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2016年9月17日 (土)

09/17 【読】 「心霊写真 / 小池壮彦(宝島社新書)」

「心霊写真 / 小池壮彦(宝島社新書)」


 怪談史研究家であり、世間に流布する怪異の成立過程と社会史的背景を調査することで知られる小池氏が、「心霊写真」の成立を社会史的にとらえた作品が本作。京極夏彦氏が氏の著作の中で「名著」と評している作品、亭主もいつか読みたいと思っていた。2000年2月刊行。


 1861年、アメリカのマムラーが世界で初めて「幽霊写真」を撮影してのち、本書刊行の2000年まで、実に140年にわたって世間を騒がし続けてきた心霊写真。日本でも1878年に西南戦争の死者の写真が乾板に写るなど、イギリス、フランスなど多くの国で騒動となっている。ただし当時は「心霊写真」ではなくあくまでも「幽霊写真」と呼ばれていたほか、当時の撮影・現像技術の不手際・未熟さがこのような写真を作り出すのだという意見が大勢であり、「幽霊写真」はあくまでもエンターテイメント的な扱いであった。ところが、1882年に英国に「心霊研究協会」が設立、スピリチュアリズム研究が進むうち「幽霊写真」もまたこの「心霊」の一分野へと取り込まれていく。


 一方、日本においても1910年(明治43年)の福来友吉、御船千鶴子らの「千里眼ブーム」を発端に、新聞・雑誌らが盛んに「超能力」「心霊」の話題を世間に提供。1929年(昭和4年)の心霊ブーム、1930年(昭和5年)のエロ・グロ・ナンセンスブーム、第2次大戦をはさんでの福来友吉の心霊科学研究を通じ、1949年(昭和24年)の第2次心霊ブームへとなだれ込んでいく。その後のテレビ放送開始、高度経済成長にともなう超能力ブーム、第3次心霊ブームによるワイドショーでの心霊写真特集、1974年(昭和49年)中岡俊哉による「恐怖の心霊写真集」発刊などなど、2000年までの心霊写真の歴史が事細かに記されている。新聞、雑誌、メディア、あるいは世間の噂話とあらゆる情報が心霊写真という軸で整理されるというだけでもすさまじい話で、その労苦というか、コレクター魂には頭が下がる。まさしく「名著」の名にふさわしい。


 本書では心霊写真の歴史を2000年(平成12年)まで辿っている。インターネットの普及、デジタルカメラの高性能化など、テクノロジーは確実に進歩していて、それだけ巷間に心霊の話題の入る余地が狭まっていることは間違いない。本文中には2000年以降の心霊の隆盛までを予見する部分も含まれている。はたして予見どおりになったかどうかは、読者それぞれが本書を読んで感じてほしいところだ。

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