聴(軟)

2020年1月13日 (月)

01/13 【聴】Nulife / De De Mouse, not(NOT0027)

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 遠藤大介のソロ・プロジェクト、De De Mouseの最新作。スタイリッシュなハウス・サウンドと、カットアップ/コラージュを駆使した独自のヴォーカル・トラックが特徴的な、最新型ダンス・ミュージック。全10曲。今ならアルバム購入特典として限定トラック"Sigh"が収録されたボーナス・ディスクが付いてくる。


 かつてはエスニックなヴォーカルをフィーチャーしたトラックを発表していたDe De Mouse。昔懐かしい日本の童謡のような、チベットの少数民族の唄のようなヴォーカルは何を歌っているのか意味不明、ダンス・ミュージックというよりはエスノ系エレクトロニカに分類した方が適切だった。現在は、英語をサンプリングしたかのようなヴォイスを多用。何を言っているのかは依然としてわからないが、スタイリッシュかつ爽快なサウンドが心地いい。ジャンルもエレクトロニカからハウスへ軸足を移し、ますますノッている、というのが正直な感想。


 ボーナス・ディスクに収録された"Sigh"はなんとも不思議な習作的トラック。音程の微妙な揺らぎ、不安定な調性がなかなか良い味を出している。こういうあえて調性を狂わせたトラックは以前にあっただろうか、よく覚えていないが、新機軸といえば新機軸。ただし絶対音感を持つ人にはちょっと気持ち悪く感じるかもしれない(2019.12.13)

2020年1月 8日 (水)

01/08 【聴】 Yellow Magic Children #1 / YMC, UMAA(UMA-9135, 9136)

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 YMO結成41年。その後の音楽史に名を遺すビッグ・アーティストに影響を受け、「YMOチルドレン」を自称・他称する若手・ベテランアーティストらによるコンピレーション第1弾がリリースされた。バンド・マスターはおなじみの高野寛。高田漣、ゴンドウトモヒコ、沖山優司、白根賢一、網守将平といったメンバーに、HANA、坂本美雨、細野悠太、野宮真貴、カジヒデキ、片寄明人、DAOKO、宮沢和史らがゲスト・ヴォーカルとして参加する。ちなみに坂本美雨さんは坂本教授の娘さん、細野悠太さんは細野さんのお孫さんに当たりベーシストとして活動しているという。DISC2枚組で、DISC1は各アーティストがYMOのカヴァーと、持ち歌をそれぞれ1曲づつ披露(全16曲)。DISC2は東京新宿文化センターで2019年3月14日に開催されたライブ映像で、YMOのカヴァーのみ10曲が収録されている。マスタリングはこれまたYMOチルドレンの砂原良徳さん。


 チルドレン―――と呼ぶにはなかなかバラエティに富んだメンバー。YMO散開後に現れた、いわば「直系」アーティストもいれば、さらにそれ以降のアーティストもいる。さらに言えば本当のチルドレンもいる。いずれもJ-Popの世界ではベテランあるいは実力派と呼ばれるメンバーだが、アコースティック系に偏った感はある。CDでは、YMOの曲と、持ち歌を交互に演奏しており、例えば高野さんならば"CUE"と「夢の中で会えるでしょう」、坂本美雨さんならば"The Other Side of Love"と"ONGAKU"、野宮さんならば「東京は夜の七時」と「君に、胸キュン。(カジヒデキさんとの共演)」など非常に手堅い選曲となっている。YMOカヴァーも原曲をかなり意識していて、オリジナルにかなり忠実である。非常に真摯でシリアスな構成、ディレクションは高野さんだろうか。もう少し遊びがあっても良かったような気もする。


 古今東西コンピレーションと呼ばれるものには、企画側の意図として振れ幅や遊びがアルバム中に仕掛けられている場合が多い。たとえばとんでもないアレンジであったり、新進気鋭だがちょっと外したバンドが参加したりと、アルバムに一つの「落としどころ」が設けている。いわゆるイロモノといってもよいようなアレンジ/バンドは、多くのファンから顰蹙を買いつつも、ちゃっかりとアルバムの中で存在感を放ち、次の活動へとつながる足掛かり(というか爪痕)を残していくはずなのだ。してみると本作には「落としどころ」であったり「爪痕」らしきものは見つからない。YMOを敬愛し、また楽曲に真摯に取り組むことで、かつて存在した伝説のバンドに敬意を払っているのだろう。メンバーとして実力派・正統派アーティストが集まったからでもあるのだろうが、個人的にはもう少しハメを外しても良かったと思っている。もしこの企画が第2弾、第3弾と続いていくならば、例えば第2弾は電子音楽系で、第3弾はダンス・ミュージック系でとジャンルとアーティストを替えても良い。YMOの遺伝子を引き継ぐアーティストは、ほかにもたくさんいるはずだ。(2019.12.27)

