聴(軟)

2019年4月25日 (木)

04/24 【聴】 Beyond the Moment / Miklos Ganyi Trio, 澤野工房(AS-157)

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 ハンガリー出身のピアニスト、Miklos Ganyi(ミクロス・ガニ)によるピアノ・トリオのアルバム。ベースにChristian "Pecek" Lakatos, ドラムにAndras "Pecek" Lakatosの兄弟を迎え、軽快なスタンダードナンバーを聴かせる。全11曲。なお本作はMiklos自身が澤野商会に直接売り込みをかけた作品とのこと。

 "Someday My Prince Will Come"、"My Funny Valentine"、そして"Autumn Leaves"。有名曲が並ぶ本作。特に"Poinciana(Nat Simon)"が入っているのが個人的にはうれしくて、この曲だけでももう買った価値あり!Miklos Ganyiイイ!と無邪気に思ってしまうあたりが亭主である。ただ冷静に聴いてみると、なんというか全体的に淡々とした曲調、どの曲もわりと坦々と演奏しているあたりが気になってくる。特にM10"If I Should Lose You"、M11"Autumn Leaves"の2曲は叙情豊かに演奏されることを期待したのだが、格別テンポがゆったりするわけでも、ピアノタッチに逡巡が入るわけでもなく、どちらかといえばヨーロピアン・ジャズ的な端正な演奏でまとめている。若干28歳、まだまだこれから伸びしろのあるアーティストである。Bill Evansのような内省的な演奏が正解というわけでもないし、上原ひろみのようなトリッキーな演奏でインパクトを求めるわけでもないが、新人としての、Miklosなりの尖った個性があってもよいかなと思ったりもする。アレンジにちょっとした遊び心、端正な中にもちょっとした違和感があるので、このあたりを個性として伸ばしていったら面白いかな、などと無責任に思っている。(2019.04.05)

2019年4月12日 (金)

04/12 【聴】Non-Standard Collection-ノンスタンダードの響き- / V.A., Non Standard|Teichiku(TECI-1624)

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 YMOが散開して後の1984年、細野晴臣プロデュースによる二つの音楽レーベルが始動した。テクノポップ以降の新しいポップ・ミュージックを模索したレーベルNon-Standardと、電子音響を柱としたアンビエント・実験音楽のレーベルMonad。今回は特にNon-Standardからリリースされたアルバム・シングル64曲を4枚のディスクに詰め込んでいる。


 Non-Standardレーベルについての亭主の想いは(たぶんみなさん全く覚えていないだろうが)このサイトで時々綴っているので、今回殊更語ることはない。曰くテイチクレコードの良心(テイチクの社長が夢の中でお告げを受けたそうだ)、その後のポップ・シーンにおいて再び現れることのなかった個性的なアーティストを多数排出した、まさに夢のようなレーベルである。Pizzicato V、Shi-Shonen、MIKADO、Urban Dance、コシミハル、そして本企画をプロデュースした鈴木惣一郎がリーダーをつとめたWorld Standard。本アルバムにはそんな個性的なアーティストの作品がごった煮然として収録されている。一部楽曲がレア・トラックだったり、アナログでリリースされていたものだったりする。重箱の隅をつつくように聴いてもよし、まったり漫然と聴くもよし、それぞれお好みで楽しみたい。


 ところで本企画の目玉は、楽曲よりも豪華ブックレットにある。Non-Standardレーベル発起時にマスコミ各社に送られた案内書、アルバムリリース時の広告、ライブのちらし、雑誌やフリーペーパーに掲載された記事などがこれでもかと収録されていて、音楽よりも活字を読む方が時間がかかる。全作品の楽曲解説、鈴木氏による関係者へのインタビューなど新たに書き起こされたコンテンツも多い。A4サイズのためCD-Boxのブックレットにありがちな窮屈さがないのが良い。(2019.03.29)

2019年4月 9日 (火)

04/09 【聴】 Discover America Box / World Standard, Daisyworld|Bridge(EGDS-77~80)

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 鈴木惣一郎のソロ・プロジェクト、World Standardが1997年~2002年に手がけたDiscover America 3部作が満を持してBoxセットとして登場。完全限定版、3枚のアルバムに未発表曲9曲を収録した"Discover America Series Vol.0 Outtakes"を含めた4枚組。全600セットのうち亭主は122セット目を入手した。豪華ケースに全曲解説文が掲載された32Pのブックレット、それに鈴木氏自身による手書きのシリアルナンバーが同梱されている。

