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2017年6月 2日 (金)

06/02 【読】 >「風雲のヤガ-グイン・サーガ141(五代ゆう、早川書房)」

「風雲のヤガ-グイン・サーガ141(五代ゆう、早川書房)」


 国産ヒロイック・ファンタジー「グイン・サーガ」最新刊。2009年に作者である栗本薫氏が逝去、その後二人の作家が交互に正篇の執筆を担当している。本書は二人の作家の一人、五代ゆう氏の執筆による。


 キタイの竜王ヤンダル・ゾッグによって魔都となってしまった新興宗教ミロク教の聖都・ヤガを舞台に、ゴーラ帝国の剣士ブランが人質救出に奔走する「ヤガ篇」と、同じくヤンダル・ゾッグ操る竜騎兵の追撃を逃れ豹頭王グインが統治するケイロニアへと入ったパロ宰相ヴァレリウス一行のその後を描いた「ケイロニア辺境篇」を収録。通常、グイン・サーガは全4話、1話が4章に分かれる構成を採用しているが、今回は第1話、2話が作品の3/4以上を占め、第3話は残り1/4、第4話は1章のみでごく短く、という変則的な構成となっている。話の内容からすれば第4章は次次巻(次巻は宵野ゆめ氏が担当する)のイントロ、引きを持たせるという意味では本巻に含めてもよいが、思い切って3話構成にしてもよかったような気がしないでもない。


 ヤガ篇は、「新しきミロク」幹部の陥穽でヤガの地下に落とされたブランが、新たな仲間を得て逆襲に転じる。地下で瞑想していたミロク教の修行僧、それにブランの協力者であるイェライシャによって味方へと転じた大魔導師たち(さて誰でしょう?)による大立ち回り、魔道合戦が見所。


 一方ケイロニア辺境篇は魔導士ヴァレリウス、聖騎士リギア、吟遊詩人マリウス、それに魔導士見習いアッシャの4人が、彼らを追ってケイロニアへと侵入してきた「蛇団」と対峙する。こちらも魔導戦の要素が強く、全体的には「バトルシーン盛りだくさん」といったところか。


 ところでグイン・サーがといえば、毎回巻末のあとがきが好評で、栗本氏時代は各種設定の公開や裏話、あるいは作者自身によるイベント告知などを楽しみにしていたファンも多い。今回の五代氏のあとがきはどことなく栗本氏の文体に似てはっちゃけた感じ、しかし読みようによってはかなりお疲れのようでもある。あとがきを読みながら氏を案じてしまった最新刊であった。(2017.05.18)

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