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2016年5月28日 (土)

05/28 【読】 「月世界小説(牧野修、早川文庫)」

「月世界小説(牧野修、早川文庫)」

 作家として、オリジナル小説、スピンアウトなと著書多数。早川からは「傀儡后」「リアード武侠傳奇・伝(グイン・サーガ外伝)」などを発表する著者が、満を持して発表した言語SF。「SFが読みたい!2016年版」国内2位を獲得した話題作。

 突如天空を響き渡る喇叭の音。空から押し寄せる天使の軍勢の攻撃に、人々はなすすべなく斃れていく。原宿でのゲイ・パレードを見に来ていた主人公・菱屋修介もまたこの災厄に巻き込まれ死を覚悟する。途端、世界が暗転。気が付くと彼は彼自身の妄想世界である月世界へと迷い込んでいた。「言葉」が現実を変える武器となり、「言葉」によって世界が変容する世界で、菱屋と仲間たちは世界を消し去ろうとする神との戦いに身を投じることとなる。

 神林長平や山田正紀が得意とする「言語SF」。言葉が力を持ち、物語を紡ぐことで世界が変容するというコンセプトは、本作でもしっかりと下敷きにされている。ストイックな作品の多い中、牧野版言語SFはむしろスラップスティック。ただしドタバタとしてとっちらかることもなく、展開は唐突だが最初から最後までしっかりと物語として筋が通っている。時代背景として安保闘争やよど号ハイジャック事件を絡めている点も、物語の骨格の補強に一役買っているようだ。一方で、亭主が楽しみにしていた「言葉の蘊蓄」や、言語を駆使した「言語戦」の描写はいまひとつ。日常から非日常へと徐々に変容するのではなく、いきなり世界がドカンと変わるあたりも唐突で、個人的にはもう少し緻密に、ロジカルに進めてもよかった。(2016.05.28)

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