聴(軟)

2019年9月19日 (木)

09/19 【聴】After Service / YMO, SONY GT(MCHL-10120-10121)

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 YMOのオフィシャル9枚目となるアルバム。結成40周年を記念したSACDとのハイブリッドディスクとしてBob Ludwigのデジタル・リマスタリングが施されている。ファイナルとなった散開ライブの様子を2枚組CDに収録している。途中ドラマーがユキヒロさんからデヴィッド・パーマー(ABC)に交代、以降ユキヒロさんはヴォーカルに専念する様子は映画「プロパガンダ(監督佐藤信)」にも収録されていて、当時ファンの間でも「新メンバー登場か!?」と話題になった。1983年リリース。ライブで演奏される楽曲はYMO歴代の人気曲19曲だが、ライブ用にアレンジがなされているせいかオリジナルを好む人にとってはちょっとベタな演奏、フュージョン的なアレンジに聞こえるかもしれない。


 亭主がこのアルバムを聴いたのは、アルバム発売からかなり時間が下ってのことだ。当時亭主は学生で、月の仕送りのなかからCDを買うのを唯一の楽しみにしていた。アルバムを買うタイミングが遅れた理由はずばり、亭主が清貧生活を送っていたから。毎月の仕送りをやりくりしてなんとか生活していた亭主にとって、他のアルバムと収録曲にダブりの多いライブアルバムを購入する意義は乏しかった。サーヴィス、そしてアフター・サーヴィス、さらにコンプリート・サーヴィスと、似たようなアルバムが立て続けにリリースされていたのも購入を見送らせる理由の一つだった。常に金欠だった亭主にはこれらリリースを「アルファ商法」などと揶揄する気概は毛頭なく、まあいつかは買うんだろうなぁ、どこのレコ屋にも売っているくらい潤沢に在庫があるんだからなぁ、などと緊張感のないことを考えていた。ただ先送りにするのにも限度というものがあったようだ。今、巷をぐるり眺めまわしてみるにCD店そのものがなくなっている。在庫以前に店そのものが消えてしまうなど、本アルバムリリース当時の1980年代の日本のなかでいったい誰が予想できただろう。


 嘆き節はさておいて、個人的にはこのアルバム、あるいは散開ライブの演奏はあまり好みではない。ライブ演奏に特化したからであろうか、シンセの音色がオリジナルとかなりかけ離れていて、アルバム/ライブ全般に統一感を持たせている一方、オリジナルのような音色へのこだわりや楽曲の作りこみがないがしろになっている(ように聴こえる)からだ。音色やアレンジへの違和感は2019年となった現在も変わらない。(2019.08.28)

2019年9月18日 (水)

09/18 【聴】Service / YMO, SONY GT(MCHL-10119)

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 YMOのオフィシャル8枚目となるアルバム。「浮気なぼくら」で「テクノポップ=YMO」という図式を確立したYMOによる最後のフルアルバムが本作となる。オリジナルは1983年リリース、結成40周年を記念したSACDとのハイブリッドディスクとしてBob Ludwigのデジタル・リマスタリングが施されている。全14トラック。

 三宅裕司率いる劇団・ギャグ集団"Super Eccentric Theater(S.E.T.)"とのコラボレーションによって製作されたアルバム。S.E.T.は翌年にアルバム"The Art of Nipponomics"(高橋幸宏プロデュース)をリリースしている。本作での共演もユキヒロさんの仲介によるものだったという。YMOの楽曲と、S.E.T.+YMOによるコントがかわるがわるに現れる構成は、スネークマンショーとのコラボ作"X-Multiplies"に通じる。ただし本アルバムは一部マニアに大変受けが悪く、テープにダビング/PCに取り込む際にはあえてS.E.T.のトラックを録音しない(または削除する)といった措置を取った人も少なからずいたようだ(ようだ、と書くが実際に削除した人を数人知っているので伝聞というよりも原体験である)。

