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2015年7月17日 (金)

07/17 【読】 「錨を上げよー上ー(百田尚樹、講談社)」

 「錨を上げよー上ー(百田尚樹、講談社)」

元放送作家。「海賊とよばれた男」「永遠の0」などの著作で知られ、近年は安倍総理との対談、自民党若手との勉強会などで政界における存在感を示す百田氏の2010年作品。大阪生まれの一人の男の波乱万丈の生涯を描く。本屋大賞受賞作。上下巻だが今回は上巻のみ読了した。

作田又三。昭和30年大阪は下町で労働者階級の家庭の長男として生まれる。子供の頃から短気で粗暴で下品、腕っ節が強く、頭に血が上ると何をしでかすか分からない。その凶暴な性格から近所から悪童として恐れられ、疎まれてきた彼の、幼少期から二十歳あたりまでの人生を綴ったのが上巻となる。

実は本書、妻が購入したが少し読んで放り投げていたもの。妻曰く「悪いことが延々書いてあるだけでつまらない」とのこと。たしかに作田の所業はすさまじく、 喧嘩では子供から大人、教師を相手にして徹底抗戦を貫く。暴言を吐き、暴力をふるい、盗みを働いたり、学校をサボってはそのたびに学校を停学となる。性行為を覚えてからは下品な行動がさらにエスカレートし、女性の読者はもちろん、男性読者にとっても不快なシーンが連続する。しかもストーリはひたすら小刻み、こまかいエピソードが連続するうえに作田自身が改心することもいっさいないため読んでいて達成感が無い。舞台そのものは大阪出身の百田の心象風景をそのまま書き表したものと思われるが、この内容ではいかな「本屋大賞」の後押しがあっても読み勧めるには相当な我慢が必要だろう。

ただ1点、この作田という男、劣等生ではあるが決して頭は悪いほうではないのは救いだ。高校時代には学校に私服を導入するため 教師たちと論戦を繰り広げ大人たちをやりこめる。恐ろしい集中力で英語や数学の勉強に取り組み大学に入ってしまう。大学のサークルで出会った女性と付き合うため、当時盛んだったマルクス主義のテキストを丸暗記してしまう。チンピラのような物腰、しかしそのロジックは純粋で、筋が通ったものである。作田自身 は喧嘩や盗みをするものの、すべてやむを得ぬ事情、本人は曲がったことが大嫌いなのだ。このあたりのマルチな才能は、映画「フォレスト・ガンプ」の主人公を髣髴とさせるが、生憎こちらは徹底して運が悪い。カタルシスがないので途中で何のために読んでいるのかと疑問に思うこと度々であった。

亭主は今回やっとの思いで上巻を読み終えたのだが、正直下巻は読む気が失せた。面白いのかもしれないが、とにかく読んでいて疲れた。世間では百田氏自身ずいぶんと悪名を上げているようだが、そういう悪名とは別に、しばらくは百田小説は遠慮したいところだ

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