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2018年4月24日 (火)

04/24 【読】 「怪異を語る―伝承と創作のあいだで―(喜多崎親、編・著、三元社)」

「怪異を語る―伝承と創作のあいだで―(喜多崎親、編・著、三元社)」

 成城学園創立100周年、成城大学文芸学部創設60周年を記念して開催されたシンポジウム「怪異を語る」の内容をまとめた書。近年の怪談ブーム、「妖怪ウォッチ」に始まるポップ・カルチャーとしての妖怪ブームを受けて盛り上がりを見せる「怪異」の分野を、文学、芸能、美術などの専門家5人が解説する。2017年3月刊。


 内容は大きく、講演部分と、質疑応答部分に分かれる。講演はそれぞれ講演者の専門から「百物語の歴史・形式・手法・可能性について(東雅夫、文芸評論家)」、「怪談・ミステリーの語りについて(太田晋、英文学者)」、 「民俗学というメソッドからみた怪異の語られ方(常光徹、民俗学者)」、「<出る>図像(喜多崎親、美術史家)」、「語り手の『視点』という問題(京極夏彦、妖怪研究家・作家)」の5件。いずれも専門性の高い話題を、一般向け講演ということでかみ砕いて説明している。文章も口語体であることから読みやすく、難しさを感じさせない。図版も多く使われていて、喜多崎氏の講演には貴重な幽霊画が多数掲載されている。「怪異」とはなんぞやと、集まった聴衆に様々な分野・視点から説明する試みは、見事その目的を果たしたかのように見える。


 しかし、本書を読む限り、京極夏彦氏はこの講演に納得していない。質疑応答にて質問に立った成城大学ミステリーサークルの学生の質問を「質問が間違っている」と一刀両断。近年の「妖怪ウォッチ」に始まるブームが失速し、結果的に妖怪や怪異の本質を見失ったまま終息していく、悪いことにはいわゆる巷間の学者や在野の研究者らが、誤った認識のもとで怪異の本質を固定化させてしまうことに危機感を覚えている。結果、氏の発言はある種紋切り型というか、挑発的というか、ぶっちゃけトーク的というか、投げやりというか。挙句の果てにはシンポジウムのタイトルにもいちゃもんをつけて質疑応答を〆るという、大立ち回りを見せている。氏の発言はこれまでにも本質を鋭く射貫くという意味で多くの人々に注目されてきたが、本誌における氏の発言は、これまで散々語ってきたにもかかわらず全く理解されていない、怪異研究の質が全然上がってきていないことへの苛立ちであるように読める。氏の発言を受けて司会は(笑)をとってシンポジウムを終えようとしているが、京極氏にとっては「わらいごっちゃない」のだ。さて怪異などを軽々しいタイトルを付けたミーハーな連中をどうしてくれよう、という話なのだ。もとより京極氏のように怪異に対して常に思索を巡らす人々たちばかりではないというのに、どうせよというのだろうか。(2018.04.24)

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