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2015年9月 9日 (水)

09/09 【読】 「歴史は『べき乗則』で動く〜種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学(マーク・ブキャナン、ハヤカワ文庫)」

「歴史は『べき乗則』で動く〜種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学(マーク・ブキャナン、ハヤカワ文庫)」

1961年オハイオ生まれ。ネイチャー誌、ニュー・サイエンティスト誌の編集者を経て、現在はサイエンスライターとして活躍する氏が、世界で発生する様々な事件のメカニズムを数理で読み解いた書。国内では2003年に邦訳・単行本化。今回は2009年に文庫化されたものを購入している。

世界規模で大きな脅威となっている巨大地震。日本においても今後来ると予想されている東海・東南海地震への不安が高まっている。ところが阪神淡路大震災や東日本大震災などからも分かるとおり、地震の予知というのは一向に当たる気配がない。プレート・テクトニクスによる地殻の動きの解明、GPSを使った位置計測、古文書を紐といての周期理論、はては様々な宥観異常現象に至るまであらゆる方法を駆使しても、大地震がいつ来るかはさっぱりわからないままだ。本書は「なぜ地震の予知があたらないのか」を端緒にして、地震発生のメカニズムが、「べき乗則」に従っていること、地震発生のみならず、株価の暴落や人類の歴史そのものすらも「べき乗則」によって支配されていることを明らかにする。「べき乗則」が一体何なのか、を理解するには本書を読んでいただくのが一番早いかもしれないが、ひらたくいえば、「べき乗則」とは、「臨界状態における相の急激な変化」や「フラクタル(自己相似性)」や「カオス理論」を確率論・統計学的に展開したものである。ぜんぜんひらたくなっていない。

本書では、そんなぜんぜんひらたくない「べき乗則」なる理論を、膨大な例をもちいて説明しようとする。砂山の崩落、生物の大量絶滅、戦争の歴史、あるいは都市の成り立ちにいたるまで、様々な例が読者の眼前に開陳される。外国のライターらしい長広舌とレトリック、くどいまでの説明にはすこしうんざりさせられるが、そもそも数学や科学の知識に乏しい人にも分かりやすく説明しようとするならばこの程度の冗長はむしろ必要なのだろう。本書で「べき乗則」なるものの本質がどの程度読者に伝わるかは疑問だが、従来の科学理論や経済理論では計り知れない人知を超えた「なにか」が我々の背後に横たわっている、そんな「なにか」の一端を垣間見る助けにはなろう。

それにしても地震予知はちーともあたらない。本書を読めば、今の地震学者がいかに意味のないことにこだわっているか、いかに地震予知が無益であるかがよく分かる。我々に出来ること、それはいつ地震が来てもよいように備え、覚悟を決めることらしい。

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