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2015年1月19日 (月)

01/19 平井和正氏、逝去

「幻魔大戦」シリーズ、「8マン」原作で知られるSF作家、平井和正氏が1/17に亡くなった。享年76歳。急性心不全だったという。

亭主が本格的にSF小説を読み始めたのは、平井和正氏の幻魔大戦の影響によるところが非常に大きい。世紀末に向けて世間が徐々に騒がしくなっていった時代、様々なサブカルチャーが人々の不安とともに盛り上がっていた。超能力、UFO、ノストラダムスの大予言。オカルトがテレビのゴールデンタイムで視聴率を稼いでいたこともあって、当時の子供達はこれらサブカルチャーの影響を大きく受けていた。

平井和正氏が原作となったアニメ映画、幻魔大戦は、大友克洋氏のダイナミックな作画や「警告、ハルマゲドン接近」というセンセーショナルな惹句によって子供達に「世紀末に何かが起きる」という予感を植え付けた。亭主もまた少なからず世紀末に不安を感じていた子供の一人であったが、亭主の場合はアニメ映画にも、またオウム真理教に代表されるカルトにも影響されることなく無事に大人になることができた。

亭主は、幻魔大戦のアニメから平井氏の作品世界に入門したのだが、実際のところ幻魔大戦よりも「真幻魔大戦」、ウルフガイよりも「アダルトウルフガイ」に夢中になった。真幻魔大戦は、幻魔大戦の作品世界をさらに押し広げ、主人公である東丈の縁を役小角や由井正雪などといった歴史上の人物と繋げることにより宇宙開闢から連綿と続く生命と幻魔との戦いを描き出した。多国籍企業クエーサーや、怪人タイガーマンの暗躍、突如とした東丈の失踪、そして舞台は古代ギリシア、犬が統治する異世界へと、平井氏のイマジネーションは留まるところを知らなかった。

アダルトウルフガイは、狼男の偉丈夫を主人公としたハードボイルドSF。暴力と性とが支配する現代の東京を舞台に、無敵の主人公犬神明が暴力組織に立ち向かうという内容は、当時中学生だった亭主には少し早かったかもしれない。作を重ねるうち、作品のコンセプトが「神と悪魔」「善と悪」「光と闇」といった二極対立の様相を呈し、宗教がかった記述が頻繁に現れるようになったが、世紀末という逼塞した時代にあって宗教は時代の壁を突き抜けるブレイクスルーの一つだった。

多くの人々が恐れた世紀末だったが、結果的にはなにも起きず、新興宗教の暴走という人為によって破滅が顕現したのは残念としか言いようがない。

亭主もまた少なからず超能力や宗教といったサブカルチャーに影響を受けたのたが、その入り口が真幻魔大戦やアダルトウルフガイだったせいか、あまりこじれることがなかったように思う。真幻魔大戦では、主人公の東丈は超能力にむしろ批判的な立場にあり、混乱する物語の中で常にクールな立場を保っていた。アダルトウルフガイでは、犬神明は常に最悪な状況に立たされ、血みどろになりながらも不屈の闘志で敵と対峙していた。いずれも超能力や神といったオカルトのテーマを描いた作品だったが、その本質はむしろ人間ドラマであり、「ヒーローとして、男としてどうあるべきか」というある種の人生指南であった。

以降の氏の作品、たとえば「地球樹の女神」や「月光魔術團」については、残念ながら亭主はよくわからない(というか地球樹の女神は途中で読むのをやめてしまった)のだが、新興宗教のゴーストライターをしていた、とか、新作の電子書籍化に熱心だった、などなど、常に情報が亭主の耳に聞こえてきて(その仕事が胡散臭いかどうかはさておいて)、ああ、まだ健筆をふるっておられるのだなと、安心していた。

子供から青年へと移りゆく亭主に、「男」を初めて意識させてくれた作家が、平井氏だった。

謹んでお悔やみを申し上げます。

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