 Discover Americaシリーズ。アコースティックとシンセサイザー、オールド・アメリカン・ミュージックとアンビエントとが程よく同居する、亭主お気に入りのシリーズだ。本シリーズの中間に、細野さんと(久保田)真琴さんの「ルイジアナ珍道中(Road to Louisiana)」のリリース(1999年)があったり、2002年にHot Club of Cowtownの日本企画盤"Hot Jazz"、"Hot Western"がリリースされカントリーウェスタンに注目があつまったりと、アメリカの古き良き音楽がことさらに注目・再発掘されたのがこの時期だったりする。オールド・アメリカン・ミュージックというととかくウェスタンやロカビリーに耳が行きそうだが、実際のところアメリカ音楽のルーツはネイティブ・アメリカンのそれに行き着くと(亭主は勝手に)思っている。簡単には踏破できないほど広大な土地と、人々を寄せ付けない過酷な気候、そして太古より息づくブラック・マジックがアメリカ大陸全体を覆っていて、人々はその得体のしれない「力(土地そのものが持つ力であり、自然の力であり、また呪術的な力をもさす)」におびえ、それらが支配する「夜の闇」におびえていた。Discover Americaシリーズの本質は、人々が恐れる「超自然的な力」と「夜の闇」にあると亭主は勝手に想像していて、その想像はどうやら見当外れではないらしい。バンジョーの爪弾き、古いアメリカのリズムやメロディと代わる変わる立ち上がるのは、おそらくアメリカの大地に響く風の音や遠雷である。

 もちろん、本シリーズに収録のすべての楽曲が怪しい呪術によって支配されているというわけではない。軽快で素朴なウェスタン・サウンド、アフリカ系アメリカ人の歌うブルーズ、そして古いアメリカのテレビドラマにでも登場しそうなポピュラー音楽。鈴木氏による「どこかにありそうな懐かしさ」と「どこにも存在しない不自然さ」を兼ね備えたサウンドが、全編に展開される。もちろんすべて鈴木氏のオリジナルである。ワールドスタンダードで醸成された世界音楽への深い造詣が一気に開花した傑作中の傑作シリーズといえる(2019.03.20)。

2019年3月25日 (月)

03/24 【聴】A Salty Dog / Procol Harum, Esoteric Recordings(ECLEC-22503)

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 Gary Brooker(Vocal, Piano)を中心とするイギリスのロックバンド、Procol Harumの3rdアルバム。1967年にバンドを結成、メンバー交代を繰り返しつつ現在に至る長寿命バンドの代表作ともいえるアルバムが本作となる。タイトル・ナンバーである"A Salty Dog"ほか全10曲。リリース当時はアメリカビルボードで32位、イギリスチャートで27位と果たしている。今回はEsoteric Recordsから、ボーナス・トラック12曲がDisc 2として追加された特別イシューを購入した。オリジナルは 1979年リリース。Disc 2にはスタジオセッション、ラジオ収録バージョン、ライブ録音などのレアトラックが並び、ボーナストラック12曲中5曲が未発表曲となっている。

 亭主はこのあたりのロック・シーンに詳しくないため、単なる印象として述べるにすぎないが、個人的にはオーソドックスなブリティッシュ・ロックという印象。ただしロックのエネルギーで押しまくるという感じではなく、むしろバラエティに富んだアレンジ、豊かな世界観などサウンドトラック的な雰囲気を持つ。その後英国のロックはニューウェーヴの波に席巻されることになるのだが、その後のロックに比べればこのアルバムは文句なく「牧歌的」であり、誰もが安心して聴ける健全な音楽である。

 一方、亭主のようなYMOに大きく影響を受けた人間にとって、本アルバムは「YMOのエッセンス」が凝縮されたアルバムでもある。アルバム・ジャケットのデザインは、その後細野さんがアルバム"Tropical Dandy"でまるまる引用している。浮き輪の中の水夫然とした人物は、Tropocal Dandyでは細野さん自身のイラストに置き換わっているほか、Procol Harumの"Harum"は細野さんの名前"Haruomi"と音素が共通する。それだけではない、このアルバム・デザインから想起される「海」のイメージは、細野さんのみならずサディスクティック・ミカバンドやはっぴいえんどにおける「海賊」や「港」へのイメージへと受け継がれている。ミカバンドやはっぴいえんどなどのアルバムにおいて「海」は還るべき場所であるとともにフロンティアであり、「海賊」は反逆と自由の象徴である。社会からはじき出され、異分子として肩身の狭い日々を送る若者にとって、「海」や「海賊」は最後の希望なのだ。