2019年12月25日 (水)

12/24 【聴】 Techno 4 Pop Vol.1 / V.A., Supersweep(SRIN-1022)

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 ゲーム音楽/クラブミュージック系レーベル、Sweep Recordsから、2005年8月にリリースされたインディーズテクノポップのコンピレーション。参加アーティストはYOKO、パノラマ迎賓館、ケロッグ兄弟、HAAP、テクマ!、フロッタージュ、pLumsonic!、ハニー・マニー、サイトーン、CYBORG '80s、A.C.E.、Technoboys、ジーニアス、ホモンズ、ゆうぷんおう、Zunbaの全16ユニット、16曲を収録。


 インディーズテクノポップのコンピレーション、というと亭主などはまず「サエキけんぞうPresentsハレはれナイト」を思い出す。1980年代のインディーズブームに乗り、まさしく「時代を席巻した」アーティストらの競演は、現在も再発が繰り返されるほどのインパクト、関係者の語り草となっている。当時のテクノポップバンドは、まずメンバーがそれぞれに楽器を担当していて、その中にシンセが含まれていた、という状況が大多数であった。シーケンサもあったしミニマル・テクノという考え方もあったが、基本的にはインディーズが潜在的に持つパワーと生き残りの中で培われた創意工夫、それに若さゆえの斬新なアイデアがすべてで、亭主も大いにインスパイアされたことを覚えている。当時の代表的なインディーズ系コンピレーションといえば、ナゴムレコードの「おまつり」もあった。こちらは筋肉少女帯、人生、たまなど、パンキッシュな側面、牧歌的な側面が際立っていたように思う。


 話がそれた。


 本作のコンピレーションを聞くとつくづく実感するのは、方法論がかなり固定している、ということだ。まずはシンセがあり、そこにメロディとヴォーカルを乗せていく。聴けばどの曲も充分個性的だが、シンセ前提というある種の枠にしっかりとハマったうえでの個性である。しかもこれが結構巧い。結果全体的に粒はそろっているものの、インパクトという点ではいまひとつである。


 もちろん、聴くべきトラックは数多い。個人的にはpLumsonic!の「かいじゅ-のうた」、パノラマ迎賓館の「グリコーゲン」、CYBORG '80sの「トーキョータワー」、ジーニアスの「飛び出せ恋人」あたりの完成度の高さ、特に後ろ2曲のイロモノ感がお気に入りで、ついつい口ずさんでしまう中毒性がある。さらに別枠でYOKOの「スタートレック」もお気に入り。モータリックなリズムと、モノトーンなメロディでぐいぐいと押していく地味なアレンジが妙に心地よい。2005年リリースというのだからもう15年も前になるが、ちっとも古びた印象にならないのは「若さ」を売りにするインディーズの強みである。

2019年12月22日 (日)

12/22 【聴】 Philharmony / Haruomi Hosono, SONY GT(MHCL-510)

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 2005年にSONY GT musicから再発された細野さんのソロ・アルバム、Philharmonyを購入。オリジナルは1982年にALFA Recordsからリリースされており、今回購入した再発盤はデジタルリマスタリング、細野さん自身によるインタビュー記事を収録している。オリジナルと同じく全10曲。なお2019年にはSACDハイブリッド盤もリリースされているので、今ならばSACDハイブリッド盤を買うともろもろ幸せだろう。ではなぜ亭主がこれを購入したかといえば、Hard-Offの中古CDコーナー売り場「クラシック音楽」にこのアルバムが置かれていて大変不憫に思ったから。Philharmonyはアルバム名であってジャンルではない。細野さんがクラシック音楽に傾倒したという話もない。Hard-Off売り場担当者の見識が疑われる。


