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2015年7月14日 (火)

07/14 【読】 「フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略(クリス・アンダーソン、日本放送出版協会」

「フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略(クリス・アンダーソン、日本放送出版協会」

WEIRD誌編集長。2006年刊行の「ロングテールー売れない商品を宝の山に変える新戦略」が世界的ベストセラーとなり、2007年にTIME誌で「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた著者の2009年作品。当時はまだまだ目新しかった販売戦略「無料(フリー)」の解説書が本書となる。なお亭主は本書をKindleストアから「無料」で入手している。

Googleの検索システムやLinuxのオープンソースOSなど、世界で大きな影響力をふるった「無料」という販売戦略。ライバル会社からシェアを奪い取り、ビジネスにパラダイムシフトをもたらすこの大胆な戦略のすべてを本書にて記している。そもそもこの戦略は、かつてアメリカの酒場が提供していた「飲み物を注文すれば食事は無料」となるフリーランチのシステムや、「無料で石けんの試供品を提供する」といた販売促進策として始まったものなのだという。「損して得とれ」とはよく言われる言葉だが、何かを無料で提供することで、別の方向から利益を得るというやりかたは、IT技術が発達した近年さらに複雑さを増している。消費者、販売者、スポンサーなど登場人物はいよいよ増え、相互に交換される価値もまた多様化している。LinuxやPerl、Pythonといったコンピュータソフトウエア、GmailやTwitter、FacebookなどといったWebサービスのみならず、音楽や本、ビデオレンタルなどなど無料の範囲は急激に拡大していて、成功を収めたビジネスモデルも少なくない。だが、その一方で無料を掲げて失敗したケース、他社の無料化によって市場から駆逐されたケースなど不幸な例も確かにある。新しいビジネススキームとして注目度は高いものの、成功失敗の明暗が分かれやすく、しかもアイデア勝負の面もある。共存共栄といかない、シーン全体を盛り上げていきにくいのが、この販売戦略の難しいところだ。

本書は「無料」に関する様々な例を紹介するとともに、それらがどのような歴史や思想、戦略のもとに生まれたかを詳しく解説する。そして今後の世界経済が「無料」と切り離せないものへと変化していくことを予言する(そして4年後となった現在その予言はほぼ成就したといってもよい)。あわせて本書には「無料」のビジネスモデルに関する様々な否定的意見、懐疑的意見に対する回答が記されている。無料を脅威として感じている、あるいはまだまだ自らには縁遠い話と感じている人にはぜひ目を通してもらいたい内容。

ちなみに亭主、本書を無料で手に入れたものの、しばらくKindleのなかで積読にしていた。どうせ無料のコンテンツなのだからうわっつらのみを記した薄っぺらい本なのだろうとタカをくくっていたのだ。読んでみるとこれが予想以上に濃い内容、読み始めたところなかなか止めることができず、結局最後まで熟読してしまった。こんな有用な本が本当に無料でよいのだろうかと思ってしまったのだが、そういう疑問もまた本書にて解消される。

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