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2014年3月

2014年3月30日 (日)

03/30 【聴】 At the Five Spot Complete Edition / Eric Dolphy and Booker Little Quintet, Essential Jazz Classics(EJC55537)

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サックス、フルート、クラリネットなどで多彩に活躍したエリック・ドルフィーの1961年作品。オリジナルはファイブスポットでのライブ演奏4曲を収録したアルバムだが、今回はComplete Editionとして2枚組全10曲入りのアルバムを購入した。参加アーティストはブッカー・リトル、マル・ウォルドロン、リチャード・デイヴィス、エド・ブラックウェルほか。

M1 "The Prophet"の奇妙なイントロにまずはやられる。フリースタイルというか前衛というか、ハードバップかくあるべしとでも言いたげな浮遊するトランペットは何度聴いてもインパクトがある。少し前ならば「ヘタウマ」なる言葉がしっくりきたかもしれないフラフラしたフレーズを、果たして「良い」とすべきか「なんじゃこりゃ」とすべきかは誰もが悩むところだろう。もっとも奇妙だけが本作の特徴ではない。M5 "Bee Vamp"のめくるめくトランペットのアドリブ、サックスがそれを引き継いでさらに展開していく様は最高にスリリングで、刺激的だ。

2014年3月29日 (土)

03/29 【聴】 Getz/Gilberto+50 / V.A., Universal(UCCJ2110)

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ボサノヴァの金字塔たる本アルバムのリリース50周年を記念して制作されたカヴァー・アルバム。2013年作品。オリジナル・アルバムに収録された8曲に加え、イパネマの娘の別バージョンをボーナストラックに含めた全9曲。プロデュースは伊藤ゴロー。

参加アーティストがなかなかキている。ヴォーカルとして土岐麻子、布施尚美、細野晴臣、坂本美雨、カヒミ・カリィ、TOKU、原田知世、沖樹莉亜が参加するほか、ピアノに山下洋輔、坪口昌恭、坂本龍一、ベースに鈴木正人、秋田ゴールドマン、ドラムに栗原務、みどりん、チェロにジャキス・モレレンバウム、さらにテナーサックスに菊地成孔と清水靖晃とベテラン・実力派、話題のアーティストがこれでもかと参加している。もちろん伊藤ゴローは全編に参加。オリジナルと非常に似た雰囲気が楽しめる。坂本美羽によるM4"Desafinado"のしっとりとしたヴォーカル、細野晴臣によるM3"Pra Machucar Meu Corasao"の侘びのヴォーカルに坂本龍一のピアノ、清水靖晃のサックスが重なるあたりが聴き所、だろうか。人を食ったようなアレンジや電子楽器は一切無し、オトナのサウンドが心地よい。

03/29 日々雑感

長らく早稲田大学の大学院に通っていた亭主ですが、ようやくこのたび大学を卒業、学位を取得することができました。
関係する皆様には多大なるご心配をおかけしました。また多くの励ましをいただきました。ありがとうございました。

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学位取得の御礼にと、卒業式が挙行された3/26の前日(3/25)に、指導いただいた先生の研究室を訪ねました。

議論の中心は、やはり、理化学研究所の小保方氏による早稲田大学大学院の学位論文での剽窃(盗用)行為。この日は先生と、この件について様々な意見を交換しました。

先生によれば、亭主が所属していた研究科では、学生のレポートは特に厳しいチェックがなされているそうです。もし剽窃が見つかった場合、不正をおこなった学生のその年の全教科の点数は0となる(留年相当になる)ため、あえてリスクを犯してまで剽窃するような人間はいないのだとか。

学位論文についてももちろんチェックしますが、特に英語論文の場合は人によって文章にクセが出るため、たとえば別の論文の文章を丸写しした場合には容易に「その人の文章ではない」と判るのだそうです。

先生は、今回の件を(あくまでも個人的見解として)小保方氏本人の問題であろうと考えていたようです。ただ、小保方氏が在籍していた研究室の他の学生の学位論文にも剽窃が発見されたことはご存じなかったようで、当方がその話をしたところ大変にショックを受けておられました。

