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2018年5月 9日 (水)

05/09 【読】 「対称性人類学 -カイエ・ソバージュV-(中沢新一、講談社選書メチエ)」

「対称性人類学 -カイエ・ソバージュV-(中沢新一、講談社選書メチエ)」

 宗教学者で思想家である中沢氏が、自身のライフワークともいえる「対称性人類学」について、中央大学特別講座での講義内容を文字起こししたのが本シリーズ。第一巻「神話論」第二巻「国家論」第三巻「贈与論」第四巻「宗教論」につづく本作では、これまでの内容を総括・フル活用し現生人類である我々の「心」の形成、「無意識」の働きについて考察する。ネアンデルタール人ほか現生人類に近しい人類が多く登場した地球の歴史の中で、なぜホモ・サピエンスだけが生き残り、現在に至る文明を形作ることができたのか、様々な問題を抱え行き詰りつつある人類文明がふたたび繁栄するためになにをすべきかが本書で語られる。二年にわたる講義の集大成、これまで語られてきた様々な事柄が「対称性」「流動的知性」などのキーワードのもとに結びつけられ、人間と世界とをとりまく巨大な叡智へと結実する。2004年刊行。


 集大成・・・と書いては見たものの、本書もまた新たな知の冒険、新しい考察・試みが種々登場する。「一」による世界支配とそこから脱すべく遍歴を続けるアマゾン奥地の民族、「野生の思考」にもっとも肉薄した宗教「仏教」、そして人類が渇望する「幸福」の本質。終章に向け様々なサブエピソードが掲げられ、中沢氏言うところの「対称性」へと収斂していて、文字通り最後まで目が離せない。なかでも「仏教」に関する考察は、中沢氏がかつてチベットにてチベット仏教に入信、修業を行ったこともあってかなり詳細に語られている。なお、エピソードによっては本シリーズ外の作品と強く関連付けられているものもある。中沢氏の著作全体にまで及ぶ知の冒険は、「カイエ・ソバージュ」というシリーズの枠を越えてもなお終わりそうにないようである(2018.05.09)

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