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2020年10月

2020年10月30日 (金)

10/30 【読】 「ジャズ喫茶ベイシー読本(別冊ステレオサウンド)」

「ジャズ喫茶ベイシー読本(別冊ステレオサウンド)」

 岩手県一関市にあるジャズ喫茶「ベイシー」。名前の由来となったカウント・ベイシーをはじめ多くのミュージシャン、文筆家、芸能人が(その距離にも関わらず)足繁く通い、交流を深めるジャズ喫茶の巨星が、このたび開店50周年を迎えた。本書は「ベイシー」と店主である菅原正二氏をまるまる一冊あつかった特製版。2020年5月刊。


 巨大なウーファを備えたJBLのスピーカシステムでジャズの名盤を次々と再生する「レコード演奏家」菅原氏。実家の土蔵を改造した喫茶店は、菅原氏と、そのオーディオシステムを楽しみにする人たちで常ににぎわっている。かつては早稲田のビッグ・バンド「ハイソサイエティ・オーケストラ」に所属し、その行動力でビッグ・バンドを成功に導いた他、プロのドラマーとして活動した氏だったが、胸の病気から静養せざるをえなくなり、故郷の一関に戻ったという。ところが、東京時代の人脈や、氏の人柄に惚れ込んだ人々の縁は絶えることなく、まるで日本のジャズとジャズ・オーディオの中心が一関であるかのような盛り上がり(?)を見せている。


 「盛り上がり」と書いた後に(?)とあえて疑問符をつけたのは、そんなジャズ・オーディオシーンの中心にいる菅原氏自身はあくまでもストイックに、自らのオーディオ道を追求し続けているからだ。最高の音を出すべく自らのオーディオと格闘する日々。ジャズ喫茶の店主として客と接する一方で、昼も夜も自らの出音と向き合う氏の生き方に、共感し、尊敬し、またあこがれの念を抱く人も多いだろう。


 本書は、そんな菅原氏とベイシーを様々な角度から読み解こうと試みる。40ページにも及ぶカラー・グラビア、ベイシー開店までの経緯を綴ったクロニクル、あるいは菅原氏と縁の深い人々たちからのメッセージなどなど、そのどれもが菅原氏とベイシーを深い愛情で包んでいる。ステレオサウンドに掲載された記事の再録もあって、特に最近逝去された菅野沖彦氏との対談は今となっては貴重。ジャズとオーディオをすこしでもかじったことのある人ならば必ず耳にするであろうベイシーの世界を、この一冊で存分に楽しむことができる。(2020.10.30)

2020年10月27日 (火)

10/27 日々雑感

 久しぶりにラーメンショップに行った。

 ダイエット中にラーメンなど食べてはいけない、と仰る向きもあろうが、「ダイエット中だからラーメンを食べない」という考え方は根本から間違っている。正しくは「ラーメンを食べてもダイエットを成立させる」だ。

 そもそもダイエットというのは宗教と同じで、ダイエットの規則すなわち戒律をどれだけ守るかが肝要である。良心的なもの、金もうけ主義に陥っているものがあるのも、ダイエットと宗教の共通点である。が、ここでは何が良心的で、なにが金もうけ主義かは問わない。むしろダイエットの規則すなわち戒律がどれだけ厳しく、日常生活に制限を強いるかが重要なのだ。

 たとえば「炭水化物を食べてはいけません、油をとってはいけません、砂糖をとってはいけません、毎日1時間筋トレしましょう、週に4日はジョギングしましょう」という規則があったとする。規則を忠実に守る人は、それがダイエットのための手段と考えているか、それとも規則がすでに生活の一部となっているかのどちらかだ。前者すなわち手段と考えている人は、ダイエットが成功するまで、終わるまでの我慢だと考えている。後者すなわちすでに生活の一部となっている人は、規則それ自体が苦にならないため、ダイエットが終わってもその生活をずっと維持することができる。

 しかし、後者のような人が世の中にどれだけいるだろうか。ダイエットを試みる人たちの多くは、辛く苦しいダイエットがいつか終わることを知っているからこそ、ラーメンやアイスクリームや、ビールを我慢することができるのだ。ダイエットが終わり、規則から解放されれば、堰を切ったようにラーメンやアイスクリームを食べ、ビールを飲むだろう。そして当然のようにリバウンドするだろう。リバウンドの仕組みを科学的に解明する必要はまったくない。単にダイエット前の生活に戻ったにすぎないからだ。

 ダイエットを考えた場合、戒律すなわち規則はなるべくゆるい方がいい。食べたいものを我慢し、筋肉痛の体にムチを打つような規則はいつか破綻する。ならば普段の生活のなかで、ほんの少し何かを変える程度のゆるい規則をつくり、それを日々なんとなく実行していくほうが、心にも体にもよいのではないか。

 ルールは自分で決める。だれかから強制されるものではない。亭主の場合、「昼間、砂糖入りのコーヒーやジュースやエナジードリンクを飲まない」ことをルールにした。あとは普通通りの生活である。もちろん亭主の場合、朝晩の犬の散歩や、2週間に1回の犬のシャンプー(3匹同時)、それに週に1度ちょっと走るくらいの運動は生活の一部として普通にやっているのだけれど。

 結果的に3か月で8kg痩せた。ラーメンも食べたし、ビールも時々飲んだし、牛丼を食べたり、回転ずしにも行った。それでも3か月で8kg痩せたのだから、私の言うことを聞きなさい。そして信じなさい。

 これまた盛大に話がずれた。

 ラーメンショップ牛久結束店のラーメンが美味いというネットの評判に牛久に何度か通って味を確認し、まあ確かに評判になる程度には美味いと自分なりに納得したところで、近在の(隣のとなり町にある)ラーメンショップに行ったのだ。

