« 2016年9月 | トップページ | 2016年11月 »

2016年10月

2016年10月31日 (月)

10/31 【読】 「東芝粉飾の原点-内部告発が暴いた闇- / 小笠原啓、日経BP社」

「東芝粉飾の原点-内部告発が暴いた闇- / 小笠原啓、日経BP社」

 雑誌「日経ネットナビ」「日経ビジネス」「日経コンピュータ」などの編集者を経て「日経ビジネス」の記者となった小笠原氏が、電機業界最大の闇といわれる東芝の巨額粉飾事件の顛末を追った書。2016年7月刊行。


 2015年3月、インフラ関連事業の工事進行基準案件で疑義が判明し、特別調査委員会、第三者委員会によって調査の手が入った東芝。7年間で1500億円以上の不正会計が発覚、当時田中社長、取締役8名が引責辞任することとなり、その後も大混乱に陥ったことは記憶に新しい。黒字を計上するはずだった2015年度は5500億円の赤字決算、1万人にもおよぶ人員削減、そして関連子会社の売却など、その影響は2016年にまで及んでいる。なぜ東芝は不正会計に手を染めることになったのか。東芝が赤字へと陥った原因はいったい何なのかがかなり生々しく記されている。(もともとミステリでもフィクションでもないのでネタばらしはOKだろうと書くが)発端は2006年、アメリカの原子力メーカ・ウエスチングハウスの買収にあるという。6000億円という相場無視の高値買収。だが、買収後もウエスチングハウスは赤字を重ね、本体である東芝をも傾かせる深刻さだったらしい。相場に、また投資家たちに知られまいとした田中社長ほか幹部らは、ウエスチングハウスの赤字を隠すための様々な不正経理の手段を考案したほか、各事業部門に「チャレンジ」なる無理筋な目標を与え、社員たちに極度の疲弊をもたらした。世間では「チャレンジ」なる言葉がまるでパワハラの定型句のように取りざたされている。この「チャレンジ」の出所こそが東芝である。


 本書では、東芝が不正会計に手を染めた経緯と、その後の経営再建の状況、さらには不正会計を見抜けなかった監査法人の企業体質などを克明に記している。情報の多くは社内からの内部告発であり、社長以下経営幹部のやりかたに大いに不満を持つ社員たちからの情報提供による。もちろん東芝は厳しい情報統制を敷いたようだが、手から水が零れ落ちるようにどんどんと漏れる。零れ落ちた雫が地面に描く模様、それは日本有数の大企業であり高度経済成長期をけん引した東芝にしてはあまりにお粗末な経営実態だった。

2016年10月30日 (日)

10/30 【聴】 Arc Angel / Planetary Assault Systems, ost-gut-ton|Kompakt(OSTGUTCD37)

IMAGE

 UKハードテクノDJ、Luke SlaterがPlanetary Assault Systems名義で久々のアルバムをリリース。2011年のThe Messenger以来となるから、おおよそ5年ぶりとなる(5年も経ったという感じは全くしない)。気合入りまくりのハードテクノは全2枚組。1枚目は全9曲、2枚目は11曲の合計20曲。


 ハードでミニマル、バキバキのテクノを志向するLuke Slaterにあって、Planetary Assault Systemsはテクノへのこだわりをさらに強めたプロジェクト、と言っても良い。テクノ一辺倒はもちろんのこと、ヴォーカルもメロディもないこだわりの強さは、まさにマニア向け、ファン向けといったところか。彼の作品を間違って買う人はいないだろうから心配はないが、例えば彼のこれまでの作風を知っていた人がこれを聴いたら「まだやってんのか!」と驚くに違いない。アーティストというのは得てして周囲の流行や、フロアの受けの良さや、あるいは個人的な興味の移り変わりによって作風を少しづつ変えていくもので、そのこと自体は決して悪いことではない。ところがLuke Slaterにあっては(一時期ビッグ・ビートに振れたことがあったとはいえ)徹頭徹尾ハードミニマルを貫く。この胆力は驚嘆に値する。(2016.10.15)

2016年10月28日 (金)

10/28 日々雑感

Volkswagen標準のオーディオ/ナビシステム"Discover Pro"は、助手席側グローブボックスにCDスロット、SDカードスロット、ETCカードスロットを収納している。SDカードに音楽やビデオを保存しておき、Discover Pro側で再生することができる。


また、アームレスト下の小物入れにAUX-IN、USB端子が装備されていて、こちらからも音楽を再生可能である。AUX-INには広義のオーディオプレーヤが、またUSB端子にはiPod/iPhoneが接続できる。


当初、CDスロットがグローブボックス内にあることに使い勝手の悪さを覚えたが、USB側にiPod Classicを繋げるとiPod内の1039枚(10/28現在)のアルバムが自由に再生できることに気が付いて、目下iPod Classicの株がうなぎ上りである。iPod内に保存している音楽データの音質が気にならなければ、これほど便利な機能はない。CD入れ替えも不要であるし、そもそもお出かけの際に、CDを20枚ほどセレクトして、キャリングケースに入れて持ち運ぶ必要がない。


ますますCDプレーヤと、CDメディアの必要性が薄くなってしまった気がするが、これも時流というものなのだろう。代わりといってはなんだが、ふと思い直してメーカのサイトを覗いてCDプレーヤを物色している。残念ながらまだ欲しいCDプレーヤは見つかっていない。

10/28 【聴】 Major Force Compact / V.A., Major Force(MFCD073-074)

IMAGE


 もとMELONのリーダー中西俊夫が、同じくメンバーであった工藤昌之と屋敷豪太、さらにはTINY PANXの高木完、藤原ヒロシとともに設立したレーベルがMajor Force。1989年当時日本のクラブで盛り上がりを見せていたラップ/ヒップホップのサウンドを、日本から発信することが本レーベルの目的だった。本アルバムは、1989年、90年にリリースされたMajor Force Compact Vol.1とVol.2をカップリングしたレーベルのベスト盤。Vol.1にはアルバム未収録曲1曲を含めた13曲、Vol.2には未収録曲1曲を含めた12曲が収録されている。参加アーティストはTINY PANX(高木、藤原)のほか、Tycoon Tosh(中西)、K-U-D-O(工藤)、Kool D.J. Red Alert、T.P.O., ECD, Chappie、The Orchidsほか。


 いとうせいこう、ヤン富田らが国内に紹介、ブラック・ミュージックの新潮流として大いに注目されたラップ/ヒップホップ。いとうせいこうがコピーライターとしてラップの日本語化を試み、ヤン富田が実験音楽としてのアプローチを試みるなど、当初は先進的かつ前衛的なジャンルだったと記憶している。ところが、本作Major Forceのアルバムは、そんな実験的な要素を一切すっ飛ばし、オリジナル・ヒップホップのどうしようもない部分を真似した曲ばかりがそろっている。すなわち、「自分の名前を連呼・自分語りに終始」「フロアをアゲるために使われる、決まり切ったアオリ」「日本語にせよ英語にせよ、大した意味のない歌詞」。


