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2020年5月20日 (水)

05/20 【読】 「エイフェックス・ツイン、自分だけのチルアウト・ルーム―――セレクテッド・アンビエント・ワークス・ヴォリューム2(マーク・ウィーデンバウム、坂本麻里子訳、Ele-king Books|P-Vine)」

「エイフェックス・ツイン、自分だけのチルアウト・ルーム―――セレクテッド・アンビエント・ワークス・ヴォリューム2(マーク・ウィーデンバウム、坂本麻里子訳、Ele-king Books|P-Vine)」


 Aphex TwinことRichard D.Jamesが、UKテクノの名門・Warp Recordsから1994年にリリースした2枚組のアルバム"Selected Ambient Works Volume 2"に関する様々なトピックを、アンビエント/エレクトロニカのサイトDisquiet.com主宰であるMark Weidenbaumがドキュメンタリー形式でまとめた書。日本語版は2019年2月刊、翻訳はロッキング・オンなどで音楽ライターとして活動する坂本麻里子氏。


 かつては「奇才」と称され、数々の奇行・武勇伝にテクノファンの耳目が集まったRichard D.James。1990年代のUK Drum'n'Bassシーンを牽引し、Drill'n'Bassなる過激なブレイクビーツを生み出した立役者として知られている。一方、繊細なエレクトロニカ・サウンドも多く手がけ、現在も寡作ながら良質な作品を作り続けている。本書はそんな彼の代表作である"Selected Ambient Works Volume 2"にスポットを当て、リリースの経緯、当時の社会状況、またリリース時の周囲の反応やその後のアンビエント/エレクトロニカ界隈の動きを、様々な人々の証言を元に記している。ただし、Richardへの直接のインタビューはなく(あまりメディア露出を喜ばないらしい)なく、収録曲についてもさほど詳細には解説しない(アンビエントに格段の制作意図が込められているともかぎらない)。いわゆる熱狂的なファン・ブックではないことに注意されたい。


 ところで本アルバム、実は結構曰く付きである。Volume 2に先駆けたVolume 1が存在しないとか、Warp Recordsと初めて契約した作品で、Warp側はエレクトロニカを期待していたのに出てきたものはアンビエントだったとか、全25曲のうちBlue Calxしか曲名がついておらず、別人によって勝手的に曲名がつけられ、しかもアルバムに公式にクレジットされていたりとかーーー。地味な作品に関わらず話題には事欠かなかったようである。アルバムリリース後の評判はも微妙だったようで、エレクトロニカを期待していたファンの困惑が伺い知れる。なおその後アルバム収録作品は、クラシックにアレンジされたり、映画や演劇のBGMとして使用されたようである。


 Volume 1もVolume 3もない地味な2枚組アンビエントのアルバムが、音楽シーンに与えた影響を冷静に俯瞰したドキュメントが本書となる(2020.05.20)

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