« 11/18 【読】 「神の発明 カイエ・ソバージュ(4)(中沢新一、講談社選書メチエ)」 | トップページ | 11/30 【読】 「ビジネスモデル全史(三谷宏治、ディスカヴァー21)」 »

2017年11月25日 (土)

11/25 【読】 「プランク・ダイヴ(グレッグ・イーガン、早川文庫)」

「プランク・ダイヴ(グレッグ・イーガン、早川文庫)」

 現代ハードSFの旗手として、またローカス賞、ヒューゴー賞ほか名だたるSF作品賞へのノミネートでも知られるグレッグ・イーガンの日本企画版短編集。遠宇宙のブラックホール「チャンドラセカール」へのダイブを試みる表題作ほか全7編。


 数学、物理学、計算機科学、バイオテクノロジー。現代科学の最先端たる知識を惜しげもなく投入し極めてハードかつエッジの利いた作品を発表し続けるグレッグ・イーガン。その前衛ぶり・最先端ぶりは本作でもいかんなく発揮されている。超高密度結晶に実装された超スーパーコンピュータ上に構築された仮想環境で生を営む人工生命たちの物語「クリスタルの夜」、自らの臓器を交換するためクローンを「飼う」ことが容認された未来を描く「エキストラ」、数学体系のほころびからこちら側世界への侵入を試みる攻撃者たちとの戦いを描いた「暗黒整数」、対立する二つの種族に送り込まれた二人の科学者が観測するもの「グローリー」、人類の長きに渡る旅の末にたどり着いた水の惑星で発見された生命と、それを見守る人々の物語「ワンの絨毯」、そして人類のイベントである惑星へと打ち込まれた種の行く末を見届けるべく情報化した人類が宇宙へと旅立つ「伝播」。そして「プランク・ダイヴ」の7編。いずれも専門用語と情報がぎっちりと詰め込まれ、生半可な物理や数学の知識では到底太刀打ちできないハイレベルな内容は、まさに「ハード」の一言に尽きる。一方、科学に対する掘り下げの深さに対して人間の扱いはきわめて「過酷」。科学の前に人間はなすすべなく、常に過酷な状況に置かれることとなる。人間の物語ではあるが、ホーガンなどのような人間賛歌、ハッピーエンドはいっさい期待できない。このあたりをヨシとするか、アシとするかで作品の評価は二分されそう、ホーガン大好きな亭主にとってはかなりいたたまれない内容で、スゴイと思う一方で最後までモヤモヤが残った。(2017.11.25)

« 11/18 【読】 「神の発明 カイエ・ソバージュ(4)(中沢新一、講談社選書メチエ)」 | トップページ | 11/30 【読】 「ビジネスモデル全史(三谷宏治、ディスカヴァー21)」 »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 11/18 【読】 「神の発明 カイエ・ソバージュ(4)(中沢新一、講談社選書メチエ)」 | トップページ | 11/30 【読】 「ビジネスモデル全史(三谷宏治、ディスカヴァー21)」 »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
フォト
無料ブログはココログ