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2020年9月

2020年9月30日 (水)

09/30 【聴】X-Mix Electro Boogie / Dave Clarke, !K7(K7050CD)

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 ドイツはベルリンを拠点とするテクノ/エレクトロニック・レーベル、Studio !K7がリリースしたDJ Mixシリーズ"X-Mix"より、UKのテクノDJ・プロデューサとして活躍するDave Clarkeのミックスが登場。シリーズ全10作のうち8作目となるアルバム、UR(Underground Resistanse)、Aux 88、Model 500などデトロイト・テクノをメインとしたソウルフルなテクノ・ミックスを聴かせる。ディスク2枚組で1枚目はMixバージョン全17曲、2枚目はMixなしのコンピレーションアルバム全12曲。


 Dave Clarkeのアルバムは亭主も一枚持っていた気がする。似たような名前のテクノDJにDave Angelがいて、正直格別な思い入れがあったというわけではない。ただ本作を聴くと、UK出身らしからぬブラックなテクノ、デトロイト・テクノだけでなくトライバルやヒップホップなど比較的「濃く」かつクラシックなネタをまとめ上げていて、彼自身のテクノに対する思い入れの深さ、彼自身の音楽経験の源流をうかがわせる良ミックスに仕上がっている。(2020.09.07)

2020年9月24日 (木)

09/24 【聴】 X-Mix Wildstyle / DJ Hell, !K7(K7039CD)

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 ドイツはベルリンを拠点とするテクノ/エレクトロニック・レーベル、Studio !K7がリリースしたDJ Mixシリーズ"X-Mix"より、ドイツ出身のテクノ・クリエータ/DJ/プロデューサDJ Hell(Helmut Josef Geier)のミックスが登場。シリーズ全10作目のうち5作目となるアルバム、DJ Skull, Surgeon, Ron Trent, Random Noise Generationなど、ちょっと「濃い」テクノを集めたマッシヴなDJミックス。1998年リリース、全19曲。


 DJ Hellに「濃い」イメージが付きまとうのは、多分彼のアルバムのジャケットの影響が大きいのだろう。名うてのギャンブラー、ジゴロ、あるいはマッチョイズム。ジャケット・デザインと同時に収録曲もどこか人を喰ったというか、ねっとり感のあるものが多いので、好きな人は好き、苦手は人は苦手―――とちょっと人を選ぶ内容になっていた(ような気がする)。実際、亭主も「ジャケ買い」ならぬ「ジャケ買わず」で購入を思いとどまったものも少なからずある。LGBTを髣髴とさせるものもある。こういった癖の強いトラックは、どちらかといえばイタロ・ハウスやシカゴ・ハウスあたりに任せた方がよいのではないかなどと思いつつ、ちょっと敬遠していたことは確かだ。


 一方、本ミックスにもたしかに「濃い」部分はあるものの、テクノやエレクトロのストイシズムが十分に感じられ、個人的には好印象。骨太なテクノに、味付け程度の「濃い」ネタはむしろトラックを前へと進める推進力となってくれる。(2020.09.07)

09/24 【聴】 X-Mix Transmission from Deep Space Radio / Kevin Saunderson, !K7(K7061CD)

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 ドイツはベルリンを拠点とするテクノ/エレクトロニック・レーベル、Studio !K7がリリースしたDJ Mixシリーズ"X-Mix"より、デトロイト・テクノのオリジネーターの一人Kevin Saundersonのミックスが登場。シリーズ全10作目のうち9作目となるアルバム、"R"-Thyme, Plastikman, Octabe One, Dark Comedyなどデトロイト系アーティストのトラックをふんだんに取り入れたスペーシーなミックス。1997年リリース、全22曲。


