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2014年12月

2014年12月31日 (水)

12/31 今年もお世話になりました

本年も当サイト「四季旬菜どむや」をご愛顧いただきましてありがとうございました。
2014年もあとわずかとなりました。皆様良いお年をお迎えください。


2014年12月30日 (火)

12/30 【聴】 Flesh and Machine / Daniel Lanois, Redfloorrecords|Sony Music(EICP-30045)

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カナダ出身のミュージシャン/プロデューサー。1983年のブライアン・イーノとの共作"Apollo"、ボブ・ディラン、エミルー・ハリス、ニール・ヤング、U2ほか多くのアーティストのプロデュースでも知られるダニエル・ラノワの最新ソロ・アルバム。全11曲。国内盤はBlu-Ray Discの技術を応用し音質が良いとされるBlu-Spec CD2仕様。

イーノのアンビエント・シリーズを髣髴とさせる、奇妙で静謐なエレクトロニカ。往年のジャーマン・エレクトロにも似て明確なメロディーやビートは一切無く、音の小片が花びらとなって空間に漂う。PansonicやSachiko Mらのような徹底したミニマリズムとは異なり、あくまでも音楽が鳴っていることが前提のようだ。多くの曲は3分前後、ただし曲と曲の切れ目が明示的でないため、なんとなく聴いているとトラックはどんどん進み、いつの間にか先ほど聴いたトラックに戻ってきてしまう。ガツガツすることなく、雰囲気に任せぼんやりと聴くのがこのアルバムの正しい楽しみ方だろう。

2014年12月29日 (月)

12/29 サイト19年目に向けて

20141229domuya.jpg1996年に始まったこのサイトも、2015年に19年目へと突入する。

諸般事情―――が具体的に何であるかはさておいて、諸般事情によりサイトの構成・デザインを大きく変えた。「訪」と「掲示板」の公開を中止し、サイトの説明である「いらっしゃいませ」のページを省略した。長年のサイトデザインに愛着があった方もおられたろうが、サイトデザインの変更に必要なのは、基本的に思い切りと、割り切りである。結晶化した部分は過去に置いていくことにした。

サイト名は暫定的に"Domuya Portal 2015"とした。サイト名、フォントともこれからどんどん変わっていく。おそらく「どむや」なるワードも過去に置いていくこととなるだろう。これからこのサイトがどう変わっていくかは亭主自身全く想像ができないが、WWWにおけるホームページの役割や位置づけがどんどんと変化していく中で、このサイトもまたどんどんと結晶化し、過去のものとなっていくだろう。

亭主はいずれこの世から消えてなくなる。人々の記憶から消え去り、この世に亭主自身が存在した証拠は消えうせる(これは私の妻や、愛犬たちや、あるいはこれまで生を受けてきたほとんど全ての生物たちの運命である)。

このサイトは、やがてこの世から消えてなくなる亭主の悪あがき―――と言いたい所だが、実際のところは消え去るまでの暇つぶしである。

このサイトに訪れた各位には、今しばらくのお付き合いをお願いしたい。

2014年12月28日 (日)

12/28 【食】麺屋 しゅう(醤油ラーメン、茨城県ひたちなか市)

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勝田駅前、クリスタルプラザ1Fにあるラーメン店。昨年までは地雷源FRIDAYだった。

勝田で会議があった道すがら、地雷源で昼食をとろうと思ったら違う店になっていて戸惑う。券売機は地雷源のまま、ただし醤油、味噌、塩などラインナップが少し異なる。つけめんも良いと思ったが今回はオーソドックスに醤油ラーメンを選択。なお無料で大盛りにできるとのことだったので、お言葉に甘えて大盛りを注文している。

非常に濃厚な魚コク系ラーメン。麺は麺工房ミタニの太麺でぞばぞばと食べられる。スープが麺によく絡むせいか、全体としてとてもよくまとまっている。具はチャーシュー、海苔、メンマ、ネギなどオーソドックスだが、全体としてのバランスのよさが手伝って満足度は高い。端的に言って「美味」―――もしかしたら以前の店よりも美味いかもしれない。いや、亭主はむしろこちらをオススメしたいくらいだ。

魚コクなので脂っぽさ、不健康さもなく、後味も良い。勝田の新しい定番になりそうだ。

2014年12月27日 (土)

12/27 Chihiro Yamanaka Trio Live 2014 Winter

12/27 日立市George House。16時開場、17時開演。

演奏:山中千尋(Pf), 坂崎拓也(Bs), 岡田佳大(Dr)。
演奏曲:

 1. Living Without Friday
 2. Liebestraume (愛の夢) / Franz Liszt
 3. On the Shore
 4. For Real

<休憩>

George Houseスタッフによる千尋さんへのサプライズ・プレゼント。

 5. Orleans
 6. Fur Elise (エリーゼのために) / Ludwig van Beethoven
 7. 八木節

<アンコール>

 8. So Long
 9. C Jam Blues / Duke Ellington

--

デビュー以来のファンの亭主はただただ感激しっぱなし。最前列中央で3人の演奏を存分に堪能することができた。怒涛のパワー・プレイは端整なアルバムの演奏からは想像もつかないワイルドなものだった。

終演後に物販で購入したBlu-rayにサインをいただいた。我が家の家宝。

20141227georgehouse.jpgまさかこんな近くに、(こんな地方に)千尋さんが来るとは思っても見なかった。

ファンをやっていてよかったと、つくづく感じる幸せな夜だった。

2014年12月22日 (月)

12/22 最近の読書から(オーディオにハイレゾは普及するか、という話)

数日前から、積読だった「イノベーションの解(クレイトン・クリステンセン/マイケル・レイナー著、翔泳社)」を読んでいる。なかなか出張などのまとまった時間がとれないため読了に至らないが、読んでいると様々なアイデア、思いが浮かんでくる。思いが浮かぶ、そのたびに立ち止まっては、あれやこれやと考えている。

本書の前作「イノベーションのジレンマ」によれば、イノベーションには「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」があるのだという。「持続的イノベーション」は従来製品の改良、改善であり、より良い製品の市場への投入を主たる目的とする。

