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2014年2月21日 (金)

02/21 【読】 「総特集 高橋幸宏〜ユリイカ10月臨時増刊号(青土社)」

「総特集 高橋幸宏〜ユリイカ10月臨時増刊号(青土社)」

2012年に還暦を迎えたことを記念して、同年12月に60周年記念ライブを敢行し33曲を熱唱。2013年6月にはCD3枚、DVD2枚組のライブアルバムをリリースした高橋幸宏さんを、ユリイカが総特集したのが本書。ユキヒロさんへのインタビューのほか、彼を慕う多くのアーティスト・作家・関係者らが、ユキヒロさんへと思いをつづっている。2013年9月刊行。

すっかり好々爺となってしまった細野さん、学者然としていまなお社会活動・音楽活動に積極的な坂本さんに対して、ユキヒロさんの存在はけっして「濃い」ほうではない。新作"Life Anew"のリリース、復活したYMOとしてWorld HappinessやSonarへの参加、pupaやBeatniksなど他のアーティストとのバンド活動などコンスタントに活動を続けているものの、それら活動がユキヒロさんを前面に押し出すほどのインパクトはないように思われる。YMOで活動していた頃からも、ユキヒロさんの存在は、細野さんと、坂本さんとをとりもつある種の「緩衝材」として機能していて、ヴォーカルとしての存在感もまた希薄だった(しかしそれが初期YMOにおける匿名性を演出する手助けとなった)。現在の音楽シーンにおいても、明確なユキヒロさんのフォロワーを公言する人はみあたらない。それはユキヒロさんがけして孤独である、という意味ではなく、ユキヒロさんという存在そのものが、時代のなかにつねに唯一無二としてありつづけることを意味している。まるで深山に水をたたえた湖のように、それはつねにゆるぎなく、また静かである。

本書には、多くの人々が文章を寄せている。リリー・フランキー・祐真朋樹らとユキヒロさんとの対談、鈴木慶一、伊藤壮一郎、松永天馬、香山リカ、菊地成孔、桑原茂一、宮沢章雄、青野賢一らによるエッセイや論考、あるいは高野寛・砂原良徳・高田漣らによる鼎談など、彼にゆかりの深い、あるいは彼を愛して止まないファンたちの熱い・あるいは暖かい言葉の数々が紙面を埋め尽くす。ユキヒロさんにフォロワーがいるとすれば、それは彼の生き方やスタイルを追いかける人々なのだろう。還暦を迎えてもなおスタイリッシュでカッコ好い彼の周囲に人々は集う。

面白いのは本書に、細野さん、坂本さんといったYMOのメンバーの寄稿がないことか。編集の方針か、それとも細野・坂本両氏とのエピソードはすでに語られつくしているからだろうかはわからない。ただ、この二人の寄稿がない状態にあっても、本書の内容には一分の隙もみられない。まさに総特集という肩書きにふさわしい、充実した本といえるだろう。

なお、本書を読むにあたっては、ユキヒロさんの近著である「心に訊く音楽、心に効く音楽」を副読本として手元に置かれるとよいだろう。また、氏の音楽は"Saravah!", 「音楽殺人」から"Life Anew"まで一通りを熟聴していることが望ましい。ファンの、ファンによる、ファンのための書。ファンならばぜひ。

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