録ともインプロビゼーションとも区別の付けづらい約10分の大作・M5「でかい」なども収録されている。本アルバム一番の聴きどころといえるだろう。(2017.08.11)

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