一方「破壊的イノベーション」は、全く新しい市場に「ローエンド」から参入することによって引き起こされる。これまで多くの企業が想定していない、潜在顧客の掘り起こしによる新しい市場の創生が主たる目的である。一般に、「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」は互いに競争軸、性能尺度が異なるため、これまで持続的な製品戦略をとってきた既存メーカは、破壊的な製品に価値を見出すことができない。結果として既存メーカは従来製品の性能向上に注力し、利益率の低いローエンド製品を切り捨て、より高い利益率が保証されるハイエンド製品へ販路を広げていく。一方で破壊的製品は、利益率の低いローエンド製品からまったく新しい顧客を掘り起こし、市場を創生し、さらには持続的イノベーションによって徐々に既存のハイエンド製品を侵食していく。

気がつけば既存のメーカは、自らの主戦場であった市場のほとんどを破壊的な製品へと明け渡し、飽和した市場から退場していくこととなる。

101-0111_IMG.JPG(写真はイメージです)

本書では、この破壊的な製品が市場に受け入れられる理由を「顧客はやりたくない用事には手を出さない」からだと結論付ける。つまり、顧客は、製品の性能よりも、便利さ、手間のかからなさを重視するというのだ。

本書の記述はここにとどまらず、さらに深い部分へと分け入っていくことになるのだけれど、亭主はここでしばし立ち止まり、オーディオにとっての破壊的イノベーションについて思いを巡らせる。

  • SP, LPの普及は、顧客がコンサート会場に行く手間を省いた。
  • テープの普及は、顧客がジャケットからSPやLPを取り出し、ターンテーブルの上に乗せ、針を落とす手間を省いた。
  • CDの普及は、顧客がテープを巻きもどし、聴きたい曲まで早送りする手間を省いた。
  • iPodに代表されるmp3プレーヤの普及は、聴き手がテープやCDを何個・何枚も持ち歩き、また選曲のためにテープやCDを取り替える手間を省いた。
オーディオにおける破壊的イノベーションについて亭主としてはかなり合理的な説明が出来たと思うのだが、いかがだろうか。ならば、iPodやmp3プレーヤの次に位置づけられる、便利さ、手間のかからなさとは何なのだろうか。

実を言うとわれわれは、その答えにとっくに気付いている。気付いていて、あえて気付かないように目を伏せ、顔を背け、耳をふさいでいるだけなのだ。

たとえば、Youtube。Youtubeが普及した現在、ユーザは、CD店に出向いて音楽を買う手間を省くことができる。ネットに繋がってさえ居れば、好きなときに好きな音楽を聴くことができる。

一部の評論家たちがこれからのトレンドと主張している、音楽のハイビット化、ハイレゾ化は、亭主の見立てでは流行らない。

むしろストリーミングやYoutubeを快適に見られるためのLTE回線の強化、高速化を推し進め、ユーザが好きな音楽を、好きなときに、膨大なライブラリの中から自由に選び出せるための仕掛けを作る必要があるだろう。

音楽をサーバに蓄積し必要なときに聴けるという便利さは、LTE回線を使わない環境、ネットワークオーディオやPCオーディオですでに実現している。亭主もハードディスクに大量の音楽データを保管するが、好きな音楽を自由に再生できる便利さを実感している。一方でハイレゾは、顧客に対して便利さ、手間のかからなさを一切提供しない。現在のハイレゾブームは(かつてのSACDのように)一部のマニアの物欲を刺激するだけに終わると予想している。

2014年12月21日 (日)

12/21 【聴】 Have A Nice Day / World Order, Pony Canyon(PCBP-52308)

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格闘家の須藤元気率いる7人組パフォーマンス・ユニット、World Orderの2年半ぶりとなる3thフルアルバム。スーツに革靴、無表情という典型的な日本人ビジネスマンの出で立ちと、7人が複雑に絡み合うシステマティックなダンス、そしてアッパーでケミカルなテクノ・ハウスとが絡み合う彼らの最新作はなんとCD + DVD + Bonus DVDの3枚組。

CDは2013年にリリースされたシングル"Imperialism"、AKB48とのコラボ、秋葉原での映像収録で話題を呼んだ"Have a Nice Day"など全8曲。ユニットのテーマ曲である"World Order"のリミックスほか3曲のリミックスを含む。いずれも世界の変革を予感する繊細でメロウな歌詞、聞き込むほどにその世界観に惹き込まれる。しかし特筆すべきはやはり彼らによるダンス・パフォーマンスであろう。DVDには"Imperialism"ほか6曲を収録。秋葉原を舞台にした"Have a Nice Day"、ロンドンで撮影された"Imformal Empire"などこれまでと同じく路上でのパフォーマンスが圧巻。さらにロンドンでの映像には戦争や災害の映像が随所に挿入され、さながら歴史ドラマのような壮大な作品に仕上がっている。亭主はこれまで映像をYoutubeで、音楽をCDでと分けて楽しんでいたが、やはりWorld Orderの真骨頂は映像だろう。

一方Bonus DVDには、日本各地のZeppを巡る"On the Road Adound Japan 2014"のツアーの模様が収録されている。東京、大阪、札幌、名古屋、福岡の各所でのライブ映像に加えて、ツアー先で楽しむメンバーの姿が収録されていて、普段のビジネスマン的な風貌とは異なる若者たちの素顔が楽しめる。ツアーではVJに合わせた彼らのダンス・パフォーマンスが披露される。これまでYoutubeや特典DVDでは楽しめなかった彼らのライブでの映像は必見。特にメンバー個人によるソロ・パフォーマンスは、彼ら一人ひとりが個性的なダンス・パフォーマーであることを再認識させてくれる。文句なし必見・必聴のアルバムだが、限定盤は6500円+TAXとちょっとお高めなのがつらい。

2014年12月20日 (土)

12/20 日々雑感

12/18、近所にマクドナルドが新規開店したというので、妻が留守にしていた土曜日の昼に行ってみた。

鳴り物入りでオープンしたもののほとんどお客がこなかったという18日に比べると、休日というだけあってそれなりに客は入っている。しかし、座席はあちこち空いているうえ、レジも数人が並ぶ程度で混み合っているという感じが全くない。ドライブスルーも車が数台見えるだけ。道路に向かって渋滞が続くという状況でもない。オープン直後の休日でこの空き具合はちょっと異常だろう。

このマクドナルド、立地が格段に悪いというわけではない。国道六号沿、大駐車場完備、近くには高校も小学校も大病院もまた住宅地もある。隣接してはま寿司やビッグボーイがあって、はま寿司などは夜ともなれば大行列が出来るほどの盛況ぶりだ。こんな恵まれた条件の中で、客の入りが悪いということ自体信じられない。いや、マクドナルド自体に問題があるというならばむしろそちらなのだろうと思うのだが。

