03/08 【聴】 Human Music+2 / Jon Appleton and Don Cherry, Flying Dutchman|Solid(CDSOL-45729)
コルネット奏者で多くのアーティストとのコラボレーションでも知られるDon Cherryが、電子音楽家Jon Appletonとセッションした移植のアルバム。オリジナルは1970年発表、2017年にデジタル・リマスタリングで復刻したものでオリジナル4曲に加えボーナストラック2曲を追加している。
現代音楽、実験音楽、あるいはアンビエント。様々な呼び名で呼べそうな本アルバム、しかしなんとなく「現代版民族音楽」という言葉で呼ぶのがしっくりくる。風の音や様々な打楽器の音、掛け声、口笛、あるいは動物(ヤギ?)の鳴き声。素朴な音を並べたシンプルなトラック。Don Cherryによる即興のコルネット演奏にJon Appletonの電子音が重なる、なんとも独特なサウンドが全編に展開される。得てしてこういうアルバムは新鮮に聞こえるが飽きも早く、何回か聴いてハイオシマイという場合も多いのだが、本アルバムに限っては気が付くとiTunesやiPod で再生している。雰囲気としては「コチン・ムーン/細野晴臣・横尾忠則」に近いだろうか。思考を邪魔しない、オーガニックな音作りが心地よくてついつい聴いてしまうようだ。
深夜に聴いても良いし、車の中で聴いても良い。沈思黙考しているとき、とりとめのない考えにふけっているとき、背後でかすかに鳴ってはいても決して全面に張り出してくることがない。地平線の向こうから聴こえる辺境音楽は、再生が終わっても残響となって大気の中を響き渡っている。(2021.02.19)
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