« 2020年3月 | トップページ | 2020年5月 »

2020年4月

2020年4月26日 (日)

04/26 【聴】The New Quartet (Mallet Man)/ Gary Burton, ECM|Polydor(POCJ-2814)

IMAGE

 ヴィブラフォン奏者としてジャズ/クロスオーバーの分野で広く活躍するGary Burtonの1973年作品。Michael Goodrick(Guitar)、Abraham Laboriel(Bass)、Harry Blazer(Drums)を迎え、美しく透明感あふれるサウンドを聴かせる。全8曲。


 Chick Coreaの"Open Your Eyes, You Can Fly"、Keith Jarrettの"Coral"、Gordon Beckの"Tying Up Loose Ends"および"Mallet Man"、Mike Gibbsの"Four Or Less"および"Nonsequence"などを収録。彼自身の曲として"Brown Out"もクレジットされている。基本的にはヴァイヴのアルバムだが、ファンキーなベースや複雑に入り組むギターなどバッキングもなかなか凝っていて、非常に色彩豊かなアルバム。Gary Burtonの作品はどれもヴァイブの透明な音色、美しい響きが特徴的で、得ていてサウンドの良さに焦点が当たりがちであるが、あらためて本作品を聴いてみるとクロスオーバー/フュージョンとしての良さも再確認できる。いや実際亭主はGary Burtonのアルバム"Matchbook"をオーディオリファレンスにしていて、Auratoneのセッティングに彼の作品は欠かせないものになっているし、ECMというレーベルそのものが非常に音質にこだわりを持っている。しかし、Gary Burtonの作品はヴァイブの音色とともに非常に爽快・スピード感にあふれていて、まずもって聴いていて楽しい。アルトサックス、あるいはトランペットなどの強音楽器がリードをとることの多いジャズというジャンルの中で、ヴィブラフォンの透明なしらべはまるで炭酸水のような刺激で聴く人の耳を打つ。


 なお本作も1999年にリリースされた70's Grooveシリーズの一枚である。個人的にはこれもクラブDJ向けというのはなかなか納得いかないものがあるが・・・(2020.04.04)

2020年4月22日 (水)

04/22 【聴】 Mountainscapes / Barre Phillips, ECM|Polydor(POCJ-2817)

IMAGE

 アメリカ・SF出身のベーシスト、Barre Phillipsが、1976年に発表したインプロビゼーションのアルバム。John Surman(Sax, Clarinet, Synth)、Dieter Feichtner(Synth)、Stu Martin(Drums, Synth)、John Abercrombie(Guitar)という編成は、当時のジャズ・シーンにおいてかなり異色な内容だったと想像する。Mountain Scape I~VIIIの8曲がクレジットされている。

 シンセ・ドローンの揺蕩うなか、それぞれのアーティストが自由自在な演奏を披露する本アルバム。ストリングスの音も聞かれるが、これはたぶんコントラバスを弓で弾いた音と思われる。明確なメロディや主題のないのがインプロビゼーションの特徴であるが、本作に限っては印象的なリフがあちらこちらにちりばめられていて、漠然と聞き流していると時折「おっ」と思わせる、印象的な展開を見せることがある。アンビエントほどまったりではなく、またジャズほど激しくはない。このあたりの絶妙な匙加減が、アルバム全体にほどよいエンターテイメント性を与えている。こういう作品は得てして一回聞けばそれで終わり、あとはラックの棚の隅に置かれるのが世の常なのだが、最近の亭主はこのアルバムを日々のBGMに組み込んでいる。iTunes経由でPC内部にリッピングし、いつでも聴けるようにしていることもあるし、コロナ禍で在宅勤務となった結果自室に軟禁状態となっている関係上、仕事のお供にBGMが欲しかったこともある。思考を妨げない一方で、「おっ」と思わせるリフが適度に思考を刺激する、そんな音楽である。

