« 01/14 【読】 「知性と気配りを身につける銀座の教え(日高利美,クロスメディア・パブリッシング)」 | トップページ | 01/15 【読】 「宇宙消失(グレッグ・イーガン, 創元SF文庫)」 »

2014年1月14日 (火)

01/14 【読】「五輪書(鎌田茂雄, 講談社学術文庫)」

「五輪書(鎌田茂雄, 講談社学術文庫)」

生涯不敗、二天一流を極めた剣豪・宮本武蔵が、晩年に記したという武芸の極意書「五輪書」を、現代語訳・解説を含めてまとめた書。解説の鎌田博士は合気道六段、仏教史や禅にも詳しい。

有名な佐々木小次郎との「巌流島での決闘」以降、30年もの間歴史の舞台より姿を消していた宮本武蔵。自身の余命残り少ないことを悟った彼が、熊本市の西・金峰山の雲巌寺に篭って書き表したのが本書であるという。剣術のみならず兵法の指南書として書かれた本書は「地水火風空」の5章からなり、自身が極めたという二刀流、二天一流を含めた戦闘の極意を記している。特に強調したいのは、本書が「人を斬り、勝ち、そして結果として生き残る」ことにきわめて特化した内容である、ということ。いわゆる孫子の兵法などでは「戦わずして勝つ」ことが一番の価値とされているが、宮本武蔵の兵法は、修練に修練を重ねた結果会得される必勝の戦略である。その思想は儒教や仏教、あるいは修験道などと一切共通することのないオリジナリティを持ち、武蔵の孤高さを如実に物語っている。

なにしろ武蔵の兵法とは、勝つためにはそれ以外のあらゆる事物、愛情や慈悲、信仰などというものを一切に捨て去ることから始まっている。生涯不敗、無敵を貫く武蔵の勝利に対する徹底したこだわり、合理主義が本書全体からヒシと伝わってくる。

なお、鎌田氏はその解説・注釈において武蔵の兵法と自身の極める合気道との共通点を論じている。特に強調すべきは「空」の考え方だろうか。武蔵の目指すところの「空」は、いわゆる仏教における「空」のような無の極みではなく、特定の型や流儀、固定観念にとらわれない自在さを示すらしい。他者の力を利用しつつ効率よく相手を打ち負かす合気の世界とも通じるところがあるようだ。

« 01/14 【読】 「知性と気配りを身につける銀座の教え(日高利美,クロスメディア・パブリッシング)」 | トップページ | 01/15 【読】 「宇宙消失(グレッグ・イーガン, 創元SF文庫)」 »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 01/14 【読】「五輪書(鎌田茂雄, 講談社学術文庫)」:

« 01/14 【読】 「知性と気配りを身につける銀座の教え(日高利美,クロスメディア・パブリッシング)」 | トップページ | 01/15 【読】 「宇宙消失(グレッグ・イーガン, 創元SF文庫)」 »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
フォト
無料ブログはココログ