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2019年10月18日 (金)

10/18 【聴】 No Geography / The Chemical Brothers, Virgin|Universal(UICW-10018)

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 ビッグ・ビートの雄として1990年代から活動。アルバム"Dig Your Own Hole"の大ヒットにより一躍スターダムにのし上がったケミカルブラザーズが、4年ぶりにリリースしたフルアルバムが本作。日本盤はオリジナル10曲にボーナストラック3曲を加えた全13曲。1999年代の機材を使用、かつてのロッキン・ビーツ・スピリッツ復刻を目指した意欲作とのこと。


 もともとのケミカルブラザーズはテクノのユニット、いわゆるヴォーカルなしのトラックが主流であったことをいまさらながら思い出す。ブレイクビーツからデジロック、ビッグ・ビートへと大きく舵を切った1995年以降ヴォーカル曲が増え、全体的にキャッチーな曲が増えていったと記憶している。亭主は音楽市場で急激に有名化していったアーティストたち、たとえばケミカルブラザーズ、ダフト・パンク、ラスマス・フェイバーらの作品への興味を急速に失っていて、今回も新作アルバムを買うつもりはなかったのだけれど、20年前の機材を使うという彼らの試みに興味を抱き、再びアルバム購入を決意した次第である。


期待して聴いた彼らの新作は、なるほど懐かしのシンセ音源を使ってみたり、ブレイクビーツやビッグ・ビート的なサウンドを指向してみたりとBack to the Basicな取り組みがなされている。ただ、申し訳ないが新鮮さや驚きは感じられなかった。ロックの初期衝動たる過激さも、また実験的要素も見られなかった。ケミカルブラザーズという看板は盤石のように感じられた一方、その作品からなんらかのメッセージを受け取ったかといえばNOであった。


 成功したアーティストたちは、かつての成功体験をその後の音楽活動に取り込もうとするきらいがある。売れる曲、世間に受け入れられた曲の成功体験を無意識のうちにアルバムに反映させようという力学がはたらく。しかし、成功体験が必ずしも大事というわけでもない。時間、場所、当時の風潮、あるいは社会問題。かつての成功体験をそのまま踏襲できるような状況は2度とこない。ポップ・ミュージックの末席にあって、一躍有名アーティストとなったケミカルにも同じことがいえる。原点回帰といいつつもどこかにセールを気にしたトラックたちを聴きながら、自らの成功体験に縛られてしまった有名アーティストのもどかしさをヒシと感じている(2019.09.30)


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