YO、俺の名前は亭主
飲んでる酒は洋酒
Hey、今夜はアゲるぜよろしゅう
ハァ、キュッキュキュ、フキュッキュ、キュッキュッキュー(スクラッチ)


 みたいなダサい歌詞を(英語にせよ)で延々と聴かされる身にもなってほしいものだ。

2016年10月26日 (水)

10/26 【聴】 To Duke with Love / Art Farmer, East Wind|Universal(UCCJ-9142)

IMAGE

 アイオワ州出身のトランペット奏者・Art FarmerがCider Walton Trioとともに制作、1975年にリリースしたアルバム。ハード・バップリバイバルの名盤として熱烈な支持を受けているアルバムなのだという。Cider Walton TrioはCider Walton(Piano),Sam Jones(Bass), Billy Higgins(Drums)の3人からなる。"In a Sentimental Mood"、"It Dont't Mean a Thing"など全6曲。ちなみに"It Don't..."は邦訳「スウィングしなけりゃ意味がない」のほうが圧倒的に有名。前の2曲を含む5曲がDuke Ellingtonの曲。残りの1曲"Lush Life"はEllingtonの右腕と称されるStrayhornの曲である。


 少年時代よりEllingtonの曲に魅せられていたというArt Farmer。彼の敬愛するEllingtonへの愛情が存分に感じられるアルバムへと仕上がっている。ゆったりとした演奏はハード・バップというよりもスウィングに近く、どこかほっと安心させられる。M2 "The Star Crossed Lovers"のコーダ部分に挿入されたアジア的(というよりも中国風)なピアノ・フレーズに演奏者のユーモアも感じられる。全体としては上質で、聴きやすい作品なのでぜひ手に取ってみはいかがだろうか。ちなみに、四谷のジャズ喫茶・いーぐるの100枚に選定されたアルバムである。(2016.10.15)

2016年10月25日 (火)

10/24 【聴】 Flight to Jordan / Duke Jordan, Blue Note|EMI(0946-3-92759-2-2)

IMAGE

 NY出身のジャズ・ピアニストで、Chalie Parker, Stan Getzらのバンドに参加経験のあるDuke Jordanが、1960年にリリースしたハード・バップの名盤が本作。Dizzy Reece(Trumpet)、Stanley Turrentine(Tenor Sax)、Reginald Workman(Bass)、Art Taylor(Drums)のクインテット構成、特にDizzy ReeceとStanley Turrentineのダブル・ホーン隊が本作に強烈なインパクトを与えている。オリジナルは全6曲。Blue Noteのレコーディング・エンジニアとしてアーティスト、ジャズファン双方から圧倒的な支持を得るRudy Van Gelderがリマスターした本アルバムには、さらに未発表曲2曲が追加されている。2007年リリース。


 M1"Flight to Jordan"の快活かつ変則的なイントロに耳を奪われがちだが、アルバム全体としては非常に味の濃いハードバップ。ただ、「ジャズ喫茶 四谷いーぐるの100枚(後藤雅洋著、集英社新書)」に紹介されている100枚のジャズアルバムの1枚でもある本作は、いーぐる店主である後藤氏にとって当初かなり謎なアルバムだったようだ。Miles Davis、John Coltraneなどのビッグ・ネームのアルバムをプレイするのが当たり前のジャズ喫茶が、なぜ知名度の低いこのアルバムをプレイするのか。理由はズバリ本作が、ジャズ喫茶という空間を満たすだけの濃密な渋みをもっていたからなのだそうだ。(2016.10.15)


2016年10月24日 (月)

10/23 こんにちはVolkswagen Passat Variant Voyage

本日AM、Passat Variant Voyageが納車された。


Passat Variantは、Volkswagenのミドルクラス・ツーリングワゴン。1973年に初代B1が発表されてのち世代を重ね、2015年に8代目のB8が発売された(ドイツ他欧州では2014年に市場投入)。2015年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。安全性、快適性、環境性、経済性などにこだわったハイ・パフォーマンス・モデルであり、随所にIT/IoT技術が搭載されているのが特徴だ。エンジンは4気筒で1394ccと必ずしもパワフルとはいえず、車重も1460kgと重め。ただ、ネットのレビューはこのエンジンのダウンサイジングをおおむね好意的に受け取っているようである。亭主もディーラーで試乗車を運転し、その走りにおおむね納得している。


なによりも亭主が惹かれたのは、その外観だ。全体的に直線で構成されたシャープなデザイン、なかでもフロントグリルの大胆なデザインにはVolkswagenならでは、Passatならではの説得力がある。全長はスカイラインV35に対して+99mm(4774mm)、全幅は+80mm(1830mm)、全高は+15mm(1485mm)と全体に大型化しているものの、スカイラインに比べて非常にコンパクトに、スタイリッシュに仕上がっている、ように見えるから不思議である。


当日はディーラーで簡単なセレモニーのあと、装備に関する一通りの説明を受けた。様々なセンサを駆使した安全機能、ITと直結したナビゲーションシステム、あるいはもっと基本的な、ヘッドライトやフォグランプ、ウィンカー、ワイパーなどの操作方法。外国の車ということで、日本車にはない独特の操作体系(ウィンカーは国産車とは逆、ハンドルの左側にある)に戸惑ったものの、なんとか覚えた。ただ、ナビやオーディオシステム、あるいは数々の安全機能については正直説明に追いつくのがやっとで、通り一遍の説明では使いこなせないほどに多機能であることくらいしかわからなかった。BluetoothとペアリングしてiPhoneの通話機能が使えたり、ナビが音声操作できることはわかったが、その全貌はまだまだつかみきれていない。説明を受けたが忘れてしまった機能もたくさんある。これから実際に使って、体得していくしかないだろう。


店長、工場長、営業氏らに見送られ、新しい車でディーラーを出る。スタート時にトルク不足でもたつく点、アイドリングストップからの復帰で車ががくがくとする点は、亭主のスキル不足だからであろうか。自分の走りにしていくには、まだまだ練習が必要そうだ。


2016年10月22日 (土)

10/22 さようならGH-V35

 2002年3月に購入、4台目の車として行動を共にしてきた日産 スカイライン250GTm(GH-V35)とも、明日でお別れとなる。


 購入して14年、走行距離はおおよそ165000km。よほどうれしかったのか最初の1年目で26000kmという走行距離を叩き出してしまい、青くなった亭主が職場にほど近いひたちなか市に引っ越した事件はいまでも語り草である(ほんとか)。


