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2018年9月 5日 (水)

09/05 【聴】 Danjindan-Pojidon / Inoyama-Land, ExT Recordings(EXT-0027)

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 山下康と井上誠によるアンビエント・ユニット、イノヤマランドが、1983年にリリースした国産アンビエントの大傑作。メジャー・デビューアルバムである本作が35年の歳月を経て再リリースとなった。マスタリングは砂原良徳のアルバムLiminalのミックスでも知られる益子樹(じつは山下の従甥にあたる)。全10曲。なお本作は1995年にも再リリースがなされたが、残念ながらイノヤマランド非公認、しかもミックスの質が極めて悪かったとのことで作者としてかなり禍根の残るアルバムだったようだ。


 なんというか、まずもってジャケットデザインが良い。いつ、どこのかもわからぬ天気図のデザイン、等圧線がかなり込み合っていて前線もあちらこちらに見られるなどちょっと現実味に乏しい天気図ではある。亭主を含むコアな音楽ファンならば、このジャケットデザインの元ネタがブライアン・イーノのアンビエント・シリーズ(あちらは実在の地図を意匠としている)であることに気づくだろう。ブライアン・イーノがアンビエントのイノヴェイターだとすれば、イノヤマランドは国産アンビエントのイノヴェイターである。当時山下氏と井上氏は上野耕路氏と交流があったそうで、細野さん、ユキヒロさんにその音楽を見いだされた結果(当然の流れとして)アルファレコードからのアルバムリリースを果たすことになる。


 イノヤマランドのサウンドを、端的に述べるとするならば「アクアリウムの音楽」になるだろうか。ブライアン・イーノが多用したドローン(持続音)は一切使用せず、コンパクトな空間に満たされた静寂を楽器の発音によってトツトツと埋めていく、そんな作業の先に出来上がった環境音楽だ。本アルバムを聴いていると、常に水が循環し、温度と酸素濃度と食料が保証される平和なユートピアとしてのアクアリウムが思い出される。本作のどこまでも優しく、穏やかな世界観はイーノのアンビエントと比べるとはるかに日本人向きで、聴きやすい。(2018.08.30)

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