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2014年10月12日 (日)

10/12 【読】 「ドミトリーともきんす(高野文子、中央公論新社)」

「ドミトリーともきんす(高野文子、中央公論新社)」

1979年デビュー。「絶対安全剃刀」「おともだち」「ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事」「るきさん」などの作品で知られ、寡作ながらもコアなファンを擁する高野文子の最新作。架空の学生寮「ドミトリーともきんす」を舞台に、寮母さんとのその娘、そして一風変わった4人の若き科学者たちとの交流を描く。

ドミトリーともきんす、1階は寮母さんの「ともこさん」と娘の「きんこさん」の住居、2階に4人の学生さん、朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹 がそれぞれ暮らす寮室がある。寮生はおりにつけ1階に降りてきて、食事を食べたり、きんこさんと遊んだり、あるいは雑談をしたりする。いずれも高名となる科学者たちである。雑談の内容は高尚で、どこか浮世離れしている。理系な会話はとんと苦手なともこさん、若い頃の科学者たちの言葉に耳を傾ける。

寮生の会話は、彼らの著書から多くの素材を得ている。彼らの著書にかかれてあったことば、その思想がコミックという形で現れているといえばよいだろうか。各エピソードの最後には著書の解説も収録されている。実は本書、ちょっとした科学エッセイというか、科学読本としての役目もあるのだという。 日常の何気ないエピソードを、彼らの深い思索と直結させる構成は見事。一般人代表ともいうべきともこさん、子供代表とでもいうべききんこさんの視点を通すことで、彼らの思索がユーモラスな日常として自然に頭に入ってくる。

ところで高野文子の作品といえば、音楽的であったり詩的であったりオペラ的であったりと作品ごとにリズムが異なるのが面白い。本作はといえば良く出来た講義録をぱらぱらと眺めているような軽快さ、快活さが感じられる。科学が得意な人はもちろん、苦手な人もこのリズムにあわせて少しスウィングしてみてはどうだろうか

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