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2013年3月

2013年3月29日 (金)

03/29 【読】 「電気グルーヴxアイデア-電気グルーヴ 石野卓球とその周辺-(誠文堂新光社)」

「電気グルーヴxアイデア-電気グルーヴ 石野卓球とその周辺-(誠文堂新光社)」

石野卓球とピエール瀧によるテクノ・バンド、電気グルーヴ。結成23年にして日本のテクノ・シーンの中心で活躍する彼らの軌跡を彼らの作品とともに振り返る。

ディスコグラフィ紹介、アーティストインタビューといったいわゆる「ファンブック」とは一線を画する、「電気作品のアートワーク」を解説する書。最新作「動物と人間」(エンブレムデザインは砂原良徳)から始まり、アルバム、シングル、リミックス、アナログ、他のアーティストとのコラボ作、あるいはライブイベントWIREやDJ-MIXシリーズ、著書まで、あらゆるメディアと、そのデザインに言及される。石野、瀧、砂原へのインタビューを基本とし、和田一基(VJ)、ヤマシタヤスノブ、田中秀幸、天久聖一、スージー甘金らデザイナーらが作品に応じて適宜インタビューへと加わっている。その作品群を時間をさかのぼりつつ紹介する構成、全ページカラー、しかも様々に工夫がなされたデザイン、時にページのサイズや紙質を変えて8cmシングルやソロ作のジャケットを紹介していく柔軟な装丁は、これまで我々が見慣れていた「本」という退屈なフォーマットのイメージを見事に覆してくれる。斬新かつスタイリッシュな内容。すばらしい。これで2000円は破格過ぎる。

電気の作品を時間をさかのぼりつつ見ていくと、たとえばアルバムからもいくつかの「デザインの地層」が見えることに気づかされる。メジャーデビュー作、"Flash Papa"で見せた下品かつ醜悪なデザインセンス、"Vitamin"や"Dragon"などでの試行錯誤、"A"で見せたスタイリッシュさ、そして"Yellow"以降のミニマリズム。プロデューサの意向が強すぎてコミュニケーションが破綻した"Flash Papa"や"UFO"を除けば、アルバムのどれもが問答無用に「カッコイイ」。電気の持つレトロフューチャーなイメージ、常にファンの斜め上をゆくアイデア、問答無用な「出オチ」などなど―――「イロモノ」と断じてしまうにはあまりにも惜しい、惜しすぎる。たしかに著書「メロン牧場」や(ちょっと古いが)「俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ」には、根本敬画伯に大いに影響を受けた下品ネタが多数含まれる。ただ、昨今の秀逸なデザインのアルバム群から逆算して電気の作品群を眺めると、初期作品からすでに「カッコヨサ」の片鱗が現れ、またインタビューによれば彼ら自身がその「カッコヨサ」に自覚的だったことに気づかされる。

要するに、彼らはデビュー当時から常に時代の先端を行きすぎるほどにかっこよかったのだ。

実は亭主のサイト「どむや」も電気グルーヴのレトロフューチャーな、テクノな感覚に大いに影響を受けている。シンプルかつソリッドなデザインを参考にしつつ、しかしテクノな感じにならないようにとあえて狙う方向を避けていたりもする(狙いすぎるとMetal Blue America時代のケンイシイになってしまうからだ)。本書が、かねてよりサイトリニューアルをもくろむ亭主のデザイン魂に火をつけたのは明らか。読むほどにインスピレーションを刺激する。

2013年3月28日 (木)

03/28 iida Infobar A01の調子が悪いです

朝起きて、さてメールが来ているかとチェックしようとした瞬間に、画面が固まったり。

TwitterやFacebook、したらば掲示板のブラウザアプリを使用中に、画面が固まったり。

あるいはホーム画面をスクロールしている途中で、画面が固まったり。

要するにあっちこっちで画面が固まり、動かなくなってます。アプリが邪魔をしているのかと、様々なアプリをアンインストールしたのですが、いまひとつ効果がありません。

一度動かなくなると、アプリ強制終了の画面が出るまで待つか、電源を切るかのどちらかを選ぶしかありません。もっとも、アプリを強制的に終了しても、その後ホーム画面が真っ暗になってしまうのでいよいよ本格的に応答不能に。電源を切って再起動すればそれなりに動くのですが再起動に時間がかかるため、おいそれと電源も切れません。なにかにつけて画面が固まるので、しまいにはスマホをいじることすら怖くなったり。

これは亭主に機種交換せよということなのか?

