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2017年8月 8日 (火)

08/08 【読】 「応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱(呉座勇一、中公新書)」

「応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱(呉座勇一、中公新書)」


 応仁の乱。日本史史上最大の内乱とされるこの大騒乱の顛末を、奈良興福寺の二人の僧侶の視点から解説した書。著者は中世日本史研究家である呉座勇一氏、2016年刊行後大きな話題を呼び日本史関連では大変珍しいことに大ベストセラーとなった。

 亭主はそもそも日本史が苦手、従って応仁の乱が一体どのような騒乱だったのか上手く説明できない。ただ本書によればこの騒乱、きわめて難解な事件だったらしい。そもそも応仁の乱がなぜ起きたのかを端的に述べることが難しい上、誰と誰が戦ったのかも、どこが勝ったのかも、そしてどうやって幕引きしたのかも明確に語ることができないというのだ。大きくは京都を舞台に、東軍(幕府側)と西軍が対峙したようだが、陣営内では相手方への寝返りが頻発、度重なる停戦調停は幾度となく反故となり、終わらせようが無くなった結果騒乱は20数年にも及んだという。

 そんな乱世にあって、混迷する畿内の情勢をつぶさに見、書き留めていたのが興福寺の僧侶・経覚と尋尊の二人だ。当時奈良で最も力のあった興福寺を戦乱から守るべく、調整者としての能力を遺憾なく発揮した経覚と、常に冷静な視点で事態を俯瞰した尋尊。彼らがそれぞれに記した「経覚私要鈔」「大乗院寺社雑事記」の内容が本書の骨格となっている。それまで中世史研究者から軽んじられてきた二人の記録を本書で殊更に取り上げたのは、先行研究において貴族や武士たちからの視点で分析されてきた騒乱が、僧侶の視点を加えることでより俯瞰的かつ多面的にとらえられたからである。当時の興福寺は、いわゆる僧兵を持するという意味では武士的でもあり、地方に直轄地を持つという意味で貴族的でもあった。祈祷などでは将軍や朝廷の屋敷に出入りし、年中の行事では地方の有力者や民衆とも近しい関係にあった。寺社というcross sectionから騒乱を眺めることにより、もとより混沌としていた畿内の情勢が整理されて語られている。それにより、主役が存在せず、敗者勝者すらあいまいであった大騒乱が後世に与えた影響が、つぶさに見えてくるあたりもまた本書の大きな特徴と言えるだろう。

 ただ、やっていることはチンピラの小競り合い、しかもヒマに事欠いて他の領地にちょっかいをだしては大げんかになっているという感じ。当時の武士たちから品位や理性や知性といったものが感じられないあたりは残念で仕方ない。(2017.08.08)

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