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2013年12月26日 (木)

12/26 【読】 「知の逆転(吉成真由美・編、NHK出版新書)」

「知の逆転(吉成真由美・編、NHK出版新書)」

現代の叡智と呼ばれる世界的な研究者・技術者たちが、未来の世界を展望するオムニバス形式のインタビュー集。インタビュワーおよび編集は心理学・認知科学に造詣の深いサイエンスライターの吉成真由美。なお本書の内容はNHKでも放送されたとのこと。

本書でインタビューを受けているのは、著書「銃・病原菌・鉄」でピューリッツァ賞を受賞した生物学者のジャレド・ダイアモンド、言語学者で「普遍文法」が言語学および計算機科学に大きな発展をもたらしたノーム・チョムスキー、脳科学者・精神科学者のオリバー・サックス、認知科学者で人工知能を専門とするマービン・ミンスキー、アカマイテクノロジーズの取締役でインターネット黎明期からIT技術の発展に取り組むトム・レイトン、そしてDNAの二重螺旋構造を発見しノーベル賞を受賞した分子生物学者のジェームズ・ワトソンの6人。

いずれもそうそうたるメンバー、自身と世界を語るに足るメンバーであることに間違いはない。ただし、その人によって語る内容、語られる範囲には差があり、インタビューのトーンも人によって異なる。たとえば、ジャレド・ダイアモンドは自身の専門から文明論を語り、宗教や教育といった課題へと深く切り込む。ノーム・チョムスキーの場合には言語学はさておいて資本主義や経済主義といった現代の社会システムを批判する。いずれも社会全体への提言であり、(いくらか皮肉めいた、偏った意見もあるものの)知者の意見として傾聴に値する。

一方、IT技術を専門とするトム・レイトンの場合には、過去の自身の業績を披瀝する一方、現代におけるインターネットの課題(たとえばサイバー攻撃)に関しては、大きな自信を見せる一方でいまひとつ歯切れが悪い。課題をどうクリアするかを技術的な観点にのみ絞って語っていて、人種や国家、あるいは人間性やこころの働きへと深く分入らない。そのためどうしても考察に限界が生じているように感じられる。意見としては貴重だが、さらに深い「哲学」を求める読者にとっては、上っ面のみを撫でたような内容と受け取ってしまう。このあたりの内容のブレがインタビュアーである吉成氏のコントロールによるものか、あるいはインタビューする人間の個性かはよくわからないが、本書にムラや退屈さを感じさせているように思われる。

内容としては非常に面白く、最後まで興味深く読めたものの、全体的には散漫で、一冊の本としてのスジが見えにくいのは残念。

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