 S.E.T.のコントとスネークマンショーのコントを比べると、スネークマンショーのそれは基本的に反体制、文字通り「セックスドラッグロックンロール」な内容であった。「反体制=新しい」という図式が若者の心をわしづかみにすると同時に、過激な社会風刺が知識人たちを刺激して「YMO現象」の発端となった。

 これに対しS.E.T.のコントは(三宅裕司のギャグ的なセンスから言えば)日本伝統の落語や狂言の形式に近い。社会や体制を批判するブラックな笑いではなく、ナンセンス・ギャグやドタバタ劇などこれまでの日本で好まれてきた伝統的なお笑いの要素が援用された。S.E.T.のコントを聴いたリスナーの多くはその内容に「絶対的な安定感」と「物足りなさ」を感じ取ったであろう。一方で、夜のヒットスタジオほかテレビへの出演機会が増え、お茶の間の人気者となっていったYMOの「絶対安定」感にS.E.T.のそれを重ねて、YMOの活動の終焉を感じ取っていたリスナーもまた多かったに違いない(2019.08.28)

2019年9月16日 (月)

09/16 【聴】 Hosono Haruomi compiled by Hoshino Gen / V.A., Victor(VICL-65244-5)

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 元SAKEROCK、現在はシンガーとして、また俳優・エッセイストとして大活躍する星野源が、細野さんの楽曲からお好みをセレクトしたマイ・ベストアルバム。2枚組、全38曲を収録する。なお同シリーズとして今後小山田圭吾(Cornelius)のコンピレーションもリリース予定。


 おそらくYMOファミリのなかで最も成功したと思われる星野源。個人的には新垣結衣と共演したドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」が一つのブレイキング・ポイントだったと感じている。ドラマ主題歌「恋」の大ヒットにより、ポップ・ミュージシャンと月9俳優という、二つの分野で成功したことは記憶に新しいが、それよりなにより、亭主的にはガッキーとの共演が羨ましい。亭主の中には嫉妬の炎が渦巻いていて、その反動で彼の最近のアルバムには一切購入していない。熱心に彼の作品を追っかけていた亭主が突然彼にそっぽを向いた理由は、ずばりそこにある。もちろん、細野さんとの共演番組やYOUTUBEのチャンネルなどはわりと丹念にチェックしていたりするので、そのうちアルバムやエッセイを購入する時が来るかもしれない。純粋なアンチというわけではなく、ひとえに「新垣結衣さんとの共演が羨ましい」その一言に尽きる。


 嫉妬はともかく、本作品。どちらかといえばはっぴいえんど、トロピカル三部作、YMO、YMOと同時期にリリースされたソロアルバムの楽曲を主としてセレクトしていて、あえてバランスを大きく崩しているあたりが主張ポイントだろうか。Disc 1(全20曲)はYMO以前の楽曲、Disc 2は9曲がYMOおよび同時期の楽曲、そしてDisc 2の残り9曲がYMO以降の楽曲とかなりセレクトが偏っている。YMO以降の楽曲ではソロ作品が5曲、そのほかHIS(忌野清志郎、坂本冬美とのユニット)が1曲、Sketch Show(高橋幸宏とのユニット)が2曲、コンピへの提供曲が1曲と、細野さんがかつて傾倒していたアンビエント・観光音楽・実験音楽をバッサリ切っている。結果非常に聴きやすい、ポップなベストアルバムへと仕上がっている。マニア向けではないが、かといって細野さん入門編というには一方向にかなり濃密な構成。星野さん、選曲にずいぶん苦労したのだろうな、ずいぶん思い切ったことをしたなと、逆に感心してしまった。もし亭主が同じようなアルバムをセレクトしたならば、すべての年代の楽曲をまんべんなく選んだろうが、結果出来上がったアルバムはおそらくかなり難解かつ散漫になって、繰り返し聞くにはちょっとつらいものになっただろう。(2019.08.29)


2019年9月11日 (水)

09/11 【聴】浮気なぼくら+インストゥルメンタル / YMO, SONY GT(MHCL-10117-8)

