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2015年5月10日 (日)

05/09 【読】 「サンカの起源(筒井 功、河出書房新社)」

「サンカの起源(筒井 功、河出書房新社)」

元共同通信社記者で民俗研究者。日本における漂泊民・サンカの生態・習俗研究の第一人者である著者が、自身のフィールドワークのからサンカの実態とその起源を考察した書。2012年6月刊行。

古来より定住を持たず、集落を回っては箕や筬、川魚などを売り歩いた漂泊民・サンカ。関東ではミナオシ(箕直し)、ミーブチ(箕打ち)、ミヤ(箕屋)などと呼ばれたほか、東北では「テンバ」、中部では「ポン」「ポンツク」など全国に存在したようである。戸籍を持たないため無税・兵役もなく、教育を受けないため文盲。定住民と距離を置き、必要に応じて接触していたという彼らの記録は正史にはほとんど記載されていない。その特異性から定住民から一種好奇の目で見られ、近年はその職業などとはまったく関係なく差別の対象となった彼らの暮らしをつまびらかとしたのが本書となる。著者である筒井氏は、関東のとあるサンカの家族と長年接触し、その家族構成や暮らしぶり、はたまた日々の生活に関する様々な事柄についてのインタビューを重ねることで、多くの情報を収集することができたという。彼のフィールドワークは関東周辺にとどまらず、東北や中部、四国、大阪、岡山、九州そして遠く朝鮮半島にまで及ぶ。この膨大な情報、過去の(サンカに限定されない)様々な文献、平成20年代にあって存命な土地の古老たちへのインタビューを重ねることとで、サンカの起源が日本古代の「傀儡師」そして朝鮮半島の被差別民「白丁(ペクチョン)」に至ることを突き止める。

物語のテーマが、サンカの習俗からはるか古代史まで広いためか、「概論」的な内容になっている点はいたしかたなし。興味のある方は本書中に記載の文献(氏の著書を含む)をあたってもらえればより詳細にサンカの世界を知ることが出来よう。それにしても戦後の近代化はサンカの方々にとってはそれまでの時代とは全く異なる苦労の連続だったようである。なにしろどこかに落ち着こうとしても、また具合が悪く医者にかかろうにも、あらゆる場面で経歴・戸籍が必要となるのだから。

はるか悠久の過去に遊び、現代に埋没していくサンカの実態を総合的に紹介した書として興味深く拝読した

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