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2017年5月12日 (金)

05/12 【読】「贈与論(マルセル・モース著・𠮷田禎吾・江川純一訳、ちくま学芸文庫)」

「贈与論(マルセル・モース著・𠮷田禎吾・江川純一訳、ちくま学芸文庫)」

フランス出身の社会学者・民族学者であるマルセル・モースが、人間社会のなかでもっともプリミティブな行動とされる「贈与」について社会人類学・文化人類学的知見から考察した書。膨大なフィールドワークや文献調査から得られた「贈与」の行為は、資本経済によって塗りつぶされてしまった人間社会のより原初的な姿を明らかとする。

モースによれば、交換社会あるいは贈与社会のもっとも原初的な形態は、少し前のポリネシアあるいは北東アジアの少数民族にみられていたという。客人に惜しげもなく食べ物を振る舞い、また所有財産を気前よく与える贈与の慣習は、富の豊かさや社会的地位の高さを示す指標であるとともに、その土地に根ざす神に対する忠誠と示すものであった。原初的な社会において、事物は動産・不動産、生物・物質、あるいは人間・動物を区別することなく神の所有物であり、それを人間が占有することは神への冒涜・不敬であった。それゆえ人々はときに自らの財物を越えた贈与を客人に施すほか、家財や武器、富を示す様々な物と川や湖に投げ捨てることで自らの魂の気高さを神に示してきた。

興味深いことに、贈与社会はある意味人類文明のエッジともいえるポリネシアや北東アジアのみならず、ゲルマン民族やケルト民族、あるいはインド・アーリア民族にもみられるのだそうだ。いずれも長い歴史による文明化、資本社会の浸透により現在はごく一般的な「贈り物」「もてなし」程度にまで薄まってしまっているが、古い叙事詩や教典などには、古代の贈与社会を伺わせる記述があって、それははことごとく前述のエッジの民族のものとよく似ているのだという。モース自身はフィールドワークをよくせず、もっぱら研究者たちに調査の方法などをアドバイスしていたそうだが、収集した各種成果の膨大さは、「贈与」と「神」の関係は地球的規模であったことを示している。

なお、本書における贈与の形態は、人間と人間、あるいは人間と神との関係に限られている。後年の研究では人間と動物、あるいは人間と自然との間の贈与についてもフィールドワークがすすみ、日本では特に中沢新一が深く掘り下げている。

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