 以前にも紹介したが、本作は1999年にPolydorから70's Grooveシリーズの一枚として再発されたものである。過去の良作をクラブ・ミュージックと接続する試みは、1980年代後半から盛り上がった「渋谷系」を発端とする。当時渋谷を中心に活動するDJらが古今東西のアナログレコードからレア・グルーヴを再発見した結果、文字通り過去と現在の音源が同じ時代に横並びに(フラットに)なり、音楽にかつてないカオスな時代が訪れたことは記憶に新しい。「歌は世につれ、世は歌につれ」などという言葉は形骸化し、HDDの大容量化、圧縮音源・デジタル音源の登場、高速無線通信による配信サービスなどの普及により、いまやこのありさまである。CDを中心とした音楽ビジネスが崩壊した一方で、あらゆる時代の音楽が、それを欲している人のもとに瞬時に届けられる新しいビジネスモデルが登場した。かつて70's Grooveシリーズとして、クラブDJやコアな音楽ファンをターゲットにリリースした本作もまた、そんなカオスの中でしっかりと生き残っている。それがBarre Phillipsにとって喜ばしいことなのか、それともたいして面白くもなんともないことなのかはよくわからないのだけれど(2020.04.07)

 

2020年4月20日 (月)

04/20 日々進捗

 水有利古戦場が終了した。

 戦貨ガチャの内容が変更になったり、ランバージャック・ライジングフォースといった新たな職業が導入されたりと環境が変化しつつある中で、今回の古戦場はこれまでとはひとあじも、ふたあじも違う雰囲気のイベントとなった。他の騎空団の気合の入り方もすさまじく、亭主が対戦した騎空団はどれもガチ勢、Cクラスの勝敗ラインが1~2億にまで上がるなど終始大苦戦。戦績は4戦全敗、個人ランキングは119832位、騎空団ランキングは29440位と公開されているランキングのぎりぎり一番下に滑り込んだ形であった。

 一方、箱掘りは予定通り進捗し、当初予定であった45箱に5箱を上積みした50箱を開けることができた。カトルの最終上限解放に必要な四天刃28本をあつめたのちはフュンフの五神杖を22本集め、すでに入手済であった1本と合わせて23本を集めることができた。次回の古戦場では五神杖の残り17本をあつめたのち、最後の十天衆であるシスの六崩拳あつめ、最終上限解放に取り掛かる予定である。

 ただし、依然としてヒヒイロカネの在庫はゼロの状態であり、せっかく今回四天刃を集めたものの、カトルの最終上限解放に必要な武器の作成にまで至っていないのが実情である。ショップにヒヒイロカネが補充されるか、次回~次々回古戦場で勲章をあつめヒヒイロカネと交換するの待つことにする。

 今回の古戦場にあたっては、杖パーティによるハイランダー編成、虚空武器や終末武器の導入などネットの攻略動画が大いに参考になった。自らの編成にはじめて「1TK編成」「HELL向けフルオート編成」の2種類を導入するなど遊び方に幅が生まれ、このゲームの醍醐味の一端が味わえたように思う。

 古戦場に参加された騎空団の皆さんお疲れさまでした。

 次回は6月、火有利古戦場とのこと。今回のイベントで強化した水編成を駆使して新たな装備を揃え、次の古戦場に備えましょう。

 

2020年4月19日 (日)

04/19 SNS、やめました

Instagramほか3個のSNS(ペット系)を退会した。

内緒にしていたがはてなブックマーク、はてなブログも利用していて、こちらも退会した。

いわゆる「SNS疲れ」ということにしておく。知り合いの投稿に律義に「いいね」を付けることに疲れたこともあるし、コメントの返信に対してあからさまな「差」を付けられて、普段はなかなか感じることのないコミュニティの壁を感じたこともある。

皆良くしてくれたし、我が家の3匹をかわいがってくれたので、跡を一切残さずに引き払うことに躊躇いもあったが、亭主がいなくなったところで誰も気が付かないのだろうからと勝手にやさぐれ、複数のSNSをほぼ同時に退会した。

かつて大震災が起きたときは一人一人が「つながる」ことが大事だと、様々なメディアや人が声高にさけんでいたのを思い出す。ところが今回の疫病は、一人ひとりが「つながる」ことを許容しない。世界では事態は終息に向かっているようだが、残念なことにここ日本ではこれからが災厄の本番である。

こんなときだからこそネットで「つながろう」という声もあるが、もう疲れた。しばらくはつながりを限定し、ほそぼそと暮らしていくつもりである。

 

 

2020年4月18日 (土)