 このラーメンショップ、3週間くらい前にも訪問していて、今回が2回目。ただ、なんというか、前回と同様スープは塩辛いし麺は少ないうえにヌメっているしで、もういいかなと思ってしまった。この店、Youtubeに食レポが乗るくらいにはメジャーな店で、客も切れ目なく入っていたので、それなりに人気の店だと思われる。2回で見限るのは勿体ないと思いつつ、まあそのうち気が向いて来ることもあるだろうとスープまで完食したのちソソクサと店を出た。

 本当は少し遠出して天下一品に行きたいと思っている。つくば店は以前の花室から、LALAガーデンつくばの近くに移転したそうである。10月18日に新装オープンというから、物見遊山に出かけてみるのも面白そうだ。

 とはいえ出かけるとなればそれなりに時間もかかるので、少し様子をみて、落ち着いてからになるとは思うのだけれど。

 

2020年10月25日 (日)

10/25 【聴】Rock Society Urawa -1972 RSU夏の陣 / 小坂忠とフォージョーハーフ, Fuji Disk(FJ177)

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 1972年、草の根の音楽ファンによって企画・実行された「Rock Society Urawa音楽祭」より、小坂忠とフォージョーハーフの演奏曲をピックアップしたライブ音源が富士ディスクよりリリースされた。3月に開催された第1回の好評を受け、8月に開催された「夏の陣」には頭脳警察、遠藤賢司、泉谷しげる、RCサクセション、ブレッド&バター、乱魔堂、そして小坂忠が登場。浦和市民会館ホールに1500人を集めた大イベントとなったという。2020年9月リリース。全8曲。


 小坂忠(Vocal, Guitar)をバンマスに、駒沢裕城(Guitar)、林立夫(Drums)、後藤次利(Bass)、松任谷正隆(Piano)という豪華アーティストをバックに据えた本作。アルバム「もっともっと」の10曲から8曲をセレクトしている。収録曲は「春を待ってる私はこたつの中」「みちくさ」「からす」「どろんこまつり」「庭はぽかぽか」「機関車」「好きなんだから」「ありがとう」。個人的には「機関車」「ありがとう」が収録されているあたりでポイントが高い。演奏もアルバムと同クオリティ、非常に完成度が高いが、いかんせん音源が古く、全体的にもやのかかったような音質になっているあたりが残念である。録音には拍手や歓声、歓声に対する小坂さんの「ども」という挨拶も入っているのでライブ音源だと知れるが、演奏以外はごくごく小さい音で録音されている。これが当時の録音によるものか、それとも復刻にあたってのマスタリング技術によるものかはよくわからないが、1972年当時の雰囲気を楽しみたい向きには少しものたりないかもしれない。あるいは聴衆が非常に行儀よく聴いているのかもしれないが―――。


 なおブックレットには当時の実行委員長の回想や当時のフライヤー(というかチラシ)、小坂忠周辺の人間関係相関図なども収録されている。フライヤーは手書きで、イベントの手作り感がよく出ている。当時の雰囲気を知らない亭主にはとても興味深い内容。なおフライヤーには高田渡の出演が記載されているが、イベント当日にドタキャンされたとのことである(2020.10.11)

2020年10月24日 (土)

10/24 【聴】Super Best / チャゲ&飛鳥, Pony Canyon(D32P6064)

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 音楽ユニット、チャゲ&飛鳥のの代表曲16曲をセレクトしたベスト・アルバム。1987年3月リリース。谷山浩子さんの「スーパーベスト」と同様、チャゲアスのベストにもCD版とカセット版があり、CDには16曲、カセットには(ロングプレイのメリットを活かし)20曲が収録されている。


 チャゲアスといえば、"Say Yes"や"YAH YAH YAH"などのメガヒット・メーカーとして知られ、トレンディドラマの主題歌でおなじみのポップ・キングというイメージが強いかもしれないが、本ベストアルバムはそんなメガヒット以前の曲、チャゲアスがまだまだ音楽ユニットとして発展途上だった頃の曲が収録されている。1979年のデビューシングル「ひとり咲き」から、本ベストアルバムリリース前の1986年11月に発売となった「指輪が泣いた」(ただしこれはカセット版にのみ収録)までのシングルのなかで、チャート最高位は1986年の「モーニングムーン」、それでも11位だったということに驚く人も多いだろう。


 ただ、亭主はメガヒットを飛ばす前のチャゲアスが好きだったし、逆にメガヒット後は急速に関心が薄れた。へそ曲がりとか、マイナー指向とかいう向きもあるだろうが、最大公約数的な曲作りはどうしても外連味というか個性が薄れてしまうため、亭主の興味のアンテナにかからなくなってしまうのだ。


 いつだったか、友人がチャゲアスの曲を評して「演歌」と言っていたことを思い出す。言われたときは少し面喰い、「お、おう」とだけ返した記憶がある。今つらつらと考えてみるに、チャゲアスの音楽はシンガー・ソングライター的なライトさがなく、メロディも歌詞もぐっと重たかったことから「演歌」という評価になったのだろう。たしかにデビュー曲「ひとり咲き」のアレンジは梅沢富美男の「夢芝居」によく似ているし、"Moon Light Blues"のサビもまた演歌の節回しである。「演歌」と言われて「いやそうじゃあないんだ」というには若干の躊躇がある。


 だが当時の亭主にとってチャゲアスの曲は圧倒的な大人の世界の曲であったし、骨太な歌詞はハードボイルドの世界として一種のあこがれでもあったのだ(2020.10.05)