大学あるいは指導教官が学位論文で剽窃を推奨することはないため、第一に学生自身の問題、第二に指導教官の怠慢であろう―――とは先生のことば。これは亭主も同感です。

ところで、なぜ学生が、剽窃という行為に至ったのかについてはまだ明確な説明がなされていないように思います。

他の論文を剽窃することが、研究者倫理に反する行為であると知らなかった―――という解釈は、たとえばNatureの論文に含まれる図が、まったく論文とは関係のない画像(たとえば小保方氏の学位論文の画像)をそのまま使っていることと整合しません。むしろ架空の成果を、さもあったかのようにデッチあげたというほうが自然な解釈のように思われます。

良心の呵責のないまま、架空の成果をデッチあげることが、常識的な人間に果たして可能なのだろうか?

小保方氏自身は、Natureの論文あるいは学位論文について「不備」「下書き」であるという主張を貫いており、「架空の成果をデッチあげた」という発言は一切ありません。小保方氏を雇用する理研側の方針として、謝罪を繰り返すことで謝罪の価値が下がるのを避けているのかもしれません。

いずれにせよ、真相は小保方氏が握っていて、彼女が(個人的、組織的双方で)「不思議ちゃん」という役割を演じている限りは、真相は明らかになることはないと思います。

先生によれば、剽窃がみつかった時点で学位は剥奪だろうとのことです。

ただ、この問題がどこまで波及するかはまだまだ不透明で、今後小保方氏と、理研の出方次第ではさらに被害者が増えることでしょう。

一刻も早い小保方氏の真相表明と、事態の収拾を望みます。

2014年3月23日 (日)

03/23 【聴】 Sketches of Spain / Miles Davis, Columbia(CK65142)

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トランペットの帝王・マイルス・デイヴィスが、ギル・エヴァンス・オーケストラとともに作り上げたアルバム。1959〜1960年録音。スペインの作曲家、ロドリーゴの名曲「アランフェス協奏曲」のカヴァーを含むオリジナル5曲。なお亭主はこれに3曲を加えた8曲バージョンを購入している。追加3曲のうち2曲もまた「アランフェス協奏曲」のバージョンなので、都合アルバムに3曲の「アランフェス〜」が収録されていることになる。ただし追加の2曲は1曲を前後編に分けたものなので、基本的には2曲となるわけだが・・・。

トランペット奏者として多くの名盤・名演奏を残したマイルス・デイヴィス。本作においてもギルのアレンジのもと、彼の個性が存分に発揮されている。原曲をほぼそのまま残した「アランフェス〜」もだが、M3"The Pan Piper"にも「アランフェス〜」のモチーフが登場していたり、突如演奏中に軍隊様のファンファーレが何度も登場したりと、おそらくジャズという範疇では絶対に語られないようなサウンドが全編に展開されている。その構成はまるでサウンドトラックのようであり、"Sketches"とあるように情熱あふれるスペインの素描のようでもある。

2014年3月21日 (金)

03/21 【聴】 We Get Requests / Oscar Peterson Trio, Verve|Universal(UCCU6004)

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カナダ出身のピアニスト、オスカー・ピーターソンによる、ピアノ・トリオの決定版的アルバム。1964年リリース。有名曲をコンパイルしたいわゆる「ベスト・アルバム」。全10曲。ベースはレイ・ブラウン、ドラムはエド・シグペン。

非常にスムースな、心地よい雰囲気を持ったアルバム。「イパネマの娘」「酒とバラの日々」など有名曲もクセのない、わかりやすいアレンジに徹している。初心者にはわかりやすい一方で、いわゆるマニアにとってはそのソツのなさがかえって不満だったようだが、冷静にアルバムを聴けばそのピアノタッチの美しさ、演奏の的確さと安定感はむしろ行き着くところまで行き着いた、オールドファンが好むところのようにも思われる。初心者向きと思いきや、実はオールドファン向きというオールマイティさが、大御所たるコールマンの持ち味なのだろう。

2014年3月20日 (木)

