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2013年5月11日 (土)

05/11 【読】 「オーディオ巡礼(五味康祐、ステレオサウンド)」

「オーディオ巡礼(五味康祐、ステレオサウンド)」

芥川賞作家。剣豪小説家として、また生粋の趣味人、オーディオ人として知られる氏の音楽人生を語った書。1980年初版発行、2009年1月に復刻版が刊行されている。ちなみに亭主は2011年12月に刊行された復刻版第五刷を購入した。

音楽とともに育った幼年期、太平洋戦争に出征、生還するも空襲にてすべてを失い、なかばルンペンとして過ごした青年期。食うや食わずの生活のなかでの音楽への渇望、そして芥川賞受賞によって突如訪れた転機―――。オーディオ人である五味氏の波乱万丈の生涯すべてが本書にて語られている。氏が愛用していたTANNOY Guy. R Fountain Autographは現在もたびたび復刻され、またレプリカすらも高額にて取引される名機。そこから流れる音楽はまさに天上の音楽、落涙を禁じえない感動をもたらす音楽だったという。 音楽への限りない愛情は、ときとして痛烈なクラシック音楽(特に作曲者・指揮者)批判、オーディオ・マニアたちへの批判として現れる。しかしそれでもなお氏が多くの人々に慕われ、現在に至ってもオーディオ・マニアたちの師として尊敬されているのは、氏が真のオーディオ人だったからにほかならない。

面白いことに、本書に現れるオーディオ批判、オーディオ・マニアたちへの批判は、過去から現在までのすべてのオーディオに潜む矛盾と、マニアたちの習性を見事に言い当てている。いわく、レコードにはコンサートホールやスタジオなどで楽器から発せられた「ナマの音」など入っておらず、オーディオマニアはレコードから、かつて自身が感激した音、理想の音を取り出そうと努力しているに過ぎない。どんなにメディアが発達し、またサンプリング周波数を高めたとしても、感動は音楽の聴き手自身の中にある。原音再生を追い求めた先が果たして感動かどうか、昨今人気のデジタルオーディオを推進する皆さんはどう考えているのだろうか。

現代にも通じる示唆が随所にある点、時代を超えて(特にオーディオを趣味とする人たちによって)読みつがれることを期待される名著。ちなみに「巡礼」とは、氏があちこちのオーディオマニアのお宅を訪問し、その音を聴く「旅」を指しているようだが、読むほどに「巡礼」が氏の人生そのものであることに気づかされる。

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