2020年10月23日 (金)

10/23 【聴】 Hello / Goodnight / Yukihide Takekawa, Columbia|Disk Union|G-Matics(GMT-014)

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 ゴダイゴのヴォーカリストでシンガー・ソングライターのタケカワユキヒデ氏が、1987年2月にリリースした通算6枚目のソロ・アルバム。全12曲のうち最初と最後の曲、そしてもう一曲は新作、残りはこれまでの作品のセルフ・リメイクという形で作られたコンセプチュアルなラブ・ソングのアルバムが本作となる。前作"Don't Turn Back"(アメリカ録音)では多用していたシンセサイザーを控え、生楽器の温かみを感じさせる美しい作品。タケカワ氏はすべての曲で作曲を担当、中西俊博、深町純、周防義和、浅野孝己らが編曲で参加している。なお本作でタケカワ氏はコロムビアから移籍したとのことで、コロムビア時代の活動の集大成と位置づけられるアルバムといえる。


 ゴダイゴ時代には英語詞にこだわり、奈良橋陽子作詞・タケカワユキヒデ作曲・ミッキー吉野編曲という大ヒット間違いなしの黄金編成が印象的だったタケカワ氏だが、ソロとして活動して以降は様々な手法にチャレンジしている。日本語による歌詞はもちろんのこと、複数の曲を組曲形式とした構成やアメリカン・ポップスのオマージュなど、豊富なアイデアは聴く人を常にワクワクさせる。ライナーによれば(当時亭主は全く気付かなかったのだが)中森明菜への提供曲や、ディズニー映画のテーマ曲など様々な仕事からのリメイクが含まれていて、当時のタケカワ氏の活躍ぶりが本アルバムからも分かる。ハートウォーミングな歌詞、テクニカルだが親しみやすいメロディ、洗練されたアレンジとどこを聴いても全くスキがなく、しかもアルバム全体の完成度も高いとまさに「完璧」なアルバムだった。カセット版を購入した当時の亭主、その内容に衝撃を受け、以降本当にテープが擦り切れるほどに聴きこんだ。2008年にCDで再発されたことに気がつかず、今になって血眼で探し回った結果、Amazonマーケットプレイスで当時定価の3倍近い値段で買う羽目になったことはここだけの秘密だが、それだけの値段を出しても買うべきアルバムだと、個人的には思っている。いや、本当はアルバムを買い直さなくとも、頭の中ですべての曲が正確に再生されるのだから不要だったのかもしれないが、テープがすっかりのびきって、とぼけた音を出すようになっている状態では、早晩CDで買い直すことになっていただろう。いや、時間が経ってさらにプレミアム価格になるまでに、まだまだ1万円以下という値段で売られている内に買えたことは僥倖だったと、勝手に思っている。


 亭主はこのアルバムを浪人時代、松本駅前のイトーヨーカ堂の中にあった新星堂で購入し、以降自身のカセット・ライブラリとして埼玉、千葉、茨城と居を移すたびに携えている。「身辺整理」と称して大量にCDを売った時もこのアルバムは絶対に手放すまいと心に決めているくらいの愛聴盤であった。その辺のエピソードは、この「聴」のページのあちこちに断片として書かれているし、今書き始めるとなかなかエモい内容になって本来のアルバム・レビューからとんでもなく離れてしまうため、ここではこれ以上書かない。ちなみに亭主が浪人時代に影響を受けたアルバムとして"Only When I Laugh.../ Yukihiro Takahashi"、"Beat / Ken Takahashi"、そしてタケカワ氏のこのアルバムの3つを挙げておく。当時はカセットで購入、2000年以前にCDを買っているためこの「聴」のページでは紹介していないが、いずれ改めてレビューを投稿したいと思っている。(2020.09.08)

2020年10月22日 (木)

10/22 【聴】Super Best / 谷山浩子, Pony Canyon(D32P6052)

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 シンガー・ソングライター谷山浩子さんの代表曲16曲をセレクトしたベスト・アルバム。1987年2月リリース。谷山さんのベストは1987年7月に「ア・ラ・カルト」がリリースされていて、2枚のベストが時期を開けず発売されたことになる。「スーパーベスト」版のCDには16曲、カセットには20曲、「ア・ラ・カルト」版のCDには16曲が収録されているが、「ア・ラ・カルト」版のCDと「スーパーベスト」版のCDで共通する曲はたった8曲である。なお、「スーパーベスト」版のカセットはA面10曲、B面10曲、合計タイム78分49秒の超お得盤で、4曲が新たに追加されている(「ア・ラ・カルト」に収録されている曲は1曲のみである)。カセットテープならではの長い収録時間を生かしているが、現時点でカセットを手に入れられる可能性は、ほぼない。


 Pony Canyonを代表するアーティストの曲を集めた企画盤「スーパーベスト」シリーズ。上に紹介するチャゲ&飛鳥に加え、中島みゆき、山崎ハコ、南こうせつなど、当時の人気アーティストが名前を連ねたシリーズとして人気を博していたと記憶している。亭主もこのシリーズは結構あつめていて、アーティストのほかに「うる星やつら」の楽曲を集めた「スーパーベスト」などもあった。たくさんのアーティストが参加した結果、谷山さんのように他のベストアルバムと時期が似通ってしまったものもあったが、そこはそれ、好景気の波にのってイケイケどんどんで物事が進んだ時代である。当時としては大したことではなかったのだろう。今の音楽不況、CDが売れない状況と比べれば雲泥の差である。