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 YMOのオフィシャル7枚目となるアルバム。前作"Technodelic"からポップス川へと大きく舵を切った本作品は、日本のポップ・ミュージックに「テクノポップ」という新たなジャンルを作り出し、YMOの作る音楽がマニア向けだけではないことを巷間に広く示した。オリジナルは1983年リリース、今回は結成40周年を記念したSACDとのハイブリッドディスクとしてBob Ludwigのデジタル・リマスタリングが施されている。ヴォーカル・トラックをシンセに差し替え、楽曲を再構成したインスト・バージョン「浮気なぼくらインストゥルメンタル」との2枚組、全20曲。


 亭主がCDで初めて購入したYMOのアルバムが、この「浮気なぼくら」だった。浪人生活から脱出し、大学入学の記念にと仕送りを貯めて購入したCDラジカセで、この「浮気なぼくら」を繰り返し聴いた。やがて大学生となりそのほかのアルバムをせっせとCDで買い集めることになるのだが、「浮気なぼくら」と"Solid State Survivor"は長い亭主のYMO生活の中でも特に聴いたアルバムであり、思い入れもまたひときわであった。2枚のアルバムは、YMOのディスコグラフィの中でも特にメジャー側に振り切れたアルバムであったが、亭主にとって「浮気なぼくら」は「スウィートなポップ」、"Solid State Survivor"は「ビターなポップ」であった。なにがスウィートなのかといえばアルバム全体に漂う異性の香り、まるで修道士か修験者のようなストイックな生活を送っていた大学生の亭主に、甘い生活を感じさせるある種の媚薬的な香りを感じさせていたからだ。当時このアルバムのコンセプトは「キュート」であったという。今でこそ躊躇なく語れる作品コンセプトも、当時の亭主には甘露すぎてまともに受け止めることができなかった。まだまだ初心だった亭主の青春時代を彩るアルバム、それが亭主のなかでのこのアルバムの立ち位置である。(2019.08.28)

2019年9月 4日 (水)

09/04 【聴】 One Day I'll be on Time / The Album Leaf, Tiger Style|P-Vine(PCD-20364)

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 ポストロック・バンドTristezaのメンバーで、The Crimson Curse, The Locust他での活動でも知られるJimmy Lavalleのソロプロジェクト、The Album Leafの2001年アルバム。The Album Leafとしては2番目のフル・アルバム、ほとんどすべての楽曲、楽器をLavalleひとりで担当したオーガニックなインストゥルメンタルには多くのアーティストが注目したという。シガー・ロスのライブ・ツアーのオープニングアクトを務め、ムームとのコラボレーションによる3番目フルアルバムをリリースするなど大ブレイクを果たすことで、その後のポストロックの一つの流れである「シューゲイザー」の確立に大きく貢献した。全14曲。


 オーバーダビング、サンプリング、様々な楽器とシンセを駆使して作られたアンビエンティックなサウンド。ロックとも、またエレクトロニックとも異なるある種の「ケミカル」な空気が全編を支配する。透明感のあるサウンドに意図的に重ねられたノイズが、本作を単なるロックやアンビエントでないことをことさらに主張する。「シューゲイザー=シューゲ」というジャンルは、単なる内省的な音楽、ムード重視の音楽でない。その後エレクトロニカの分野ではあたりまえとなったデスクトップ・ミュージック、つくり手にとっても、また聴き手にとってもパーソナルな音楽がロックにおいても成立しうることを「シューゲ」は如実に物語っている。シューゲイザーという名前の通り、ライブにおいてアーティストは観客よりも、自らの演奏に集中する。集中のあまり彼らは自身の演奏に没入する(観客にはアーティストの視線が靴に集まっているようにみえることからシューゲイザー(靴を見る人)と呼ばれる)。その内向きなエネルギーは静かなさざ波となって聴く人の心へと染み入り、やがてその場に居合わせた人々を一つの静謐な意識へと均していく。(2019.08.05)

2019年9月 2日 (月)

09/02 【聴】 Saravah! Saravah! - Yukihiro Takahashi Live 2018 - / Yukihiro Takahashi, Better Days|Columbia(COZB-1533-4)

