« 03/15 【聴】管轄外 / 突然段ボール+石川浩司 with おにんこ, いぬん堂(WC-010) | トップページ | 03/21 日々雑感 »

2020年3月18日 (水)

03/18 【読】「平行植物(レオ・レオーニ・著、宮本淳・訳、工作舎)」

「平行植物(レオ・レオーニ、工作舎)」

 1910年オランダ・アムステルダム生まれ、第2次大戦時にアメリカに亡命し、以降は絵本作家、彫刻家として活動したレオ・レオーニの代表作。ライフワークである空想上の植物についてまとめた「平行植物」は1976年に上梓、日本では1980年に工作舎より邦訳版が出版された。2017年には新装版の第3刷が発行されており、時代を越え長く読み継がれている。なお、レオ・レオーニ自身は1999年に亡くなっている。

 現在の「植物」とは全く異なる生命形態を持つ生物「平行植物」の生態を、学術書として著したのが本書。好事家には「アフターマン」「鼻行類」などとならんで、「生物系三大奇書」などと呼ばれている。「アフターマン」がサイエンス・フィクション、「鼻行類」が生物学のパロディーだとしたら、「平行植物」は仮想の生物を扱う幻想文学と呼ぶのが正しいかもしれない。地球上に広く分布するものの、長らくその存在が疑問視されてきた「平行植物」。半透明でキノコ類にも似たユーモラスな形状、写真に写らず、採取しようとするとぼろぼろと崩れてしまう奇妙な生命系統は、さまざまな形・手段をもって人類の長い歴史に登場してきたという。本書はいわゆる「植物図鑑」ではなく、「平行植物」と人類との長い歴史を刻んだ人類学・民俗学の本である。もちろん本書につづられた人類の歴史は、地名・人名・参考文献・学術団体に至るまで全てが架空である。そのあたりを踏まえ、まるでもう一つの地球をのぞき込むような気持ちで読むのが正しい読み方、細かく読めば読むほど架空の世界に対する理解が深まるが、一方で、現実世界となんら共通点がないことはあえて肝に銘じるべきであろう。これはレオ・レオーニがコツコツ積み上げてきた幻想世界なのだ。

 本書には「平行植物」として「オカシシ」「ウミヘラモ」「タダノトッキ」(およびその亜種)「クモデ」「フシギネ」「森の角砂糖バサミ」「カラツボ」「グンバイジュ」「キマグレダケ」「アリジゴク」「マネモネ」「メデタシ」「キチガイウワバミ」「ツキノヒカリバナ」「夢見の杖」「ユビナリソウ」などなどが登場する。なんとも人を食った名前・学名があるのは、日本語訳者の命名だろう。このあたりのセンスの良しあしは、正直亭主にはよくわからない(というか亭主には学術的な香りが全くしないためリアリティが著しく損なわれているように思う)。個人的には鼻行類のリアリティに強く惹かれているせいか、本書のもつユーモアのセンスを楽しむのに少し時間がかかった。(2020.03.18)

« 03/15 【聴】管轄外 / 突然段ボール+石川浩司 with おにんこ, いぬん堂(WC-010) | トップページ | 03/21 日々雑感 »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 03/15 【聴】管轄外 / 突然段ボール+石川浩司 with おにんこ, いぬん堂(WC-010) | トップページ | 03/21 日々雑感 »

2020年12月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
フォト
無料ブログはココログ