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2014年12月 3日 (水)

12/03 【読】 「音楽少年漂流記(細野晴臣、新潮社)」

「音楽少年漂流記(細野晴臣、新潮社)」

YMO散開後の1987年。ソロとしての活動を休止していた細野さんが「朝日ジャーナル」の企画で11人の女性と対談した内容を1冊にまとめたもの。ただし第1回のオノ・ヨーコさんとの対談は諸般事情により単行本未収録となっている。散開後もYMOとしてのパブリック・イメージが付きまとう自らの状況に疲弊し、停滞しきった音楽業界に絶望を感じていた細野さんが、時代の先端を行くトップ・アーティストらとの対話を通じてあてどない「漂流」を繰り返す。

オノ・ヨーコさんのほか、本書に掲載されている女性は、中島みゆきさん、大貫妙子さん、宮田まゆみさん、越美晴さん、銀色夏生さん、盛岡夕美子さん、原谷治美さん、矢野顕子さん、都はるみさんの10人。特に注釈が必要な人は、宮田まゆみさん(邦楽家で笙の演奏家)、盛岡夕美子さん(作詞家)、原谷治美さん(韓国の楽器カヤグム演奏家)、あたりだろうか。いずれもひとくせもふたくせもある人ばかり、トップ・アーティストとして旬真っ只中・エッジがたちまくった人ばかりなだけに、その内容もそれぞれの個性を強く反映したものになっている。いわゆる天然系のはしりとでもいおうか、銀色夏生さんの自由すぎるキャラであったり、度を越した「音オタク」の宮田まゆみさんであったり、あるいは当時歌手業を退きプロデュース業へと転進し辣腕をふるっていた都はるみさんであったりと、そのアクの強さには細野さんもかなり苦戦して(あるいはその苦戦ぶりを自身で楽しんで)いたようである。当時は「働く女性」「自立した女性」に社会的注目が集まっており、その先鋭である彼女らにもまた好奇の目が向けられていた。対談相手の人選にいくらか「見世物」的なあざとさがあることは否定できないが、インタビュアーである細野さんもまたYMO時代を引きずる「見世物」的なキャラクターであった。結果的に刺激的で、時代を経てもなお古びない対談になっているように思う。 特に越美晴さんの1987年における見解は鋭い。

越「でも私、いままでのレコードを売っていくシステムが崩壊しつつあると思ってるわけ。まずレコードが売れないじゃない?いままで売れてた人だってそんなに売れないでしょ。だから、自分が表現していく方法も含めて、売っていく方法を変えなきゃいけない時代だと思ってるんですね。」(p.114)

慧眼すぎて何も言えない。ちなみにアイドルとしてデビューした越さんは、その後シンガー・ソングライター、ポップ・シンガーへと転進、現在もコシミハルとして音楽活動を続けている。現状認識が早かったからだろう、しっかりと現在の音楽シーンで存在感を示している。

なお本書では、細野さんが対談相手に対して「森のイメージ・テスト」という心理テストをなげかけている。

  1. 森があります。どんな森ですか。
  2. 歩いていくと家があります。どんな家ですか。 家に入りますか。
  3. 家を出て歩いていくと動物に会います。どんな動物ですか。
  4. 歩いていくと湖(川)があります。どんな湖(川)ですか。
  5. 反対側の岸にいきたいのですが、どうやっていきますか。
  6. 向こう岸に行くと鍵が落ちていました。どんな鍵ですか。拾いますか。
  7. さらに歩いていくと壁があります。どんな壁ですか。どう行動しますか。
みなさんはどう答えるだろうか。ちなみに亭主は

  1. 北欧やスコットランドの針葉樹林帯。幹が太く、巨大な木が一定間隔で立ち並ぶ。下草はない。上は見えないほどに高い。
  2. 山によくある避難小屋。人はいない。鍵がかかっていて中は窓から見るしかない。埃だらけの土間があるだけで何もない。
  3. 熊。二匹の小熊を連れているから親子。遠巻きに見て近づかない。連れ立って歩く姿が微笑ましい。
  4. ひたすらに透明な湖。静かに水をたたえている。
  5. 向こう岸に至る道がなく、森が深いため近寄ることもできない。
  6. 金属製だが朽ちかけた鍵。そこでずっと朽ちていくのであろう。そのまま置いておく。
  7. 壁かと思ったら断崖だった。上にはさらに高い山が続いている。登るか、登るしかないのだろうなぁ。
(2014.12.03)

それぞれの質問の答えに対する解釈は以下。

  1. (人生全体の雰囲気)
  2. (家庭観)
  3. (異性)
  4. (ここ2,3年の未来観)
  5. (日常の歩き方)
  6. (現実感、物質・金銭感覚)
  7. (問題意識)
なんだこの自分の回答の終わってる感は。

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