この日亭主は、ビッグマックセットとカニコロッケバーガー(単品)を注文した。ビッグマックは他の店よりもずっと丁寧に作ってあって、パンはふわふわ、中の野菜(レタス)はしゃきしゃきしていて美味しい。一方カニコロッケバーガーは、トマトソース(というよりチリソースに近い)がコロッケの味を塗りつぶしてしまって、残念ながらあまり良い印象がなかった。

いや、この際カニコロッケバーガーなどどうでもいい。

亭主は食事中/食事後に読書をしようと積読していた本を一冊持ち込んでいた。ハンバーガーを食べながら、ドリンクを飲みながら読書としゃれ込もうと思っていたのだが、正直言って読書を楽しむという気分になれなかった。店内は子供連れや学生たちでにぎわっているが、彼らが読書を邪魔しているというわけではない(もっとうるさい環境ならば他にもたくさんある)。たとえば椅子のすわり心地、たとえばテーブルの高さや広さ、あるいは外光や調度品など店内の様々なものが、ゆっくり落ち着いて本を読むことが出来ない仕様になっているのだ。

本来ならば読書に没頭するはずだったのに、気がついてみると本を目の前にうとうと、ほとんど読めなかった。

客回転率をよくするならば、居心地を悪くするためにあえて本を読みにくい環境にするのも良い。

ただ、売上げが落ちつつあるマクドナルドにとって重要なのは、そもそも客がマクドナルドに来てくれるよう、客に動機付けさせることではないか。居心地の悪い店内ならば、むしろスターバックスに行った方が良いと思えてしまう。メニューがぱっとしない中、マクドナルドが他店よりも優れる理由を明確に上げなければ、今の世の中生き残ってはいけまい。

なにしろテーブルの上に、手がちょっと汚れたら使えるようにという紙ナプキンすら置かれていないのだ。お客にとって「あ、うれしいな」「便利だな」と思わせる気配りがない。

マクドナルドの迷走はまだまだこれからも続きそうだ。

12/20 【聴】 Next Life / V.A., Hyperdub|Beat(BRHD029)

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シカゴを拠点として、DJ RashadとDJ Spinnによって結成された世界最大規模のジューク/フットワーク・クルーTEKLIFE。2014年にDJ Rashadが亡くなったことをきっかけにしてTEKLIFEのクルーが作り上げたコンピレーションアルバムが本作となる。なお本作売上げの収益分は、全てDJ Rashadの愛息へと贈られるという。

参加アーティストはDJ Spinn, Taso, DJ Earl, DJ Taye, DJ Manny, DJ Phil, DJ Tre, Trasman, Sirr Tmo, RP Boo, Gant-man, Boylan, DJ Paypal, Heavee, Tripletrain, Durban, DJ Chap, Feloneezy, Jackie Daggerほか。DJ Rashadのトラックも1曲が収録されている。全20曲という濃密な内容、びっしりとジューク/フットワークのサウンドが詰まっているのだと・・・思うのだけれどよく分からない。

ジュークが、ダブステップの発展形であるというのは各種本で読んでいるため頭では理解できる。ただ実際のトラックは、どちらかといえばワンアイデアのシンプルなループ・ミュージックに近い。デトロイトテクノやドラムンベースのような静謐さ、内省は感じられない。むしろ面白いサウンド、面白いリフをどんどんと発見し、フロアで紹介していく、まさに現在進行中のクラブ・シーンのような生々しさがある。元気のあるシーンはとにかくクリエータらにバイタリティがある。多少サンプリング・ネタに走ろうが、チップチューンに影響を受けようが一切おかまいなし、むしろテンションで乗り切ってしまうあたりは若さゆえだろうか。

2014年12月18日 (木)

12/17 【食】 ラーメン威風(濃厚味噌チャーシュー麺、千代田区神田佐久間町)

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東京は秋葉原、ヨドバシカメラマルチメディアAkiba近くにあるラーメン店。外見には味噌ラーメン専門という感じもしたが、実際にはしょうゆ味のラーメンも作っているようだ。今回は初めて訪れた、ということで最も気合が入っている(と思われる)濃厚味噌チャーシュー麺を注文した。990円。ちなみに店員は出来上がったラーメンをこちらに供する際に「スペシャルチャーシューの人ー」と言っていて、亭主が注文したものだと全く気がつかなかった。

黄色く波打った中華麺と、豚骨で出汁をとったと思しき味噌味スープとの組み合わせ。麺は歯ごたえがあり、軽い弾力とともにプチンと切れる。スープはケモノ汁(横浜家系ラーメンに特徴的な豚骨醤油スープ)ほど濃くはなく、かといって一般的な味噌ラーメンのようなさらさらスープでもない。標準的な味噌ラーメンに、少し濃い目のスープを合わせた感じといえば分かりやすいだろうか。

ラーメンの具は、チャーシュー、ネギ、メンマ、もやし少々。チャーシューは(チャーシュー麺というだけあって)ボリュームたっぷりの本格派。チャーシューの上にはおろしにんにくが載せられているが、会社員の昼食としてはちょっときついだろう(亭主は最後まで溶かさずよけて食べた)。メンマが意外とたくさん入っていて、最後までしっかりと食べられる。

総合的な評価は・・・うーん、普通よりちょっと濃い目の味噌ラーメン。いわゆるもろみの味ではなく、万人向けの味だ。東京というラーメン激戦区にあってはオーソドックスな部類に入ってしまうかもしれない。食べている途中のインパクト、食べた後の満足度ともにほどほど、どちらかといえばカロリーを気にしてスープを残しても惜しくないタイプのラーメンかと。

2014年12月17日 (水)

12/17 【読】 「とまっていた時計がまたうごきはじめた(細野晴臣+鈴木惣一郎、平凡社)」

「とまっていた時計がまたうごきはじめた(細野晴臣+鈴木惣一郎、平凡社)」

「分福茶釜」から5年。平凡社より細野さんの最新エッセイ集が出版された。聞き手は前作と同じく、World Standardの鈴木惣一郎。東日本大震災が発生した2011年3月以降の細野さんの心の動きを、聴き手の鈴木氏が、音楽、お笑い、原発、そして友人の死などの話題を通して描き出す。