ちなみに今のA01に変わって19ヶ月めです。

時間がたつと不安定になるのはMicrosoftだけかと思いましたが、Androidもまたダメですねぇ・・・・

03/28 【読】 「大阪アースダイバー(中沢新一、講談社)」

「大阪アースダイバー(中沢新一、講談社)」

思想家、人類学者。ネパールにてチベット仏教・ニンマ派の修行を経験。ネパールでの修行の経緯をつづった「チベットのモーツアルト」が1980年代のニュー・アカデミズム・ムーヴメントを巻き起こす。 現在は芸術・科学・宗教学・人類学・民俗学・歴史学など多彩な領域をクロスオーバーしつつ論を展開する氏が、古地図をもとに大阪の本質を深く追求する。2012年刊行。

タイトルに「大阪」とあるとおり、本書は東京という都市を舞台とした前作「アースダイバー」の直接的な続編となる。遠い古代、海の底だった東京と同じく、大阪もまた生駒山麓を海岸線とする湾の一部であった。湾には、(のちに建設される)大阪城を北端とした半島が突き出、半島の付け根にはのちに天王寺が建立されることとなる。中沢氏は、古地図から大阪城〜天王寺を南北につなぐ「アポロン軸」と、天王寺〜生駒山系を東西につなぐ「ディオニュソス軸」を見出すとともに、この二つの軸が大阪を商都たらしめていると喝破する。古代の海民たちが自在に行きかい、交易していた島々が、のちに巨大な砂州(大阪平野)となり、商人たちの都へと変化していくさまは、まさに一大叙事詩。かつて死者の都市・ネクロポリスであった千日前が、笑いの殿堂=なんばグランド花月によって芸能の土地へと変貌する経緯、経営の神様となった松下幸之助を生み出すきっかけとなった大阪商人たちの歴史などなど、古代から現代にまでつらなる「大阪」のダイナミズムが語られる。

東京と大阪、どちらも海の底から立ち上がった都市なのだが、アースダイバー(=中沢氏)によれば、二つの都市は、全く異なる性格を有するのだそうだ。権力を具現化した東京に対し、自然と人間のパワーが具現化した大阪は、圧倒的に面白い。いささか牽強付会に都市のロマンチシズムが語られた感があった前作に対し、本作では宗教・民俗・歴史・人種・現代社会の様々な問題などあらゆる知識が総動員される。謎を解く鍵はすでに我々の目の前に提示されている。中沢氏がちょんと結び目に切り込みを入れ、読み手が想像力を発揮させれば、あとはおのずと答えが目の前に展開されていくという趣向となっている。

2013年3月25日 (月)

03/25 クレジットカードの件

お疲れ様です。亭主です。

現在、亭主自身は5枚のクレジットカードを持っています。作った順に挙げますと

  1. 現在の会社に入社した際に作ったカード(JCB)
  2. 車を購入した際に営業さんに頼み込まれ作ったカード(Master)
  3. スポーツクラブに入会した際に会員割引の条件として作った信販系カード(Visa)
  4. 会社の出張などに使うコーポレートカード(Master)
  5. スポーツ店で割引が効くとして作った流通系カード(JCB)
様々な月々の支払いは1.で、ETCは2.で、海外での買い物は3.で、出張は4.で、そしてスポーツ用品店での買い物は5.で、とそれぞれ使い分けているのですが、必ずしもお得に使い分けているというわけではありません。カード1枚に集約すれば効率よくポイントが貯められ、かなりの還元率が期待されます。ただ、どのカードもなにかの「しがらみ」の中で作ったカードで、様々なしばりのなかで解約できない、というのが実際でしょうか。いわゆるプロパーというべきカードは一枚もありません。

実は亭主、もしかしたら今年の12月31日をもって会社を替わるかもしれません。現在の仕事はそのままに、新しい会社へと組織ごとごっそりと移動するわけですが、新しい会社と現在の会社との関係がばっさり断ち切られる可能性があるのですね。そうなると1.や4.は使えなくなるわけで、面倒なことがおきるまえに、月々の支払いを別のカードにしてしまおうと、本日会社の帰りに歩きながら思い立ったのでした。

とりあえずamazon, yahoo, @nifty, iTunes Music Storeの支払いは変更完了。auの支払いは変更手続きをしたのみで、反映はこれからの様子。え?気が早いって?