04/18 【読】「シュテンプケ氏の鼻行類ー分析と試論ー考察・資料ー(カール・D.S.ゲーステ、今泉みね子訳、思索社)」

「シュテンプケ氏の鼻行類ー分析と試論ー考察・資料ー(カール・D.S.ゲーステ、今泉みね子訳、思索社)」


 1961年、ドイツで出版され、大きな話題を呼んだ「鼻行類(ハラルト・シュテンプケ著」。フランス語・英語・日本語に翻訳され、愛書家らによって現在もしばしば話題に上る名著である。ちょうど一か月前の「読」の記事で「アフターマン」「平行植物」とならぶ「生物系三大奇書」と書いたのが記憶に新しい。「鼻行類」は本来生物学のパロディーとして著されたものなのだが、本家ドイツにおいては「パロディー」の明示がなされなかったことから学術書と勘違いする人が続出したようである。本書に記された「アメリカ軍による核実験(架空)」への批判、学術書としての記載不備や、生物上の分類の不確かさへの指摘など、当時はかなり物議をかもしたらしい。本書はそんな「鼻行類」の解説本・副読本として1988年に出版されたもの。「鼻行類」および学問に対するパロディーの是非を問うた「考察」の章、そして「鼻行類」の本当の作者であるG・シュタイナー氏へのインタビューやシュタイナー氏のもとに送られてきた様々な批判・書簡を紹介した「資料」の章のふたつの章から成り立っている。邦訳版は1989年刊行。仕事が早い。


 いまでこそ社会的に認知され、一つの「表現」として許容されている「パロディー」だが、当時は「パロディー」を受け入れる寛容さに乏しかったらしい。内容を真に受ける人、学術書の体を成していないと批判する人、あるいは学問への冒涜と受け取る人、著者であるG・シュタイナー氏には様々な批判が寄せられたようである。シュタイナー氏はそれら批判に対し丁寧に、真摯に回答していたようで、本書にはそれら批判と、回答の書簡もいくつか収録している。ただし、激しい論戦になることはまれで、多くの場合回答に対する批判者の返答はなし、「鼻行類」に対する理解がなされたか、それとも回答が黙殺されたのかはよくわかっていない。本書には、「鼻行類」発刊に至るまでにシュタイナー氏が様々思案した空想の生物のイラスト、あるいは「鼻行類」で使われている様々な言葉遊び、オマージュの元ネタも紹介されている。特に「鼻行類」の用語にはドイツ・バイエルン地方の方言や、フランスとスペインの間にあって地理的にも文化的にも言語的にも周囲から隔絶されているバスク地方の言語が多用されていて、分かっている人ならば「ニヤリ」としてしまう用語ばかり。このあたりの遊び感覚がなかなか理解されなかったというのが「鼻行類」最大の不幸といってよいだろう。


 ちなみに亭主、「鼻行類」の副読本たる本書を大学時代に購入していたが、積読にしたまま大学卒業時に処分していた。今回はネット経由で古本屋から購入したが、やはり相当ヤレがきており、時代の経過をひしと感じさせた。「鼻行類」そのものは現在も平凡社ライブラリーとして刊行されている。「生物系三大奇書」をさらに楽しく読むためのサブテキストとして、本書もまたぜひ平凡社ライブラリーより刊行されてほしいものだ。(2020.04.18)

2020年4月15日 (水)

04/15 【聴】 Lookout Farm / Dave Liebman, ECM(ECM-1039ST)

IMAGE

 アメリカ出身のサックス奏者、Dave Liebmanが1973年にリリースしたアコースティック/クロスオーバー・ジャズの名作。John Abrecrombie(Guitar), Richard Beirach(Piano), Frank Tusa(Bass), Jeff Williams(Drums)などジャズではスタンダードともいえる楽器編成に加え、Arman Halburian(Percussion),Don Alias(Conga), Badal Roy(Tabla), Steve Sattan(Tambourine)らパーカッション、ヴォーカリストにEleana Sternbergを積極的に導入。サックスのスピード感をパーカッションが支える先進的なアルバムに仕上がっている。ちなみにアルバムの名前「ルックアウトファーム=監視施設」は、以降Liebman、Beirachが主体となって活動した音楽ユニットの名前としても使われている。全4曲だが、B面は2曲がノンストップでつながっており、トラックとしては3曲扱いになっている。