東北地方のみならず、国内、ひいては全世界に対して大きなダメージを与えた東日本大震災。1000年に一度とも言われる未曾有の大災害は、細野さんを含む音楽家に多大な影響を与えた。地震と津波によって多くの命が失われ、また引き続いて発生した原発事故によって多くの人が住む土地を追われるなか、果たして音楽などというものを続けていていいのだろうかと苦悩した音楽家は多かったようだ。AKB48はいち早く被災地へと乗り込みボランティア活動に取り組み、坂本龍一は原発反対・政治活動へと心血を注いだ。一方細野さんはといえば、あまりのショックにオリジナルの曲を作ることが出来なくなってしまったのだという。2011年4月に、ろうそくの灯を明かりにして、ギター演奏による小規模かつ質素なコンサートを開催したことは記憶に新しい。本書では、そんな細野さんの震災後の活動を鈴木氏がひとつひとつ、丁寧に掘り起こしていく。その二人の関係を、作中では落語になぞらえて「ご隠居」「熊さん」などと書いている。

本書を通して感じることに、かつては仙人というか隠者というか、達観していた細野さんの心境が、かなりドラスティックに変化している点が挙げられる。頑固爺さんになった、と感じる以上に、後進たちに何かを伝えよう、残そうという意思がはっきりと感じられる。オリジナルの曲は作ることができなくなったが、最新アルバム"Heavenly Music"がカヴァー曲を全面的にフィーチャーしたように、かつての名曲、佳曲の数々を積極的に紹介する活動を続けている。本書においても古今東西多くのアーティストの紹介があり、さながらミュージック・ガイドの様相を呈しているあたりは、鈴木さんのこだわりだろうか。

盟友であった大瀧詠一さんの突然の訃報、語られなかった大瀧さんとのエピソードなど、初めての話も多い。読者もまた「熊さん」となって、細野さんの語りに耳を傾けてはどうだろうか。

12/17 日々雑感

秋葉原のカフェの席で、iPhoneとBluetoothキーボードを使ってこの記事を書いている。まだ打ち合わせの時間には余裕があるし、読みさしの本も章の切れ目で、少し別のことをするには良い頃合いだ。通りを眺めていると、これから仕事に出かけようという会社員たちが、厚ぼったいコートとに身を包み首をすくめながら歩いている。亭主も同じ会社員だが、彼らとは時間の流れが少し違う。ちょっとした優越感が味わえるのが出張の楽しみだ。

もっとも、通りを眺めながら、ゆっくりと記事を書いているわけにはいかない。こうしている間にもiPhoneのバッテリーは着々と消耗している。カフェの席の近くにサービスコンセントがないかと思ったのだが、見当たらない。自由におもわれたiPhone + LTE通信によるモバイル環境も、実は電源に束縛されている。亭主が動画や、ブラウザゲームにはまっていたならば、これに通信量上限の束縛が加わる。それでも、かつての携帯電話の頃に比べればずっとずっと快適である。快適だが、どこかでバッテリーの残量が気にかかっている。バッテリーの制限がなくなったら、さぞかしストレスフリーになることだろう。

以前からiPod Classic(携帯オーディオプレーヤー)の容量不足が気になっていて、OyaideのFiioであるとか、SONYのハイレゾ対応ウォークマンの情報を漁っている。ところが、iPod Classicの容量160GBに匹敵するプレーヤーはなかなかない。いや、一機種だけFiioに256GBという大容量モデルがあるのだけれど、数十万という値段に買う気が起きない。携帯オーディオプレーヤーを選ぶにあたっては容量という制限がある。ただし、kindle(電子ブックリーダー)のように、データ本体はクラウドに格納されていて、必要に応じてWi-Fiや3G通信で逐次ダウンロード可能というならば、容量という制限からは解放される(ただし今度は通信量という制限が生じる)。重要なのは、携帯オーディオプレーヤーを容量の視点でのみ眺めていては、ユーザはいつまでたってもiPod Clasiicから離れることはできないし、メーカはいつまでたってもiPod Classicをハイエンドとして拝まなければならないということだ。

もしかしたら、通信量という視点でのみ眺めていることすらも、自身を呪縛していることになるのかもしれない。といいつつ、自分自身がどれだけ解放されても、製品がついてこなければ意味がないのだけれど。

以前、欲しいものがなくなってしまったという話をブログに上げた記憶があるが、上のような制限さえなければ欲しいものはいくらでもある。1万枚くらいのアルバム・ライブラリから、自身が聞きたい曲を自由にセレクトできるオーディオプレーヤーだの、少なくともコミックが1000冊単位で自由にセレクトできる電子ブックリーダーだの、現在所有している4000枚近いCDを収納できる棚だの、主に収納・記録媒体関係の物欲は果てしない。問題は、そういった制限を突破するようなオーディオプレーヤーであるとか、電子ブックリーダーが市場にないこと、地震にあってもびくともしない、CDが外に飛び出さない堅牢かつ安全なCDラックが見当たらない点にある。もちろん、CDラックなどは自分自身で作れば良いのだろうが、自作するには道具も時間も、ノウハウも不足していて、できればアウトソーシングで済ませたいところ。

日々を仕事に追われ、また自宅では家事やわんこたちの世話に追われているせいか、こういうカフェでのんびりする時間はとても貴重だ。本も読みたいし、様々なアイデアを構想し、また整理してまとめたい。もちろん、できればアイデアをまとめるだけでなく実際に手を動かしてモノとして仕上げたい。ただ、今の亭主にせいぜいできることはといえば、こうやって思考をテキストにまとめることくらいだ。

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2014年12月16日 (火)

12/16 【聴】 Julianna's Tsunashima Vol.1 / V.A., Troubadour Record(TTRC-0033)

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細江慎治、佐宗綾子、佐野電磁、相原隆行ら元ナムコ・サウンドチームのメンバーを中心としたインディーズ・レーベル、トルバドール・レコード。YMOのフェイク・プロジェクト"OMY"に続くフェイク第2弾は、ジュリアナ東京のサウンドにインスパイアされた「ジュリアンナ TSUNASHIMA」のディスコミックス。1999年リリース。