 時代背景はともかく、本ベストアルバム。亭主はもっぱらカセット版を愛聴していて、それこそ磁気テープが擦り切れるほどに聴いていた。このベストが出た頃は谷山さんのオールナイトは残念ながら終わっていたが、本アルバムに収録の「てんぷら☆さんらいず」また「ア・ラ・カルト」収録の「お早うございますの帽子屋さん」は、オールナイトニッポン第2部のエンディング・テーマであり、番組が終わる午前5時(=朝5時)、新たな一日の始まりを告げるモーニング・バードとして、浪人時代の亭主には特に思い出深い、また大好きな曲である。大学に入学し、知らない町の、知り合いの一人もいない学生寮に入ったころは「銀河通信」や「窓」を聴いて、毎日の孤独を癒していた。この2曲を聴くと亭主は今でも涙がこぼれる。それほどに亭主の心に近い曲ばかりだったのだ。


 時代が下り、青年だった亭主もまた棺桶で足を突っ込み、足湯をするほどに老いてしまったが、考え方や価値観や、好きなもの・コトの基準は当時のままだと信じたい。おりしもダイエット真っ只中、体重も当時の数値に戻りつつある。このところCDレビューに過去の作品が多いこともまた、昨今の心境と大いに関係がある、のかも、しれない。なんでしょうか、もうすぐ死ぬんでしょうか。目の前に流れているのは走馬灯でしょうか。


 最近の谷山さん、といえば9月12日に乳がんが判明し、現在治療にあたっているという。治療に専念され、また美しい歌声でファンを楽しませてください。一刻も早い寛解を、ファンの一人として祈念いたします(2020.10.02)

10/22 【聴】谷山浩子 Best ア・ラ・カルト / 谷山浩子, Pony Canyon(D32P6090)

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 シンガー・ソングライター谷山浩子さんの代表曲16曲をセレクトしたベスト・アルバム。1987年7月リリース。谷山さんのベストは1987年2月にも「スーパーベスト」シリーズからリリースされていて、2枚のベストが時期を開けず発売されたことになる。「ア・ラ・カルト」版のCDには16曲収録、一方「スーパーベスト」版のカセットには20曲、CDには16曲収録されている。ただし「ア・ラ・カルト」版のCDと「スーパーベスト」版のCDに収録されている曲は8曲が共通するのみと、ベスト・アルバムにしては幅広い選曲となっているあたりが面白い。なお、「スーパーベスト」版のカセットはA面10曲、B面10曲、合計タイム78分49秒の超お得盤。カセットテープならではの長い収録時間を生かしているが、現時点でカセットを手に入れられる可能性は、ほぼない。

 亭主は浪人時代にカセット版を購入していて、受験勉強のお供によく聞いていた。当時谷山さんといえば、オールナイトニッポン木曜日第2部や、ニッポン放送土曜日夜の30分番組「谷山浩子のにゃんにゃんしてね」でパーソナリティとして活躍していたほか、パソコン雑誌(Oh!FM・ソフトバンクから出版)でコラムを執筆していて、亭主にとってはかなり身近な存在だった。猫やうさぎなどを擬人化した愛らしい歌詞と、伸びやかで美しい声が好きで、ラジオやカセットデッキの前でその歌声に耳を傾ける、そんな夜が続いていた。友人らは単に可愛い曲、というだけでなく、時にドキッとさせられる曲・深い情念や悲恋を綴った曲が魅力だといっていたが、亭主はそこまで深入りせず、どちらかといえば気軽に楽しく聴くことが多かったように思う。

 亭主が一番好きだった曲はなんといってもDESERT MOON。オールナイトニッポンの中で、新曲として毎回断片的に放送されていて、
いつ全体が聴けるのかとじりじりしていたが、あらためてアルバムでこの曲を聴いた瞬間お気に入りになった。壮大な世界観を持った歌詞と、その世界をあますところなく表現する壮大なアレンジが気に入って、「青い砂漠の月」という強烈なビジュアル・イメージとともに、今でも大好きな曲の一つである。シンガー・ソングライターの楽曲から、いわゆるポップス(当時はJ-Popなどという便利な言葉はなかった)の楽曲へと大きく舵を切ったという意味でも一つのターニング・ポイントとなる作品だったのではなかろうか。

 今回アルバムを買い直し、しみじみ聴いたDESERT MOONからもかつての強烈なビジュアル・イメージが想起され、亭主の青年時代がありありと思い出された。深夜放送に耳を傾ける、夜がまだまだ神聖で神秘的な時間帯であったころの記憶である。DESERT MOONを聴き終えてふと目を窓の方にみやると、夜明けの空が黒から濃い青へとうつりかわり、その中ほどで静謐な満月が、世界を煌々と照らしていた。

 いくら徹夜をしても元気だった、まだまだ若い時分の記憶である。(2020.09.29)

2020年10月20日 (火)

10/20 日々雑感

保健師の指導で始まったダイエットも、83日目に突入した。

以前の雑談で

指定された目標は3kg減だが、現時点で2.8kg減ということで、日程を1/3消化した時点でほぼ目標に達しつつある。

ちなみに3kg減はダイエットプログラムから指定された目標。亭主自身が設定した裏目標は5kg減、さらに究極的には13kg落としたいという目標もある。

と書いたが、現在裏目標である5kg減を達成していて、究極的な目標である13kg減まであと8kgというところまできている。

以前は数値をぼかしていたが、そろそろ書いても良いころだろう。開始体重は75.8kg、目標体重は72kg。現在は69.8kgまで落ちており裏目標の70kgを達成済、究極的には62kgまで落としたいと、そういうことである。