まずは再来月からのカード支払い状況を確認し、支払い残しがないよう、徐々に新しいカードへと移行していく予定です。来月の支払いはどうなっているかなあ・・・楽しみだなぁ。

2013年3月23日 (土)

03/23 【聴】 Lost Sirens / New Order, Rhino|Warner(WPCR-14893)

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イギリスはマンチェスター出身のロック・バンドで1980年結成。デジタル・ロックのオリジネーターとしても知られ、"Blue Monday"はデジタル・ロックの金字塔として評価される4人組、ニュー・オーダーの、2005年にリリースしたアルバム"Waiting for the Sirens Call"の未発表曲・アウトテイク曲を再編集したもの。全8曲でおおよそニューアルバムといっても良い。

近年はごたごたにより、メンバーの入れ替わりが激しいニュー・オーダー。2011年よりほぼメンバーを4人に固定し、ライブやレコーディングに精力的に活動している。デビュー当初からパンク/デジロックのジャンルで定評のある彼らだけに、本作もまた非常に完成度の高いアルバムに仕上がっている。ギターをフィーチャーしたロック・サウンドは世間的にはわりとオーソドックスな部類、とはいえ歌詞からにじみ出るエモーションやアレンジの美しさ、心に染み入るメロウなメロディは本物だ。キャリアを重ねたバンドが、突然難解なサウンドへとはまってみたり、逆に万人受けしそうなポップスに阿ってみたりするケースは良くあって、そのいずれもが揶揄の理由になりえる。しかしニュー・オーダーはそういったありきたりな方向転換が一切なく、むしろ王道をつっぱしりつつ現代の聴き手の気持ちの良いところを突いてくる。M1 "I'll Stay with You"のイントロのギター・リフ、ヴォーカルの入り方、歌詞・・・聴くほどに「ウマいなぁ」と感心してしまう。本作がアウトテイクを集めたものであると、ついつい忘れてしまう。

そういえば元ネタとなるアルバムは2005年にリリースしていたわけだが、8年前のことなど誰も覚えては居まい。ニュー・オーダー自身は2012年にニューアルバムのリリースを構想していたそうだが・・・もしやリリースがポシャってしまったのだろうか!?

2013年3月21日 (木)

03/21 思い出の風景

これまで生きてきた中で、心に残るランドスケープ、景色を挙げるとすればいったいなんだろうと考えて、いくつか思いつくままに列記してみようかと思います。

1.しらびそ高原

信州は遠山郷、日本のチロルと称される下栗の里へも続く、標高1900mのしらびそ高原。

目の前に聳える南アルプスの山々と、眼下に広がる原生林が、日本とは思えぬ雄大さを見せてくれます。大学生の頃、父母と兄弟と、愛犬「ハヤ」とともにこの高原にやってきて、その雄大すぎる景色にボーゼンとしたことを覚えています。自分が立っている位置からストーンと500m近く下って広がる樹海、そしてそこから1500m近く切り立つ赤石山脈。自然のスケールの大きさをまざまざと感じさせてくれました。BGMは高橋幸宏"Are You Recieving Me?"

2.夜明けの川越・荒川をまたぐ高架橋から眺める都心

国道16号、西大宮バイパス。朝霧に煙る荒川を紫色の朝焼けが包み、遠く池袋の高層ビル群を黒く浮かび上がらせます。

同じく大学生の頃、当時付き合っていた彼女と川越に遊びに行った際に出会った風景。助手席で眠る彼女の向こう側に広がる景色はまるで水墨画。時のとまった紫色の世界の中、いつまでも車を走らせていたい気分にさせてくれました。BGMははっぴいえんど"風をあつめて"

3.スペイン・プエルトヤノ

スペイン南部、シウダ・レアルの中核都市。マドリッドからの高速鉄道の駅がある。赤い荒野の中に現れる、丘の上の赤い街。

入社して6年目、出張で訪れたプエルトヤノは、強い日差しの中でじりじりと音をたてて乾いていました。高速鉄道が止まる駅前にはまったく人気が無く、駅前のカフェの奥から、スペインの地方都市にやってきた東洋人をもの珍しげに眺める目、ひとつ、二つ、三つ、四つ。BGMは細野晴臣"N.D.E"より"Spinning Spirits".