バブル経済の申し子として、一世を風靡した巨大ディスコ・ジュリアナ東京。ボディコンやジュリ扇などのいわゆる「頭悪い系ファッション」ばかりが前面に押し出されたジュリアナのあおりを受けて、そのサウンドも世間からはかなり冷遇されている。当時過激すぎるダンス・ミュージックともてはやされていた「デステクノ」「ハードコアテクノ」が(ジュリアナ以降も)生き延びたジャンルがゲームミュージックであったことは、ひとえにめがてん細江氏の功績と言って良い。デステクノやハードコアテクノをフィーチャーした"Rave Racer", "X-Day / X-Day 2", "F/A"などのサウンドの延長上に、本作「ジュリアンナ TSUNASHIMA」がある。ちなみに綱島は横浜市港北区の地名だそうで、鉱泉が沸いたことから「綱島温泉」などと呼ばれたこともあるのだという。温泉街を中心として発展した歓楽街、庶民の娯楽を極彩色に切り取った世界が「ジュリアンナ」だといえるだろう。

前置きが長くなったが、本アルバム。フェイク・プロジェクトと銘打ってはいるが、そのサウンドは正統派レイヴ・サウンドといっても申し分ない。厚めに塗ったシンセ・リードといい、お決まりの女性の掛け声といい、デステクノやハードコアテクノの作法・文法をしっかりと継承している。OMYのように元ネタとなる曲があるのかは不明。ただしそのサウンドにはしっかりとしたレイヴの魂が宿っている。難を言えば音質が悪く、音圧も低い。"F/A"のサウンドトラックでも感じたことだが、サンプリング・ミュージックの限界なのだろうか?

2014年12月14日 (日)

12/14 【動】 第10回さのマラソン大会

栃木県佐野市で開催された題記大会に参加した。

種目は42.195km, 5km, 2km, そして親子による2kmの部。42.195kmは男性1878人、女性200人、5kmは男性357人、女性146人、2kmは229人、親子は274組が出場するという、比較的小規模な大会。亭主はもちろん42.195kmに出場している。

佐野市運動公園陸上競技場をスタートに谷間の集落を大きく巡るコース。途中峠道の登り―下りがあり難易度は比較的高い。また関門が20km、32km、38kmに設定されていて20kmの制限時間は2時間20分と初心者や、ゆっくり走りたい人にはかなりきついレースと言えるだろう。

Evernote Camera Roll 20141214 224253.jpg当日は天候に恵まれ、晴れ。ただし寒波が襲来しているため気温は低めで、コース途中ではちらちらと雪も見られた。

Evernote Camera Roll 20141214 224253(3).jpg佐野といえば、佐野厄除大師に、佐野ラーメン、そして2013年ゆるキャラグランプリで見事1位を獲得した「さのまる」。会場にもさのまるが来ていて、なにやらあちこち忙しそうに走り回っていた。どうやらスタート地点で皆を見送るためスタンバイしているところだったらしい。

亭主はといえば、ここ3週間で30km走を3回おこなった状態で参加する事ができた。長距離走は充分だが、ペース走やスピード走などの全体的な練習不足は否めない。そのため本大会を1月に開催される勝田マラソンの練習と位置付けている。全体的にペースを抑えて後半に足を残す計画はいつものとおり。前半は計画どおり、6分/kmを少し切るペースを保つことが出来たが、後半の峠道でずるずるとペースを落としてしまい、前半の貯金を一気に使い果たしてしまった。なんとか目標にしていた4時間20分切りは達成したものの、後半のペースダウンに課題が残るレースとなった。

ちなみに今回後半でペースダウンした理由の一つに、途中沿道で貰ったみかんを食べたことが挙げられる。このところ亭主、長距離を走るとレース中・レース後に唾液がでなくなってしまうのだが、どうやら胃の具合も悪くなるらしい。みかんを食べてからというもの胃の調子がおかしく、残り2kmなどは本当に半死半生、苦しさの余り歩いてしまおうかと思ったほどだ。なんとかゴールは出来たものの、レース中に消化の悪いものは食べるべきではないと痛感した次第。

結局帰りに、高速道路の路肩で吐いてしまい、その後寝るまで何も食べないことになった。会員になっているスポーツジムで汗を流して帰宅。

おそらくマラソンに起因する胃腸の不調だろうが、世間ではウィルス性の胃腸炎が多いという。
気をつけたい。

2014年12月12日 (金)

12/12 【聴】 M2Tech HiFace Evo Clock (2)

昨日購入したEvo ClockをHiFace Evoに接続し、とりとめなくいろいろな音楽を聴いている。

もちろん深夜のオーディオである。音量はごくごく小さく、周囲に音が漏れないように心がけている。

迷惑にならない程度にそろそろとボリュームを上げ、Evo Clockを使った場合と、使わない場合の音の違いを確かめてみる。Evo Clockには電源スイッチがないため、乱暴だが、ACアダプタのプラグを、音楽再生中に抜いたり、また付けたりする。そもそも音声信号ではないから、電源を入れたり、切ったりしても別にどうということはない。機器にはいくらかのダメージがあるかもしれないけれど。

Clockを使った場合と使わない場合の音の違いは、意外なほどよく分かった。Clockを使わない状態から使った状態へと切り替えると、音の見通しがすっと良くなるからだ。

まるで暗い部屋に外から光が差すように、うつむいた顔を空へと向けるように、音がぱあっと明るくなる。

この変化はClockを入れた直後がもっとも顕著である。よく世間では、Clockの効果を「ベールがはがれるように」などというが、なるほどその形容は正しい。ベールというと少し重たすぎる、不透明すぎるというならば、霧が晴れる、光が差すと形容しても良い。その効果は意外なほどによくわかる。

面白いのはこの変化が、いわゆる高域や低域といったオーディオにおいて再生が難しいとされる帯域で起きるのではないという点だ。むしろ中域、もっとも我々が良く聴く、音楽を楽しむ部分で変化する。目の前からベールがはがれた瞬間は、誰にでも実感できる。たとえそれが、PCオーディオでも、小音量でも、電子音楽などでも、だ。

おっと、ちなみに亭主が所有しているHiFace Evoは、DDC、つまりUSBからのデジタル信号を、同軸や光のデジタル信号へと変換するコンバータである。アナログ部分は一切無い。DACにはRotelのRDD-06を使っている。デジタルの信号だけでこれだけの変化というのはちょっとした驚きでもある。

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それにしてもM2Techの製品は、無骨に過ぎる。

業務用、DJ用などで無骨なデザインを施した音響機器は少なくないが、まるでキット品のようなデザイン、どこかのオーディオマニアが手遊びに作ったようにも見えるデザインは、好みの分かれるところだろう。それでもその音のよさ、クロック導入の効果を考えれば、このデザインを嫌いになるわけにはいかない。痛しかゆしといったところか。

積み上げて置くと安定に欠くようなので、ラックのようなものが欲しいと考えている。

2014年12月11日 (木)

12/11 【聴】 M2Tech HiFace Evo Clock!!!