 ミックスのタイトル"Deep Space Radio"の名前の通り、「深宇宙から流れてくるラジオ番組」というのがアルバムのコンセプト。Kevinが得意とするハウス・テイストのトラックが次々とつながる中、ときおりジングル(ラジオの番組とCMを区切る短い曲)のようなフレーズ、そして女性のヴォイスが重ねられていて、たしかにラジオ放送を聴いているような気分にさせる。宇宙をタイトルにしているが、アンビエント基調の、浮遊感のあるトラックはない。軽快で、スタイリッシュ。漆黒の闇の中を高速でクルージングしているような、そんな疾走感のあるトラックが次々と現れて小気味よい。「宇宙」をテーマにしたテクノといえばJeff Millsが特に有名だが、あちらほどディープでも、ミニマルでもない。宇宙空間でたまたまラジオを付けたら聴こえてきた、超空間からの海賊放送。そんなイメージで聴くとよいかもしれない(2020.09.07)

2020年9月21日 (月)

09/21 【食】ラーメンショップ椿 ひたちなか店(ネギチャーシュー麺中盛)

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 ラーメンショップ椿 ひたちなか店に行ってきた。

 本当はラーメンショップ牛久結束店に行きたかったのだけれど、牛久までの移動に時間がかかるのと、他のラーメンショップの味を確認したいとので今回はひたちなか店に行った、というわけ。写真はネギチャーシュー麺の中盛。牛久結束店とおなじくクラシック系東京豚骨醤油、ただしそのディテールはかなり異なる。牛久結束店が自家製麺であったのに対し、こちらはかなりボリュームのある太麺。スープもあちらは脂多め、こちらは少なめですっきり、ただし塩味が強い。トッピングのネギもこちらはラー油を積極的に絡めたパンチのある味。麺、スープ、トッピングと全体的にガツンとくる味なのが特徴だろうか。これまで素通りしてきた店が、実はかなりパンチの効いた、個性的なラーメンであったことは個人的には大きな発見だった。

 ただ、これは牛久結束店にも言えることだが、食べ始めに麺とスープが良くなじんでいないのは気になった。茹で上がった麺をどんぶりに入れる際に、麺をゆでていたお湯(ゆで汁)が麺のまわりにまとわりついていて、(食べ始めだけだと思うが)麺のゆで汁臭さへとつながっていた。あまり偉そうなことを言うべきではいのだろうが、麺とスープのバランスがもう少しよければさらに良くなると思う。

 いずれにせよ亭主の前に遅くやってきた新味である。場所も比較的近いため、これからちょくちょく寄せてもらうつもりだ。

2020年9月18日 (金)

09/18 【読】「追憶の泰安洋行(長谷川博一、ミュージック・マガジン)」

「追憶の泰安洋行(長谷川博一、ミュージック・マガジン)」

 細野晴臣が1976年に発表したソロ・アルバム「泰安洋行」。「トロピカル・ダンディー」「はらいそ」とともに「トロピカル三部作」と呼ばれた2枚目のアルバムに徹底的に焦点を当てた音楽所が本書「追憶の泰安洋行」となる。執筆は北海道小樽市出身のフリーライター・長谷川博一。かつては細野氏が監修するノンスタンダード・レーベルのディレクターをつとめたほか「音楽王 細野晴臣物語」「ミスター・アウトサイド」「きれいな歌に会いにゆく」など多数の音楽書の編集・執筆に関わった。


 本書は音楽誌「レコード・コレクターズ」2016年7月号から18年11月号の連載をまとめ、書籍化したもの。なお、長谷川氏は連載終了後に病に倒れ、一時的に回復した際に書籍化のための準備を始めたが、2019年7月8日に逝去された。本書は著者の意図しない改変を避けるため、連載当初のフォーマットを踏襲した構成となっている。前書きには、逝去後に氏のPCから見つかった原稿を使ったほか、細野氏、また鈴木惣一朗氏がメッセージを寄せている。2020年7月刊。


 はっぴいえんど解散後、YMO結成前のソロ活動時期に細野氏が制作した4枚のアルバム。なかでも「トロピカル三部作」の2作目である「泰安洋行」は、中国・香港・沖縄・ハワイアン・ニューオーリンズ・ブギウギなど多彩な音楽要素を日本人ならではの絶妙なバランス感覚で配合した「歴史的名盤」として現在も多くのアーティストに影響を与えている。参加アーティストも実に豪華で、佐藤博、矢野顕子、岡田徹、鈴木茂、林立夫、浜口茂外也、大瀧詠一、山下達郎、大貫妙子、小坂忠、久保田麻琴などなど、当時の音楽界の若き実力者・現在のレジェンドがこぞって参加している。