 本アルバムは「ジャズ喫茶四谷『いーぐる』の100枚(後藤雅洋著)」で紹介されていた100枚のアルバムのうちの一枚。Chick Corea、Keith Jarrettなどといった「陽」のスターとは対照的に、事情通なマニアたちに支持されたアーティストがLiebmanだったらしい。アルバムに通底する「暗さ」にマニアの耳目が集まったようだが、当時の空気感を無視して今聞いてみるととてもポップで、自由奔放な演奏が楽しめる。アランフェス協奏曲を思わせる叙情的なギターの調べと、ジプシー音楽を意識したアレンジが美しい"Pablo's Story"、クロスオーバーなサウンドにEleanaのスキャットが重なり、ちょっとChick Corea的な爽快さ・小気味よさが漂う"Sam's Float"、そして本アルバムのメインである"M.D./Lookout Farm"(M.D.はいうまでもなくMiles Davisのことだ)。しっとりとしたサックスの演奏にピアノが優しくよりそう"M.D."、前曲とはうってかわってミニマルかつスリリングな即興演奏が楽しめる"Lookout Farm"と、アルバム1枚、4曲の中に実に多くの音楽要素が詰め込まれている。この1枚でおなか一杯、大満足の内容である。

 ところで、Liebmanのこのアルバムは流通在庫がほとんどないらしく、ネットでは2万円前後で取引されるレア盤だった。亭主は、次にリリースされたアルバム"Drum Ode(1974年)"を既に持っているが、これは1999年に'70 Groove ClassicsシリーズとしてPolydorから再発されたものだ。"Drum Ode"とはリリース時期も近いし、こちらのアルバムも容易に手に入るだろうとタカをくくっていたのだが、気が付いてみればプレミアがつき、到底亭主が買える値段でなくなっていた。ここ何年かはあきらめムードで放置していたのだが、なんとAmazon Musicでデジタル音源がダウンロードできることを知り、今回はこちらを購入。値段も1900円と実に安価。血眼になってネットを探し回っていたのが馬鹿らしくなる値段だった。世間では希少盤が高額取引されているようだが、こういったアルバムがデジタル化され、Amazonなどで容易かつ安価に入手できるようになったら、その希少性が失われ値段が下がるに違いない。亭主はそのほかにも何枚か探しているアルバムがある。一部はLookout Farmの倍以上の値段(4万円!)で取引されているものもある。ぜひともAmazonにはデジタル化、アーカイブ化を進めてもらい、名盤の多くが安価で入手できるようにしてほしいものだ。(2020.03.30)

2020年4月14日 (火)

04/14 日々進捗

 昨日のことになるが、十賢者の一人、ハーゼリーラが主人公の騎空団に加入し、4凸を完了した。


 エンドコンテンツの一つとされる十賢者加入はこれで二人目。だれもほめてくれないので自分でほめることにする。


 おめでとうございました。


 ありがとうございました。


 十賢者加入にあたってはイベント「アーカルムの転生」を地道に周回する必要があって、実際一人目の十天衆「アラナン」の加入が11月だったことを考えると、二人目の加入に実に5か月を費やしたことになる。ただ、ここに至るまでにずいぶん「アーカルム」イベントを分析したので、次はもう少し早く取得できる見込み。もっともレアアイテムであるセフィラ玉髄が入手できればの話ではあるが。


 続いて4/13から、水有利古戦場が開幕した。


 今回の亭主の目標は、四天刃28本、五神杖17本を入手して、十天衆のひとり、カトルを最終上限解放させること。ただし以前にも書いたが最終上限解放に必要なアイテムであるヒヒイロカネが枯渇しているので、今回は最終上限解放よりも五神杖をどれだけ集められるかに注目したい。


十天衆を加入した人数 10人
十天衆を最終上限解放した人数 7人(シエテ、ソーン、サラーサ、オクトー、ニオ、エッセル、ウーノ・解放順)
SSレアアーカルム召喚石 5個(The Sun, The Hanged Man, Death, The Star, The Moon)
アーカルム召喚石 Lv200(5凸) 5個(The Sun, The Hanged Man, Death, The Star、The Moon・完了順)
十賢者を加入した人数 2人(アラナン・ハーゼリーラ)

 

2020年4月12日 (日)