20141211hifaceevoclock.jpgイタリアのオーディオメーカ、M2TechのHiFace Evo Clock(上段)を購入した。

同社のHiFace Evo (DDC-下段)に外部からクロックを供給するもので、ワードクロックは44.1, 48, 88.2, 96, 176.4, 192, 352.8, 384kHzの8種類、マスタークロックは22.5792MHzと24.576MHzが選択可能。クロックによってデジタルデータの精度を時間軸方向に高めることで、さらなる音質向上が期待できるのだという。

このようなクロックジェネレーターは、本来ならばメインとなるオーディオシステム、TEACなどのハイエンドCDプレーヤなどに装備されているクロック端子に接続すべきなのであろうが亭主は予算の関係上、PCオーディオシステムに導入した。もっとも最近は、もっぱらPCからFoobar2000経由でメインシステムに向けて音楽を送出しているので、もっとも気軽な、また使い込む部分への導入となる。

肝心のEvo Clock導入による音質の変化については、残念ながら未済。平日は小音量で音楽を楽しんでいるため、音質を語れる段階にない。

今後じっくりと聞き込んで評価していく予定。。

2014年12月10日 (水)

12/10 【聴】 Technoca / Watusi(Coldfeet), Oiran Music|Octave Lab|Ultravibe(OTLCD2130)

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Lori Fine(Vo.)とのユニットColdfeetでの活動がとみに有名。ベーシスト、コンポーザー、プロデューサーとして強炭酸のハウス・ミュージックを多くリリースするWatusiがついにソロアルバムをリリースした。渋谷道玄坂のバー「しぶや花魁」の音楽ブランド、"Oiran Music"からの第1弾リリースとなる。東京を意識したハードコアなテクノ、三上博史、Saolilith、Nonokaなどのゲスト・ヴォーカリストが参加している。全13曲。

Technocaは「テクノ化」のことだろうか。東京発、アッパーなテクノ・トラックはいかにもフロア向けといった趣だ。Coldfeetのような圧倒的な音圧や攻撃的でノイジイなサウンドはないものの、日本独特の(特に日本人には)わかりやすーいテクノに親近感が沸く。Watusiならばもっとお洒落に、スノッブに仕上げてもよいのかもしれないが、「しぶや花魁」というところがどんなところなのかわからないためなんとも言いようがない。わりとトッポいというかミーハーな感じに聴こえるのは、Watusiの器用さ、適応力の高さゆえだろうか。意外だ。

2014年12月 9日 (火)

12/09 日々雑感


夜中に人知れず「どむや」のサイトを更新している。
この日はお友達サイトへのリンクの更新。「いらっしゃいませ」のページの、他のサイトへのリンク状態を確認した。ところが、リンク切ればかりで相互リンクの役割を全く果たしていない。かろうじて相互を保っているサイトもほとんど更新されておらず、ホームページというよりも空き家に近い。更新されているサイトはといえば、亭主のサイトと、ぃょぅRさんのサイトくらいだ。

こうなると、SEO的には被リンクを増やすよりも検索キーワードを増やしてGoogleの検索順位を上げたくなるのだが、このブログに「妖怪ウォッチ」だの「なんとかえれきてる」だの流行のキーワードを散りばめて、意味があるとも思えない。

とりあえず相互リンクが成立しているサイトのみを残してあとは全て消してみた。向こうのサイトもリンクを解除しているのだからお互いさまだろう。

それにしても個人ホームページは絶滅寸前である。
こうなると意地でも維持しなけれはならない…と思いつつ、またまた密かにサイト改造を構想している。


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2014年12月 8日 (月)

12/08 【聴】 路上 / 小島麻由美, AWDR LR2|Space Shower Music(DDCB-12073)

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育児にて活動を休止していた小島麻由美が、前作「ブルーロンド」以来4年10ヶ月ぶりに発表したオリジナル・フル・アルバム。先行シングル「渚にて」から「泡になった恋」を含む全10曲。ねっとりとした歌い口と、レトロなリズムとが中毒になるポップ・ミュージック。子供さんは無事区立保育園に入園したそうで、おめでとうございます。

小島麻由美の魅力は、(先にも書いたように)なんといってもレトロ調のリズムとヴォーカルに尽きる。1960年代に大流行したサーフ・ミュージックやグループ・サウンズをフィーチャーしたトラックは、聴く人に妙な安心感と、ワクワク感を与えてくれる。どこかで聴いたことのあるリズム、しかしそのバリエーションは実に多い。コンセプトは定まっているのにワンパターンに陥ることがない。

もう一つの魅力は、彼女独特の節回し。ねっとりとした歌い口、目標の音程へとまっすぐ到達せず、微妙な半音を経る歌い口が妙にあとをひく。半音の使い方の巧みさは、奥田民生の楽曲、ユニコーンやPuffyの曲や、ひいてはアラブの音階にも通じるものがある。微分音階というやつ。

言うのは易いが、実際に半音を駆使してねっとりと歌い上げるのはなかなかに難しい。全く逆が「アナと雪の女王」の"Let it go"、肺活量と音域さえカヴァーしていれば、あとは気合でなんとかなる歌い方なのだが・・・まあそれはどうでもいい話。ともあれ、アクの強さを楽しみつつ、まったりと聴きたい。

2014年12月 5日 (金)

12/06 【読】 「アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(小倉 広、ダイヤモンド社)」

「アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(小倉 広、ダイヤモンド社)」

オーストリア出身の心理学者・アルフレッド・アドラー。フロイトやユングと並ぶ心理学の巨人と評されながらも、巷間での評価はけして高くない彼の業績を、わかりやすい言葉を用いて書き下したのが本書となる。著者である小倉氏は組織人事コンサルタント、アドラー派心理カウンセラーとして活躍している。

「自己啓発の父」などと呼ばれ、「七つの習慣」のスティーヴン・R・コヴィーや「人を動かす」のデール・カーネギーら多くの自己啓発本で参照されるアドラー。「個人心理学」のジャンルを開拓し、マズローやロジャースなど近代心理学の礎となった心理学者たちに多大な影響を与えた彼ではあるが、日本での知名度は圧倒的に低い。その理由は彼の考え方が、あまりにも「あたりまえ(コモンセンス)」の話であり、また心理学の枠を超えて何度と無く使われている言葉ばかりだったからに他ならない。コーチング理論やNLPなど、アドラーの言葉をそのまま引用した自己啓発プログラムは実に多いが、そのほとんどが、それら言葉がアドラー由来であることを表明せず、まるで新しく発見された言葉であるかのように使われている。ともあれアドラーはそんな状況に頓着しなかったようだ。