20020408skyline

※写真は購入時に撮ったもの


 スカイラインには、これまでずいぶんお世話になった。日々の通勤はもちろん、実家への帰省や独身時代の小旅行、結婚しての家族旅行など、快適なドライブを提供してくれた。カーディーラーでのメンテナンスは欠かさなかったものの、日々の細かなメンテナンスはサボりがちで、それがかえって車の寿命を短くしてしまったのではないかと反省している。しっかりワックスをかけていたならば塗装が傷むこともなかったのだろうし、周囲に注意して運転していればバンパーの傷も避けることができただろう。大甕駅の駐車場にできた大穴にタイヤを落とし、サスペンションを傷めることにもならなかっただろう。「後悔だけが人生」が誰の言葉だったかは思い出せないが、亭主の心に去来するのは、後悔ばかりである。


 いうまでもなく、車は「モノ」である。古来、東洋には物神、付喪神という考え方があって、齢経た「モノ」は「モノの怪」となるというが、それでもなお「モノ」である車が、モノを言ったり、モノを考えたりすることはない。世の中には頻繁に車を乗り換える人がいるし、亭主の父親なども割と短い時間に車を買い替えている(中古で買い、下取りに出すサイクルが確立されているらしい)。車に人格を与えるのは、乗り手の勝手なメランコリーであることは重々承知している。


 妻は「夜にでも、最後のドライブをしてこなくても良いの?」などと訊いてくるが、最後のドライブなどせずとも日頃より車を利用しているし、今日も愛犬たちと鵜の岬に遊びに行ってきた(まはろくんも、あろはちゃんも鵜の岬をお散歩するのが大好きである)。ガソリンも残り少なくなってきたし、次の日を考えると睡眠時間も確保したい。あとで後悔するかもしれないが、その時々では自分なりに合理的な判断を下していると思っている。いや、思いたい。


20160702unomisaki

※後部座席で満面の笑みを浮かべるまはろくんとあろはちゃん


 車の下取り額は20000円。ほぼ廃車費用に等しい。新車で購入し、14年で廃車になる。それでも事故などで廃車になるのに比べればよほどマシ、使命を果たしたと言って良いだろう。ただ今は長い間ご苦労様、いろいろなところに連れて行ってくれてありがとうと言うよりほかはない。


 明日10時に新しい車が納車となる。

2016年10月21日 (金)

10/21 【聴】 Lollopy Dripper / Flanger, Nonplace(NON41)

IMAGE

 Burnt FriedmanとAtom TMによるテクノ-エレクトロニカ・ユニット、Flangerの最新作。ゲスト・ミュージシャンにHayden Chisholm(Sax)が参加し、電子音響とアコースティックが融合する美しいエレクトロニカを聞かせる。全10曲。


 本アルバムを聴いて最初の印象は「Flangerらしからぬ」だった。シンセを使ったディープなサウンド、グリッチやトリップ・ホップを意識したエレクトロニック・ファンクはこれまでの楽曲にも共通するが、本作ではドラムに生楽器を使ってみたり、ちょっとしたヴォーカルを挟んでみたりとなかなか凝っている。人力演奏のドラムの空気感、スタジオの空気が震える心地よさは、生演奏のだいご味だろう。これまでの作品と比べると 圧倒的にシンプル。しかしその外連味のなさがかえって作品に好印象を与えている。何度でも聴けるし、聴くたびに「ああ、いいなぁ」と実感できる。ちょっとオールディーズっぽいジャズの雰囲気に、ある種の安心感もある。おすすめ。(2016.10.14)

2016年10月18日 (火)

10/18 日々雑感

8倍のストレージを搭載し、ページめくりが3割速くなったマンガ向けKindleが日本限定発売(PC-Watch)


AmazonからKindle Paperwhiteの日本限定バージョンの予約が始まっている。従来の8倍の容量(32GB)を持ち、ページをめくる速度が33%高速化されている。Wi-Fiモデルのみで10/21に発売予定。


Amazonサイトの説明によれば、漫画ならば700冊が保存できるという。本体メモリのうち800MBはシステムに使用されているから、(32,000(MB) - 800(MB))÷700冊=44.5(MB/冊)。一冊が45MB、というのは亭主が経験から見積もった容量ともほぼ一致する。ちなみに44.5(MB/冊)はジャンプコミックスモノクロ版、おおよそ10話分に相当する。


700冊という数字が多いか少ないかは人それぞれだろうが、亭主からするとまずまずといったところ。亭主ならばOne PieceとNarutoとHunter x Hunterで埋めるだろうか。これでもまだ200冊にも満たない。ただ、700冊が保存できるというならば、現在のPaperwhiteのユーザインターフェース、コミックを選ぶ画面はもう少し改良してもよさそうだ。現行のインターフェースでは1画面に6冊を表示しており、指で左右にスワイプすることで前の6冊、次の6冊に「もっさりと」移動できる。つまり700冊を保存できるPaperwhiteならば、目当ての本を探して最悪130ページ分を左右にスワイプしなければならない。33%の高速化が図られている、というが、「もっさりと」した画面が多少きびきびと動いたとしても、1画面に表示できる冊数が6冊というのは少なすぎる。


せめてタイトル毎にフォルダに整理できるとか、1画面に表示できる本の数を増やす等等、インターフェースの改善がなければ評価は高まらないことだろう。

10/18 【聴】 Fly with the Wind / Mccoy Tyner, Milestone(0888072305137)

IMAGE

 1938年生まれ、フィラデルフィア出身のジャズ・ピアニスト、John Contraneのバンドに在籍したほか、1972年には自身のカルテットを結成したMaccoy Tynerが1976年にリリースしたアルバム。オリジナル盤は全5曲。再発盤には収録曲の別テイク2曲が追加され、全7曲となっている。Mccoy Tyner(ピアノ)のほか、Hubert Laws(フルート)、Paul Renzi(ピッコロ)、Raymond Duste(オーボエ)、Ron Cartar(Bass)、Linda Wood(ハープ)、Billy Cobham(ドラム)、Guilherme Franco(タンバリン)、Stuart Canin、Peter Schafer、Daniel Kabialko、Edmund Weingart、Frank Foster、Myra Bucky、Mark Wolkert(バイオリン)、Selwart Clarke、Daniel Yale(ビオラ)、Kermit Moore、Sally Kell(チェロ)と木管楽器、ストリングス隊が参加する大編成バンドのアルバム。なお「ジャズ喫茶 四谷いーぐるの100枚(後藤雅洋著、集英社新書)」に紹介されている100枚のジャズアルバムの1枚でもある。


