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2020年4月22日 (水)

04/22 【聴】 Mountainscapes / Barre Phillips, ECM|Polydor(POCJ-2817)

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 アメリカ・SF出身のベーシスト、Barre Phillipsが、1976年に発表したインプロビゼーションのアルバム。John Surman(Sax, Clarinet, Synth)、Dieter Feichtner(Synth)、Stu Martin(Drums, Synth)、John Abercrombie(Guitar)という編成は、当時のジャズ・シーンにおいてかなり異色な内容だったと想像する。Mountain Scape I~VIIIの8曲がクレジットされている。

 シンセ・ドローンの揺蕩うなか、それぞれのアーティストが自由自在な演奏を披露する本アルバム。ストリングスの音も聞かれるが、これはたぶんコントラバスを弓で弾いた音と思われる。明確なメロディや主題のないのがインプロビゼーションの特徴であるが、本作に限っては印象的なリフがあちらこちらにちりばめられていて、漠然と聞き流していると時折「おっ」と思わせる、印象的な展開を見せることがある。アンビエントほどまったりではなく、またジャズほど激しくはない。このあたりの絶妙な匙加減が、アルバム全体にほどよいエンターテイメント性を与えている。こういう作品は得てして一回聞けばそれで終わり、あとはラックの棚の隅に置かれるのが世の常なのだが、最近の亭主はこのアルバムを日々のBGMに組み込んでいる。iTunes経由でPC内部にリッピングし、いつでも聴けるようにしていることもあるし、コロナ禍で在宅勤務となった結果自室に軟禁状態となっている関係上、仕事のお供にBGMが欲しかったこともある。思考を妨げない一方で、「おっ」と思わせるリフが適度に思考を刺激する、そんな音楽である。

 以前にも紹介したが、本作は1999年にPolydorから70's Grooveシリーズの一枚として再発されたものである。過去の良作をクラブ・ミュージックと接続する試みは、1980年代後半から盛り上がった「渋谷系」を発端とする。当時渋谷を中心に活動するDJらが古今東西のアナログレコードからレア・グルーヴを再発見した結果、文字通り過去と現在の音源が同じ時代に横並びに(フラットに)なり、音楽にかつてないカオスな時代が訪れたことは記憶に新しい。「歌は世につれ、世は歌につれ」などという言葉は形骸化し、HDDの大容量化、圧縮音源・デジタル音源の登場、高速無線通信による配信サービスなどの普及により、いまやこのありさまである。CDを中心とした音楽ビジネスが崩壊した一方で、あらゆる時代の音楽が、それを欲している人のもとに瞬時に届けられる新しいビジネスモデルが登場した。かつて70's Grooveシリーズとして、クラブDJやコアな音楽ファンをターゲットにリリースした本作もまた、そんなカオスの中でしっかりと生き残っている。それがBarre Phillipsにとって喜ばしいことなのか、それともたいして面白くもなんともないことなのかはよくわからないのだけれど(2020.04.07)

 

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