 YMO活動中はソロ作品を一切発表しないと公言していた細野さんではあったが、当初はタンスなどと呼ばれて松武秀樹さんのようなプログラマでしか扱えなかったシンセが民生品として普及し始めると、細野さん自身もシンセを直接操作して曲作りができるようになる。たしかPhilharmonyではローランドのMC-8を使っていたはずだ(詳しい方はご指摘乞う)。地味なルックスに反してアルバムの人気は高く、イタリアの大衆歌謡「フニクリ・フニクラ」をカヴァーしたり、"Luminescent/Hotaru"ではサンプリングしたヴォイスをコラージュしたり、はたまた"Sports Men"、"Living-Dining-Kitchen"ではアメリカン・テイストなポップ・ミュージックを披露したりと、後年ほど多くのアーティストがこのアルバムをフェイバリッドに挙げ、コンピレーションなどで積極的にカヴァーしている。当時のセールス具合はどうだったかは定かではないが、多くのアーティストがこのアルバムにインスパイアされ、また細野さんのフォロワーとして(細野さんのアルバム制作の意図はさておいて)育ってきたことは間違いない。


 YMO散開後は東洋思想やスピリチュアリズムなどに接近した細野さんであるが、こと本作に限っては歌詞に「ビッグマック」や「ワンダーウーマン」などアメリカ的な生活スタイルを引用していて、あっけらかんとした明るい作風が心地よい。アルバムリリースの1982年といえば、メンバの軋轢や社会的抑圧の中製作されたアルバム"BGM"、"Technodelic"をリリースしたのちメンバ各自がソロで活動していた頃であり、その後の「君に、胸キュン。」リリースで再び脚光を浴びるまでのある意味「気楽」な時期であった。無責任な物言いだが「気楽」な時期に作られた作品が多くの人に支持されるというのはとても健全なことであるし、
マージンや余裕が一切なくなり、殺伐とした世の中になってしまった今からすれば大変羨ましいことでもある。(2019.12.08)

2019年12月 8日 (日)

12/08 日々雑感

結婚以降、オーディオ店やCD店、およびこれらの中古店からすっかり足が遠のいていて、以前ならば週に1度かならず顔を出していたハードオフも、最近はすっかりご無沙汰である。

今日日、中古店に出物が並ぶことなどほとんどないのだが、以前は「念のため」「もしかしたら」と毎週通っていた。結婚し、店に通わなくなった当時は「もしかしたら亭主が不在の間にナイスなアイテムが売りに出されているのではないか」と不安になり、仕事をしていても落ち着かない日々が続いた。こうなるともう禁断症状、強迫神経症に近い。結果症状がおさまるのに5年ほどかかった。あとから考えると、あのそわそわ感はいったい何だったんだろうかと思う。今は憑き物がおちたようにさっぱりしている。

この日は妻が留守にするというので、4〜5年ぶりに水戸のハードオフをのぞいたのだが、売場のラインナップが以前と全く変わっておらず・・・というか、売り物は変わっているのだろうが売場の放つオーラは全く変わっていなかった。当然のようにナイスなアイテムもなく、たいして欲しいとも思わない中古CDを2枚買って帰ってきた。

4〜5年ぶりのハードオフにも関わらず、欲しくもないCDを2枚買うというやる気のなさが亭主の今を、そして中古市場の今を如実に物語っている。時代の名機はどんどん劣化し廃棄されているし、かろうじて残ったアイテムはインターネットのオークションやフリマアプリ上で流通しているにすぎない。そしてそのほとんどがチャイナマネーの威力によって中国に向かって流れるか、転売ヤーと呼ばれるオークション好きたちが買ったり売ったり、ぐるぐると同じ場所を回っている。

2019年12月 7日 (土)

12/07 【聴】 Cloud Hidden / Susumu Yokota, Lo Recordings(Lo166CD)

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 2014年に急逝した横田進(Susumu Yokota)の未発表音源が、彼が所属していた海外レーベルLo Recordingsからリリースされた。もともとはUKのアーティストで"Susumu Yokota & Rothko"で共作の経験もあるMark Beazleyが所持していたもの。2002年にリリースした"Boy and the Tree"制作のための素材を、Beazleyがアルバムへと仕上げた。全10曲。

 全編にフィーチャーされたエスニック・サウンド、東洋神秘主義を髣髴とさせるなにやらトランシーなハウス・サウンドが耳新しい。思い返してみるに、Susumu Yokotaが明確にエスニックを目指したサウンドがあったような記憶がなく、Beazleyによる「東洋のハウス・アーティスト」へのリスペクトが、本作のアレンジに反映されているようにも思われる。それを「魂のサウンド」と呼ぶのはちょっと安直というか、「東洋」の精神性を過大評価している。