以前にも書いたが、予備校時代62kgだった体重は、大学入学後の学生寮の朝晩の食事で2年間で70kgに達した。それ以降70kgを下回ったことはなかったため、現在の体重は実に大学2年生の頃の体重ということになる。かつてはスポーツジムに通ってダイエットを試みたこともあったが、それでも70kgを割り込むことはなかったし、71kg台でも相当身体が辛く、筋肉痛と空腹でヘロヘロになっていた。スポーツジムに通っていた頃に比べれば筋力の量は圧倒的に少ないものの、筋肉痛に悩まされることはないし、食事をしっかり摂っているおかげで空腹に苛まれることも(あまり)ない。おっと、あまり―――と括弧書きしたのは間食をひかえているためで、空腹になることもたまにはある。

ここまでダイエットが成功したのは、ひとえに「はらすまダイエット」なる手法によるものーーーと言いたいところだが、どんなダイエットをするにせよ、しっかりとした戦略がなければ成功までの道のりが遠ざかったり、苦しいものになったりする。実は亭主、以前に「はらすま」を参考に朝晩体重を記録するダイエットを続けていたのだが、途中で投げ出してしまっていたのだ。自分が戦略を立てるにせよ、他者が立てるにせよ、その戦略が合理的であるか、自分にあったものか、また強制力をどれだけもたせるかで苦しさの度合いが変わってくる。基本的に亭主は束縛や強制を好まないため、ライザップのような徹底した自己管理型・他者監視型のダイエットは性に合わず、個人の裁量に任されたわりと自由なダイエットを好む。しかし、自由なダイエットというのは強制力に乏しい分自己管理やモチベーションの維持に「工夫」が必要で、「はらすま」のような朝晩体重を記録しましょうとか、か毎日カロリーを規定数分だけ消費しましょうとか、そういうルールをうまくこなしていくための「工夫」が最終的なダイエットの成否につながるのだ。

亭主の場合、ルールをこなすための工夫として、なるべくシンプルで、気軽なものを選んだ。「砂糖入りコーヒー」や「コーラ」や「スポーツドリンク」や「エナジードリンク」を飲まないというのがそれである。昼食を軽めにすると甘いものが無性にたべたくなるだろうということで「昼食をコンビニスイーツにする」というのも試している(おかげで昼はコンビニの小さなショートケーキや、ティラミスや、モンブランがたべ放題である)。朝晩をしっかり食べたうえに昼にコンビニスイーツを食べていても、また目立った運動をしなくとも、これならしっかりと痩せるのだ。

そうそう、昼にコンビニスイーツだけ、というのはちょっと栄養的にどうかと思い、成分無調整豆乳も飲んでいるがこれは気休めである。それでも三食をプロテインにしたり、あるいはサラダやチキンなどを食べたりするよりもよほどストレスが低いように思うのだが、いかがだろうか。

2020年10月18日 (日)

10/18 【聴】 Complete Service / Yellow Magic Orchestra, Alfa(ALCA-421, 422)

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 1983年12月22日に開催された散開ライブ「1983 YMOジャパンツアー」を収録した"After Service"の完全盤と銘打ちリリースされたのが本作"Complete Service"。After Serviceには未収録だった楽曲を含め、散開ライブに演奏されたすべての楽曲が収録されている(ちなみに未収録曲は"Shadows on the Ground"、"Perspective"、"The Madmen"、"Limbo"、"Chinese Whispers")。2枚組全19曲から2枚組24曲へ、また曲順も公演での演奏順になっていることが「完全盤」と銘打つ所以である。なお、ミキシングはアンビエント・ミュージックの創始者であるBrian Enoが手掛ける。1992年11月11日リリース。

 まず最初に言い訳をしておくと、亭主はこのアルバムをリリース当時から知っていたのだが、当時学生だった亭主に「ライブアルバム」や「ベストアルバム」や「リミックスアルバム」を買うような金銭的な余裕がなく、このアルバムもまたスルーと対象となっていた。1992年といえばYMOが「再生」を果たす前年であり、しきりに再結成が噂されていた時期でもあった。YMO商法などと揶揄されたアルファレコードの再発ラッシュに嫌気が指していた亭主は、金銭的な余裕がないことと同時に、アルファレコードへの反感からも、このアルバムをあえてスルーしていたのだ。「ライブ盤はAfter Serviceがあるからいいじゃん」という気持ちもあった。「ブライアン・イーノって誰よ」という気持ちもあったが、まあ結局のところその後このアルバムをめぐって後悔したことは一度もなく、今回たまたま"YMO Mega Mix"と一緒にハードオフのCDコーナーに並んでいたことに気が付いて購入した、というわけ。

 アルバムの価値については先にも書いたように未収録曲を含みライブ演奏順であることがすべてだろう。Brian Enoのミックスの良しあしは、正直よくわからない。After Serviceとの音質の違いは、実はAfter Service発売当時の盤を持っていないので比較できない(持っているのはSONY GTから後日リリースされたリマスタリング盤だ)。細かいぐだぐだはさておいて、純粋に音楽を楽しめということなのだろう。ただ、亭主はハードオフで買ってきたこのアルバムが、どうにもこうにも気に入らない。中古であることは当然であるとしても、ヤニ臭いうえに同梱のライナーが湿気かなにかでヘロヘロになっている。しかもCDの帯(日本のCDの悪習ではある)がプラケースにセロテープで貼り付けてあって、帯に劣化・変色があるばかりか、プラケースにセロテープの痕がべったりとついている。盤質そのものは悪くないが、そのほか(プラケース、ライナー、帯)の保存状態が最悪である。これほど酷い盤をこれまで亭主は見たことが無い。