 まず1曲目"Fly with the Wind"が耳を惹く。さわやかで高揚感のあるサウンド、後年ジャズ界を席巻する、フュージョンの一形態と言ってもよいだろう。フルートが自在にソロを奏で、バイオリン含めた弦楽器が楽曲全体を流麗に彩る。やがてとってかわるTynerのピアノソロは、彼独特のハイスピードなピアノ・タッチ。ああ、これは人気が出そうだなぁ、巷間で話題になりそうだなぁと思いつつ、ジャズにしては華やかすぎるのが気にかかる。気がかりは、果たしてマニア受けしたのだろうかということ、それにジャズ喫茶の雰囲気にマッチしたのだろうかということ。もちろん音楽はジャンルや形式にとらわれることなく自由に演奏されるべきであるから亭主がとやかくいうのは筋違いなのだが、本アルバムを当時のジャズ喫茶でかけるにはいささか勇気が要ったであろう。ジャズ喫茶を離れ、たとえばコンサートなどでこれを聴いたならば大いに盛り上がるに違いない。飛び道具も使いどころを選べば正攻法となりうる、そんな良い例になりそうなサウンドだ。

2016年10月17日 (月)

10/17 日々雑感(2)

先日のダイナミックオーディオ5555訪問で一つわかったことがある。


音楽データをPCに保存する目的が、過去と現在では全く異なるということだ。


かつて、音楽データは、iPodを含むMP3プレーヤ向けにPCに圧縮・保存していた。MP3プレーヤにもPCにも記憶容量の限界があり、音楽データは圧縮して保存するのが当然であった。


ところが現在、音楽データは、PCで音楽を楽しむためにある。もちろんMP3プレーヤで楽しむこともあるが、そのMP3プレーヤですらハイレゾ音源に対応している。PCの記憶容量には限界がなく、HDDやNAS、あるいはクラウドにまで音楽データが保存されている始末である。


残念ながら、亭主のPCに保存されている古い音楽データは、ことごとくMP3の128kbpsである。いつか取り込み直そうとおもっているが、いつのことになるのだろう、想像すらできない。

10/17 日々雑感

先日、秋葉原のダイナミックオーディオ5555 H.A.L.IIIを本当にひさしぶりに訪れた。
H.A.L.IIIの島さんとは、Orpheus Three S mkII, Orpheus Twoを購入して以来だから、約10年ぶりとなる。実際はちょこちょこと立ち寄って雑談などしていたから、10年というのは大げさかもしれない。しかし結婚して以降なかなか訪れる機会がなく、またH.A.L.IIIで何か買うということでもなかったので、ご無沙汰だったことには間違いない。


Facebookで島さんをお見かけし、お友達になったことが再訪のきっかけだ。若干オーディオから遠ざかっている―――とはいえ興味を失ったわけではなく、むしろ停滞しきった今の状況を打開したいという気持ちのほうが強い。気軽に買い替えるわけにはいかないから、情報収集もかねての再訪といったところだ。


H.A.L.IIIの店内は大きく二つのコーナーに分けられる。入口に近いオープンスペースには、カジュアルに音楽を楽しむためのシステムが、また奥の試聴室にはひたすら高品質の音楽を楽しむためのシステムが置かれている。島さんとはオープンスペースでヨモヤマ話をしていたのだが、やがてネットワークオーディオの話になった。現在H.A.L.IIIでおススメしているのは、メルコ/Buffaloが立ち上げた新興のオーディオブランド"DELA"のネットワークオーディオプレーヤ。これをネットワークにつなげるとストレージとして認識される。PCなどでリッピングしたデータをここに保存し、N1からUSB-DAC経由で音楽を再生できるのだという。実際に音を聞かせてもらったが、話題はもっぱら出音よりも家庭内のネットワーク環境、ネットワークオーディオの構築に関してであった。NASに音源を保存し、無線LANを通じてPC経由オーディオで再生する方法は、無線という不安定かつ低速なネットワークを使う限り音質に不安が残るのだという。USB-DACがNASと直結されていれば音質面での不安は解消されるが、それよりも良いのはやはりストレージとプレーヤが一体化していることなのだそうだ。


DELAのN1シリーズは、本体にHDD/SSDなどのストレージを内蔵し(モデルによって内蔵できるストレージの種類が変わる)、PCやスマートフォン、タブレットなどを介して聴きたい音楽を選択、USB-DACやネットワークオーディオ、AVアンプなどに音楽データを出力できる。「(N1は)トランスポートみたいなもんです」とは島さんのコメント。トランスポートといわれると急に理解が進む。


N1のストレージ容量はモデルにもよるが1〜3TB、現在の亭主のライブラリを保存するのに十分な容量を持つ。フェイスはシンプルだが、それがかえってオーディオの品位を醸し出している。


なおN1は現行機の生産を終了しており、10/3から新シリーズN1マーク2シリーズの予約を開始しているという。いっちょネットワークオーディオに本格参入しようかなどと、物欲を膨らましている今日この頃である。

2016年10月15日 (土)

10/15 【読】 「夜を乗り越える / 又吉直樹、小学館よしもと新書」

「夜を乗り越える / 又吉直樹、小学館よしもと新書」

 綾部祐一とともにお笑いコンビ「ピース」として活動。小説家・エッセイスト・脚本家などとしても活躍し、長編小説「火花」で第153回芥川賞を受賞した又吉直樹が、自身の生い立ちと、文学について語った書。


   

 本書のテーマはずばり「なぜ本を読むのか」。太宰治の熱狂的なファンであるという又吉が、本を読むことの楽しさや意義、また楽しみ方を様々な角度から解説する。又吉がそもそも読書をすることになったのは、中学1年の頃に出会った芥川龍之介の「トロッコ」であったという。内向的かつ分析的な自身の性格、人を笑わせることに楽しみを見出しつつも、どこか一歩引いた目で人を見てしまう、そんな屈折した彼の少年時代に、芥川龍之介の作品は新鮮な視点と、大きな共感を与えてくれたのだという。お笑い芸人を志しつつも文学の世界へとどっぷりつかる、又吉直樹の青春時代はかなり特殊だったようである。


 また本書では、作品「火花」や、芥川、太宰など昭和を代表する小説家たちの作品について、読み方、楽しみ方をひとつひとつ丁寧に解説している。もちろん大事な結末については語っておらず、どこが又吉の琴線に触れたか、価値観と一致したかが独特の口調で語られている。にじみ出る又吉の読書愛、作家たちへのリスペクトが、本書を単なる読書ガイドに終わらせない濃厚さとなって表れている。(2016.10.05)

2016年10月14日 (金)

10/14 【聴】 前へ / 口ロロ feat. the band apart, Asian Gothic Label(asg-035)

IMAGE

 三浦康嗣、村田シゲ、いとうせいこうの3人組口ロロが、4人組ロック・バンド"the band apart"をフィーチャーして作り上げたミニアルバム。作曲は三浦。ヴォーカル、演奏にthe band apartのメンバーが参加している。全6曲。