 

2013年3月20日 (水)

03/20 【聴】 * / Organization, ExT Recordings(EXT-0016)

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元Transonic Records主宰。現在はExT Recordingsを主宰する電子音楽家、永田一直のOrganization名義でのミニアルバム。全6曲。

ビヨビヨとしたシンセ・サウンドを前面に押し出した、アシッド・テクノのアルバム。作品そのものは非常にシンプルというか、Atom TMやLuke Vibertらが指向しているアシッドのフォーマットを忠実かつ緻密に再構成している。かつて永田氏が得意としていたスペーシーなサウンドもしっかりと組み込まれていて、ファンとしては懐かしさも感じられる。

それにしてもアシッドというジャンル(というかフォーマット)。先ほど挙げたAtom TMやVibertらの押しが弱いからか、それともそもそも受けが悪いのかはわからないが、散々アルバムがリリースされているというのにちっともヒットの兆しが見えてこない。いや、こういうフォーマットはそもそもマニアックなクラブでプレイされるのが本筋で、誰もヒットを望んでいないのかもしれない。ただあまりの芽の出なささは世間様から無視を決め込まれているようでいまひとつ気分がよろしくない。もう少しなんとかならんもんでしょうか。いや実際。

2013年3月17日 (日)

03/17 Kindle Paperwhite ソフトウェアアップデート5.3.4

Kindle Paperwhite ソフトウェアアップデート5.3.4がリリース。

変更点は明示されず、パフォーマンスの向上のみアナウンスされております。
いわゆるマイナーバージョンアップ、はっきりとした違いがみられないわりには、160MB近いファイルがダウンロードされるあたり、謎。海外のブログをいくつか当たってみましたが、特にめぼしい情報も得られませんでした。

とりあえずどうぞ。

03/17 浦和の思い出(3)

亭主が大学の2年間を過ごした浦和の街は、書店と、古本屋の多い街でした。

須原屋という浦和に本店を置く老舗の大型書店では、晶文社をはじめとするハードカバーを多く購入していて、亭主自身浦和でもっとも良く通った店でした。そのほかにも市内には古本屋が多くあって、亭主が覚えているだけでも4件、南浦和にも品揃えの良い古本屋がありました。南浦和の古本屋では高野文子の「おともだち」を買ったと記憶しています。

この2年間は、長い通学時間の中で、とにかく本を読みました。

田舎から出てきたいち学生にとって、周囲の人々の知識のすさまじさはちょっとしたカルチャーショックであり、本好きを自認していた亭主のちょっとしたプライド、高い鼻をいとを簡単にへし折るものだったのですね。

田舎と都会との情報量のギャップを埋め、周囲の人たちと対等以上にわたりあうためには、とにかく本を読まなければならない―――もともと本が好きだったということもあって、浦和の2年間は、あらゆるジャンルの本を読んだような気がします。

気がします―――というのは、とにかく読んだ本のジャンルがめちゃくちゃで、いったいどんな本を読んだのか、正確に覚えていないから。覚えていないということは、結局読んでいなかったのと同じなのかもしれませんが(^^;)浦和での2年間を終えて引っ越す際には、ダンボールにしてかなりの数の本が部屋の中に所狭しと積み上げられていました。浦和に来たときには、セダンの車のトランクに入っていた荷物が、ワゴン車2台分になってしまって―――引越しのために来てくれた父親には大変な苦労をかけました。

引越しはともかく、当時は本当に本と、書店と、古本屋が好きで、休日ともなれば自転車で市内を駆け回り、あちこちの店をハシゴしたっけ。

古本屋がもつ独特の雰囲気、古書が発する独特の匂いは、根暗(こんな言葉も死語になっちゃいましたね)だった当時の亭主の心を落ち着かせ、また思わぬ掘り出し物があるかもしれないと、わくわくさせるものでもありました。

その後、千葉や、茨城などに居を移していくのですが、浦和に居た頃のようなワクワク感は、それ以降ありませんでした。

ひたすら孤独だった浦和での2年、しかしその中身はといえば、その後の人生では二度と味わうことのできない、とても充実した2年だったと、いまさらながらに思っています。

2013年3月14日 (木)

03/14 【聴】 Serene / Vincent I. Watson, Pyramids of Mars(POMCD002)

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テクノアーティストVince Watsonが本名であるVincent I. Watsonにて発表したテクノ・アンビエントのアルバム。2012年、Radio SlaveことMatt Edwardsのレーベル、Pyramids of Marsからのリリース。全10曲。

Brian Enoに代表される正統派、あるいはFenneszなどのようなミニマルな音響系アンビエントとは趣を異にする、叙情的な電子音楽。明確なビートをもたず、メロディ先行で進行していくサウンドは、むしろヒーリング音楽を思わせる。もっともヒーリング音楽というにはそぐわない高めの音圧が本作の特徴。叙情的な雰囲気に任せて聴き手を癒す・・・というよりも、聴き手にたいして存在をしっかり主張してくるサウンドだ。いまふと思ったのだが、これにビートを乗せればずばりデトロイトテクノではあるまいか。

