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2017年3月26日 (日)

03/26 【読】 「ほしのこえ(大場惑、原作:新海誠、メディアファクトリー文庫)」

「ほしのこえ(大場惑、原作:新海誠、メディアファクトリー文庫)」


 1973年長野県生まれの映画監督、映像作家。昨年公開された「君の名は。」が空前の大ヒットとなった新海誠氏が、2002年に発表した自主製作アニメーション「ほしのこえ」のノベライズ作が本作。2002年7月メディアファクトリー文庫から出版されたものが、2009年に新装版として出版されている。なお、大場惑氏は千葉県在住のSF作家。デビュー作「コンタクト・ゲーム」、ソノラマ文庫「トリガーマン」ほか、「世にも奇妙な物語」「イース」などのノベライゼーションも手掛ける。ついでに言えば大場惑氏は東京理科大学理工学部SF研究会出身で、亭主はその後輩にあたる。亭主が現役時代には、OBとしてよく大場惑氏が亭主の部屋に泊まりに来ていた。


 2046年、夏。平凡な中学生で弓道部の部長である寺尾昇は、副部長のミカコとともに夕立の上がった街を、二人乗りの自転車で走っていた。どこにでもいる中学生のカップル。どこにでもある日本の夏の風景。だが、彼らの上を巨大な恒星間宇宙戦艦が通り過ぎたとき、二人の夏は突然終わりを告げる。国連宇宙軍の新鋭艦のクルー募集に当選したミカコは、なんと高校を待たずして宇宙へ上がるというのだ。火星で見つかったという謎の異星文明・タルシアンの遺跡から得られた技術により急速に発達した人類文明が遭遇するあらたな脅威に対抗すべく建造された最新鋭の宇宙戦艦・リシテアに乗ったミカコと、中学を卒業して高校へと進学したノボル。宇宙と地球、遠く引き離された二人の恋の行く末は。


 新海誠氏が亭主と同じ長野県出身で、理容クロサワのご主人の知人が新海氏と無二の親友で、亭主は大場惑氏の後輩で・・・。なにかと縁のある両氏の作品に、複雑な気分の亭主である。大場惑氏が得意とするヴィヴィッドで初々しい文体は、新海氏の世界観と自然なまでにマッチしている。別の店で買ってきたジャケットとスラックスが、合わせてみるとまるであつらえたかのようにしっくりくる、そんな感じに似ているだろうか。くわしくはアニメ予告編を参考いただきたいが、16~17歳の女の子が戦闘員として参加する宇宙戦艦であるとか、彼女らが乗り込む機体がパワードスーツ様であるとか、彼女らの宇宙での訓練の日々の描写であるとか、個々のエピソードは「トップをねらえ!」あたりとよく似ている。だが、作品全体は決して「アツい」わけではなく、むしろ静寂と絶望、そしてそれを静かに見守る愛で満たされている。本書はそんな新海誠氏の世界観を、大場惑氏による暖かい筆致で描きだしている。(2017.03.26)

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