04/12 【聴】 Abyssal Plain Remixes / Ken Ishii, Blue Arts Music(BAMCD009)

IMAGE

 ケンイシイの楽曲Abyssal Plainを、内外のテクノ・アーティストがリミックスした作品。John Beltran, Kaito, Martin Patino, Hideo Nakasako, Go Hiyama, A.MOCHI & TTTT, Tevatron, Himuro Yoshiteruらがリミキサーとして参加している。福岡のテクノ・レーベルBlue Arts Musicからのリリース。全8曲。

 Abyssal Plain = 「深海平原」とは、大洋の深海底のこと。海洋の大部分を占め、その推進は2200~5500m、地球上でもっとも平たんかつ滑らかな地域と言われている。普段陸で暮らす人類にとってはそのほとんどが未踏領域であり、未知の生物や生態系が住まう領域でもある。ケンイシイは、そんな平たんかつ滑らかな世界を静謐かつモータリックなテクノで表現する。そしてリミキサーらは、そんなケンイシイの世界をさらにそれぞれのイマジネーションをもって押し広げる。そこはまるで、人類の未踏領域に広がる様々な生命のバリエーション、人智の及ぶはるか古代から受け継がれてきた生態系の異なるバージョンである。

 ちなみに、各リミックスの出来は極めて良い。本作にはもとになるバージョンが収録されておらず、原曲との違いは明確ではないが、それぞれにテクノの枠内を保ちつつ、しっかりと聴かせるリミックスへと仕上げている。いわゆるイロモノ系は見当たらず、そのどれもが正統派。結果としてアルバム全体がキリリと引き締まり、適度な緊張感のあるテクノ・アルバムに仕上がっている。(2020.03.28)

 

2020年4月10日 (金)

04/10 日々雑感

コロナ禍の真っ只中、気持ちも体も不調気味の人が多いと思うので、その方面の話題は一切無視してグダグダと書いてみたい。

亭主の叔母の連れ合いという人が、ながらく地元の消防署に努めていて、長野県という土地柄もあって山岳救助の仕事も請け負っていたらしい。ただ、その連れ合い(仮にIさんとしておこう)さんはもともと体を動かすのが好き、自然が好きということもあって、非番の日には地元の山に登り、登山道の整備や、無人の避難小屋の管理などもやっていたのだそうだ。

地元に帰り、Iさんと飲むときはいつも山の話になり、いつや一緒に山に登りましょうなどと意気投合していたのだが、Iさんは医療事故で全身が不随となり、結局約束を果たせぬまま昨年帰らぬ人となってしまった。全身の自由はきかなくとも意識ははっきりとしていたようで、一昨年のことだったか、亭主がIさんを見舞った際に「次来るときは体鍛えて、一緒に山に登りましょうよ」と声をかけたところ涙を流して喜んでいたのが心に残っている。以来亭主には「山に登りたい」という思いが常にあるが、公私ともに忙しく、まだ実現には至っていない。

信濃川日出雄さんの「山と食欲と私」というコミックの最新話(130-131話)がちょうど地元の山の話題で、懐かしく拝見している。これから夏山シーズンを迎え、避難小屋にも賑わいが訪れるのだろうか。そういえば最近は「三密」を避けて、家族や友人と地元の山にハイキングに行く人が多いという。学校が始まらない子供さんたちにはいいストレス解消になるだろう。自宅に籠っての自習ばかりが勉強ではない。

Iさんは根っからの山男だった。もうこの世を去って半年になる。今頃はどこの山の稜線を歩いているだろうか。仏となる修行は長い道のりというが、せめて時々でよいから、下界の景色が一望できるような眺めの良い場所を訪れてほしいものだ。

2020年4月 8日 (水)

04/08 【読】「電気グルーヴのSound & Recording ~PRODUCTION INTERVIEWS 1992-2019 (リットーミュージック・ムック)」

「電気グルーヴのSound & Recording ~PRODUCTION INTERVIEWS 1992-2019 (リットーミュージック・ムック)」

 ピエール瀧のコカイン使用事件で活動を休止、Ki/oon SONYとの契約を解除した電気グルーヴ。2019年10月にマネジメントをmacht inc.へと移し、11月にはファンクラブ設立、オンラインを中心にグッズ販売を展開している。新型コロナウィルスが猛威を振るう中、フジロックへの出演が決定するなど本格始動を果たした彼らの30年の軌跡を、ディスコグラフィでつづったのが本書となる。リットーミュージックのSound & Recording(サンレコ)誌に掲載されたインタビュー記事+新たに取材した記事による、まるまる一冊電気グルーヴ本。2020年2月刊。

