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2019年8月 1日 (木)

08/01【読】「モナドロジー 他二篇(ライプニッツ、岩波文庫)」

「モナドロジー 他二篇(ライプニッツ、岩波文庫)」


 微積分の基礎を築いた数学者・ライプニッツが、もう一つの顔である哲学者として万物の根本を洞察した論考集。「モナドロジー(1714年)」「理性に基づく自然と恩寵の原理(1714年)」「実体の本性と実体間の交渉ならびに魂と身体のあいだにある結合についての新説(1695年)」の3編に各種書簡7編を収録する。2019年4月岩波文庫より刊行。


 18世紀、ライプニッツは万物の根本を「モナド(日本語では単素などと訳される)」として提唱した。ライプニッツはモナドを「複合体のなかに入る単純な実体」「拡がりも形も可分性ももない」ものとし、「自然の真の原子」と定義している。ライプニッツのアイデアがユニークなのは、「モナド」には種類があり、モナドの自然的変化が内部より起こる一方、外部の影響を受けない、またモナドは自然に消滅することがないと考察した点にある。このアイデアは最終的に人間の魂がモナドであり、モナドが神の恩寵により創世されたという結論へとたどり着く。


 当時ライプニッツは17世紀の哲学者・数学者であるデカルトの「世界論」「動物機械論」を受け継ぐデカルト派と呼ばれる人々とかなり激しく意見を戦わせ、最終的にはライプニッツの論考が受け入れられたとしている。本書付録の書簡の宛先をみればわかるとおり、当時の数学者、哲学者らが論を語る相手は各国の貴族や知識人たちであった。ライプニッツの「モナド」が神の恩寵によるものであるという結論が当時の人々の信仰心を高め、また神に帰依する気持ちを強めたことは間違いない。


 当然ながら、「モナド」という考え方は現在の物理学では完全に否定されていて、神の恩寵はもちろん「単素」なる言葉もまた物理学から排除されている。ライプニッツが主張したモナドは「超弦理論」によって振動へと置き換えられ、モナドの運動に関する性質は「統一理論」として体系化されつつある。現代物理学についてモナドが入り込む余地はまったくない。


 一方、モナドと聞いて、細野晴臣がテイチクからリリースしたミニマル・アンビエントレーベル「モナド・レーベル」を想起した人は多いだろう(亭主もまずこちらを思い出した)。レーベル創設の際、細野さんはライプニッツの「モナド」論を引いて、レーベルの目論見、アンビエント・ミュージックの性格を説明している。モナドすなわち単素は、アンビエントにおける一つ一つの音素に対応し、聞く人の心を震わせ続ける。

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