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 2018年10月にリリースしたセルフ・カヴァー作"Saravah! Saravah!"を引っ提げ、11月24日に開催したライブの模様をCD/DVD化したアルバム。バンドメンバーはDr.kyOn(Piano)、佐橋佳幸(Guitar, 二人合わせてDarjeelingというユニットで活動)、林立夫(Drums)、有賀信夫(Bass)、斎藤有太(Keyboards)、矢口博康(Sax)、藤井珠緒(Percussions)、権藤知彦(Euphoniumほか)、重住ひろこ、岡村玄(両名はSmooth Aceとして活動)、津谷知彦(Backing Vocal)と豪華な編成、リリース40年目となるメモリアル・アルバムを美しく彩る。全15曲。


 本ライブの編成で特徴的なのは、演奏部分をDr.kyOnと佐橋佳幸に完全にお任せした、という点だろう。ユキヒロさんのアイデンティティともいえるドラムもまた林立夫に任せていて、本作においてユキヒロさんは完全にシンガーに徹している。オリジナルを完全に忠実に再現したいというユキヒロさんのオファーに見事にこたえた演奏サイド。PupaやMetafiveにかかわったアーティストはゴンドウトモヒコのみという、ちょっと角度を変えた人選が見事に成功している。なおライブには細野さんがゲストで参加したという。ライブ当日のオファーにご本人かなり照れた様子だったようだが、相変わらずのギャグを交えながらの登場、演奏も大変盛り上がったそうだ(この部分は後日ユキヒロさんがラジオでの語った内容)。


 なおライブということで、Saravah!以外からの楽曲も演奏されている。「四月の魚」、"Brand New Day"、"The Look of Love"などはおなじみのソロ作から、最後に再び"Saravah!"を演奏するサービスも心憎い。豪華な演奏と、ライブならではの空気感・ホールトーンを楽しみつつまったりと聴きたい。(2019.08.22)

2019年8月29日 (木)

08/29 【聴】 Book of Romance and Dust / Exit North, Exit North Music(EN01)

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 Steve Jansenのあらたなプロジェクト、Exit North。Thomas Feiner(Harmonium, Vocal)、Charles Storm(Bass)、Ulf Jansson(Piano)にJansenのドラムを加えた編成、シンセやストリングス・セッションをゲストに加えた自由なアレンジがポップスの新たな地平を形作る。全9曲。


 Thomas Feinerの美しく、情感豊かなヴォーカルが胸をうつExit North。なんともダウナーなプロジェクト名だが、楽曲もまたそれに輪をかけてダウナーである。内省的で崇高な歌詞と、まるで巡礼者たちが祈りをささげているかのような、静謐な音楽に心が震える。高橋幸宏と鈴木慶一のユニットThe Beatniksが「出口主義=Exitetialism」をテーマに出口のない逼塞した世界を音楽としたように、Exit Northもまた極北に、出口を求めている。亭主はSteve Jansenの最近を知らなかったため、アルバムやバンドに対する事前知識がないまま本作を購入した。当初はSteve Jansenらしい歌い口だなと感心したのだが、実際にはThomas FeinerとJansenが曲ごとにヴォーカルを務めていて、そのどちらもが味わい深い歌声を持つ。なぜこんな内省的な楽曲になるのだろうと不思議に感じつつ、そういえばこんな音楽は久しく聞いていなかった、これもまた音楽の到達点の一つなのだろうなとあらためて感じ入った次第。(2019.08.05)


2019年8月19日 (月)

08/18 【聴】Agaetis Byrjun -a new beginning 20th anniversary edition- / Sigur Ros, Krunk|Universal(KRUNK8DXCD)

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 アイスランドのポストロックバンド、シガー・ロスの2ndアルバム。Agaetis Byrjun(アゲイティス・ビリュン=良き船出)と題された本作はオリジナルが1999年にリリースされている。今回はアルバムリリース20周年を記念して制作された企画盤を購入。オリジナルアルバム(全10曲)に、アルバムリリース当時のライブ録音2枚、レアトラック1枚の4枚から構成されている。なおライブ録音の2枚は1999年のIslandic Opera Houseでの公演を中心に、他の場所での公演、デモバージョンなどをあつめたもの。レアトラック1枚はアルバム収録曲のプロトタイプを蔵出ししたものらしい。