 本書は、そんな歴史的名盤をあらゆる方向から分析・考察するとともに、当時の関係者、ひいては細野氏ご本人にまでインタビューを敢行することで、その魅力や真価をひもとくことに全力を傾けている。アーティストの半生を一冊の本にまとめ上げた本は実に多いが、アルバム1枚をひたすら掘り下げた本というのは実に珍しい。音楽にたいする長谷川氏の博覧強記ぶりもさることながら、当時アルバム制作に関わったエンジニアや、その後の細野氏の音楽活動に関わった若き音楽家まで、文字通り全方位的な視点で、しかも最後までしっかりとまとめ上げた氏の情熱がすばらしい。また、本書にはアルバムリリースの際に販促として使われたチラシやポスターなどもふんだんに収録されていて、歴史的資料集という一面もある。1970年代の世界の音楽シーンを俯瞰するという意味でも一読の価値あり。


 ファン・ブックを越えた音楽の世界絵巻として全音楽ファン必読の書。(2020.09.18)


09/18 【聴】【読】Blue Giant Live Selection / 石塚真一, 小学館

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 石塚真一の大人気ジャズ・コミック「ブルー・ジャイアント(全10巻)」より、主人公でサックス奏者の宮本大の演奏回を集めた作品集「ブルー・ジャイアント・ライブ・セレクション」が8月に発売された。
本アルバムはコミックをより楽しむための教材(?)として添付されたもの。往年のジャズ・ジャイアント8組の名演が収録されている。


 収録曲およびアーティストは以下の通り。



  •  M1 Impressions / John Coltrane

  •  M2 Softly, As in a Morning Sun / Sonny Rollins

  •  M3 Waltz for Debby / Bill Evans

  •  M4 A Night in Tunisia / Art Blakey and Clifford Brown

  •  M5 Airegin / Stan Getz

  •  M6 Blue Monk / Thelonious Monk and John Coltrane

  •  M7 Manteca / Dizzy Gillespie

  •  M8 Filthy McNasty / Horace Silver


 リストをみればわかるとおり必ずしもサックスの曲ばかりでなく、またコミックの各話のサブタイトル(曲名がつけられている)と連動しているわけでもない。スタジオ録音あり、ライブ録音ありと選曲の意図が今一つ見えないが、いずれも有名アーティスト、有名曲でありコミックスと連動せずともそれなりに楽しく聴ける。あまり細かいことは気にせず、連載時と同じ大判の紙面を、ジャズの音楽とともに楽しんでほしいということなのだろう。


 なお、コミックに収録されているエピソードは宮本大の日本でのエピソード(つまりブルー・ジャイアントのエピソード)に限られていて、直接の続編であるヨーロッパ編(ブルー・ジャイアント・シュプリーム)、最近始まったアメリカ編(ブルー・ジャイアント・エクスプローラー)の内容は含まれていない。ボーナストラックとしてシリーズ終盤で入院するピアニストの沢辺雪祈(ユキノリ)が、故郷である長野に転院するエピソードが収録されているので、ファンはこのエピソードを目当てに買うのもよいかもしれない。


 ちなみに、M7 Manteca / Dizzy Gillespieはアフロ・キューバンを意識した、思わず体が動いてしまう楽しい曲。ブルー・ジャイアントの世界観とは違うかもしれないがジャズの応用編として楽しんではいかが(2020.09.05)


2020年9月17日 (木)

09/17 【聴】 Hi-Posi Cassette - Hi-Posi Early Days 1988-1993 / Hi-Posi, Disc Union|Super Fuji Disc(FJSP399)

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 もりばやしみほ(Vo, Keyboard, Liric)と近藤研二(Guitar)のテクノポップ・デュオ、ハイポジの初期自主制作カセット「天下のハイポジ」(1989年)と、「ハイポジデモテープ93秋(通称バカザル)」(1993年)の2枚のアルバムをカップリングした豪華盤が本作。「天下の~」の12曲、「バカザル」の6曲あわせて18曲が収録されている。「松前公高 Works」「誓い空しく」などなどこのところ再発が続く京浜兄弟社関係のアルバムの一枚。

