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2019年6月15日 (土)

06/15 【聴】BGM / YMO, Sony GT(MHCL-10112)

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 YMOのオフィシャル5枚目となるアルバム。楽曲の前衛ぶり、アルバム全般から漂う「非ポップ」「非フュージョン」ぶりからYMOのメンバをして「ファンの切り離し」と言わしめたアルバム。アルバム作成当初は、パブリック・プレッシャーによりメンバー全員のメンタルは最悪レベルにまで疲弊、特に細野さんと教授の関係は最悪で、本アルバム完成までについにお互い顔を合わせることがなかったという。オリジナルは1981年リリース、今回は結成40周年を記念したSACDとのハイブリッドディスクとしてBob Ludwigのデジタル・リマスタリング処理が施されている。全10曲。


 これまでのYMOのアルバムのレビュー同様、本アルバムにおいても実に多くの評論家が解説を試み、また関連書籍多数、メンバによる製作エピソードなどもあちらこちらに散見されるので特にこちらから補足すべき事柄はない。YMOの作品を通じて最高傑作と言われる"Ballet"、ハードテクノの元祖などとも言われる"U.T."、また教授の楽曲からのカヴァー"1000 Knives"などなど、「切り離し」といいつつ話題作は多く、コアなファンほど、また長くファンをやっている人ほどこのアルバムへの愛着は強いというのが定説となっている。


 亭主もまた中学生の頃にこのアルバムを聴き、やはり当時の多くのファンと同様「切り離」された気分となった。全体に漂う退廃的な雰囲気、「夜」を思わせるねっとりとした空気を「中学生」が肯定的にとらえること、それ自体無理筋というものである。だが、少ない小遣いをやりくりして買ったアルバムである。それはもうディスクが、ダビングしたカセットが擦り切れるまで聴いた。この「擦り切れるまで聴く」という行為によって、亭主の感性にこのアルバムの世界観が徹底的に刷り込まれた。当時の多くの若者の「原体験」がこうやって形成されていった。YoutubeやSpotifyなど、ザッピングな方法で様々な音楽をとっかえひっかえ聴くことのできない時代のお話である。


 亭主が真っ先に気に入ったのは"U.T."であったが、最終的には"Cue"あたりに落ち着いた。"Cue"はその後の"Technodelic"において"Key"や"Stairs"などの楽曲へと転写される、ある種の「内観」的曲である。自身の心の中へと深く入り込み、主観を客観的にとらえようとする思考法は、その後の亭主の思想や価値観に大きな影響を与えた。YMOの楽曲は、コンセプチュアルである一方で強烈なビジュアル・イメージを聴き手に与えてくれる。たとえば"Cue"に登場する言葉"Cul de Sac"(袋小路)などは良い例である。一般には「袋小路」というと行き止まりが想像されるが、Cul de Sacには一方通行的な行き止まりのイメージはなく、むしろぐるりと大きく回って元の道へと戻る「構造」的なものとしてのイメージがある。日本にはこのような「構造」はほとんど見られないが、海外の住宅地においては往々にして見られ、けしてネガティブに捉えられるものでもない。そう、袋小路をネガティブに捉えるか、次のアクションに向けてのポジティブな旋回運動としてとらえるか、それだけでもずいぶん心境は変わるものなのである。

 亭主もまたBGMというアルバムを、中学生のころから今の今まで様々な年代で、場所で、時間で、シチュエーションの中で聴き続けている。もちろんこれからも聴くつもりである。(2019.05.30)


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