 コカイン騒動を発端に、徹底的な自粛に追い込まれた電気の二人。影響はピエール瀧にとどまらず、石野卓球の個人活動にも及んだことは記憶に新しい。店頭からの商品(CD, DVD)引き上げ、ライブの中止など誰がどう空気を読んだかわからない自粛の中で、音楽誌は彼らを積極的にサポートしていた。今回のムック本もそんなサポートの一環。うやむやになってしまった電気結成30周年を記念して刊行された本書には、 メジャーデビュー後最初のアルバムとなる"Flash Papa"から最新作「三十」まで、すべてのインタビュー記事が網羅されている。サンレコ誌らしく話題の中心は録音機材やスタジオ、そしてシンセサイザー。彼らがどのような環境でアルバム制作にあたり、またどのような工夫を込めてきたかがテクニカルに語られている。おっと、取り上げられる作品はいずれも「オリジナルアルバム」で、いわゆるリミックスやライブ盤、ベスト盤は内容から外れている。クリエータに向けた雑誌作りを心掛けるサンレコ誌らしい構成となっている。

 本書中には二人(+砂原良徳)の若い頃の姿も見られるが、カバーページ他多くのページに「現在の二人」の写真が掲載されている。おっさんを通り越して「初老」となった二人(といいつつ亭主も初老である)の姿に、往年のベテランアーティストの風格が漂い、何とも言えないいい味を出している。(2020.04.08)

2020年4月 3日 (金)

04/03 【聴】未知への飛翔 / Terje Rypdal - Miroslav Vitous - Jack Dejohnette, ECM|Polydor(POCJ-2818)

IMAGE


 ノルウェー出身のギター奏者テリエ・リピダルが、ベーシストのミロスラフ・ヴィトウス、ドラマーのジャック・ディジョネットとコラボして作り上げたクロスオーバー・ジャズの名作。1978年6月、オスロでの録音。ヨーロッパのジャズ/現代音楽レーベルECMより全6曲でリリースされた。なお、ヴィトウスはWeather Reportの初期メンバーの一人。ディジョネットは数多くのジャズ・ミュージシャンのアルバムに参加する名ドラマーである。「究極のドラマー」などとも呼ばれている。


 ECMレーベルの主軸ギタリストと目されるテリエ・リピダルが、クロスオーバーを意識して製作したアルバム。クロスオーバーといえば、チック・コリアが1972年にリリースしたReturn to Foreverがそもそもの発端で、以降このジャンルは急速メジャー化、ジャズ・シーンの中で一大勢力となる一方、フュージョンという名前でロックやポップ・ミュージックとのつながりを強めていく。一方、これはどんなジャンル(たとえばプログレッシヴロックやニューウェーヴなど)にも当てはまることなのだが、メジャー化されたジャンルは、一方でカウンターカルチャーへのつながりも強める。リピダルの本作がその好例で、インプロビゼーションやアンビエントの要素を取り込みつつ現代芸術のシーンへと接近した作品へと仕上がっている。


 なお、今回購入したアルバムは、1999年に'70 Groove ClassicsシリーズとしてPolydorから再発されたものだ。このシリーズの監修はGroove誌、デイヴ・リーブマンのDrum Ode、ゲイリー・バートンのMallet Manなども同時リリースされている。当時、これらの作品はどれも「クラブ・ミュージックの文脈」で読み解かれていたようだが、視点を固定する必要はまったくなく、むしろ先入観になってしまう危険性もあるので注意は必要。


 アルバムにおいてリピダルはギターのほかシンセを、ヴィトウスはベースのほかエレクトリック・ピアノを担当しており、変幻自在かつテクニカルな演奏が楽しめる。ディジョネットの緻密かつ複雑なドラムがアルバム全体をキリリと引き締めているのがなかなかヨイ。(2020.03.30)

« 2020年3月 | トップページ | 2020年5月 »

2020年10月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
フォト
無料ブログはココログ