 京浜兄弟社以前から最近まで、長い歴史を持つハイポジ。東芝EMIから4人組バンドとしてメジャーデビューしたほか、もりばやし・近研のユニットとしてKITTYからマキシをリリースするなど、形態やレコード会社を替えつつ、息の長い活動を続けている。本作に収録されている曲の多くは、東芝EMIからリリースされた2枚のアルバム「写真にチュー」「Com'on Summer」に収録されている曲のインディーズ・バージョン。ただし本作をリリースした時点で楽曲としては完成の域に達していて、バンドとしての完成度の高さ、実力の確かさがうかがえる。もりばやしみほ(しんりんちゃんというらしい)による歌詞やヴォーカル、近研さんのギター・プレイ、そしてEXPOの松前氏による凝りまくったアレンジなど、インディーズとは思えない質の高いトラックが本作の売りだ。

 そしてもう一つ、特筆すべきはバンドのコンセプトがしっかりしていること。バブル全盛期に誕生したインディーズ・バンドの多くが「おこちゃま」を意識した可愛いテクノポップを指向したなか、ハイポジの「おこちゃま」はちょっと異質というか、どこか達観したものがある。大人が見過ごしがちな些細なもの(例えば「虫」や「石ころ」)に注目するあたりは確かに子供的なのだが、その視線には命への慈しみが込められている。ハイポジの世界では、虫も、石ころも、自分自身もすべてが同じスケールで語られ、そのどれもが美しく、愛おしく、そして哀愁に満ちている。(2020.08.23)

2020年9月11日 (金)

09/11 日々雑感

さて、90日間ダイエットもちょうど折り返し地点。

目標体重には少し前に到達、約3.7kg減。ここからは目標の上乗せ(というか下乗せ?)、もう2kg減らしておきたいと思っている。

ダイエットのやり方はこれまでと同じ。朝晩の食事を普通に摂りつつ、昼間に徹底的にカロリーを抑える。砂糖の入った飲み物(栄養ドリンク、エナジードリンク、コーヒー飲料、スポーツドリンク、ジュースなど)を一切飲まず、昼食を軽めに、三時や深夜のおやつを食べないようにする。これだけでも痩せていくのだからいかに亭主がこれまで糖分を摂っていたかがよくわかる。

以前は、会社で疲れたときはすぐ栄養ドリンクに頼ったり、砂糖入りのコーヒーで頭を働かせようとしていた。だが、栄養ドリンクや砂糖入りのコーヒーを飲まない現在の方がむしろ調子が良い。おそらく、血糖値のコントロールがうまくできていると思うがどうだろうか。

残念なことなのか、そうでないのかよく分からないのだが、亭主がダイエットをしていること、体重が落ちてきていることに職場の人間は気付いていない。知っているのは妻だけである。もう2kg減らしたら背広を新調しようと思っている。前回仕立てた際にはサイズが「B体(太め)」と悔しい思いをしたので、今回はなんとか「A体(痩せ型)」を作りたい。そんなことをつらつらと考えている今日この頃である。

そうそう、先日山岡家に行って、サービス券10枚でラーメンを一杯、タダで食べた。ダイエット中にラーメンとは何事かと思う人もいるだろうが、普段それなりに節制していれば、少しハメを外したところで大勢に影響はない。ダイエットの中には月に一度「チートデイ」なる何でも食べてよい日を設定してるものもあるが、亭主のダイエットには「チートデイ」はなく、思いついてときどき食べに行く程度である。

2020年9月 9日 (水)

09/09 【聴】松前公高 Works 1989-2019 / 松前公高, Disc Union|Super Fuji Disc(FJSP397)

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 電子音楽家、EXPOでの活動、Hi-Posiほか様々なユニットへの参加、ゲーム音楽やTV挿入曲など多彩に活躍する松前公高氏の30年の活動を集成したアルバム。全58曲という怒涛の分量をディスク2枚に収めている。


