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2015年4月22日 (水)

04/22 【読】 「黄金の盾ーグイン・サーガ外伝26−(円城寺忍、ハヤカワ文庫)」

「黄金の盾ーグイン・サーガ外伝26−(円城寺忍、ハヤカワ文庫)」

故・栗本薫による未完の群像ファンタジー小説「グイン・サーガ」を新進気鋭の作家らが書き継ぐ「グイン・サーガ続編プロジェクト」から、さらに新しい書き手が一人登場。「グイン・サーガ・トリビュート・コンテスト」で優秀賞を受賞した著者が1年の歳月をかけて作り上げた長編小説が本作。グインの愛妾であるクムの踊り子・ヴァルーサの数奇な運命をつづった作品。

本作は4話から構成される。ヴァルーサの生い立ちをつづった第1話「大灰色猿の日」、成長した彼女と剣闘士ガンダルとの悲恋を描いた第2話「闘技場の邪謀」、奴隷市場に売られていた彼女を蜘蛛使いのアラクネーが身請けして以降の第3話「まじない小路の踊り子」、そしてグインとの出会い・妾となってよりの第4話「黄金の盾」。第2話と第3話の間には記憶を失ったグインが剣闘士のグンドとしてクムの大闘王ガンダルと闘う正編エピソードが、第3話と第4話の間には外伝1巻「七人の魔道師」のエピソードがそれぞれ入る形となっている。クムの踊り子であったヴァルーサが、なぜケイロニアの首都・サイロンのまじない小路に居たのか、またなぜ彼女が素直にグインに付き従い妾となったのか、また「黄金の盾」の名前をもつ彼女がグインにとってどのような意味を持つのかなど、栗本氏が直接語らなかった部分が、本作によって明らかとなる。もちろん、本作で語られる部分には栗本氏が構想したものではない、円城寺氏独自の解釈が存在する。読み始めた当初はガンダルが、正編の凶悪な言動とは正反対のナイスガイだったり、あるいは若かったりと違和感があったのだが、これもまた円城寺氏なりの目論見による。オリジナルへの深い愛情と徹底した読み込み、そしてオリジナルを超えて一歩を踏み出す大胆さがなければ本作は書けなかったに違いない。

基本的に本作はヴァルーサの物語ではあるが、作中にはグインも登場し、その存在感を放っている。エピソードのみならず登場人物もまた正編あるいは他の外伝としっかり地続きに設計されていて、正編でも割と珍しい「エピソードの並走」「他の登場人物視点によるエピソードの再解釈」といった読み方ができる点は興味深い。今後の円城寺氏のグインへのかかわりがさらに楽しみになった。

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