 世間では「シューゲ」などというジャンルに分類されるシガー・ロス。シューゲとは「演奏中に客の方を向かず、ただひたすら自分の足ばかりをみている(Shoe Gazer)ことに由来する。内省的な歌い口と、あいまいでゆったりとしたメロディーライン、そして効果的に用いられる電子楽器。ノイズも積極的に使われていて、手法として前衛音楽に近い部分もあるようだ。この手のサウンドというと亭主などはMatmosやMum(MumとSigur Rosは同郷である)をまず思い出すのだが、MatmosもMumもインスト系であり、ポストロックとして同じカテゴリに入れるのには無理があるらしい。正直どっちでもいいじゃんという気がする。ヴォーカルが入っているか、それともインストかの違いだけである。テクノ/電子音楽方面からみるとシガー・ロスもまたテクノに近い気がする。あくまでも「気がする」だけである。従来のジャンル分けに異議を申し立てるものでもない。


 さて、シガー・ロスの本アルバム。個人的には好みのサウンドで、いつまでもずっと聴き続けていたいと思わせるアルバムである。独特の浮遊感と、楽曲全体から醸し出される退廃的なムードがなかなか心地よく、暑い夏によく冷えた部屋でしんみりと聴くのによく合っている。(2019.08.05)

2019年8月12日 (月)

08/12 【聴】 Love by Machine / Octave One, 430 West Records|BBQ(4WCD700JP)

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 デトロイト・テクノ第2世代、Lenny BurdenとLawrence Burdenの兄弟ユニットとなるOctave Oneの2016年アルバム。デトロイトとしては珍しいヴォーカルをフィーチャーしたハウステイストのトラック9曲を収録する。

 たしかBurden家にはたくさんの兄弟がいて、Octave One(1オクターブ)なるユニット名も兄弟の数から名づけられたと記憶している。家族ならではのアットホームなレーベルは、寡作ながらも良質なアルバムをリリースしていて、亭主もずいぶん聞き込んだものだ。彼らの作るトラックはどちらかといえばディープな、そうデトロイト・テクノの中でも特に重たい作品が多かったと記憶している。ただ本作に限っては、ハウス的なビートと印象的なメロディ、ぐいぐいと前へ進むベースラインがテクノらしからぬポップさを醸し出していて、特に予備知識のない人にも問答無用で楽しめる。ボディ・ミュージック的なリズムにハウスの官能を感じるリスナーも多いかもしれない。Octave Oneの作品としては予想外の展開に度肝を抜かれつつ、しかしその展開をまったりと楽しみたいところ。(2019.07.19)

2019年8月11日 (日)

08/11 【聴】 Atrantic Oscillations / Quantic, Truthoughts|Beat(BRC-599)

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 音楽プロデューサ、クリエータとして活躍するWill Hollandのプロジェクト、Quanticの最新作。Nidia Gongora、Alice Russellらヴォーカリストをフィーチャーしたハウス・トラックは、ときにヨーロッパ的な美麗さを、ときにラテン的な明るさをまとう。全12曲。


 多作であるにもかかわらず、なぜか日本では全く知名度のないQuantic。エレクトロニカからラテン、ハウスビートへと軸足を絶えず変えつつ良質なサウンドをリリースしている一方で、その活動はクラブ・ミュージックの中だけにとどまっている。今回はフィラデルフィア・ハウスをフィーチャーしたそうだが、King Brittらが指向するアクの強いベースラインのフィラデルフィアとはちょっと雰囲気が違うようである。どのトラックからもQuanticならではの「上手さ」と、Quantic「らしさ」が発揮されている、とでもいおうか。変幻自在にジャンルを渡り歩く一方でしっかりとトラックへのこだわり、彼自身のキャリアを感じさせる内容となっていて、どのトラックも安心して聴ける。作品の質の高さは折り紙付きである。(2019.07.19)


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