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2017年8月30日 (水)

08/30 【読】 「悲しき熱帯(レヴィ=ストロース著・川田順造訳、中央公論新社)」

「悲しき熱帯(レヴィ・ストロース、川田順造・訳、中央公論新社)」

 フランスの人類学者・社会学者でブラジルのサンパウロ大学教授。サンパウロ大学赴任時にはインディオ社会のフィールドワークに従事したレヴィ・ストロースが、1955年に記した南アメリカ人類学の名著。日本では1967年に日本語版が初版、以降多くの国内人類学者・社会学者たちがテキストとして引用した。中公クラシックス版は2001年に2分冊として刊行。今回はその第1巻を読了。

 ポルトガルのセウタ攻略によって始まった大航海時代。アフリカ・アジア・北米・カリブ海諸国とその版図を広げる欧州列強にとって、南アメリカもまた重要な搾取の対象であった。欧州諸国による植民地支配は、南アメリカ先住民族(インディオ)たちの生活に大きな影響を及ぼす。一部は奴隷として欧州へと連行され、また一部は海岸から奥地へと追いやられたが、欧州諸国の経済・文化と急速に同化し鉄道敷設や農場経営などに従事した人々も多かったようである。急速に文明化され、その原始性を喪失していくインディオたち。彼らの文化を記録すべく、人類学者であるレヴィ・ストロースはブラジルに渡航、サンパウロから船・鉄道などを乗り継いでアマゾン川流域に住むインディオたちの村を目指すこととなる。

 本書は大きく5部から構成される。第1部はストロースが南アメリカに出発するに前の心境(まだまだ南アメリカが「未開の地」として探検されていた時代の話も含む)。第2部はストロースが南アメリカへ向かう途中、ポルトガルや北アフリカの港に寄港した際に記した雑文、第3部は南アメリカ到着直前・直後に記した船内外の様子、第4部は急速に近代化を遂げつつある南アメリカ都市部の様子、そして第5部はアマゾン川流域でインディオの小村にとどまった際のフィールドワークの結果。研究対象の構成を要素に分解し、要素間の構造を詳らかにする構造主義は、言語学者であるソシュールが端緒となりストロースが普及させたとのこと、本書の後半、第4部以降は確かに構造主義的な考察が多く見られる。一方、第1部から第3部は叙情的な技術が多く見られ、フランス人らしい過度な装飾と比喩を伴う文体や、ストロース自身の感情の乱れが目立つ。亭主ごときが訳の巧拙を云々するのはおこがましいとは思いつつ、それでもやはり微妙な訳が気になったりもする。第1部から3部までをなんとか乗り越え、第4部からようやく面白くなったというのが率直な感想である。ただ、第2部の「日没」の章などは、見渡す限り海の中で太陽が西へと落ちていく、その情景が荘厳に描写されていて、大いに叙情をかきたてられた。

 実を言えば、本書読了までにはかなりの時間がかかっている。第2部を読んでいる途中で本が水に濡れてしまい(カバンの中にミネラルウォーターをこぼして気づかなかったのだ)、本が読めなくなってしまったこともあった。体調が悪くなり数行読んで意識が落ちることもあった。その意味では印象深い作品ともいえるのだが、必ずしも内容の深い理解に繋がらなかったことは少し残念である。

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