アドラーの知名度が低い理由のもう一つは、彼が著作となるようなものをほとんど遺さず、また彼の弟子や孫弟子といった人間たちが、フロイトやユングのような「学派」を形成しなかったことにある。代わりに、多くの自己啓発プログラムが彼の考え方に共感した。またアランの「幸福論」が、キリスト教におけるイエスの教えがアドラーの考え方を下支えした。学派ががっしりとスクラムを組んで論陣を張らずとも、人々の心がすんなりと受け止める、実に親和力の高い考え方だったといえるだろう。

では、たとえばどんな言葉がかかれているだろうか。

「人生が困難なのではない。あなたが人生を困難にしているのだ。人生はきわめてシンプルである。(自己決定性)」

「あなたが劣っているから劣等感があるのではない。どんなに優秀に見える人にも劣等感は存在する。目標がある限り、劣等感があるのは当然なのだ。(劣等感)」

「悲しいから涙を流すのではない。相手を責め、同情や注目を惹くために泣いているのだ。(感情)」

本書にはほかにも(ライフスタイル)、(ライフタスク)、(家族構成)、(教育)、(共同体感覚)、(勇気)、(課題の分離)などについて言及しているが、その考え方の多くが個としての自立や責任感、社会に生きる人間としてあるべき振る舞いを語っている。その言葉はときに痛烈で、ときに優しい。亭主にとっては研修で習った、あるいは様々な本で読んだ言葉が多く、まるでこれまでの復習をしているような感じで詠むことができた。

心理学というほどには体系的ではないが、実践面においては非常に応用の効く言葉ばかりだったように感じた。

2014年12月 3日 (水)

12/03 【読】 積読の本いろいろ

出張の移動時間を利用して積読の本3冊を読み終えた。残りの積読本は15冊。

積読なので、棚の上の、本を積んであるところは見えても、横からなのでタイトルは読めない。

なんとなくざっくりと、うろ覚えで、どんな本がつんであるかを透視してみることにした。

【小説】
・錨を上げよ(百田尚樹)
・とっぴんぱらりの風太郎(万城目学)
・ペテロの葬列(宮部みゆき)

【アーティスト本・評伝】
・EXILEのHIROが書いた本があった気がする。
・ダニエル・ラノワ伝
・柳原白蓮の本があったような
・細野さんのエッセイ本

【こころ】
・歎異抄の解説本
・アドラー心理学

【地誌・民俗学】
・秘境本
・日本奥地紀行
・サンカ研究

【ビジネス・経済】
・イノベーションの解
・アル・ゴアの本
・寺島実朗の本

うんうん、結構覚えている。

この中で明らかに薄い本・いわゆる文庫本は柳原白蓮の本くらいで、あとはそれなりに分量がある。今日のようにぱぱぱっと3冊消化できるようなものでもなさそうだ。なかから「ペテロの葬列」「イノベーションの解」「アドラー心理学」の3つをセレクトしTwitterで次は何を読もうかとつぶやいたところ、アドラー心理学に2票入った。

次、決まりました。

12/03 【読】 「売国妃シルヴィアーグイン・サーガ134−(宵野ゆめ、ハヤカワ文庫)」

「売国妃シルヴィアーグイン・サーガ134−(宵野ゆめ、ハヤカワ文庫)」

作者・栗本薫の急逝により、二人の作家によって書き続けられることになった群像大河ファンタジー・グイン・サーガの続編プロジェクト最新刊。シリーズ再会後第4巻目となる本作は、第132巻「サイロンの挽歌」に続くストーリとなる。

「七人の魔道師」事件によって壊滅寸前にまで追い込まれた北の大国・ケイロニアの首都サイロン。豹頭の超戦士でケイロニア王のグインは、サイロン復興のため日夜激務を続けていた。ところが、惑乱により離宮に幽閉されていたケイロニア王妃がなにものかの手によって脱走・姿を消してしまう。折りしもケイロニア皇帝であるアキレウスの体調は日々悪化し、いつ崩御してもおかしくない状態にある。皇帝の空位を懸念するケイロニア宰相ハゾスは、ケイロニアに12人いる選帝侯たちを一同に集め、グインの皇帝即位の承認を得ようと画策していた。

当初は「本当に続編がかけるのだろうか?完結へと導くことができるのだろうか?」と半信半疑だった続編プロジェクトだったが、4冊目を数えてますます油がのってきた感がある。その力強い書きぶりはもちろん、栗本氏が亡くなってもなお風呂敷を広げ続けるチャレンジ精神は驚嘆の一言につきる。亭主としてもぜひぜひ応援していきたいと思っている。

12/03 【読】 「ユンカース・カム・ヒア II (木根尚登、ソニーマガジンズ)」

「ユンカース・カム・ヒア II (木根尚登、ソニーマガジンズ)」

元TMネットワークの木根尚登による書き下ろし小説三作目。しゃべるミニチュア・シュナウザー犬・ユンカースと、その飼い主・瞳との心のふれあい・大冒険を描いて話題となった「ユンカース・カム・ヒア」の続編が本作となる。なお、ユンカースは、小室哲哉の愛犬で実在のミニチュア・シュナウザーなのだという。 「しゃべる犬」のコンセプトはフジテレビのドラマ「マルモのおきて」が有名だが、本作はさらにさかのぼって1990年に発表している。

前作からおおよそ2年後の物語。高校生だった瞳は、憧れの先輩・安西がいる北海道大学への入学を果たしていた。力を使い果たし、瞳のもとから去っていったユンカースを探すため八方手を尽くした彼女だったが、彼の行方は杳として知れなかった。最後の希望と、卒業旅行で彼に出会ったイギリスのペットショップに向かった瞳。そこで彼女は偶然にも、ユンカースによく似たミニチュア・シュナウザーを見かける。

前作もかなりストーリ展開が速いと感じたが、本作は前作に輪をかけて速い。舞台はどんどんと移り、また登場人物たちもその展開の速さにあわせてめまぐるしく動き回るあたりは果たして良いものなのだろうか。物語中発生するいくつかのイベントに向けて様々なエピソードがどんどんと(しかもかなり無理やり)つじつまをあわせつつ接続していく構成は、少し乱暴であり。ユンカースの愛らしさは相変わらず。ただしストーリ展開が速いため充分に物語を描ききっていない・雑駁な印象が最初から最後までつきまとった。