 恥ずかしながら亭主、the band apartをよく知らなかったためYoutubeなどで他の曲を聴いている。荒井岳史、川崎亘一、小暮栄一、原昌和の4人組バンド、荒井・川崎のダブルギターが特徴らしい。Youtubeで見る彼らは非常にスタイリッシュ、スピード感あふれる演奏に好感が持てる。対する本アルバムではヒップホップやラップ、あるいはフォークにチャレンジ。口ロロがサウンドを担当しているから、というわけではないのだろうが、どこか三枚目だったり気弱だったりと少し趣の違う彼らを見ることができる。どちらが良いか、どちらが彼らの本性に近いかは正直いってわからないし、どちらかに決めるのも野暮というものだろう。


 なお本アルバムでは、6曲のうち4曲で荒井、川崎、小暮、原がリードボーカルをとっている。さらに1曲は願度全体をフィーチャー、残りの1曲は三浦がすべてを担当する。全体を眺めてみるとテイストは違うもののやはり口ロロのアルバム、なぜこれが彼らが所属するCommmonsからリリースされなかったのだろうと不思議になる。なお本アルバムでもいとうせいこうのラップは絶好調である。いとうといえば先月「建設的」「再建設的」という2枚のアルバムをリリースしていて、今ノリに乗っている状況、と考えて差し支えない。いとうせいこうの言葉のマシンガン、歌詞のキッチュさにも注目したいアルバム。(2016.10.11)

2016年10月13日 (木)

10/13 さようならル・トン

さくら市マラソン大会の帰り道、ずいぶんご無沙汰になっていた美和村(現常陸大宮市)のル・トンに立ち寄った。


ル・トンには、2008年くらいか、妻とともにハヤシライスを食べに立ち寄ったのが最後だった。2011年の東日本大震災でどれくらいの被害を受けたのか、ご主人自慢のカップ&ソーサーのコレクション、アンティーク時計のコレクションはどうなったのか、気になっていたものの現実を見るのが怖くて、立ち寄ることができなかった。


亭主がル・トンに初めて行ったのは、1998年くらいだろうか。今は閉店したCDハウスジュピターの渡辺店長と、MR-Sに乗って訪れたのを覚えている。TannoyのAutographが奏でるジャズのサウンドがご機嫌で、そのあとちょくちょく立ち寄っていた。しょうちゃんのお宅を訪問した帰りに、カンチさんとてんどんさんとともにお邪魔して、秘密のオーディオルームを拝見したこともある。


久しぶりのル・トン、ところが残念なことにご主人が病気とのことで5月に閉店していた。店の中はカーテンで見えなかったが、隙間から窺うに店内はからっぽのようであった。


20161010d


ご主人の病気の様子はどうなのだろうか。震災の被害は、心の傷はいえたのだろうか。心配は後悔とともに心の中を渦巻き、しかし確かめるすべすらない。せめて震災後にお見舞いに行くべきであったと思ってももう遅い。


20161010c


亭主はいつもこうなのだ。これまでにも多くの大切な人やモノを置き去りにして、あとで後悔することを繰り返してきた。時間がなかった、忙しかった、気が重かった、顔見世するのが恥ずかしかった。理由はいくらでもあるが、結果はいつも後悔である。


やりきれない。

2016年10月11日 (火)

10/11 ブンブンサテライツ・川島道行逝去

BOOM BOOM SATELLITES川島道行、脳腫瘍のため逝去(音楽ナタリー)

ロック・バンド「ブンブンサテライツ」のヴォーカル・ギター担当だった川島道行が亡くなった。脳腫瘍、47歳だった。

ブンブンサテライツは、中野雅之(ベース、プログラミング)と川島道行のユニットとして1997年にデビュー。テクノの手法を大胆に取り入れたサウンドと情熱的な川島のヴォーカルが国内のみならず海外でも大きく評価された。主たるアルバムは全部で10枚。川島の腫瘍発症・手術によってたびたびユニットは活動を休止したが、奇跡的な生命力によって復活を果たしていた。2016年6月のミニアルバム、"Lay Your Hands on Me"を最後にユニットは解散、川島は家族とともに療養の日々を送っていたという。

今回の逝去は、亭主を含む多くのファンにとって想定されていたものであったが、それでも彼の死は受け入れがたく、また悲しみも深い。中野がコメントしている通り、「ようやく不自由から解放され」たことを喜ぶよりほかにない。

つつしんでお悔やみを申し上げたい。

2016年10月10日 (月)

10/10 【動】 第12回さくら市マラソン大会

栃木県さくら市で開催された題記大会に参加した。


以前は「氏家マラソン」などといわれていたと聞く。妻がこの「氏家マラソン」に出て大変楽しかったこと、参加賞の「みそ」が旨いと評判だったことから今回亭主が出たという次第である。さくら市総合公園さくらスタジアムを会場に、1km、1.5km(以上親子ペア、小学生)、5km(中学生、高校生、一般)、ハーフ(高校生以上、一般)の4競技、15種目で健脚を競う。全種目の参加人数は1425人、ハーフに限っては859人が参加。規模は小さめだが、北は岩手、西は九州は福岡からも参加のある、人気の大会である。


なお、このマラソン大会には「日本三大美肌の湯ハーフマラソン」なるサブタイトルが付けられている。佐賀の嬉野温泉、島根の斐乃上温泉、そして栃木の喜連川温泉の3湯が、美肌となる温泉なのだそうだ。大会の参加賞として、市内3か所の公共浴場「もとゆ温泉」「露天風呂」「道の駅きつれがわ」の優待券が入っている。ただしこの日はもとゆ温泉が点検中だそうで、無料で入れる温泉は2か所に限られる。


20161010a_2


開催当日は10月10日。晴れの特異日として知られる「体育の日」だったが、あいにく天候はどんより曇り、ときどき太陽が覗く、少し肌寒い日となった。今回の亭主の課題は、「足の痙攣」と「スタミナ切れ」。大子マラソン、彩湖マラソンで足に痙攣をきたしたことを教訓に、ランの際にはなるべく水分と同時にミネラル(塩分やマグネシウム)を摂ることを心掛けた。スタミナ切れは日々の鍛錬、坂道トレーニングで克服する。


出走は9時25分。VESPA、SHOTZ、塩飴、Medalistなどサプリメント/軽食の類をポケットに詰め込み、いざ本番に臨む。序盤(1~6km)は市街地で飛ばしすぎたせいか、中盤(6~8km)の広域農道がかなり苦しく順位を落とした。ただ広域農道の大きな起伏にも足はなんとかもってくれたようで、以前のような痙攣は一度もなかった。スタミナは―――まあもともとがスタミナ不足なので、期待してはいけないと思いつつも、こちらも一度も歩くことなく、また6分/kmという自身の基準ペースを上回るペースでゴールできた。もう少し体重が軽ければ、もっと楽にはしれたのだろうが、まずは素直にゴールを喜びたい。沿道からの応援の声はとてもあたたかく、今回は少しこころに余裕があったこともあってかなりの方に手を振ったり会釈したり、笑顔を返すことができた。いつもながら、沿道の皆さんの声援もまた力の一部となる。大変ありたがいことである。