03/20 伊豆の思い出

亭主のPCには、pictureフォルダというのがあって、デジカメで撮影した写真が歴代保存されている。

一番最初に撮ったデジカメ写真は1998年1月に、一人で伊豆に出かけた際の写真で、西伊豆の雲見あたりと思われる風景が残っている。そう、実家に帰る途中でふと以前旅した伊豆に寄りたくなり、ほぼ半日をかけて半島を周遊したときのものだ。

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たしか1994年の3月だったか、大学の友人と卒業旅行と称して伊豆を歩いたことがあった。ほぼ1週間の旅程のほとんどで雨に降られて大層辛かったのだけれど、それ以上に楽しい旅だったことを覚えている。1998年に再び伊豆を訪れたときには天候にも恵まれ、上の写真のとおり伊豆の自然を存分に味わうことができた。帰りには道沿いの商店で押し寿司を買い、実家のお土産にした。

次に出かけたのは、大学の研究室の夏合宿にOBとして参加した2004年。このときは伊豆高原に行っている。堂ヶ島だろうか、やけに断崖から海を覗き込んでいた記憶ばかりが強い。このときは伊豆高原のペンションに泊まったが、はてどんなペンションだったかさっぱり思い出せない。

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そのあとはしばらく公私ともに急がしくなり、なかなか伊豆に出かける機会もなかったのだけれど、2012年のゴールデンウィークに家族旅行に行くことになり、東伊豆のペットと泊まれるホテルに一泊二日で行ってきた。

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このとき、まはろくんは1歳と2ヶ月。今写真を見返して愕然とした。どえらい太っている。ちなみに現在3歳と1ヶ月。いたって普通の体型なので、ご心配なきよう。

14年ぶりに出かけた伊豆は、家族旅行ということもあって大変楽しかったのだけれど、昔に比べると疲れたという記憶がとにかく強い。伊豆の海沿いの道は14年の歳月を経ても依然として交通渋滞が酷く、家族の疲れ具合ばかりを気にしていた。日頃は健啖なまはろくんが、疲れのあまり二日ばかり全く食事を撮らなかったことを思い出した。

次に伊豆に行くのはいつになることだろうか。月日は流れても、交通渋滞ばかりは解消しないのだろうなと考えると少しばかり憂鬱にもなった。

 

2014年3月17日 (月)

03/17 【聴】 Getz/Gilberto / Stan Getz and Joao Gilberto, Verve(314521414-2)

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激しいサックス演奏で知られるスタン・ゲッツ(Tenor Sax)と、ボサノヴァ・ギターの名手ジョアン・ジルベルト(Vo. Guitar)がコラボレーションした作品。巨匠アントニオ・カルロス・ジョビンの作品を全面的にフィーチャー(ジョビン自身もピアノで参加)、枯淡でゆったりとしたボサノヴァを聞かせる。オリジナル盤は「イパネマの娘」「ソ・ダンソ・サンバ」ほか全8曲だが、本アルバムにはボーナストラックとして「イパネマの娘」および「コルソバド」のEPバージョンが収録され合計10曲となっている。1963年作品。

ボサノヴァ特有の寂寥感、いわゆる「サウダージ」な感覚が存分に味わえる作品。ジルベルトのギターの爪弾き、あるいはささやくようなヴォーカルがアルバム全体を支配しており、ゲッツのパワフルなサックスもまたどこかサウダージに包まれている。激しいジャズを期待した当時のファンは相当驚いたことだろう。当時の雰囲気は今となっては知る由もないが、いったんボサノヴァの曲調を忘れ、スタン・ゲッツのパワープレイを想像して本アルバムを聞くと新鮮に聴けるかもしれない。

2014年3月15日 (土)

03/15 【聴】 At the "Golden Circle" Stockholm Vol.1 / the Ornette Coleman Trio, Blue Note|Universal (TYCJ81037)

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フリージャズの代名詞的サックス奏者・オーネット・コールマンの1965年作品。冒頭のアナウンスから始まる全8トラック、7曲を収録している。参加アーティストはデヴィッド・アイゼンソン(Bass)、チャールズ・モフエット(Drums)。