 そもそもそのような盤をあえて買った亭主が悪い、ということもあるのだろうが、CD売り場におかれていた時はビニールに包まれていたので匂いは分からないし、ましてライナーがヘロヘロになっているなど分かりようもない。唯一帯の状態が最悪だったのは視認できたものの、先にも書いたように帯は日本のCD独特の付属物であり、独特の風習である。コレクターズアイテムでもないかぎり帯にこだわることはナンセンスと、亭主自身思っていたのだ。

 ただ、今回の経験を通じて一つ分かったことがある。「帯の保存状態は、そのまま盤の保存状態につながる」ということだ。帯が失われていたり、あるいは帯が変色していたら、その盤を買うのを避けるべきである。もちろんヤニ臭さなどもってのほかである。今回購入した店が、CDソフトの店ではなく、「ハードオフ」というソフトは専門外の店だったことも、盤質の悪さと関係があるかもしれない。Amazonのマーケットプレイスに出品されているCDならば、店の評判を気にしてこのような品物は出品しないだろうし、そもそも買取すら断っていたことだろう。さらにいえば下のYMO Megamixも同じように帯の保存が最悪で、しかもヤニ臭いのだから同じオーナからまとめて買い取ったものに違いない。

 ───とまあ、つらつらと書いてきたわけだが、要するに亭主はこれをハードオフから買ったことを酷く後悔している。できればAmazonのマーケットプレイスで良盤を買い直したいと思っているが、かといってヤニ臭いこのアルバムを処分するのも忍びない。ただただ、Amazonのサイトを見ながらため息をついている今日この頃である。(2020.09.29)

2020年10月15日 (木)

10/15 【聴】YMO Mega Mix / Yellow Magic Orchestra, Alfa(ALCA-20)

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 Yello Magic Orchestraの代表曲を藤原ヒロシ、屋敷豪太、KUDOらがリミックスした企画盤。RydeenやTechnopolis、Absolute Ego Danceなどをサンプリング・再構成したメガミックス1曲と、Firecracker、Behind the Maskのリミックス2曲を収録している。1990年、Alfaレコードより発売。


 メガミックスについて、亭主なりに解釈・説明するならば、一人のアーティストやグループの作品にリミックスの対象を絞り、メドレーやサンプリングを用いて複数の楽曲を縦横無尽につなぎ合わせる、リミックスの形態と認識している。シンプルなメガミックスは単なるメドレーであるし、あるいは原曲を徹底的に解体するとともに、原曲の雰囲気を残しつつ複数の曲から一つの曲へと再構成することもまたメガミックスであるといえる。だが、これをYMOでやらかしたというのであれば、コアなファンから少なからず顰蹙を浴びるし、クオリティが低いならば不満も上がるだろう。実際、本作品がリリースされた当時、亭主の周りで本作に対する評価は最悪であった。原曲をずたずたに切り離し、楽曲としての構成も、また曲の意味すらも無視したツギハギだらけの曲へと作り替えた行為は、亭主を含むファンには作品への冒涜であったし、それよりなにより原曲から上回るもの、感じられる思いが一切なかった。当時周囲を見渡せば「買って損した」という人が大勢を占めていて、実際亭主もすぐに中古店に売りに出してしまっていた。


 今回久々に中古で入手し聴いたわけだが、本作を聴いた当時の失望感やまったく褪せることがなく、安定して「最悪」という評価となった。作った側に最大の敬意を払った意見を述べるにしても「まあコレクションアイテムの一つだよね」くらいが適切のように思う。藤原ヒロシを含む諸氏がどのような思いで本作を作ったかは分からないが、いま、改めて聴いても本作が作られた意義が全く分からないし、実力者が集うプロジェクトだっとしても作品の良さが全く伝わってこないのが残念だ(2020.09.29)


2020年10月12日 (月)

10/12 【聴】X-Mix Enter:Digital Reality! / Richie Hawtin & John Acquaviva, !K7(K7032CD)

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 ドイツはベルリンを拠点とするテクノ/エレクトロニック・レーベル、Studio !K7がリリースしたDJ Mixシリーズ"X-Mix"より、カナダ出身でイタリア在住のテクノDJ、John Acquavivaとカナダ出身で米国を拠点に活動していたテクノDJ、Richie Hawtinの二人をフィーチャーしたミックス・アルバムが登場。シリーズ全10作のう3作目となるアルバム、Acquavivaが44分、Richie Hawtinが30分のDJミックスが収録されている。ちなみにAcquavivaのミックスには15曲、Richieのミックスには9曲が含まれるが、トラックマークがついていないため、あたかも45分、30分の2曲が収録されているように(プレーヤには)表示される。


 ミックスされた曲の一つ一つにトラックマークをつけず、あくまでも「1曲」として収録しているアルバムは、実は結構多い。Mix-Up Vol.4の田中フミヤのミックスなどもすべての曲が一体化し、長尺な曲1本が収録されているように見える。ただし、それがミニマリズムの表れなのか、ミックスを一つの作品としてとらえたいのか、それとも単にトラックマークをつけるのが面倒だったのかは正直よくわからない。ただまあ、今どんな曲がプレイされているのかを積極的に知りたい聴き手にとっては不便である。以前ならば、亭主もこのようなアルバムの音声データをWAVで吸い出し、編集ソフトなどでトラックマークを付けていただろうが、最近は面倒さが前に立つ。


 ところで、ミックスとしてはどちらもしっかりとビートを刻む王道テクノ。SpeedyJ、Laurent Garnier, Hardfloorなどおなじみのトラックをつなげて「ダンス・ミュージック」としての役割をしっかり果たしている。Richie Hawtinといえばその後米国でのDJ活動が不法就労にあたるとカナダに送還されたのがきっかけで、作風がとってもとっても暗~くなるのだけれど、この頃のテクノはとても健全・健康的。Acquavivaのミックスとあわせて「カナダのテクノってこんな感じ」といったパブリック・イメージを作り出すことに一役買っている。ただし、2in1ということでミックスの長さはどちらからしても短く、食い足りない印象は否めない。できればアルバムを分けて、彼らのミックスを存分に楽しみたかったところだ(2020.09.12)


