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2021年1月 2日 (土)

01/02 【読】「今昔百鬼拾遺-月-(京極夏彦、講談社ノベルス)」

「今昔百鬼拾遺-月-(京極夏彦、講談社ノベルス)」

 京極堂シリーズ最新作。昭和29年、巷に頻発した怪事件を雑誌記者・中禅寺敦子が追うスピンアウト作品。東京で起きた連続辻斬り事件を扱った「鬼」、千葉で起きた連続水死事件の「河童」そして東京高尾山で起きた連続失踪事件の「天狗」の3エピソードを収録している。


 本作の主人公である中禅寺敦子は、メインシリーズの主人公である中禅寺秋彦(京極堂)の妹。様々な奇妙な事件・現象を科学の目で解き明かす雑誌「稀譚月報」の記者として日々奔走している。本作では、かつて千葉で起きた「連続目潰し魔事件(「絡新婦の理」所収)」の関係者である呉美由紀が巻き込まれた3つの事件に敦子が関わり、独自の推理によって真相へと達する様が描かれる。書痴ゆえにあらゆる分野に精通し、その豊かな知識でもつれた事件を快刀乱麻に解き明かす京極堂や、特殊能力によって一足飛びに真相へと肉薄する榎木津礼二郎とは異なり、敦子の推理は事実を積み上げ、着実に真実へと近づくスタイルである。事件の背後に見え隠れする妖怪の影、そしてそのさらに背後にうごめく人間の心の闇を、理路によって白日の下に晒すあたりが本作の醍醐味だろう。衒奇な舞台設定や超絶技巧なトリックは存在せず、京極堂や榎木津のようなスーパーヒーローは一切登場しないため地味な印象は否めないが、その分ストーリーは複雑で、読者が事件の全容を把握するのはなかなか難しい。読み応えたっぷり、正攻法の探偵小説が存分に楽しめる。


 なお本書所収の3つのエピソードは、2019年に講談社タイガ、角川文庫、新潮文庫からそれぞれ刊行されたもの。3つを一つに合本した、いわゆる決定版となっている。それぞれを読んだことがある人はそちらを読めばOK。1つのみ、あるいは2つのみ読んだ人がどうするかはよくわからない(2021.01.02)


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