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2013年12月27日 (金)

12/27 【読】 「64(横山秀夫、文芸春秋)」

「64(横山秀夫、文芸春秋)」

代表作に「半落ち」「クライマーズ・ハイ」「震度0」など。社会派ミステリで多くのファンを擁する横山秀夫の2012年作品。宝島社の「このミステリーがすごい!2013年版国内篇」第1位、週刊文春「2012年ミステリーベスト10国内部門」第1位を獲得した「究極の警察小説」。

上層部からの意向により交通事故の加害者を匿名としたことから、マスコミ各社から執拗な追求を受けることとなってしまった広報官・三上。刑事部出身ながら警務部の広報官という職につくこととなってしまった彼は、刑事部へと戻る機会をうかがいつつ、マスコミと刑事部、そして警務部課長らの圧力に耐える日々を送っていた。愛娘の失踪、妻の精神衰弱と不幸に不幸を重ねながらも、刑事部出身というプライドだけを頼りに激務をこなす三上。だが、その背後には県警組織全体を覆う巨大な陰謀がうごめいていた。 昭和64年に発生した未解決事件を巡り動き出した事態に、三上は己の存在をあらためて問うことになる。

「このミス」「文春」のランキング1位に輝いた本作。亭主自身はこのところミステリに興味を失っていたのだけれど、妻が読んだとのことで借りてみた(いわゆる妻文庫)。650ページ弱とボリュームはほどほど、ところどころ主語や時制が見えなくなる独特の文体が気になったものの、なんとか正味一日で読了した。読んでみるとなるほど確かに「このミス」「文春」1位というだけのことはある。様々なエピソードが偶然と必然のなか重なり合い、収斂していくさまは読んでいて快感を覚える。主人公である三上が、島田荘司描くところの「吉敷竹史」にも似たハードボイルドで、けして明るい話ではないものの心のどこかに安心がある。物語と登場人物、双方の魅力と味わいが作品を極上のエンターテイメントへと昇華させている。

「社会派ミステリ」は、その作品のなかにどこかしら「現代社会の理不尽さ」を含んでいるものだが、本作に限ってはそんな理不尽さはなく、読後にほどよい寂寥感のみが残った。ミステリをほとんど読まなくなった亭主だが、それだけに興味深く、また新鮮な気持ちで読むことができた。

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