本来ならば、ストーリ内容は隠しつつ、いやあやっぱりミニチュア・シュナウザーは最高ですねという結論でしめたいところなのだが、その部分にまで入り込めなかったのが残念である

12/03 【読】 「音楽少年漂流記(細野晴臣、新潮社)」

「音楽少年漂流記(細野晴臣、新潮社)」

YMO散開後の1987年。ソロとしての活動を休止していた細野さんが「朝日ジャーナル」の企画で11人の女性と対談した内容を1冊にまとめたもの。ただし第1回のオノ・ヨーコさんとの対談は諸般事情により単行本未収録となっている。散開後もYMOとしてのパブリック・イメージが付きまとう自らの状況に疲弊し、停滞しきった音楽業界に絶望を感じていた細野さんが、時代の先端を行くトップ・アーティストらとの対話を通じてあてどない「漂流」を繰り返す。

オノ・ヨーコさんのほか、本書に掲載されている女性は、中島みゆきさん、大貫妙子さん、宮田まゆみさん、越美晴さん、銀色夏生さん、盛岡夕美子さん、原谷治美さん、矢野顕子さん、都はるみさんの10人。特に注釈が必要な人は、宮田まゆみさん(邦楽家で笙の演奏家)、盛岡夕美子さん(作詞家)、原谷治美さん(韓国の楽器カヤグム演奏家)、あたりだろうか。いずれもひとくせもふたくせもある人ばかり、トップ・アーティストとして旬真っ只中・エッジがたちまくった人ばかりなだけに、その内容もそれぞれの個性を強く反映したものになっている。いわゆる天然系のはしりとでもいおうか、銀色夏生さんの自由すぎるキャラであったり、度を越した「音オタク」の宮田まゆみさんであったり、あるいは当時歌手業を退きプロデュース業へと転進し辣腕をふるっていた都はるみさんであったりと、そのアクの強さには細野さんもかなり苦戦して(あるいはその苦戦ぶりを自身で楽しんで)いたようである。当時は「働く女性」「自立した女性」に社会的注目が集まっており、その先鋭である彼女らにもまた好奇の目が向けられていた。対談相手の人選にいくらか「見世物」的なあざとさがあることは否定できないが、インタビュアーである細野さんもまたYMO時代を引きずる「見世物」的なキャラクターであった。結果的に刺激的で、時代を経てもなお古びない対談になっているように思う。 特に越美晴さんの1987年における見解は鋭い。

越「でも私、いままでのレコードを売っていくシステムが崩壊しつつあると思ってるわけ。まずレコードが売れないじゃない?いままで売れてた人だってそんなに売れないでしょ。だから、自分が表現していく方法も含めて、売っていく方法を変えなきゃいけない時代だと思ってるんですね。」(p.114)

慧眼すぎて何も言えない。ちなみにアイドルとしてデビューした越さんは、その後シンガー・ソングライター、ポップ・シンガーへと転進、現在もコシミハルとして音楽活動を続けている。現状認識が早かったからだろう、しっかりと現在の音楽シーンで存在感を示している。

なお本書では、細野さんが対談相手に対して「森のイメージ・テスト」という心理テストをなげかけている。

  1. 森があります。どんな森ですか。
  2. 歩いていくと家があります。どんな家ですか。 家に入りますか。
  3. 家を出て歩いていくと動物に会います。どんな動物ですか。
  4. 歩いていくと湖(川)があります。どんな湖(川)ですか。
  5. 反対側の岸にいきたいのですが、どうやっていきますか。
  6. 向こう岸に行くと鍵が落ちていました。どんな鍵ですか。拾いますか。
  7. さらに歩いていくと壁があります。どんな壁ですか。どう行動しますか。
みなさんはどう答えるだろうか。ちなみに亭主は

  1. 北欧やスコットランドの針葉樹林帯。幹が太く、巨大な木が一定間隔で立ち並ぶ。下草はない。上は見えないほどに高い。
  2. 山によくある避難小屋。人はいない。鍵がかかっていて中は窓から見るしかない。埃だらけの土間があるだけで何もない。
  3. 熊。二匹の小熊を連れているから親子。遠巻きに見て近づかない。連れ立って歩く姿が微笑ましい。
  4. ひたすらに透明な湖。静かに水をたたえている。
  5. 向こう岸に至る道がなく、森が深いため近寄ることもできない。
  6. 金属製だが朽ちかけた鍵。そこでずっと朽ちていくのであろう。そのまま置いておく。
  7. 壁かと思ったら断崖だった。上にはさらに高い山が続いている。登るか、登るしかないのだろうなぁ。
(2014.12.03)

それぞれの質問の答えに対する解釈は以下。

  1. (人生全体の雰囲気)
  2. (家庭観)
  3. (異性)
  4. (ここ2,3年の未来観)
  5. (日常の歩き方)
  6. (現実感、物質・金銭感覚)
  7. (問題意識)
なんだこの自分の回答の終わってる感は。

2014年12月 1日 (月)

12/01 【食】 肉を食べないという話。

妻は記憶力が良いそうで、亭主のつまらないことをいろいろと覚えている。

たとえば、行きつけの店で外食をした際、亭主が前回、前々回食べたものをしっかり覚えている。

ただ、亭主にはメニューの中から自分の一番好きなものを選ぶクセがあるので、注文するものが同じになるのは、ある意味仕方ないことなのかもしれない。一番好きなものを選ぶので、他人の食べるものをうらやましいと思ったことも、また自分の選択が失敗であると思ったことも無い。その店に入るのが今回で最後かもしれないと思えば、後悔はしたくない。

とはいえ、妻から「前回と同じものだよ」と毎回指摘されるのもつまらない。そこで最近は「自分が絶対選びそうに無いもの」を意識して選ぶよう心がけている。

「自分が絶対選びそうに無い」ということは、「嫌いなもの」を選ぶことではない。メニューの中の全てが「美味しい」「選んで大成功である」と思うよう心がけ、その上で普段自分が選ばないものを、あえて注文するのだ。

メニューに掲載されているのだから、少なくとも不味いはずが無い。意識を変えればどんなものでも美味しく食べられるし、実際美味い。

つまらないことをいちいち指摘されていやな気分になるよりは、自分が変わってしまえばいい。

そう思っている。

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