なお、本作、音圧が高いのに加えて残響がかなり強めとなっている。広大な空間表現、あるいは圧倒的な質量が感じられる。アンビエントとして聴くと押しの強さが気になるし、テクノとして聴くとノリがいまひとつ・・・と聴き方に工夫がいりそうだ。

2013年3月12日 (火)

03/12 【聴】 XEVIOUS 30TH ANNIVERSARY TRIBUTE / Namco Sounds, iTunes Music Store

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namcoから1983年に発表された縦スクロール型シューティングゲームの金字塔"Xevious"の30周年記念アルバム。iTunes Music Storeでの限定配信、全16曲+デジタルブックレットがついて2000円。ちなみに各曲は150円でも購入できる。 参加クリエータはNamco Bandai Game Inc.より、大久保博、川田宏行、田島勝朗、LindaAI-CUE、中鶴潤一、増渕裕二、AJURIKA、矢野義人、渡辺量 、トリ音、平井克明、井上拓他。

まず最初に言わせてもらうと、オリジナルのXeviousのBGM(作曲:慶野由利子)は、4小節を延々とリピートする、いわゆる「ミニマル・アンビエント」のはしりであり、その後アルバム"Video Game Music / namco"、12inchアルバム"Super Xevious"において細野さんがダンサブルなテクノへとアレンジすることでXeviousの世界観を音楽面からしっかりと確立している。その方向性はきわめて明快で、

  • メタリックで統一された敵機・建造物→テクノ・ポップの未来感
  • ナスカの地上絵やピラミッド、UFO、南米の森林などといったニューエイジ的世界設定→トランス・ミュージックの神秘性
  • ゆったりした背景移動と、おなじくゆったりした自機の動き→アンビエントの浮遊感

をそれぞれ演出、その後のXevious 3D/G, Solvalou, Xevious Arrangementといったアーケードゲームの続編においても、この世界観が継承されている。特にXevious 3D/G, Xevious Arrangementの2作はアルバム"Xevious 3D/G+"にディスク3枚組としてまとめられていて、ゲーム音楽というよりもむしろアンビエント音楽としてきわめて高い完成度を誇っていると(亭主自身は)評価している。

これに対して今回の30周年記念アルバムは、ゲーム中のBGMや各種効果音といった素材はふんだんに盛り込まれているものの、テクノやトランス、アンビエントといったこれまでのXeviousのイメージから離れて、各クリエータがかなり自由なアレンジを試みている、といってよい。リッジ・レーサーを髣髴とさせるダンサブルなハウス、生演奏によるブラス・セッション、アシッドなデジタル・ファンク、ヴォーカルつきのテクノ・ポップ、あるいは叙情的なメロディのインストなどなど、クリエータがそのイマジネーションを存分に広げて新たな世界観を構築しようとしている。ただ―――残念ながらXeviousに新たな世界観を生み出すほどのインパクト、このゲームがシューティングゲームの金字塔たりえた色彩や、世界観や、キャラクターの動きと直結するサウンドとして結実していない。これら音楽が、このゲームと直結する必然性が感じられない。原作の音をほとんど使わない"3D/G+"のサウンドにゲームのスピリットを感じるのに、原作の音をふんだんに盛り込んだ本作のサウンドにXeviousらしさを感じない、この矛盾はいったいどこから来るのだろうか。

もっとも、本作は、クリエータ各人が自由にイマジネーションを広げる「トリビュート」であり、iTunesでのダウンロード販売であることから、同人的なお祭り騒ぎから作り出された「突然変異種」ともいえる。お祭り騒ぎの流れにさおを挿すことそれ自体野暮のきわみなのだろうが・・・言わずには済ませられないファン心理は抑えようがない。

2013年3月11日 (月)

03/11 東日本大震災から2年

震災から2年が経ちました。

震災で亡くなられたかたがたに、謹んで哀悼の意を表します。
また、震災・原発災害でいまも避難生活を余儀なくされておられるすべてのかたがたに、改めてお見舞いを申し上げます。

言いたいことはいろいろあるのですが、言葉にならず。無念。

2013年3月10日 (日)

