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2020年11月22日 (日)

11/22 【聴】omni Sight Seeing / Haruomi Hosono, SONY GT(MHCL-10136)

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 細野さん1989年のアルバム。Monad/Non-StandardレーベルをプロデュースしたテイチクからEpic Sonyへとレコード会社を移した最初の作品で、本アルバムは欧州でもリリースされるなど、グローバルな展開を見せた。アルバムの意味は「全方位観光」。日本から古代エジプト、中近東、ニューヨーク、果ては幻想世界に至るまで、神秘思想を意識しつつ様々なサウンドスケープを網羅した、テクノ/エレクトロニカ/アンビエントの傑作。全9曲。最近のYMO再発盤と同じく、今回も砂原良徳さんによるデジタルリマスタリングが施されたSACS/CDハイブリッド盤としてリリースされた。


 Monad的なアンビエントに江差追分を重ねた"ESASHI"から始まる本アルバム。当時ブルガリアやトルコ、フランスのライ・ミュージックなどワールド・ミュージックに関わる機会が多かった細野さんにとって、本アルバムはワールド・ミュージックに対する細野さんなりの「解答」だった。ポップ・ミュージックの解釈が指数関数的に広がるなか、単なる「観光」資源、「音楽」資源ととらえられていたぬ世界の民族音楽を、細野さんは重層的に捉えた。コリン・ウィルソンやカルロス・カスタネダ、ウィルヘルム・ライヒらの神秘思想や、エジプト文明やインカ文明、果ては宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の世界観に至るまで、時間や空間、神秘や幻想を曲の中にこれでもかと取り込むことで、アルバム全体を一つのコンセプト「全方位観光」へとまとめることに成功した。中沢新一さんとの著作「観光」が、原初日本の神性を追求したのに対し、本作の見据える先は時間や空間を超越する「全方位」である。かつて中沢さんとの「観光」により制作された"Mercuric Dance"に比べて圧倒的に色彩豊かなのは、視点が「全方位」的なだけでなく、一つの曲にあらゆる方面からダブルにも、トリプルにも意味づけがなされた重層性にある。


 ところで。


 バクレツな枚数のCDを所有し、今もなお着々とコレクションを増やしつつある亭主であるが、一枚いちまいのCDすべてに思い入れがあって、買った時の状況や、その時の心境などは明確に覚えている。たとえば本アルバムは、亭主が大学2年生の夏休みに駒ヶ根市の「ヤマサン」というCD/楽器店で購入したものだ。電車に乗って、汗をかきかき訪れた「ヤマサン」のCD売り場にこのアルバムはあって、当時の亭主、一も二もなく買ったことを覚えている。なにしろそれまで細野さんのアルバムといえば過去にリリースしたものを買いそろえるばかりで、アルバムリリースをリアルタイムで追っかけることができなかったのだ。細野さんと同じ時代を生きている、新譜を買っていることがうれしくて、本アルバムも実に良く聴いた。意外だったのは当時同じ学生寮に居た某大ジャズ研のK氏に受けたことで、テクノやエレクトロニカ、アンビエントにとんと興味のないK氏が、本アルバム収録の"Caravan"(いうまでもなくジャズ・スタンダードだ)を聴いたことをきっかけに亭主との音楽的な距離が急速に縮まったことだ。亭主はジャズを聴くようになり、K氏もまた上野耕路やゲルニカ、戸川純の音楽を聴くようになった。くしくも本アルバムのコンセプト「全方位観光」が、亭主やK氏の音楽に対する視野を全方位へと開かせることに成功した、といえるのかもしれない(2020.11.06)


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