 テレビ番組のオープニング/エンディングテーマ、イベント音楽、ゲーム音楽―――日常の様々な場面に入り込み、ごく短時間耳に触れるだけの音楽が、これほどまでに集まるのは実は結構珍しい。坂本(龍一)さんのように定期的に、計画的にアルバム化する場合や、細野さんのように、思い出したように蔵出ししてくる場合もあるが、いわゆるこういった「小さな仕事」は埋もれてしまうのがほとんどなのだ。もちろん、音楽をPC上で編集・管理することで、データとしてしっかり残っている、というメリットはあるだろう。だがやはりこれだけの分量を、しかも30年という長きにわたってしっかりと管理している松前さんの物持ちの良さ、マメさにはとにかく驚かされる。多分どこかで聞いた事があるであろう、しかしどうしても思い出せない小ネタ的な音楽の数々。おもちゃ箱の中のように無造作に転がるこれらの音楽を、一つ一つ取り出しては眺める、そこにあるのは懐かしさだろうか。それとも物珍しさだろうか。

 松前さんといえばアナログ・シンセの使い手としても有名で、なかでもTransonicレコードからリリースされたアルバム"Space Ranch"は亭主の超絶お気に入りになっている。アナログのドスの効いたシンセ音、デジタルでは再現しようのないリヴァーブやエコーのボリューム感など、現在においてもこのアルバムと比肩しうるシンセ・サウンドに出会ったことがない。


 本作にもアナログ・シンセの作品が少なからず収録されているが、やはり迫力が違う。どれはゲームの音源で、どれはアナログ・シンセで―――と、あれこれ音を推測しながら聴くのも楽しそうだ。(2020.08.20)

09/09 【聴】 Japan's Period / No Lie-Sense, ナゴムレコード|Ultravybe(CDSOL-1635)

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 鈴木慶一とケラ(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)のユニット、No Lie-Senseのセカンド・アルバム。全11曲、「君も出世ができる」「ミュータント集団就職」「労働者たち」などなど、昭和歌謡とナンセンスな歌詞をフィーチャーした、独特の世界観が楽しめる作品。2016年、かつてケラ氏が主宰を務め、No Lie-Sense活動開始により再始動を果たしたナゴム・レコードからのリリース。


 アルバムコンセプトは昭和の黄金時代、高度経済成長期、だろうか。戦後急激に発展を遂げ、と同時に激しく歪む日本の有様を、近い将来起こるであろう日本の終焉に絡め、皮肉たっぷりに描き出している。シニカルな笑いとともに過去と未来が同居する不思議な世界観は、彼らなりの「ダダ」の表現なのだろう(サード・アルバム「駄々録」を先に聴いていたからこそ得られる気付きだ)。虚無感を基調とする「ダダ」の世界観と、狂信的・盲目的に突撃を続ける日本人の価値観が渾然一体となり、圧倒的な徒労感となって聞き手に迫る。救いはどの曲も「ナンセンス」に仕上がっていてちょっと聴きには面白おかしいポップスであること、だろうか。笑いは、絶望や不幸から人々を解放する一種の鎮痛薬である。


 アルバムタイトルである"Japan's Period"のPeriodは、「終止符」というより「時期」「期間」「段階」「一区切り」と解釈するほうが精神衛生上好ましい。世紀末がやってきても世界が終わらなかったように、これからも世界と日本は「区切り」を繰り返しつつ動き続ける。


 おそらく、多くの人間が「終焉」を望んでいる。それは「人類の滅亡」や「世界の破滅」であると同時に、それぞれの苦境から解放されるという「救い」でもある(まさしくキリスト教の教義ではないか)。だが残念なことに、そう簡単に問屋は卸してくれない。大災害や犯罪に巻き込まれてもそこで人生が終わることはそうそうない。苦境は以降もまだまだ続く。ならばいっときでもその苦境から目を背けることのできる鎮痛薬としてのナンセンス・ポップの役割もまた、まだまだ終わらないということになる。


 盛大に話が逸れたけれども、まあ、そんな感じ。(2020.08.16)

2020年9月 4日 (金)