03/10 大学に合格したころのこと

もう随分前になりますが、浪人して松本の予備校の学生寮に住んでいた頃のお話。

1月から受験シーズンに突入し、寮生たちは全国津々浦々の大学へと受験に赴き、また亭主自身も長野〜東京〜浦和方面へと断続的に足を運んでおりました。

いわゆる受験旅行・・・といっても亭主の場合はすべて親戚のツテを頼ったもの。最初に浦和市、次に東京都は大田区、そして最後は長野市と、親類の家に泊まっておりました。浦和市の親戚宅に行き最初の学校(私立校・第1志望)を受験したあといったん帰寮、次に大田区の親戚のお宅にご厄介になりさて明日は2番目の学校(私立校・滑り止め)の受験だ・・・とおもったら最初の学校の合格通知がやってきて急遽親戚宅で大宴会(もちろん滑り止めは受験せず)、そのまま国立A日程の試験を辞退して第1志望の学校に進もうとおもったら、親から「お願いだから国立も受けておくれ」と懇願され、しぶしぶ長野市の親戚宅に行きそこでも宴会、受験したらその後こちらも受かってしまったのですが辞退―――と、ほとんど苦労のないまま受験シーズンを終えてしまいました。

寮に戻っても受験旅行で誰もおらず、朝晩の寮食も用意されておらず、3度の食事をコンビニで調達しつつ寮の部屋でひたすら無言で本を読んですごす日々が1ヶ月ほど続いたのを思い出します。

日本語を忘れるかと思いましたよいや実際。

3月の押し迫ったあるときに寮を引き払うことになり、父親が運転するセダンのトランクに荷物をつめて実家に戻ったあとは、弟がかりてきたドラクエ3を朝から晩までやりこんだり、浪人1年間の仕送り(1ヶ月3万円)を貯めたお金でCDラジカセ(SONY DoDeCa-Horn CFD-D77)を買って、ひたすら音楽を聴いておりました。

CDラジカセを買う前はオートリバースなし、デッキ1台のみという質素なラジカセ(たしかSANYO製で7000円くらいで購入)を使っていてまあそれなりに楽しんでいたのですが、新しいラジカセはCDが聴けたり、またそれなりに低音が出たりと音楽を聴くのが非常に楽しみでした。

CDは何を持っていたんだっけな。1枚目が"Solid State Survivor / YMO"で、2枚目が"飛行船の上のシンセサイザー弾き/難波弘之"だったか(2005年8月のどむやCDレビューを参照)。

寮暮らし、アパート暮らしの多かった亭主にとって、強音楽器だったステレオ/ミニコンは高嶺の華で、せいぜいラジカセを使う程度だったことを思い出しました。

それでも充分に楽しかったんだよなぁ。

03/10 【聴】 人間と動物 / 電気グルーヴ, Ki/oon|SONY(KSCL-2200-1)

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石野卓球とピエール瀧によるテクノユニット、おなじみ電気グルーヴの最新作。今回は初回限定盤としてCD+DVDを購入した。CDは先行シングル"Missing Beatz", "Shameful", "Upside Down"ほか全9曲。DVDはテクノ・レイヴ"Wire 12"の様子をライブ収録。

アルバム"Yellow","J-Pop"あるいは"20"といった近年の電気の作風を踏襲する、テクノ・ポップのアルバム。意味不明の歌詞と、国産テクノらしいリジッドなビートとを組み合わせた、きわめて電気らしい音。とでもいおうか。各曲にブレがそれほどないため、全体としてよくまとまっているあたりも近年の作風だが、一方で作品としての世界観というか、たとえば"A"や"VOXXX"などのヒットアルバムに見られた重層性は影を潜めている。ワンアルバム、ワンテーマ・・・もっともテーマというものがあればだが。

亭主自身は"A", "VOXXX"あたりを非常に気に入っていて、近年の作品のミニマルぶりに物足りなさを感じている。CDが売れない時代にあって、なるべく安価にCDを買ってもらいたいという石野の思いはそれなりにわかる。石野のソロ作"Cruise"も、曲数が少ないもののしっかりと購入している。ただ、アルバムそのものがどんどん小粒となり聴き所のようなものが少なくなってきたのは確かだ。まるで端正な庭仕事を見ているようで、思うところがあまりない。意図して脈略がないよう構成された歌詞に感情移入できない・・・ということもあるだろうが・・・。

むしろ楽しいのは、DVDのライブ映像。"Hello! Mr. Monkey Magic Orchestra"から始まるライブアクトは、卓球氏のDJプレイもさることながら、ピエール瀧の存在感がすさまじい。なにをするわけでもなくステージをのしあるく姿はそれだけでこれが「電気」のアクトであることをつくづく思い知る。Shame / ShamefulからShangri-Laへの流れ、あるいはキラーポマト〜誰だ!への引っ張り具合などこちらは見所が多すぎる。それにしても卓球氏、歳をとりました。普通のおじさんになってしまった。見た目だけは。

2013年3月 9日 (土)

03/09 【聴】 We Love ... Detroit / Derrick May & Jimmy Edgar, BBQ(WLR002JP)

