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2014年5月27日 (火)

05/27 【読】 「渚にて(ネヴィル・シュート、創元SF文庫)」

「渚にて(ネヴィル・シュート、創元SF文庫)」

東西冷戦・1958年のベルリン危機の1年前に刊行。第三次世界大戦終息後の滅び行く世界を精緻に描いた近未来小説の傑作。邦訳は1958年が初出だが、今回は東京創元社の文庫創刊50周年記念として、2009年に新訳されたものを購入している。ちなみに作者であるネヴィル・シュートは1899年イギリス生まれ。航空機技術者、航空関係の実業家として成功した後、第一次世界大戦への従軍経験をもとにした冒険小説家としてイギリスではアガサ・クリスティらとならんで大きな支持を得ている。

ロシアからの核ミサイルの誤射によって引き起こされた第三次世界大戦。各国からのミサイルの反撃の連鎖によって、北半球諸国は死の灰に汚染され、北半球の生物のほとんどが死滅する事態となった。辛くも生き残った南半球の国々、オーストラリアや南アフリカ、ブラジルなどの人々は、残り少ない資源と停止した物流のなか、文明レベルを退行させながらもなんとか国家の維持を試みる。だが、地軸の傾きと自転によって死の灰は確実に南へと進行していた。絶望の状況のなか、不意にもたらされたアメリカからのモールス信号。無人となったはずの北半球でいったい何が起きているのか。外洋で戦火を逃れ、オーストラリアへと身を寄せていた合衆国原子力潜水艦「スコーピオン」は、謎のモールス信号の正体を探るべく、汚染された北半球への潜行を試みる。

・・・などと書くとこれがまた勇気凛々・意気揚々たる冒険小説の趣を感じさせるのだけれど、実際は冒険小説というよりも、人間ドラマといったほうがしっくり来る。「スコーピオン」の艦長、合衆国海軍軍人のドワイト・タワーズ大佐、オーストラリア海軍軍人でスコーピオンとの連絡を担当するピーター・ホームズ少佐の二人を軸に物語は進行。妻と二人の子供を合衆国に残し、故郷への帰還を望むタワーズ大佐と、妻と生まれたばかりの子供との生活をなによりも愛するホームズ少佐の周囲を巡る人間関係、心の動きが詳細に語られる。放射能によって汚染され徐々に秩序を失っていく世界の中で、それぞれに愛情を深めゆく二人の男性の姿に、人間にとって何が大切かが伝わってくる。読み終わった後ただただ深い悲しみと、愛情の気持ちとが残った。

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