10/12 【読】「怪談に学ぶ脳神経内科(駒ヶ嶺朋子、中外医学社)」

「怪談に学ぶ脳神経内科(駒ヶ嶺朋子、中外医学社)」

 獨協医科大学の脳神経内科・総合内科専門医で医学博士でもある氏が、奈良時代~大正時代の文献にみる怪談や怪奇現象を「脳神経内科」の観点から解き明かした書。ざしきわらしやろくろ首などの妖怪や、ドッペルゲンガーや幽体離脱といった心霊現象を医学の光を当てることで、「怪異」の陰に隠れた意外な真相が詳らかとなる。2020年4月刊。


 医学書のようであり、怪談・怪奇現象の解説本でありーーーと一風変わった内容の本書。ざしきわらし、狐憑き、幽霊、ろくろ首、かなしばりなどの十編怪異が症例として提示され、考えられる疾患や現代における類似の症例、また検査方法などが膨大な文献とともに解説される。解説の主体は著者であり、本書において著者は「現代脳神経内科の知識を有するまま過去に時間留学した」医者という立場を徹底する。一つの症例から様々な疾患が導き出され、それら疾患の可能性をひとつひとつ消していくことで真の疾病へとたどり着く様は医学系の推理小説のようでもある。ただし、本書にはおどろくべきどんでん返しも、涙を誘う悲劇も、また事件の真相を暴き出す爽快感もない。あるのは真摯に病に向きあい、一刻も早い患者の快復を願う医者の姿である。


 なお、著者である駒ヶ嶺氏は、医大に進む前は早稲田大学文学部に在籍し、現代詩での受賞歴を持つ文学者でもある。文章の随所に、マジメな医学書からちょっとはずれたユーモラスな表現が散見されて、読んでいてクスッとすることしばしば。とはいえ、全体として非常にハードな内容であり、専門用語がガンガン飛び交う文章は、医学を志した人ならばともかく、一般の読者にはなかなか厳しいものがあるだろう。


 エンターテイメントと学術書のハイブリッド、しかしその敷居は意外と高い。気合いを入れて読むべし。(2020.09.18)


2020年10月10日 (土)

10/10 【聴】 X-Mix-2 Destination Planet Dream / Laurent Garnier, !K7|Seven Sea|King(KICP=429)

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 ドイツはベルリンを拠点とするテクノ/エレクトロニック・レーベル、Studio !K7がリリースしたDJ Mixシリーズ"X-Mix"より、フランスのテクノDJ・Laurent Garnierのミックスが登場。シリーズ全10作の2作目となるアルバム、シリーズ開幕にふさわしい、王道中の王道、といった感じのミックス・アルバムに仕上がっている。全18曲。


 ミックスされているアーティストは、Laurent Garnier自身のほか、Kenny Larkin, Galaxy 2 Galasy, Dave AngelそしてRhythm is Rhythm(aka Derrick May)。テクノ・クラシックスを織り交ぜつつ、ダンサブルかつポップに仕上げているところに好感が持てる。X-Mixはそれほどでもないが、他のDJ Mixシリーズには自らのレーベル周辺のアーティスト(どちらかといえば地元での有名度が勝るような、いわゆる同僚)のミックスが多く含まれているものがあって、質は高いものの、初心者お断り的な内容のアルバムもまた存在する。面白いミックスではあってもそのあとが続かず、アルバムは1度聴いて終わり、という場合も少なくない。ところがLaurent Garnierのアルバムは、有名どころ、大御所の作品を大胆に織り交ぜつつ、聴いて楽しい、踊ってうれしい作品に仕上がっている。シリーズ開幕第1弾(実際には第1弾はライブDVDなのだが)からこのクオリティ、というのは正直すごいことで、実際海外の中古市場では15万円を超える額で取引されていたりもする。今回は、国内の、しかも地方の中古店に在庫としてあったものを確保したため安価(650円!!!)で購入した(まさか国内盤が出てくるとは知らなかった―――いやだんだん思い出してきた、あったあった)が、それだけクラブ・シーンで評価の高いアルバムであることの証左なのだろう。


 もののついでに言うならば、亭主はフランスのテクノ(たとえばF-Communications)はあまり好きではなく、今回のアルバムにほとんど期待をしていなかった。基本に忠実、ビートを確実に刻む一方で、忠実すぎて地味になりがちなフランスのテクノを想定して本アルバムを聴いただけに、驚きもまた大きかった。いや、これが本来のフレンチ・テクノのファンクネスなのだと言われればそうなのかもしれないが、いい意味でいろいろと裏切られ、結局ヒマがあればこのミックスを聴いていた。Laurent GarnierとKen Ishiiの2作が巨大な塔となって広大なテクノ・シーンを睥睨している、そんなヴィジュアルが目に浮かぶアルバム。地方の中古レコ屋などでこれを見かけたら、文句なく買いだろう。(2020.09.14)


2020年10月 7日 (水)

10/07 【聴】X-Mix Jack the Box / Hardfloor, !K7(K7068CD)

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 ドイツはベルリンを拠点とするテクノ/エレクトロニック・レーベル、Studio !K7がリリースしたDJ Mixシリーズ"X-Mix"より、ドイツ出身のアシッド・ハウス・ユニットHardfloorのミックスが登場。シリーズ全10作目の最終作となるアルバム、彼らが得意とするアシッドをベースに、Bam Bam, ARmando, Housemaster Boyz, DJ Pierreらの楽曲をミックスしている。1998年リリース、全20曲。