奔放で自在なアルト・サックスの調べ、ノリの良い、楽しいサウンドが彼の魅力。アドリブとはいえ主題を感じさせるメロディが全編に展開される。フリージャズというとどちらかといえばとりとめのない、その場限りの楽しみという感じもするが、繰り返し聞いてみるとどことなく親しみの湧くサウンドでもある。チャールス・モフェットのパワフルなドラミングも楽曲全体にスパイスを加えている。ちなみに演奏の途中に雄たけびが上がるが、これはどうもモフェットの声らしい(笑)。12分弱の名演"Faces and Places"、ユーモラスなフレーズが楽しい"European Echoes"を収録。

2014年3月14日 (金)

03/14 【聴】 Africa/Brass / John Coltrane, Essential Jazz Classics(EJC55538)

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マイルス・デイヴィス、セロニアス・モンクらとともに活躍。過激な演奏を特徴とするサックス奏者、コルトレーンの1961年作品。オリジナル盤は"Africa", "Greensleeves", "Blues Minor"の3曲だが、今回はアルバム"The Affrica Brass Sessions Vol.2"と未収録曲"The Damned Don't Cry"を含めた全7曲の盤を購入した。参加アーティストはエリック・ドルフィー(As)、マッコイ・タイナー(pf)、レジー・ワークマン(bass)、エルヴィン・ジョーンズ(Drums)ほか。

コルトレーンにしてはソフトな作品、と(ジャズ喫茶いーぐるのご主人に)評される本作。リズムのうねりの上にサックス・ソロを着実に乗せていく、そんな演奏が楽しめる。"Africa"のともすればぶっきらぼうとも取れるプレイ、"Greensleeves"の平穏なサウンドは、亭主のような素人にも充分わかりやすく、楽しい。

2014年3月13日 (木)

03/13 【読】 「屍者の帝国(伊藤計劃・円城塔、河出書房新社)」

「屍者の帝国(伊藤計劃・円城塔、河出書房新社)」

2007年に「虐殺器官」でデビュー。「ハーモニー」などの長編を残すも、2009年に34歳という若さで夭折した伊藤氏の絶筆を、盟友である円城塔が引継ぎ、完成させたのが本作。第33回日本SF大賞特別賞受賞、2012年度「最高に面白い本大賞文芸部門」第1位受賞、2012年「ミステリーベスト10」国内部門第4位を受賞した話題作。

19世紀、フランケンシュタイン博士が成功させた「屍者の制御技術」が普及した世界の物語。屍体の脳に電気信号を与え、プログラムをインストールすることで屍者に様々な動作をさせることに成功した人類は、(現実の世界とは)全く異なる人類文明を構築していた。単純な肉体労働に始まり、御者、書記官、通訳、さらには兵士までも屍者が担う世界にあって、屍体は一つの巨大産業であった。大学の医学部で、屍体の起動実験に立ち会っていたジョン・ワトソン(のちに名探偵の良き相棒となる)は、指導教官によってその才知を認められ、貿易会社のエージェント(実は軍事スパイ)としてある特別な使命を言い渡される。リットン調査団とともに彼が向かう先は、アフガニスタン。その目的は、荒野の奥地に潜伏する「屍者技術」の黒幕を探すことだった。

病床にあって死を目のあたりにした伊藤氏が、自らに「生」「死」の意義を改めて問いかけた作品であることは間違いない。ただし「生」「死」を扱った作品の多くが極めて内省的で静的であるのに対し、本作は非常に賑々しく、人をワクワクさせる冒険小説に仕上がっている。虚構と現実、創作と史実とが複雑に絡み合った世界感、歴史上の有名人、創作上の人物、空想上のガジェットなどが惜しげもなく登場する様は、ページを繰るたびに胸の高まりを覚える。このサービス精神が伊藤氏の当初構想によるものか、それとも円城氏のアレンジによるものかは判然としないが、極上のエンターテイメントに仕上がっているのは確かだ。スチームパンク、ゴシックホラー、オカルトや錬金術、果てはアクション、ラブロマンス、そして思弁小説に至るまで様々なガジェットをふんだんに詰め込み、それでいて散漫さが一切無いのがすばらしい。いっそハリウッドで映画化したら好評を博するかもしれない。

2014年3月11日 (火)

