09/18 【読】 「御手洗潔の追憶 / 島田荘司(新潮文庫)」
趣味として探偵業を営む占星術師として1981年12月「占星術殺人事件」に登場。以降数々の難事件を解決、現在は脳科学者としてスウェーデンのウプサラ大学で教鞭をとる天才探偵「御手洗潔」が主人公となるシリーズのスピンアウト作。シリーズの主要登場人物に光をあてた短編・中編8編を収録する。2016年6月刊行。ただし各作品は(1編を除いて)別の作品からの再録となるので、コアなファンならばどこかで読んだ記憶があるかもしれない。
- 主人公となる御手洗潔が、渡米中に聞き手である島田荘司(作者)と久々の再開、近況を語る「御手洗潔、その時代の幻(御手洗潔攻略本初出)」
- 御手洗潔の父を主人公に、名探偵の出生の秘密に迫る「天使の名前(島田荘司読本初出)」
- 石岡和己の恋人(?)で現在は弁護士として活躍する犬坊里美が島田に送った書簡「石岡先生の執筆メモから(INPOCKET初出)」
- ハリウッド女優で御手洗に一方的な恋心を抱く松崎レオナからの手紙「石岡氏への手紙(島田荘司読本初出)」
- 御手洗のワトソン役で島田荘司と同業でもある石岡和己と再会、インタビューを試みる「石岡先生、ロング・ロング・インタヴュー(石岡和己攻略本初出)」
- ウプサラ大学で教鞭をとる御手洗の大学生活の一コマを切り取った「シアルヴィ(ミタライ・カフェ初出)」
- スウェーデンにおける御手洗のワトソン役、ハインリッヒ・フォン・レーンドルフ・シュタインオルトが御手洗の近況を語る「ミタライ・カフェ(ミタライ・カフェ初出)」
- そして最後に作者である島田氏自身が御手洗潔を語る「あとがきに代えて(書下ろし)」
いうまでもなく、御手洗は架空の人物であるのだが、本書では作者である島田氏自身が作中に登場して主要な登場人物らと直接・間接的に接している。推理小説でこのようなアプローチをとるというのは亭主自身聞いたことがないのだが、1981年から現在までの35年間シリーズが続き、登場人物もまた時代とともに成長していくという作品にあっては、登場人物らもまた現実世界・時代の一部と言えるだろう。なお本書には、未発表作品として"A Mad tea party under the aurora"、「伊根の龍神」の2作があることが登場人物から語られている。
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