へろへろになりつつもなんとかゴール。痙攣なし、靴擦れやつめの割れなどがなかったのは自身密かに喜ぶ部分なのだが、なにぶん地味な課題なので小さくガッツポーズをとるくらいにしておく。


ゴール後は荷物をおいてあったスタジアムのベンチで栄養補給用のゼリーと水分を摂り、しばらく放心。陽がささないせいか少し寒気がする。物販の「氏家うどん」を食べようとしたが、行列が出来ていて食べれず。車に戻り、着替えて「道の駅きつれがわ」の温泉にでも入ろう、うどんでも食べよう―――とも思ったのだが、道の駅に着いてみると車でごった返しており、温泉はおろか臨時駐車場にも止められないありさまであった。


しかたなく自宅に戻ることとし、帰りに那須烏山市志鳥にあるラーメン食堂「登竜」でネギ味噌ラーメンを食べた。どんぶりが鉄鍋であること、麺が手打ちであること、野菜たっぷりの上にネギとみじん切りのチャーシュー?をあえた肉みそが付いて来ることなど、ボリューム感があってよい。味噌ラーメンは昔懐かしい味、普通に美味しかった。最近の凝りまくったラーメンとは趣の違う素朴な味が楽しみたい方はぜひ地方のこういうラーメン屋に立ち寄ってほしいところだ。


20161010b


2016年10月 9日 (日)

10/09 日々雑感

本日ディーラーに行き、車両の新規登録、保有車両の譲渡、車庫証明、ローンの手続きなどの書類を埋め、ハンコを押してきた。あとは車検証の発行、ナンバープレート取得などの手続きを経て、ようやく納車となる。


前回は即金での購入だったが、今回はさすがにローンである。手持ちがないわけではないが、やはり大きな買い物である。現金で買えば暮らしに余力が一切なくなる。前回スカイラインV35を即金で買った時も、しばらくは経済状況が苦しい状態が続いた。独身ならばそれも楽しみだが、さすがに所帯を持ったら、そのようなリスクを負う胆力はない。


そういえば―――と過去に思いをめぐらすと、オーディオ関係で高額の出費をした際にも、しばらく経済状況が苦しかった記憶がある。わりと自由に買い物をしていた頃でそれなのだから、今回はなおさらだろう。まはろくん、あろはくんの世話もそれなりにお金がかかる。


市役所でもらってきた印鑑登録と住民票を渡し、頭金を支払う。とりあえずこれでこちらがすべきことは一通り完了した。あとは保険会社への連絡くらいだが、ナンバーや車検証が届いていないので具体的な手続きができない。納車されてからでもよいだろう。

2016年10月 5日 (水)

10/05 【読】 「坂本龍一[音盤] 2016Edition保存版 (BeatSound編, ステレオサウンド)」

「坂本龍一[音盤] 2016Edition保存版 (BeatSound編, ステレオサウンド)」

 坂本龍一が1975~2016年にリリースした主要アルバムおよび関連作品をレビューしたムック。2016年3月刊。

 デビュー前のセッション作から、最新作である映画「レヴェナント:甦りし者」のサウンドトラックまで、教授の歴史を辿る旅。ソロアルバム、YMO時代、FenneszやAlva Notoとのコラボレーション、Scholaの全20枚組アルバムなどなど、紹介されている作品は実に多様だ。ライター陣は田山三樹、伊藤隆剛、吉村栄一ほか。YMO関連著作では常連の彼らだけにレビューの内容も非常にきめ細かいが、亭主のように散々彼らのレビューに触れている人間にとってはある種の予定調和な内容であり、安心して読める一方で退屈でもある。

 また本書には、教授の音楽を楽しむための各種オーディオ機器の紹介記事も収録されている。ヘッドフォンは主としてAudio Technica、スピーカはElacとMusikelectronic geithain(特にMusic...は教授が公私ともに愛用している)。亭主自身はかねてよりMusikに興味があったが、いかんせんルックスが野暮ったく、いかにもスタジオ向きといった感じで興味から脱しない、食指が動かない。

 本書で最も興味深いというか役に立ちそうなのは、教授が主宰するレーベルCommmonsに所属するアーティスト一覧だろうか。コトリンゴ、口ロロなどおなじみのアーティストがバイオグラフィとともに紹介されている。知らない情報が多いせいかこちらは興味深く読むことができた。教授の本で教授以外の情報に興味を抱くのは若干筋違いのように思えるが―――まあ良いということにしておこう。

10/05 Kingjim デジタルメモ「ポメラ」DM200の発表

 キングジムから、デジタルメモpomeraの最新モデルが発表された。



「DM200デジタルメモ ポメラ / キングジム」

 7inchワイド液晶とキーピッチ17mmのフルキーボードを搭載、日本語入力にはATOK for pomera(Professional)を採用している。また、シリーズで初めて無線LANを採用し、iPhoneやMac、あるいはEvernote経由でテキストを相互に編集できる。亭主はDM100を使用している(現在もこのテキストはDM100で書いている)が、DM200との明確な差は、どうやら無線LANの有無にあるらしい。


 ちなみに、DM100でテキストを他のデバイスを連携するには、SDカードにテキストを保存し他のデバイスで読み込むほか、無線LAN付きSDカード(たとえば東芝のFlashAir)を用いてEvernoteへとテキストを送信する方法があった。SDカードを用いたデータのやりとり、あるいはFlashAirによるEvernoteとの連携はそれなりにユーザに手間をかけるものだったので今回の無線LAN搭載、iPhoneやMacとのデータ連携は歓迎すべき機能といえるだろう。真にシームレスなデータ連携を実現するにはpomera側にもう少し柔軟性を持たせた方がよいとは思うが、あまり機能を追加しすぎると、単4電池によるバッテリー駆動、電源ONで即入力可能という利便性が損なわれかねない。テキスト入力に特化したデバイスとして、シンプルかつ直感的なデータ連携の方法を望みたいところ。


 亭主はこれまで、テキストを入力するためのデバイスとして、docomoのSigmarion / Sigmarion II、SharpのNetWalkerを使ってきたほか、iPhoneへテキストを入力するためのBluetoothキーボードを(もううんざりするくらいに)購入してきた。Sigmarionは日本語入力が貧弱すぎ、Netwalkerはへこへこのキーボードに生産性を下げてきた。Bluetoothキーボードはいずれもデザインばかりが優先し、本当に使いやすいキーボードを入手したのはつい最近のことだ。