03/11 日々雑感

2011年3月11日に発生した東日本大震災から、もう3年が経ってしまいました。

震災当日、亭主は職場に居りました。
当時地震が頻発していたので、14時46分、揺れが始まったときはあまり気にしていませんでした。ところが、いつまでたっても揺れが収まらないばかりか、時間が経つうちにどんどんと揺れが強く、激しくなり・・・

気がつけば関東・東北に大きな被害をもたらしていたのでした。

停電、断水、そして道路の寸断。あらゆる物資が不足し、水や食料、燃料をもとめて奔走する日々が続きました。
亭主の家は幸いにも大きな被害がなかったのですが、海岸沿いの家は津波に襲われ、また古い家の多くは倒壊・半壊してしまいました。

そして、原子力発電所の事故。

今も多くの人たちが、住む家を失い、故郷を追われ、また大事な家族を失った悲しみを背負いつつ暮らしています。

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震災が起きて最初の夜はとにかく寒く、たびたびやってくる余震にびくびくしながら、夜が明けるのを待っていました。

今日よりも明日。死なない限り朝はきっと来る。明日は、今日よりマシな日になるだろうと信じて耐えていました。

震災から3年経った現在も辛い日々を送っている皆さんに対して、「明日は、今日よりもマシな日になる」などと言ったところで、気休めにならないことは充分に承知しています。原発の問題は一向に解決せず、震災の保障も復興もままならず、大事な家族は失われて戻ってこないことは充分にわかっているつもりです。

ですが、それでもやはり、「明日は、今日よりもマシな日になる」と信じていたい。どんな絶望の中でも希望を捨てず、辛いときは心を閉ざし感情を押し殺してでも前へと進む作業をしてさえいれば、きっと明日は、今日よりもよくなっていくと信じています。

とりあえず今日はお休みなさい。

明日はきっと良い日になりますよ。

2014年3月10日 (月)

03/10 【読】 「ジャズのある風景(山中千尋、晶文社)」

「ジャズのある風景(山中千尋、晶文社)」

群馬県は桐生市出身、バークリー音楽大学を主席で卒業した後はニューヨークを中心に活動。2001年にはデビューアルバムを澤野工房よりリリースしたジャズ・ピアニスト、山中千尋のエッセイ集。ジャズ雑誌の連載および桐生タイムスへの寄稿記事をまとめたのが本書となる。2013年8月刊。

本書は大きくわけて5部構成。2010〜2012年にミュージック・マガジン、Jazz Perspective誌などで連載していたエッセイをまとめた第1部、Weekly NY Japonへの連載である日記の第2部、Jazz Japanへのエッセイをまとめた第3部、Jazz Lifeおよび桐生タイムスへ寄稿した日記の第4部、そして同じくJazz Lifeに寄稿したエッセイの第5部。その内容は、NYでの生活、他のジャズ・ミュージシャンとの交流、ツアーでの出来事、あるいはその時々での関心事など多岐にわたる。CDなどで奔放なピアノ演奏を繰り広げる彼女だけあって、本書の中の彼女もまた奔放で、快活。気ぜわしいニューヨーカーの気質を反映してか、都会のキャリア・ウーマン然とした雰囲気を醸し出している。ビジネスのためなら女性という性すらも武器にするしたたかさ、ジャズ・ミュージシャン独特のむさくるしい男所帯の中でもけしてめげないメンタルの強さは、まるでハリウッド映画に登場するスーパーウーマンといった趣だ。そもそもがかなり豪快な性格のようで、エッセイ中には、ジャズ評論家、ジャズ喫茶いやさジャズ喫茶のオヤジまでも痛烈に批判する。ジャズ喫茶「メグ」の店主である寺島靖国氏とは互いの連載記事でたびたびバトルを繰り広げているようで、ジジイと小娘の悪態のつき合いがとても痛快だ。

亭主はといえば、山中氏のアルバムを毎回楽しみにしている。今回初めて彼女のナマの声(というか文章)を読んで、彼女の演奏に秘められたすさまじいエネルギーの一端を感じることができた。いや、あくまでもエネルギーの「一端」、アルバムの彼女は随分と抑制を効かせているようだ。たとえていうならば、鎖につながれた猛獣。ドラムやベースといったリズムの枷で抑えられてはいるが、彼女の野生は常に行き場を探して咆哮している。