 そういえば荒井由実がアルバムを作る際、Procol Harumの曲に大きな影響を受けた、あるいはProcol Harumを意識した曲作りをしたなどという話をどこかで聞いたことがある。アルバム最後の曲"Pilgrims Progress"はその後鈴木慶一と高橋幸宏のユニット、Beatniksがアルバムでカヴァーした曲でもある。YMOを追っかけている人間ならばこのアルバムのはしばしに懐かしいものを感じるだろうし、現在の音楽シーンの根底にProcol Harumを含むブリティッシュ・ロックの系譜があることに気が付くことだろう。

 ちなみにPilgrims Progressは亭主が大好きな曲の一つで、精神が弱っているときには必ずこれを聴いていたし、スピーカの前を離れてもこの曲が頭の中をリフレインしていた。これももう30年も前からの話である。

2019年3月19日 (火)

03/19 【聴】 Hochono House / Hosono Haruomi, Victor(VICL-65086)

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 1973年にリリースした細野さん初のソロ・アルバム「ホソノハウス」を細野さん自身がリメイクしたアルバム。当時としては画期的な自宅録音、埼玉県狭山の一軒家で仲間とともに作り上げたアルバムが、46年の時を経て復活した。71歳となった細野さん自身のヴォーカル、デスクトップ・ミュージック、そして最新の録音技術。アレンジ含め全てが新しく生まれ変わっている。


 以前にも書いたと思うが、亭主にとって「ホソノハウス」は自身の青春時代を代表するアルバムだった。当時精神病院のような冷たい床の寮室で、隣への音漏れを気にしながら聴いたホソノハウスがリメイクされると聞いて、わくわくしないわけがない。ところが実際に作品を聴いてみると、かつてのオーガニックな雰囲気はどこへやら、様々な新しいアイデアが投入された、最新型フォーク・ロックであった。


 一番の違いは、曲順がオリジナルとは全く逆になっていることだろう。まるで時計を逆回転にするように、アルバムの後ろから頭に向かって一気呵成に突き進む構成。年を経て滋味の増した細野さんのヴォーカルは心地よいが、原曲から微妙にずらしたアレンジに、オリジナルを知る亭主はことごとく「あ、原曲と違う」とひっかかる。もちろん細野さん自身のアレンジであるから、オリジナルが正調であるのと同様に、本アルバムもまた正調である。「僕は一寸」が夏バージョンとなり、「Choo Choo ガタゴト」はその舞台を日本からアメリカに移している。最新盤ともいうべき「ホソノハウス」のサウンドに無理やり意識を添わせていく感覚は、「ひっかかり」と同時に炭酸ジュースののど越しのような刺激である。おっと、アルバムのタイトルからしておもいっきりずらしている。悪ふざけのようなタイトルにイキオイの良さを感じるが、投げやりな感じも否めない。


 そういえば少し前にユキヒロさんが「サラヴァ」のリメイクをリリースしていた。あちらは当時の音楽トラックはそのままに、ヴォーカルを新録、ミックスを変えることで新しい作品へと仕上げていた。こちら「ホチョノハウス」はその「サラヴァ」以上の大工事...のはずなのだが、全体的におふざけな印象が強いせいか、大工事に感じさせないあたりが面白い(2019.03.07)

2019年3月 9日 (土)

03/09 【聴】 X∞Multiplies(2018 Remastered) / Yellow Magic Orchestra, GT|SONY(MHCL-10111)

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 YMOのオフィシャル4枚目となるアルバム。当時FM放送で人気を博していた「スネークマンショー」とのコラボレーション、スネークマンショー(桑原茂一、小林克也、伊武雅刀)のシュールなギャグと、テクノポップ旋風の追い風を受けたYMOのアーティストとしての実力が拮抗したミニアルバム。Archie Bell and the Drellsの"Tighten Up"カヴァー、スネークマンショーのギャグ合わせて全12トラック。なおギャグと音楽とが交互に現れる構成は本作が史上初となるらしい。1980年リリース。再発盤はSACDハイブリッド、Bob Ludwigによるデジタルリマスターで音質向上が図られている。