 全体的にはミニマルかつキャッチーで、聴いていて素直に楽しい。ヘンな話だが、もし横田が生きていたならば、こういうサウンドも彼の振れ幅として製作していただろう。後期の横田は、3拍子をフィーチャーするなど様々なバリエーションのハウスを指向していて、アルバム毎にその作風を変えていた。いや、Beazleyとのコラボによる新作ととらえるならば、あえて横田の作風に触れずともよいだろう。横田の音源素材を用いてBeazleyが製作したエスニック・サウンド。Laraajのサイケ・アンビエントとも共通する世界観を、まったりと楽しみたい。(2019.11.21)

2019年12月 1日 (日)

12/01 【聴】 音版 ビックリハウス 逆噴射症候群の巻 / V.A., ¥en|Alfa(BHC-20001)

 1974~85年まで刊行された日本のサブカル雑誌・ビックリハウスが、YMOが所属していたYENレーベルからリリースしたカセットテープ。YMOのメンバーのほか鈴木慶一、三遊亭円丈、伊武雅刀、白井良明らが参加、音楽あり合唱あり、寸劇あり、雑誌の雰囲気をテープに乗せたいささか悪乗り気味なオムニバス・ギャグ。ジャケットイラストは渡辺和博。


 「逆噴射」は当時羽田沖に着水した日航ジャンボジェット機の墜落原因。飛行機を操縦していた機長が精神疾患だったことが世間の耳目を集め、惑乱がもたらす意味不明な行動を「逆噴射」などと呼んでいた。本テープの内容がまっとうではないことを指してのことなのだろうが、当時散々「逆噴射」などと茶化された身としてはまったく面白くない。まあ、言っても過ぎた話ではある。


 ビックリハウスという雑誌が刊行されていたこと、YMOが連載コーナーを持ち、また当時「ハウサー」なるコアな愛読者がいたことは伝聞として聞いていたが、亭主は結局読んだことがなかった。Wikipediaなどによれば


80年代的なキッチュ、ユーモア、パロディをモットーにした面白雑誌で10代後半の読者に圧倒的な支持を集め、当時の若者文化に多大な影響を与え、常連投稿者の中には一般人時代のタレント、歌手、俳優、作家、文化人等が多くいた

 そうである。渋谷パルコあたりを中心地とする流行の発信基地、といったところなのだろうか。ただ、残念なことにギャグのセンスやイラストに古さは否めず、良くも悪くもその時代のなかでのみウケた作品、としかいいようがない。CD化されていないのもそこに理由があるのだろう。今回はたまたまこのテープを入手したきっかけでの試聴となったが、珍しい作品をたまたま入手できた、それ以上にテープを聞く理由はいまのところ見つかっていない。(2019.11.01)

2019年11月27日 (水)

11/26 【聴】 Arbeit / Towa Tei, Mach|BetterDays|Columbia(COCB-54289-90)

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 渡米中にポップ・グループDeee-Liteのメンバーとしてデビュー。以降再生YMOのリミックスを経てソロアルバム"Future Listening!"で国内デビューしたテイ・トウワのお仕事を集成したアルバム。「頼まれ仕事=アルバイト」を標榜しているが、プロデュース作品、リミックス作品などなどCD2枚に31曲を収録している。


 YMOチルドレンの一人として、また国内におけるハウス・ミュージックの第一人者として現在も活躍するテイ・トウワ。Geisha Girls(ダウンタウン)、Koji 1200(今田耕司)らのアルバムプロデュース、どんな言語も発音可能な音声合成システムCHATR(チャター)を使った作品リリースなど、なかなか「濃い」話題が目立ってきた彼だが、アルバム収録の楽曲を俯瞰するとその「濃さ」がさらに際立つ。板尾創路、小泉今日子、甲田益也子、ハイポジ、セニョール・ココナツ、Jungle Brothers、キリンジ、スチャダラパー、m-flo、ムーンライダース、カヒミ・カリィ、Nokkoなどなど、楽曲提供・リミックスの範囲が広いうえに、各作品でのブレのなさ、一貫性は驚嘆に値する。亭主などはオリジナルアルバムばかりを追っかけていたが、彼の音楽は、日本のポップ・シーン(クラブシーンではない)にがっちり入り込んでいた。もう少し時代が下っていたなら、中田ヤスタカの代わりにPerfumeのプロデュースなども手掛けていたかもしれないーーーなどと妄想する今日この頃である。(2019.11.08)