自己主張激しいニューヨーカーのエネルギーに振り回されつつ、ジェットコースター感覚で読みたい

2014年3月 8日 (土)

03/08 【聴】 Driving Emotion Type-S O.S.T. / Square Soft, Super Sweep(SRIN1003-1004)

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1997年、Square Soft(現在のSquare Enix)から発売されたPlaystation用対戦格闘ゲーム「ブシドーブレード」と2000年に発売されたレースゲーム"Driving Emotion Type-S"のゲーム音楽を、2枚組サウンドトラックとしてまとめた作品。音楽担当は細江慎治、佐宗綾子、相原隆行の3人。

"Driving Emotion"は、レースゲームらしい爽やかなフュージョン・サウンド。細江氏らが作曲・編曲した作品をスタジオミュージシャンらが演奏するという(ゲーム音楽としては少し珍しい)形式を採用している。キーボードなど電子楽器は使っているものの、 基本的には全編人力。ケレン味を排除した、爽快なドライビング・ミュージックに仕上がっている。少し古い話だが、Sega Sound Team(SST)バンドの作風に似ているといえばなんとなく「ああ」と思い当たる節があろうか。

一方、「ブシドーブレード」は、Ridge Racer, Rave Racerなどを手がけた彼らの面目躍如たる辛口のレイブ・ミュージック。太鼓や三味線、尺八など日本古来の楽器と、雅楽などの囃子・謡とを組み合わせた音作りは、いかにも「日本テイスト」といった趣がある。楽曲そのものもステージにあわせて短め、盛り上がりを前半に置いて印象的に仕上げるなどゲームミュージックとしての作法をしっかり踏襲している。当時ゲームにはまった人ならば雰囲気を思い出して楽しめるのではなかろうか。

他方でRidgeの世界観を期待する向き、Sampling Mastersの作風を期待する向きには少し狂気が足りないと思われるかもしれない。インパクトはいまひとつ、ゲームの世界観構築に軸足を置いた堅実なアルバム。

2014年3月 5日 (水)

03/04 日々雑感

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Powershot G16で、風神山の中腹から水戸方面の夜景を撮影。

夜景モードを使ったところ、手持ちでもぶれることなく、明るい写真を撮ることができました。

東海村の灯りか、それとも勝田の街の灯りかはよくわかりません。この日は東京出張からの帰り、東京ならばもっともっと明るいのでしょうが―――亭主にとっては、このくらいの灯りでも充分明るいと思えたのでした。

曇り空が、地上の光によって明るく照らされているのを見ると、なんとなくほっとするのはなぜだろうね。

2014年3月 4日 (火)

03/04 【聴】 Ridge Racer 3D Direct Audio / NBGI, Super Sweep(SRIN1084)

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2011年にNintendo 3DSからリリースされた"Ridge Racer 3D"のサウンドトラック。全19局。"Ridge Racer 6", "7"などと同様にNBGIのサウンドクルーおよびゲスト・ミュージシャンがそれぞれに曲を提供している。ディレクターは大久保博。

参加ミュージシャンは大久保(4曲)、井上拓(3曲)、濱本理央(3曲)、渡辺量(1曲)、岡部啓一(1曲)、LindaAI-CUE(1曲)、細江慎治(3曲)、佐宗綾子(3曲)。Rigde 6とは若干布陣が異なるものの、Sampling Masterの二人が参加するなど全体的にはこれまでのリッジの作風を引き継いでいる。ただし今回の作品は攻撃的かつケミカルなレイヴ・サウンドが格別に目立つ作品でもある。激しいハードロック調の"Venomous(濱本)"、謎のアフリカ民族音楽をフィーチャーした"Call of Apsara"など実験的なサウンドも少なくなく、まるでRave Racer時代のアグレッシヴさが戻ってきたかのような新鮮さを感じる。