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デトロイト・テクノのオリジネイター・Derrick Mayと、デトロイト・テクノの若き俊英・早熟の天才と評判のJimmy Edgarによる同ジャンルのコンピレーション。2枚組、全21曲。

参加アーティストはJohn Beltran、Yotam Avni, Petar Dundov, Kink, Kai Alce, Deep'a & Bin, Carl Craig, Federico Grazzini, Benny Rodrigues, Andres(以上Disk 1に参加), Jimmy Edgar, Lando Kal, Magda,Kyle Hall & Kero, Coyote Clean Up, Noel Jackson, Darling Farah, Magic Tough feat N Dawson, Kris Wadsworth, Axiom Crux(以上Disk 2)、ベテラン中のベテランから若手、メジャーからマイナーまで多様なアーティストを起用している。

いわゆるDJミックスではなく、1曲1曲が独立して収録されている点、デトロイト・テクノとしてはわりあい正統派の作品が多い点で「オーソドックス」に分類されるタイプの作品だろう。ダンス・ミュージックとしての機能性はさておいて、よりパーソナルな方向へと深化したデトロイトの系譜がよく表現されている。メロディアスかつミニマルなリズムの作品が多く収録されているあたりが特徴だろうか。21曲という分量はとおして聴くとなかなかへヴィーで、おなかいっぱいになる。もうすこしネタ的にふれ幅があったほうがより楽しめたことだろう。悪くはない。悪くはないが、おとなしい作品が多くインパクトという点ではいまひとつ。

2013年3月 7日 (木)

03/07 【聴】M2TECH hiFace Evo (192kHz/24Bit Digital Audio Interface)

買いました。

M2TECH hiFace Evo (192kHz/24Bit Digital Audio Interface)

PCよりUSB経由・非同期データ転送によりS/PDIF信号を取り出し、デジタル信号としてDACに送出するDDC(Digital/Digital Converter)です。

メーカはイタリアのM2Tech社。日本輸入代理店はトップウィング、また国内での製品サポートはzionote社。今回は秋葉原のDynamic Audio 5555より購入しています。

主な規格は以下のとおり。

入力:
 USB x 1 (USB 2.0)
クロック入力:
 外部マスタークロック(22.7592MHz or 24.576MHz)

出力:
 S/PDIF x 2 (RCA & BNC)
 AES/EBU (XLR)
 Optical Toslink
 Optical ST
 I2S(RJ-45)

サンプリング周波数:
 44.1, 48, 88.2, 96, 176.4, 192kHz

処理可能ビット数:
 16, 24, 32bit

電源:
 7-11VDC, 60mA, ACアダプタ(国内用)付属

これを、下記の経路にてメインのオーディオシステムと接続しています。

PC: Foobar2000 + WASAPI output support →(USB)
DDC: M2TECH hiFace Evo →(Optical Toslink 3m)
DAC: Accuphase DP-55V
AMP: Orpheus Two 2004
AMP: Orpheus Three S mkII
SPK: Rogers Studio 1

この日は夜遅かった、ということもあって、接続・音だしのみ。無事音が出たことを確認した後は、小音量で音楽など楽しんでおります。さて、音質がどれほどよくなったかは亭主自身じっくり聞きこんでいないためわかりません。音質評価は今後追ってご報告、ということで。



2013年3月 4日 (月)

02/23 Bridgestone ECOPIA PZ-X

2009年4月25日に、Bridgestoneの低燃費タイヤ Ecopia EP-100を購入してはや4年。
先日車の点検を受けた際に、タイヤがつんつるてんだったことを指摘され、車検前のちょうど良い時期、ということで、東多賀町のタイヤ館で新しいタイヤを買ってきました。

Bridgestoneの同じく低燃費タイヤ、Ecopia PZ-X

セダン/クーペ用に設計された燃費向上をうたうタイヤです。
以前のEP-100は、確かリッター8kmくらいだった車の燃費が11kmくらいまで向上しましたが、PZ-Xはこれよりもさらに10%程度性能が向上したそうで。どれくらい燃費が伸びたのか、今後のお楽しみといったところです。

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以前にも言ったかもしれませんが、亭主自身は車に関してまったく明るくなく、また仕事やら家事やらトレーニングやら、まはろくんとの散歩やらと忙しい日々を送っているため、車の点検・メンテナンスはほぼディーラーと、タイヤ館さんにお任せしています。どこかのサイトや掲示板から得た情報から激安店に赴き、したりがおで半可通を披瀝するよりは、素直にプロの言葉に従ったほうが良いと思っております。こと安全に関しては、激安や自己流の判断ほどあぶなっかしいものはありません。今回も、お店の方のアドバイスを伺い、疑問点はその場で伺って今回のタイヤを選んだ次第。