2019年11月23日 (土)

11/23 【聴】Drift Series 1 - Sampler Edition / Underworld, Beat(BRC-600A)

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 Karl HydeとRick Smithの二人からなるUKテクノ・ユニット、Underworldが、2018年11月から1年にわたり続けてきたプロジェクト"Drift"の成果をアルバムとしてまとめたものが本作。音楽、映像、エッセイなど様々な作品を毎週リリースした彼らの1年のうち、彼らの本職ともいえる「音楽」の部分を1枚のアルバムにミックスしている。UK盤は全10曲、1枚組だが、日本盤はスペシャル・エディションとして10曲+8曲の2枚組。


 毎回ディープな作風でお茶の間・・・じゃなかったシーンに影響を与え続けるUnderworld。UKテクノ・ムーブメントにおける中心的存在というだけでなく、映像やデザインなど様々な分野にその活動を幅を広げ、90年代UKカルチャーの象徴となった彼らのさらなるチャレンジが"Drift"なのだという。ヴォーカル・トラックありディープなハウスありといった内容に(Underworldの作風としては)ライトだなと思ったものだが、あらためてプロジェクトの内容を知れば、短い時間での仕事に感心させられる。サンプラー・エディションなどと少し控えめなタイトルがついてはいるものの、その内容はフルアルバムに匹敵するボリュームとクオリティ。特に日本語盤2枚組の盛りの多さは、ファンにとっては「おなか一杯」な内容だろう。期間中製作された様々なトラックを拡張・ミックスしたものとのこと、期間中のトラックを集めたオムニバス・アルバムとしてまったり聴いてもよし、また全く新しいコンセプトのアルバムとしてがっつり聴いてもよし。日本からはなかなか捉え切れない彼らの活動を音として存分に浴びたい(2019.11.01)

2019年11月 8日 (金)

11/08 【聴】Transmission Suite / 808 State, Ingrooves(808STATE006CD)

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 Graham MasseyとAndy Barkerの二人からなるアシッド・テクノのユニット、808 Stateの最新アルバム。マンチェスター系の元祖として、80年代から活動を続けるベテランが17年ぶりにリリースしたアルバムとのこと。全15曲。

 TR-808を駆使したテクノ・サウンド。マッシブなシンセの音色と、キャッチ―なメロディが交錯する、どこか懐かしいサウンドに仕上がっている。この頃のテクノ/エレクトロニカといえばどれも辛口かつストイックで、クラブなどで雰囲気に合わせて体を動かすには良いのだけれど、オーディオシステムで聴くと意外と耳に残らない、没個性なものが多かった。原因はなんだろうとつらつら考えてみるに、なんというか、作りてが「キャッチー」をあえて避けている感じがしてならない。言い換えるならば「あざとさ」、例えばあえてネタに走ってみたり、 ベタなフレーズを奏でてみたりといった「遊び」の部分がずいぶんと少なくて、亭主などは率直に「つまらない」と感じてしまうのだ。

 対する808 Stateの本作は、ベタな部分をあえて狙って「三枚目」な雰囲気を醸し出している。かつてのテクノといえばこんな三枚目な作風が多かったし、マンチェスターとか、コーンウォールとか、シーンの中でもバリエーションがあった。今はシーンそのものが失われていたり(というか別の場所に移ってしまったり)、盛りあがりの期間が極端に短かったりする。17年ぶりのアルバムリリースは確かにうれしい話なのだが、さて彼らはどこで活躍しているのだろう、彼らの周囲にどんなシーンがあるのだろうと見渡しても、一向にシーンが見えてこないあたりが残念である。

 亭主はかつてYMOの散開で長らくテクノの潮流を見失い、あれこれさまよった経験がある。Ken IshiiのJerry Tones、Derrick MayやJuan Atkinsのデトロイト・テクノに出会うまでは、本当に暗黒時代が続いていた。現在もまたテクノの潮流を見失っている真っ只中である。Youtubeやタワレコの店頭にテクノの小さな流れが見受けられるものの、メインストリームとなるにはまだまだ時間がかかりそうだ(2019.10.29)

 

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