亭主自身が本シリーズにこだわるのは、Ridge Racerのゲーム音楽が、レースゲームとレイヴ音楽とを初めてシームレスに結びつけた音楽であり、エポックメイキングな作品であると高く評価しているからだ。SEGAの"Out Run"がレースゲームとフュージョンとを結びつけた作品として今もなお評価されているのと同様、Ridgeの音楽もまたレースゲームの音楽に一つの方向性を与えた、いわゆる「金字塔」的な作品である。"Out Run"における"Magical Sound Shower"は亭主にドライブの爽快感を与えてくれた。これに対してRidgeの音楽は、亭主にドライブの持つ狂気にも似た中毒性を教えてくれたのだ。

Ridgeの持つ狂気、中毒性は、残念ながら4, V, 6, 7, 3Dとシリーズを重ねるうちにどんどんと薄まっている。作品そのものは洗練を重ね、完成度を高めているのだけれど、その音楽からインスパイアされるもの、得られるビジョンは不幸なことにとても凡庸だ。先のレビューでも書いたように、現在の音楽シーンで新しさを求めることは、それ自体がかなりのチャレンジでもあることは間違いない。だがそれでもRidgeには、狂気を追い求めて欲しいと思っている。RidgeからRaveへと代替わりした際に、先代に使われた曲のモチーフの多くがRaveへと移植され、さらにパワーアップしたことを覚えている。1作、1作で曲を作りっぱなしにするのではなく、次の作品に向けてどんどんとリアレンジを続けて欲しい、Ridgeの世界観を確固たるものにして欲しいと、亭主は常々思っているのだ。

03/04 【読】 「ノックス・マシン(法月綸太郎、角川書店)」

「ノックス・マシン(法月綸太郎、角川書店)」

1988年、「密閉教室」でデビュー。同名の探偵・「法月綸太郎」シリーズのほか、「頼子のために」「生首に聞いてみろ」などハードな作風でコアなファンを魅了する作者による、奇想のSFミステリ。「このミステリーがすごい!2014年版」「ミステリが読みたい!2014年版」でそれぞれ1位を獲得した話題作。

舞台は2058年の中国。上海大学でオーバードクターを務めるユアン・チンルウのもとに、中国国家科学技術局からの召喚メールが届いた。計算科学の発達により、詩人や小説家らのクセをそのまま計算機が再現した「コンピュータ文学」が発表される時代にあってユアンもまた二十世紀の探偵小説の解析に取り組む「数理文学解析」の研究者の一人だった。ユアンが博士論文の素材として選んだのは、イギリスの作家ロナルド・ノックスが、1929年に発表した探偵小説のルール集「ノックスの十戒」。だが、論文はきわめて不評に終わり、ユアンもまた失意の日々を送っていたのだが―――。

「ノックスの十戒」をモチーフに、言語と数理、そして量子力学を巧みに組み合わせた表題作「ノックス・マシン」、推理小説に登場する探偵のアシスタント(たとえばホームズにおけるワトソン)たちが、アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」を断罪する「引き立て役倶楽部の陰謀」、異星人によって思念を束縛された男が、量子力学とレトリックを駆使して脱出を試みる「バベルの牢獄」、そして「ノックス・マシン」の後日談、人類を襲う世界的・文学的危機にふたたびユアンが立ち向かう「論理蒸発―――ノックス・マシン2」の全4編を収録している。

法月氏自身は解説の中で「SFミステリを書いたのではない」と述べているのだが、扱っている素材は間違いなく、SFとミステリの範疇にある。最新の物理学や数学、あるいは往年のミステリのガジェットを縦横無尽に組み合わせつつ、荒唐無稽な世界へとどんどんと切り込んでいくその大鉈ぶりが気持ちよい。もちろん現実的に可能/不可能かなどは問題ではなく、「あれもいける」「こうも考えられる」とスケールアップしていくさまは、ルーディ・ラッカーの数学SFを髣髴とさせる。もちろん、作品そのものを充分に理解するためには最新の素粒子物理学・宇宙物理学あるいは数学に習熟している必要があり、(亭主を含めた)大半の人間は活字の意味を追っていくことそれ自体が一つの頭の体操になるだろう。非常に読み手を選ぶ作品であるため、これが「このミス」「読みたい」それぞれで第1位を獲得した、と言う事自体実はかなり「ゲタが履かれている」ようにも感じられる。法月氏自身は「クイーン論」などミステリ論にも多くの著作があり、「このミス」「読みたい」の選者にもミステリ論に精通した人が多いとは思われるが・・・あまりにもクセ球というか異形の作品だけに、1位であることを理由に読んだ人の評価が必ずしも高いとは限らないのではなかろうか。

