« 05/09 【読】 「対称性人類学 -カイエ・ソバージュV-(中沢新一、講談社選書メチエ)」 | トップページ | 05/13 日々雑感 »

2018年5月11日 (金)

05/11 【読】 「悲しき熱帯II(レヴィ=ストロース著・川田順造訳、中央公論新社)」

「悲しき熱帯II(レヴィ=ストロース著・川田順造訳、中央公論新社)」

 フランスの人類学者・社会学者でブラジルのサンパウロ大学教授。サンパウロ大学赴任時にはインディオ社会のフィールドワークに従事したレヴィ・ストロースが、1955年に記した南アメリカ人類学の名著。 日本では1967年に日本語版が初版、以降多くの国内人類学者・社会学者たちがテキストとして引用した。 中公クラシックス版は2001年に2分冊として刊行。今回は最終巻である第2巻を読了。

 ポルトガルのセウタ攻略によって始まった大航海時代。 アフリカ・アジア・北米・カリブ海諸国とその版図を広げる欧州列強にとって、南アメリカもまた重要な搾取の対象であった。 欧州諸国による植民地支配は、南アメリカ先住民族(インディオ)たちの生活に大きな影響を及ぼす。 一部は奴隷として欧州へと連行され、また一部は海岸から奥地へと追いやられたが、欧州諸国の経済・文化と急速に同化し鉄道敷設や農場経営などに従事した人々も多かったようである。 急速に文明化され、その原始性を喪失していくインディオたち。 彼らの文化を記録すべく、人類学者であるレヴィ・ストロースはブラジルに渡航、サンパウロから船・鉄道などを乗り継いでアマゾン川流域に住むインディオたちの村を目指すこととなる。

 第2巻目は、「第6部 ポロロ族」「第7部 ナンビクワラ族」「第8部 トゥピ=カワイブ族」の3つの部族に関する記述、そして文明世界へと戻ってきたストロースが西洋世界とはなにかを思索する「第9部 回帰」の4部構成。 パラグアイからボリビア、そしてブラジルはアマゾン川の源流に向かって進む行程のなかで、ストロースとその探検隊が出会ったインディオたちの生活が記されている。 インディオたちと生活をともにし、その暮らしぶりや習俗を細かく記すストロース。ただし部族によってその記載の度合はまちまちである。本書では特にナンビクワラ族について詳細に記している。 衣服を一切つけず、男性器にささやかな藁の飾りをつける程度の未開の部族、文字らしい文字を持たず、地面に横たわって眠るナンビクワラ族。しかしストロースが彼らから、かつての人類に共通する死生観や哲学を見出したかどうかはいささか怪しい。 アマゾン奥地に向かっての探検はとにかく過酷、自らの生命をつなぐだけで精一杯という極限状態のなかで、平静を保っていること自体が無理というものだ。旅の総括と考察は第9部にゆだねられることとなるが、なぜか第9部は小アジアやインドに舞台が移っていて、 イスラム教や仏教、ヒンドゥー教などを信奉する世界と、西欧世界とを比較している。せっかくのアマゾン行きの経験がまるでナシになったかのような展開は、読んでいて「おいおい」と思わず突っ込みをいれてしまうほどであったが、 これをして世界の学者らが「名著」とするのだから、まあこれはこれというものなのだろう。フランス人らしい華美な言い回し、学術的とはいい難い、比喩や暗喩をたっぷり含んだ文学的な文章になかなか慣れることが出来なかった亭主、 本書もまた読了するのに時間がかかった。充分な理解が出来ているかはいささか怪しい。(2018.05.11)

« 05/09 【読】 「対称性人類学 -カイエ・ソバージュV-(中沢新一、講談社選書メチエ)」 | トップページ | 05/13 日々雑感 »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/602237/66709530

この記事へのトラックバック一覧です: 05/11 【読】 「悲しき熱帯II(レヴィ=ストロース著・川田順造訳、中央公論新社)」:

« 05/09 【読】 「対称性人類学 -カイエ・ソバージュV-(中沢新一、講談社選書メチエ)」 | トップページ | 05/13 日々雑感 »

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
フォト
無料ブログはココログ