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2016年7月22日 (金)

07/22 【読】 「妖怪の宴 妖怪の匣(京極夏彦、KADOKAWA)」

「妖怪の宴 妖怪の匣(京極夏彦、KADOKAWA)」

 妖怪研究家、小説家、デザイナーなどで活躍。人気ミステリ「京極堂シリーズ」「巷説百物語シリーズ」が特に有名、直木賞、山本周五郎賞など様々な受賞歴を持つ作家・京極夏彦の妖怪論考第2弾が本書。 「化け物」「幽霊」の二つをメインテーマに、氏の妖怪論・怪異論が語られる。

 アニメ「妖怪ウォッチ」の大ヒットや「ゲゲゲの鬼太郎」リバイバルによって昨今再び盛り上がりを見せている妖怪界隈とは全く関係のないところで、細々と、しかしディープに活動を続けている京極ほか「妖怪馬鹿」たちが集う妖怪マガジン「怪」(カドカワ刊)にて連載されている論考シリーズの6年分を集成したもの。同じ論考シリーズとして「妖怪の理、妖怪の檻」が第1弾として上梓されており、さらに現在もシリーズは「怪」にて連載を継続している。世間一般であやふやに認知されている「妖怪」の本質を様々な角度から掘り下げたものだが、基本的にはフィールドワークではなく文献をベースに、氏が思いのままに思索を巡らせている。

 テーマの一つ「化け物」では「お化け」「化け物」「化かす」、果ては女性のお化粧にまで至る「化」の本質を「広辞苑」など様々な時代の日本語辞典での解釈から考察する。江戸時代の妖怪草紙なども参照はされるものの、基本的に日本語を「重箱の隅をつつくように」追求し続けるので、とにかくもどかしい。亭主などははやく結論を書いてほしいと、じりじりしながら読んだ。

 もう一方のテーマ「幽霊」では、「霊」についての様々を時代に沿って考察する。「飛頭蛮」や「ろくろ首」「抜け首」など首が体から離れる怪異譚、蛤から発せられる「気」によって浮かぶ幻影「蜃気楼」、絵草紙に描かれた「幽霊」の絵、幽体離脱や心霊写真などのオカルトブームに至るまで、あらゆる「霊」の現象をひとつなぎにする。氏は「霊」の存在をあくまでも認知のバグ、人間の主観が作り出したモノとして、魂や心の顕現として「霊」を否定する。

 興味深いのは心霊研究家である中岡俊哉氏が1974年に刊行、大ブームとなった「恐怖の心霊写真」の原型が、さかのぼること74年(1900年)に妖怪学提唱者・井上圓了氏によって記事となっている点だ。東北の写真館で撮影された一枚の写真に、死んだはずの人物が写っていたという怪異の記事。しかしなんとこの記事には、写真館の主人の注釈がついている。主人によればこれは「二重写し(以前に使った感光板でこの人物を写していた)」のだというのだ。明治という時代の方がよほど理性的で健全な判断ができていたと京極氏は批判している。

 全体には言葉遊び、思考実験という感は否めないが、氏自身も本書を「無駄なもの」、「食べたくもないのについ買ってしまうレジ脇の大福餅」と称している。読む側もまた肩肘を張らず、煙に巻かれる気持ちで読みたいところ。

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