亭主自身はSFも、またミステリも読み、なおかつメタ小説のようなものも好みであるため本書のようなクセ球は好物の一つ。ただしやはり難解であることにはかわりない。読み進めるのにかなり頭を使った結果、知的好奇心や爽快感がどれだけ得られたかについては推し量れずにいる。

2014年3月 3日 (月)

03/03 【聴】 Ridge Racer 6 Direct Audio / NBGI, Super Sweep(SRIN1050-1051)

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新型ゲーム機のローンチ・タイトルとして人気を不動のものとしてきた"Ridge Racer"シリーズ。X-Box 360でリリースされた"Ridge Racer 6"のサウンドトラックが本作となる。2009年発売、2枚組、全24曲。

サウンドディレクターはRidge Racer 7などと同じく大久保博(7曲を担当)。ゲストミュージシャンとして、Sampling Masterの細江慎治(2曲)と佐宗綾子(2曲)、佐野電磁(2曲)、相原隆行(1曲)、境亜寿香(1曲)、高橋コウタ(1曲)、またNBGIサウンドクルーとして、中川浩二(1曲)、Acid Eutron(1曲)、遠山明孝(現在はフリー・1曲)、小林啓樹(1曲)、中鶴純一(2曲)、中西哲一(1曲)、濱本理央(1曲)が・・・ととにかく多くの人間がかかわっている。アルバム全体の雰囲気は(大久保がコントロールしているからだろうか)非常にクールかつストイックに統一されていて、磐石なつくり、といってよい。本職のハウス系DJ/クリエータ集団、King Street Soundsが参加した"7"(PS3版)に比べても遜色のないクオリティに仕上がっているが、その一方で個性が埋没してしまっている気がしないでもない。往年のGalagaをモチーフにした"Galactic Life (高橋によるリミックス)", パックマンをモチーフとした"Run Pac-Man Run(遠山)"に遊び心を感じる一方で、「やっちまった」感はいまひとつ、ともいえる。これはアルバム全体、アーティスト全体にいえること。"Ridge Racer"や"Rave Racer"にみられたあざとさ、あらゆるジャンルをなりふりかまわず取り込む貪欲さは、今のRidgeには、ない。

いやいや、DJらによってありとあらゆるネタが掘り尽くされ、過去の名盤と現在流行している音楽とが同一の時間軸上に存在するようになってしまった現在の音楽シーンにあって、新しさを求めることそれ自体が至難の業であることは亭主自身充分に承知しているのだ。

2014年3月 2日 (日)

02/28 三歳になりました

この2月28日で三歳になりました。
2011年の2月28日、いわき生まれ。まだ目も開かないうちに、忌まわしい震災を体験し、そして我が家にやってきたのが7月1日のことでした。

いろいろありましたがすくすくと育ち、誰からも愛されるわんちゃんへと成長しました。

20140228mahalo01.jpgここ1ヶ月ほど、雪が降ったり東京に出かけたりとトリミングに行く時間がとれなかったのですが、誕生日ということでようやくすっきりすることができました。

もじゃもじゃもじゃ助も、トリマーのかたにかかると、ほらこのとおり。

20140228mahalo02.jpg我が家はいわゆる「シュナウザーカット」をあまり好まないので、全体的に子犬のようにふっくらとカットしてもらっています。眉毛と、髭を短くしているのがミソですね。

20140228mahalo03.jpg
1日遅れになりましたが、3月1日の夜はお誕生日パーティ。みかんとブルーベリーのバースデーケーキでお祝いしました。ケーキの上のみかんと、白桃はまっさきに食べましたが、ブルーベリーはどうも苦手だったようです(^^;)

20140228mahalo04.jpgケーキを食べておなかいっぱい。

4年目もどうぞよろしく。

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