 スネークマンショーといえば、YMOとほぼ同時期にALFAレコードからリリースされた「ピテカントロプスの逆襲」が当時大人気で、FMが聴取できなかった亭主のような田舎でも、アルバムがダビングを繰り返されて子供たちの間を流通していたことが思い出される。小林克也によるアメリカン・イングリッシュと、親御さんには到底聞かせられないアダルトな内容に、亭主を含む当時の子供たちは勉強部屋のラジカセにイヤフォンを差し込みドキドキしなかがら聴いたものだ。セックス、ドラッグ、ロックンロール。音楽アルバムチャート一位を獲得し、当時最先端の音楽であるテクノポップを手掛けるYMOが、当時のアンダーグラウンド・カルチャーと手を組んだことは当時の子供たちに最高に刺激的で、恰好良いものだった。


 もちろん、本作は音楽としてもかなり面白い。Archie Bell and the Drellsによる難曲"Tighten Up"のうねるようなベースラインを、苦も無く演奏してしまう細野さんのアーティストとしての実力の高さは当時もかなり衝撃だった。あとで原曲を聴いてみたところ、原曲のベースラインのほうが(手数は若干多いようだが)もたついている。もちろん楽器の違い、弦の張り方にもよるだろうが・・・。(2019.02.26)

03/09 【聴】 Public Pressure(2018 Remastered) / Yellow Magic Orchestra, GT|SONY(MHCL-10110) 

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 YMOとしてはオフィシャル3枚目のアルバム。入念な戦略による海外デビュー、ロンドン・パリ・ニューヨーク、そしてロスアンジェルスのグリーク・シアターでの公演を経て国内でも人気に火が付いた彼ら初となるライブ・アルバムが本作となる。2枚目のフルアルバム"Solid State Survivor"の楽曲5曲に、1枚目"Yellow Magic Orchestra"から2曲、シーナ&ロケッツの楽曲から1曲、さらに凱旋公演となった中野サンプラザでの収録からメンバー紹介のMCのみをピックアップした1トラック(Back in Tokio)の合計9曲。Back in Tokioの最後に"Behind the Mask"のイントロが流れるが残念ながらそこでトラックは終わってしまう。なお本アルバムはYMOのアルバムで初めて国内アルバムチャート1位を獲得。YMO現象と言われたブームの始まりを告げるアルバムとなった。1980年リリース。再発盤はSACDハイブリッド、Bob Ludwigによるデジタルリマスター処理がなされ、ハイレゾ対応の音源としてさらなる音質向上が図られている。


 正直言うが、亭主はこのPublic Pressureというアルバムがあまり好みではなかった。一つは収録曲が少ないうえに、1枚目、2枚目の曲どちらもが中途半端に収録されていて、お得感に乏しい。「お得感」などというとずいぶんしみったれた感想に聞こえるが、当時中学生だった亭主にとってアルバムを買うことは国家の一大事業的な感覚であった。同じ値段からたくさん曲が入っている方が良いし、知らない曲が多ければ多いほど良い。


 好みでなかったもう一つの理由は、その演奏だ。当時の亭主はシンセの奏でる電子音と、プログラムによる自動演奏に惹かれていて、髪を振り乱し、汗をまき散らして演奏するタイプの音楽を「かっこ悪い」と思っていた。人民服に身を包み、メンバーの顔をあえて隠して演奏する彼らのスタイルこそが、未来の音楽と信じて疑わなかった。ところが本作では、自在なアレンジと自由な演奏がフィーチャーされているうえ、メンバー以外のヴォーカル(その後矢野顕子さんだと知る)まで収録されていて、しかも矢野さんの奔放な歌声がYMOの持つ未来のイメージから外れるものだった。


 むしろライブ盤として楽しむのならば、いっそフュージョン・サウンドに寄せまくった"Faker Holic"のほうが潔い。もっともあちらも契約上の関係で渡辺香津美氏のギターがごっそり削除され、坂本さんのシンセ・ソロに差し替えられているのだけれど。(2019.02.26)

2019年3月 3日 (日)

03/02 【聴】 R4 Ridge Racer Type 4 -The 20th Anniv. Sounds- / V.A., Supersweep|Sweep Records(SRNS-2004)

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 namcoのレースゲームRidge Racerシリーズから、PlaystationオリジナルタイトルとしてリリースされたR4 Ridge Racer Type 4のメモリアルアルバムが登場。タイトルリリース20周年を記念した本アルバムには、リミックスバージョン16曲に、オリジナルのリマスタリングバージョン25曲が全2枚組として収録されている。また、初回限定特典として20年を経てさらにスタイリッシュに進化した7曲が収録された"20th Club Mix"(Extra Disc)が同梱されている。