 HardfloorといえばRoland TB-303を駆使したアシッド・サウンドが特に有名。「ビヨビヨ」などと形容されるTB-303独特の音色を徹底的に使い倒す男気に、日本でも根強いファンが多い。なにしろ作るアルバム、作るアルバムすべてにTB-303が使われているのはもちろん、TB-303を翼賛するアルバムまであるというのだからその入れ込みようはハンパではない。本作においてもTB-303のビヨビヨ・サウンドは健在。Hardfloor自身の楽曲は勿論、他のアーティストのトラックもまたTB-303(あるいはそれに類したシンセ)の音色をフィーチャーしていて、ソウルフルなハウス・ミュージックにも、バキバキのミニマル・テクノにも彼らが溺愛するTB-303の面影が見えるあたりが面白い。最近は、こういう男気溢れるというか、気合一発で筋を通してしまうようなアーティストがめっきり減ってしまった。シンセが一つあれば音楽は作れるし、楽しめる。そんなプリミティブな感情を常に抱かせるHardfloorの存在は唯一無二であり、その後のフォロワーが全く現れないほどに孤高である。(2020.09.12)

2020年10月 4日 (日)

10/04 【聴】X-Mix Fast Forward and Rewind / Ken Ishii, !K7(K7057CD) -Back Number-

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 ドイツはベルリンを拠点とするテクノ/エレクトロニック・レーベル、Studio !K7がリリースしたDJ Mixシリーズ"X-Mix"より、東洋のテクノ・ゴッドことケン・イシイのミックスが登場。シリーズ全10作のうち8作目となるアルバム、他のDJ Mixに比べると非常にバラエティ豊かな、ある種意表を突いた構成が楽しいミックス・アルバムとなっている。1998年リリース。全20曲。


 ケン・イシイのDJ Mixといえば、石野卓球が監修したMix-Up Vol.3がことに有名。Derrick May、Moby、Africa Bambaatarなど、テクノの教科書に名前を連ねる超有名・ド定番の楽曲が一堂に会するアルバムに仕上がっていた。テクノの元祖とされるデトロイト・テクノが参考にしたといわれる坂本龍一のRiot In Lagosまでもが収録されていて、テクノに詳しい音楽評論家、マニアからは「知っている曲ばかりでつまらん」などと、ありがたくもなんともない評価を受けていたが、亭主などはこのアルバムをバイブルに、このミックスに含まれる曲を1曲1曲、レコ屋で買い揃えていたことを思い出す。


 時は下って(というほど下ってもいないが)!K7よりリリースされた本ミックス。本作はかつての「テクノの教科書」的な内容から趣向を変え、多様なクラブ・シーンで最も「旬」と思われる最新曲を、超絶テクニックでミックスアップしている。Renegade Sound Wave、Basement Jaxx、Jedi Knighs、Cold Cut、さらにはコーンウォール四天王などと呼ばれ、UKドラムンベースの一時代を築いたJake SlazengerやSquarepusherまで、その範囲はもはやテクノの世界全体を覆うほどに広い。どこの誰がBasement JaxxとSquarepusherが同じミックスに乗せられると想像しただろう。さらにはクラブ・ジャズのUnited Future Organization, テクノ/ダブのSilent Poetsなど日本のクラブ・シーンを代表するアーティストの作品もしっかり織り込み、ケン・イシイも自身の作品4曲(しかも1曲は当時の最新曲だ)を使用している盛りの良さ。これを「お買い得」と言わずしてなにをお得と呼べばいいのだろう。


 ちなみに亭主は本アルバムをリリース当時に購入していて、!K7のX-Mixシリーズで唯一所有していたアルバムだった。リミックスやベスト盤、DJミックスにとんと興味のなかった亭主が、こればかりは躊躇なく買ったというのだから当時から相当なインパクトがあったのだろう、と勝手に思っている。(2020.09.07)

2020年10月 2日 (金)

10/02 【聴】X-Mix 4 Beyond the Heavens / Dave Angel, !K7(K7034CD)

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 ドイツはベルリンを拠点とするテクノ/エレクトロニック・レーベル、Studio !K7がリリースしたDJ Mixシリーズ"X-Mix"より、UKのテクノDJ・Dave Angelのミックスが登場。シリーズ全10作のうち4作目となるアルバム、サワサキヨシヒロ、Kenny Larkin, Sun Electric, Dan Curtinなどテクノ黎明期のアーティストを中心とした手堅いミックスが聴ける。全17曲。


 似た名前にDave Clarkeがあって、こちらもX-Mixシリーズにラインナップされているので混乱する人もいるかもしれない。どちらもUK出身のテクノDJ、ただし双方のミックスには明確な違いがある。Dave Clarkeのテクノはトライバルを意識したエレクトロニック・ブギー、ファンクネスやソウルなど、ブラック・ミュージックのエッセンスを多分に含む。一方Dave Angelの本アルバムは、疾走感あふれるハイスピード・テクノ。上に挙げたアーティストのほかにも、Josh WinkやIan Pooleyなど時代を彩るテクノDJのトラックが含まれていて、文句なしの爽快感が味わえる。テクノもつくり手によってここまで作風が変わる、という好例といえそうだ。


 ちなみに亭主はソウルフルなテクノも爽快なテクノも好みである。シンセを用いたシンプルなループ・ミュージックがここまでバリエーションを持つこと自体すごいことであるし、それこそが亭主がテクノに深く心酔した理由でもあった。(2020.09.07)

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