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2016年2月12日 (金)

02/12 【読】 「デザイン思考が世界を変える~イノベーションを導く新しい考え方(ティム・ブラウン、千葉敏生訳、早川書房)」

「デザイン思考が世界を変える~イノベーションを導く新しい考え方(ティム・ブラウン、千葉敏生訳、早川書房)」

Apple社のマウスデザインなどで知られるデザインコンサルタント会社IDEOのCEOである著者が、新たなイノベーションを切り開くための「デザイン思考(シンキング)」について解説した書。2010年に早川書房から新書化されたものの文庫版が本書となる。

グローバル化により多様性が増し続ける国際社会。日々様々なアイデアが製品化されていくなかで、新たな戦略が必要となっている。他の製品と差別化し、医療や貧困、教育といった世界的な課題を解決し、またその製品にふれた人々が新たな目的意識を見いだせるようなイノベーティヴなアプローチとして、本書は「デザイン思考」を提案する。デザイン思考は、長年デザイナーたちが培ってきたスキルを活用し、物事を人間中心に考える思考プロセスであり、論理や分析ではなく、直感やパターン認識、感情など、人間により近い感覚から新たな製品をデザインすることでもある。

ただし、本書では、心理学や認知科学といった分野の理論には一切触れず、人間最優先のニーズの把握であるとか、プロトタイプ制作による気づきであるとか、製品を使う際の物語の構築などといったプロセスに言及する。膨大な事例が次々と提示されていく構成は他のビジネス書と同じ。「デザイン思考」の何たるかを幹から説明するのではなく、ひたすらに枝葉を茂らせることで全体的な輪郭を浮き立たせようとする。日本では釣り具メーカーとしておなじみシマノの自転車戦略、パーム・コンピュータの携帯端末、アップルのマウス、マリオットやリッツ・カールトンのホテル戦略、あるいはアメリカ赤十字社による献血者を増やす試みなど、具体例から得られるモノは極めて観念的である。

個人的には様々な研修やビジネス書を通じて知っている話が多く、格別な興奮などないまま読んだ。自分の仕事や、あるいはこのサイトの運営に使える部分もあり、使えない部分もある。このはおそらく研修などで、講師とともにケーススタディを通じて学ぶと感銘を受けるのだろう。なお本書では、結末に向けてどんどんと話が大きくなり、医療や福祉、社会のありかたといった壮大な課題にまで及ぶ。視野を広く持ち、プロジェクト内や顧客とコミュニケーションを深めることがひいては社会問題の解決に貢献する、という主張は、言うは易し、という気がしないでもない。まあワリカシ当たっているのだろうが、社会問題というのはとかく扱うべき変数が多くて、そう簡単に解決に至るものでもない。成功例をあとから分析したらたまたまそんなこをしていた、という状況のほうが圧倒的に多い。

煙に巻かれたような読後感に、やはり本書は研修向きなのだろうなとつくづく思った次第。

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