「Key-to-go iK1041BK / Logicool」

 iPhone/iPad用キーボードとしては格段にキーピッチが広く、大人の指でもゆったりと使うことができる。表面は柔軟性のあるシリコンゴムだが適度なクリック感もあり、使い勝手は通常のキーボードに準ずる。このキーボードと、iPhone/iPadのアプリであるiText Padを組み合わせるとたとえiPhone 5/SEサイズの画面であっても比較的サクサクとテキストが打ち込める。内緒だが、正直これの使いよさ、肌触りの良さに、pomeraからこちらに乗りかえてしまおうかなどと思ったくらいだ。


 一方でDM100/200のキーボードに優れている点を挙げるとするならば、キー配列がPCなどに近く、PCのキーボードを使う感じでテキスト入力できる点だろうか。携帯性に優れたキーボードの多くは、コンパクトさを重視するあまりキー配列が独特となる場合が多い。さすがにQWERTYの配列は維持されるだろうが、右手小指あたりのキー(たとえば"[", "]"や「ろ」)が奇妙な位置に配置されていたり、EnterキーやShiftキーが極端に小さかったりする。この手の独特なキー配列は慣れるまでに時間がかかるし、慣れたとしても生産性は確実に低下する。たとえ携帯性が損なわれたとしても、フルキーボードの使い勝手には替えられない。


 DM200がフルキーボードの思想を継承していることは喜ばしいし、キングジムはこれからもこのコンセプトでテキスト入力デバイスを進化させていってほしいところだ。願わくば無線LAN機能を搭載し、家庭内ネットワークからpomeraが外部ドライブとして認識できるとよい。pomeraからテキストをプッシュ送信するのではなく、pomeraにため込んだテキストを他のデバイスがどんどん読めるような仕組みになってほしい。


亭主がDM200を買うかどうかはまだ決めていない。できるならばDM100+FlashAir+ファームウェアアップデートで、外部ドライブ化できるとよいのだけれど。

2016年10月 4日 (火)

10/04 【聴】 再建設的 / いとうせいこう&タイニイパンクス, Cube(Qbix-32)

IMAGE


 いとうせいこうが1986年に発表した国内初となるヒップホップ/ラップのアルバム「建設的」のトリビュートアルバム。全15曲。「建設的」リリース30周年を記念し、オリジナル盤と同時にリリースされている。


 通常、このテのアルバムは、国内外の有名アーティストの横面を札束ではたいて動員するものだが(おい)、本作に参加したアーティストはいずれもいとうせいこうに縁の深いアーティストばかり。「建設的」リリース時に参加したアーティストも数多く、まるでかつての仲間がワイワイと集まり作り上げた、そんなアットホームな雰囲気につつまれている。「なれた手つきでちゃんづけで」を作曲した高橋幸宏が、今回はヴォーカルとして参加していたり、「俺の背中に火をつけろ!!」でリードヴォーカルを担当した大竹まことが、きたろう、斉木しげるとともに参加してみたりと話題曲も多い。


 ちなみに参加アーティストはスチャダラパー、ロボ宙(これ誰)、高橋幸宏、シティーボーイズ(大竹、きたろう、斉木)、Sunaga t. experience、Akiko、田口トモロヲ、ユースケ・サンタマリア、KERA、犬山イヌコ、竹中直人、Sandii、真心ブラザーズ、Rhymester、レキシ、サイプレス上野、ロベルト吉野、MCU、GONTITI、岡村靖幸、いとうせいこう、ヤン富田。よくまあここまで雑多に集めたものだと半分感心、半分あきれてしまうが、顔の広いいとうせいこうならば集められた顔ぶれなのだろう。アーティストがガチなのだから当然楽曲もガチ。原曲を大幅改変するような曲はなく、むしろ原曲に忠実に、グレードを上げている。

2016年10月 3日 (月)

10/03 【読】「ジャズ喫茶 リアル・ヒストリー / 後藤雅洋、河出書房新社」

「ジャズ喫茶 リアル・ヒストリー / 後藤雅洋、河出書房新社」


 ジャズ喫茶「いーぐる」店長。1967年、学生運動華やかなりし四谷に「いーぐる」を開店、以降国内ジャズ・シーンを見守り続けてきた後藤雅洋氏が、戦前から現在に至るジャズ文化、そしてジャズ喫茶の隆盛を軽快な筆致でつづった書。2008年刊。


 後藤氏自身は1947年生まれ、2016年現在は69歳になるだろうか。本書によれば国内におけるジャズは、明治45年(1912年)に東洋音楽学校の波多野福太郎氏が、サンフランシスコから持ち帰った楽譜に記されていたという。また、国内のジャズ喫茶の始まりは、大正9年(1920年)に慶応大学の菊地滋弥氏が、ワシントンから持ち帰ったレコードを銀座の社交クラブで再生したのが最初。戦前から戦後へ、一時期は敵性音楽などと検閲の対象にもなったようだが、戦後は都内にジャズのレコードをかける喫茶店が次々と開店、店内は私語禁止、熱心なファンが大音量の中じっとジャズに聞き入るという「ジャズ喫茶」独特の雰囲気が形成されていったのだそうだ。


 そんなジャズ喫茶に対し、本書では前半を「DIG」「ファンキー」という1970年代を代表する二つのジャズ喫茶、後半を「いーぐる」「メグ」というこれまた有名な二つのジャズ喫茶を俎上に乗せ、ジャズとジャズ喫茶の現在・過去・未来を俯瞰する。膨大な資料と関係者からの聞き取り、「DIG」や「ファンキー」が隆盛を誇った時代の実体験、そして「いーぐる」「メグ」などをとりまく現在の状況など、情報はとにかく正確で、豊富で、しかも細部にまで行き渡っている。国内ジャズ・シーンの歴史に関しては多くの評論家、作家が論考しているが、後藤氏の文章は定量的で具体的、しかも思想的なバランスもとれている。この一冊で国内ジャズとジャズ喫茶についてはほぼすべて網羅されていると言ってもよい。


 そして本書にて最も注目すべきは、後半の「いーぐる」と「メグ」に関する記事。特に寺島靖国氏が店長をつとめるオーディオ系ジャズ喫茶「メグ」に関しては、後藤氏が店の方針をかなり痛烈に批判している。当初は同じ業界同士、多少周囲を意識してふっかけるような議論をしてきたものの、基本的にはわれ関せずを貫いてきた後藤氏。しかしここでは「メグ」で開催されたという「ジャズ講演会」のありかたをめぐり、寺島氏と「メグ」に対して厳しい口調で批判している。残念なのはこれに対して寺島氏がどう反論したのかが記載されていないことだが、もしかしたら寺島氏は別の著作で記しているのかもしれない。いずれにせよ後藤氏は、後藤氏なりに日本のジャズと、ジャズ喫茶、そしてジャズを聴く評論家やファンたちの将来を憂いている。世界でも極めて珍しい、ジャズを文化として取り入れた日本のジャズ・シーンが、これからも脈々と続いていってほしいと願っている。