09/04 【視】 Princess Connect ! Re:Dive I / Cygames, Happinet(CYGX-00001)

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 Cygamesより配信されていたソーシャルゲーム、「プリンセスコネクト!(略称:プリコネ)」の直接の続編として配信中の"Re:Dive"。前作の世界観を踏襲しつつ、ゲーム内の登場人物がオリジナルストーリーの中で縦横無尽に活躍するアニメ作品が本作となる。なお本作は2020年4月~6月までTokyo MXで放送されたもの。今回はBlu-ray版を購入した。


 仮想空間に構築されたファンタジー世界・アストルム。舞台はアストルムの一都市、ランドソル近郊に降り立った記憶喪失の主人公を、一族の命を受け主人公に仕えることとなったコッコロが迎えるところから物語は始まる。旅の道行き偶然出会ったアストライアの王女・ペコリーヌと、組織の指示で彼女を付け狙う魔法使い・キャルに出会った主人公らは、ペコリーヌの発案でランドソルに美食ギルドを結成する。


 まず亭主はRe:Diveを未プレイなので、ゲーム版とアニメ版の違いや世界観などは全く分からない。苦労人のコッコロさん、天真爛漫なペコリーヌ、ツンデレのキャル、そして多くの謎を秘めつつのんびりとした時を過ごす主人公と作品全体の雰囲気はつかめたものの、さてストーリー展開は早いのか遅いのか、重要な方向へと転ぶのか、それともこのままドタバタに終始するのかさっぱり見えないあたりがなんとも評価がつけにくい。毎回登場する料理の数々もリアリティに乏しく、さてどうしたらよいか、次のエピソードを待って評価するのが良いかと、思案しているところである。


 ともあれ個人的にはコッコロさん(なぜかさんづけ)の献身ぶりが心地よく、控えめながらもしっかりと存在感を示しているあたりが好印象。ちなみにコッコロさんといえば現在絶賛稼働中のグランブルファンタジーとのコラボでゲストとして登場し、主人公を強力にサポートしてくれる。亭主もコッコロさんをパーティのメンバーに含め、日々イベント周回にいそしんでいるところである(2020.08.08)

2020年9月 2日 (水)

09/02 【聴】 First Suicide Note / No Lie-Sense, ナゴムレコード|Ultravybe(CDSOL-1542)

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 鈴木慶一氏とケラ氏による新ユニット、No Lie-Senseのデビューアルバム。権藤知彦、上野洋子、野宮真貴、緒川たまき、犬山イヌコ、大槻ケンヂほか豪華アーティストが参画、新生ナゴムレコード第1弾として豪華賢覧なナンセンス・ポップを聴かせる。全10曲。


 亭主は3枚目のアルバム「駄々録」を先に聴いていて、No Lie-Senseのメインコンセプトが「ダダイスム」であると知っているので、本アルバムの理解も早かった。人生に対する圧倒的な虚無感、人生に意味などないと理解しつつ、それでももがきながら生きなければならない人間の徒労感や疲労感を、ナンセンスな歌詞とポップなサウンドで歌い上げる。「駄々録」もそうだったが、No Lie-Senseの曲はとにかく歌詞がいい。日常の細かいところ、ありふれたところをあえて目を向ける視点のユニークさ、下品にも幼稚にも陥らずに、それでもしっかりバカバカしい。「手のひらを太陽に」を元ネタにして生きる意味をしっかり否定する「僕らはみんな意味がない」、中年の慢性的な疲労感を逃避行動にからめて切々と歌い上げる「だるい人」などなど、年経れば経るほどに肉体感覚としてわかってしまうのは、亭主がすっかり老境に入ってしまったからなのだろう。


 「ダダイスム」のコンセプトが明らかとなるのは次作以降だが、No Lie-Senseが目指すところの面白さは本作でもしっかりと伝わってくる。鈴木氏、ケラ氏によるアレンジの奥深さ、ゲストによる重厚なコーラスも聴き所。ナンセンス・ポップと侮るなかれ、ベテラン二人の本気度が知れる渾身のポップ・サウンド(2020.08.16)


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