 2月にリリースされたタイトルを3月にレビューするという間抜けなことになってしまっているが、3枚組ディスクというのはなかなかのボリュームでいまだに全貌を把握しきっていない。すべての曲を通して聴くほどまとまった時間がとれていないということもあるし、カーオーディオでアルバムの続きを聴こうとすると、トラックマークが元に戻ってしまっているという、カーオーディオ側の技術的な問題もある。結果的に行きつ戻りつ聴いている。とはいえ急いでレビューするほどの話でもない。


 初期のRidge Racerシリーズは、ロッテルダム・テクノを意識したクレイジーなサウンドをフィーチャーしているが、R4以降はNYのハウス・レーベル、King Street Soundとのつながりが強い。レースゲームのBGMというよりも、深夜ほとんど車のいない高速道路を、ひたひたと疾走する際のBGMという感じ。King Street Soundとのコラボレーションはその後のRidge Racer Vで完成をみることとなる。(2019.02.22)

2019年2月18日 (月)

02/18 【聴】 東京あたり / ザ・ナンバーワン・バンド, Speedstar|Imagination|Victor(NCS-10103)

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 小林克也率いるザ・ナンバーワン・バンドが1983年にリリースした2ndアルバム。歌謡曲的だが意味不明な歌詞と、桑田佳祐とのデュエットで話題を呼んだ「茅ヶ崎は今日も黄色い」を含むオリジナル10曲に、初収録となるボーナストラック1曲を加えた全11曲。2015年にタワーレコードの企画としてリマスタリング・初CD化された。


 当時一世を風靡したYMO、スネークマン・ショーなどと並んで中高生に絶大な人気を誇ったザ・ナンバーワン・バンド。性的な歌詞が大いに受けて、亭主の周囲でも盛んにカセットの貸し借りがなされていた。親にはとても聞かせられない内容と、亭主も隠れて聴いていたことを思い出す。


 ザ・ナンバーワン・バンドのアルバムといえば、1stの「ラジオ・ショー」2ndの「東京あたり」そして「もも」の3部作が殊に有名。ただしなぜか「東京あたり」だけはCDとしての再発がなく、亭主もアナログ盤を社会人になって購入、WAVファイルに変換して聴いていたくらいであった。今回は2015年にリリースされたリマスタリング盤を購入したが、リマスタリング盤もまた流通量が少なく、市場ではプレミア価格で取引されている。


 もちろん音楽としての完成度は折り紙付き、ロック、ポップス、歌謡曲など、様々な音楽要素を織り交ぜつつ、独自の世界観を構築することに成功している。当時の大人にとっては「子供に害をなす」アルバムにほかならないのだが、サブカルチャーの出どころとしては王道中の王道、小林克也でしか成しえないアルバムであることには間違いない。(2019.02.08)

2019年2月 1日 (金)

02/01 【聴】 三十 / Denki Groove, Ki/oon Sony(KSCL-3130-1)

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 祝・電気グルーヴ結成30周年。20周年、25周年につづく記念アルバム第3弾が本作。毎回恒例となった「電気グルーヴ30周年の唄」のほか、これまでリリースした曲のリミックス、リコンストラクトバージョンが収録されている。ついでに「電気グルーヴ10周年の歌 2019」も収録されていて、どうやら今後5周年、15周年の唄も発表するらしい。全12曲。なお、初回限定版には、どうやってあそんだものか、電気グルーヴ30周年の歴史をたどるカード(30枚入)が同梱されている。30枚のカードには対応する年にリリースされたアルバム、シングル、DVDなどのジャケット・イラストがデザインされている。


 30周年、10周年の唄には、これまで同様「前髪垂らした」動物やら人物やらがフィーチャーされている(おそらくルーツはコンピレーション「ドリルキングアンソロジー」に登場したペダル踏弥だと思う)。お約束といったところだが年代が進むにつれて深刻度が高まっていて、お節介にも「そろそろ真面目に考えないとヤバイ」的な内容になっている。


一方、リミックス/リコンストラクトはなかなか豪華。"Shangri-La"のアレンジ(ヴォーカルにInga Humpeが参加)のほか、"Fright to Shang-Hai"、"Slow Motion"、"Fujisan"、"Flashback Disco"のリミックスバージョン、ライブではすでにおなじみ「いちご娘はひとりっ子」「いちご娘(ひとりっ子でない)」そして「猫夏」の最新リコンストラクト「海猫夏」など企画盤の物量ははるかに超えていて、こころゆくまで電気グルーヴを堪能できる。(2019.01.23)

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