2016年10月 1日 (土)

10/01 日々雑感

10月1日、土曜日の今日、フォルクスワーゲンの正規ディーラーで、Volkswagen Passat Variant Voyageの契約を済ませた。


Passatは、フォルクスワーゲンのラインナップではGolfの上位・ミドルクラスに位置付けられている。セダンとステーションワゴンの2タイプがあり、Variantはステーションワゴンの総称(GolfにもVariantクラスがある)。さらにVariantにもクラス分けがあり、エントリクラスのTSI Trendline、ミドルクラスのTSI Comfortline、ハイクラスのTSI Highline、そしてエンジングレードを上げたTSI R-Lineの4クラスが存在する。


亭主の契約したVoyageは、TSI Comfortlineをベースとした国内250台限定モデルである。オプション装備であるLEDヘッドライトにDiscover Pro(ナビ+ETC2.0+リアビューカメラ)、リアとリア左右にスモークガラスを追加し大胆なプライスダウンがなされている。Voyageキャンペーンは7月5日から、限定250台ということですでにキャンペーンは終了していたものと思ったが、ぎりぎり滑り込みでの契約となった。


--


亭主がPassat購入を決断したのは、6月12日のエントリを書く直前のこと。国内の車に魅力的なものがなく、水戸で用事を済ませた帰りに立ち寄ったVolkswagenで、Passatに惹かれたのがそもそもの始まりだ。ドイツ車がどのようなものかはわからなかったが、職人の国らしいしっかりした作りと、IT技術を駆使したハイテク装備のアンビバレンツに興味を持った。横に長いフェイス、大きなVWのロゴが気に入った。セダンはアダルトすぎると、これまで乗ったことのないステーションワゴンのVariantにしようと決めた。同行している妻もPassatが気に入ったようである。いや、正確に言えばVolkswagenにしようと最初に言い始めたのは妻だった。妻の直感、数ある選択肢から選び出す直感は恐ろしいほど鋭い。国道などを走るVolkswagenの車を見ての直感だそうである。


--


この日(10月1日)は偶然にもComfortlineの試乗車があり、ディーラー到着後挨拶もそこそこに試乗車をお借りしている。すでに承知はしていたが、エンジンは4気筒、1394ccと極めて小さい。発進時のトルクが不足していて、停車からアクセルを踏み込んでも車はぐんと加速しない。エンジンに限らず、モータやタービンなどの回転体は、停止状態からの起動に極めて大きな動力を必要とする(起動トルク、などと呼ばれる)。発進時のトルク不足は、この起動時の動力を抑えることで、燃費改善を図ったものらしい。「走り屋」と呼ばれる連中には少し物足りない挙動だが、燃費を気にする人には受け入れられるかもしれない。


起動トルクの不足はインターネットでも散々レポートされていて、今回の試乗でそれを体感できたのは非常に大きかった。発進時にぐいと踏み込んでも車はぬるりと前へ出るだけという特殊な挙動が了解できていれば、違和感は徐々になくなっていくことだろう。一度スピードに乗ってしまえば排気量不足も気にならない。


詳しい運転レポートは今後するとして、試乗で購入の決意が固まった。VWはオプションがほとんどなく、装備品は今回のLEDヘッドライト、Discover Pro(ナビ+ETC2.0+リアビューカメラ)くらい、あとは車体のコーティング有無と、メンテナンスプログラム。選択肢がシンプルなのも亭主の性に合った。


妻によれば、亭主はまるでドラッグストアでシャンプーや頭痛薬を買うかのような気軽さで、車の契約を済ませたように見えたという。


車種の選択、装備品、支払いのポリシー、そして心の準備。実車での確認以外はほとんどすべて済んでいたのだから、早いのはあたりまえといえばあたりまえである。

10/01 【聴】建設的 / いとうせいこう&タイニイパンクス, T.E.N.T|PONY CANYON(PCCA-04433)

IMAGE

 いとうせいこう、高木完、藤原ヒロシのユニット「いとうせいこう&TINNIE PUNX」による、おそらく史上初となる日本語ラップのアルバム。オリジナルは1986年、高橋幸宏がプロデュースしたT.E.N.T.レーベルからのリリース。オリジナル全9曲にボーナストラック4曲を加えた全13曲。なおサポートとして高橋幸宏、ヤン富田、ケラ、ダブマスターX(宮崎泉)、鈴木茂、児玉和文、大竹まことらが参加している。


 かつては「B-BOYを気取った不良たちの音楽」というイメージの強かったラップ/ヒップホップだが、ヒップホップのオリジネーターがAfrika Bambaatarであることが意外と知られていないのと同様、日本におけるラップ/ヒップホップの草分けがいとうせいこうとヤン富田であることもまた意外と知られていない。コピーライターとして一世を風靡していたいとうせいこうが同じく言葉を操るラップに傾倒し、実験音楽家であるヤン富田が新しい音楽フォーマットであるヒップホップに注目したことは、ある意味当然の帰結と言えるだろう。当時の彼らがラップやヒップホップをどのような目で見ていたかは、ヤン富田の著作「フォーエバー・ヤン・ミュージック・ミーム(1)」に詳しく書かれているので割愛するが、1990年代にジャングルからドラムンベースが派生した際、UKコーンウォール一派(Aphex Twin, Squarepusher, Luke Vibertら)が自身の得意とするエレクトロニカ/アンビエントから一斉にドラムンベースへと鞍替えした時の衝撃に近いように感じる。「日本語でロックはできない」という通説をはっぴいえんどが覆したように、日本語においてもラップが成立すること、日本人もヒップホップのビートを駆使した音楽が作れることを示した本作は、日本ラップ/ヒップホップ史におけるエポック・メイキングであり、金字塔である。


 ―――と大げさに書いてみたものの、本作「建設的」を聴いてみると、ラップやヒップホップの要素はごく限定的であることが分かる。あえて縦串を通すならば「パンク」が主題になるだろうか。おおよそポップスには不似合いな下世話な話題をネタに、ロックや歌謡曲、アイランド・ミュージック、唱歌(?)などをパンクに仕立て上げる。本作においてはラップやヒップホップもまたパンク表現の一形態である。結果的にアルバムのコンセプトは不明瞭になっているが、曲数が限定されたせいかラップの曲はむしろ際立っている。


 これは蛇足であるが、1986年といえば亭主は高校生、高校近くのレコード屋「イチコー」はずいぶん通ったが、このアルバムはついぞ見かけなかった。近年アルバムはレア盤としてAmazonやヤフオクなどで高額でやりとりされていたが、今回の再発で暴落した模様。

« 2016年9月 | トップページ | 2016年11月 »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
フォト
無料ブログはココログ