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2014年12月17日 (水)

12/17 【読】 「とまっていた時計がまたうごきはじめた(細野晴臣+鈴木惣一郎、平凡社)」

「とまっていた時計がまたうごきはじめた(細野晴臣+鈴木惣一郎、平凡社)」

「分福茶釜」から5年。平凡社より細野さんの最新エッセイ集が出版された。聞き手は前作と同じく、World Standardの鈴木惣一郎。東日本大震災が発生した2011年3月以降の細野さんの心の動きを、聴き手の鈴木氏が、音楽、お笑い、原発、そして友人の死などの話題を通して描き出す。

東北地方のみならず、国内、ひいては全世界に対して大きなダメージを与えた東日本大震災。1000年に一度とも言われる未曾有の大災害は、細野さんを含む音楽家に多大な影響を与えた。地震と津波によって多くの命が失われ、また引き続いて発生した原発事故によって多くの人が住む土地を追われるなか、果たして音楽などというものを続けていていいのだろうかと苦悩した音楽家は多かったようだ。AKB48はいち早く被災地へと乗り込みボランティア活動に取り組み、坂本龍一は原発反対・政治活動へと心血を注いだ。一方細野さんはといえば、あまりのショックにオリジナルの曲を作ることが出来なくなってしまったのだという。2011年4月に、ろうそくの灯を明かりにして、ギター演奏による小規模かつ質素なコンサートを開催したことは記憶に新しい。本書では、そんな細野さんの震災後の活動を鈴木氏がひとつひとつ、丁寧に掘り起こしていく。その二人の関係を、作中では落語になぞらえて「ご隠居」「熊さん」などと書いている。

本書を通して感じることに、かつては仙人というか隠者というか、達観していた細野さんの心境が、かなりドラスティックに変化している点が挙げられる。頑固爺さんになった、と感じる以上に、後進たちに何かを伝えよう、残そうという意思がはっきりと感じられる。オリジナルの曲は作ることができなくなったが、最新アルバム"Heavenly Music"がカヴァー曲を全面的にフィーチャーしたように、かつての名曲、佳曲の数々を積極的に紹介する活動を続けている。本書においても古今東西多くのアーティストの紹介があり、さながらミュージック・ガイドの様相を呈しているあたりは、鈴木さんのこだわりだろうか。

盟友であった大瀧詠一さんの突然の訃報、語られなかった大瀧さんとのエピソードなど、初めての話も多い。読者もまた「熊さん」となって、細野さんの語りに耳を傾けてはどうだろうか。

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