ちなみに今回は、タイヤ交換と同時にアライメント(タイヤの設置面に対する角度)の診断もやってもらいました。診断は・・・それはもう最悪なもので、正常範囲に設置しているタイヤは1箇所のみ、あとはもうどこもかしこもゆがみまくっておりました。お店の人によれば、かなりタイヤが内股のような状態になっている、とのこと。アライメントについても調整してもらうことにしました。

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タイヤ交換、アライメント調整はほぼ1時間ほどで終了。帰宅の途中、市街地を流しつつ走行感覚を確かめてみたところ、なるほどタイヤの転がりが非常にスムースで、タイヤに対してダイレクトにパワーが伝わっている実感が得られました。アクセルを踏み込むと、これまでリアを少しひねるように前へと進んでいたのが、心地よい加速とともにぐんぐんと前へ出て行く感じ。ちょっと踏み込むと前に進む、元気の良い走りになりました。

タイヤ交換もですが、走りについてはアライメント調整が効いたかな。

2013年3月 3日 (日)

03/03 【聴】 Moebius + Tietchens / Moebius + Tietchens, Bureau-b(BB109)

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スイス生まれのドイツの電子音楽家。Roedelius, SchnitzlerらとともにKluster名義で1969年にデビューした後、Harmoniaとしての活動、Brian Enoとの競作などを経て現在も活動を続けるDieter Moebiusが、同じくドイツの電子音楽家であるAsmus Tietchensと組んでリリースした最新作。全13曲。

ジャーマン・プログレ、テクノ、アンビエントなど多くの音楽ジャンルの礎となる作品をリリースしてきたMoebius。現在も現役で、日本公演を行っているなど精力的に活動している。一方、Tietchensも電子音楽黎明期から活躍するベテラン中のベテランとのことで(詳細資料なし)、どんな音楽が聴けるのだろう、と亭主自身かなり興味があった。果たしてスピーカから流れてきた音楽は、Zero SetやTonspurenなどといったこれまでの氏の作品とも共通するモータリックな電子音響。ヴォーカルなし、ちょっぴりダンサブルなサウンドは、しかめつらしくもどこかユーモアを感じさせる。一言で言えば、「何度でも聴きたくなる」。実験的だが先進的過ぎて素直に楽しめない「電子音楽」が少なくないなか、この作品には人をひきつけ、楽しませるだけの魅力が備わっている。

ちなみに本作、イヤフォンで聴くと異様に音が良い。電子音楽なのに、上から下までが満遍なく出ていて、しかも臨場感がある。音響チェックにも良いかもしれない。

2013年3月 2日 (土)

03/02 シャッターとバリアのこと

子供時分に、小松左京の「日本沈没」の映画(1973年)を見て、たいそうショックを受けたことを覚えています。日本という国が海のそこへと沈む、ということよりもむしろ、映画中、家々に水がどうどうと入り込み、人々が水に飲まれていく姿にショックを受けたといったほうがよいでしょうか。映画の中のワンシーン、ある家が押し寄せる水によって倒壊していくシーンで、主人公でもなんでもない少年が「おかあさーん」と叫びながら真っ黒な水に飲み込まれていく光景は、今でも忘れることができません。

以降、家が水に飲み込まれる、という夢をたびたび見るにつれ、亭主のなかには水への恐怖よりもむしろ、窓を防護するシャッターへの憧れが強くなっていきました。特に、すべての窓にシャッターを下ろしてさながらひとつの「箱」となった家が、台風や、豪雨や、濁流や、水没などに断固として抵抗する様を夢想することは、亭主にとって何よりの安らぎでありました。

現在の亭主の家にもシャッターがついています。 昨日〜本日の暴風、あるいは昨年の台風の際にはこのシャッターがしっかりと家と亭主の家族を守ってくれました。おそらく空き巣や酔っ払いなどからも、家族を守ってくれていることでしょう。

いやよかったよかった。

ところで亭主がバリアに対してあまりよい印象を持っていないのは、かつてマジンガーZだったか、主人公たちの基地である研究所のバリアが、毎回毎回それはもういとも簡単に敵の攻撃で破壊され、そのたびに研究所に被害が及んでいたのをみていたからでした。バリアは使えない、使うならシャッターだと、子供心に思っていて、今でもバリアにはあまりいい印象を持っていなかったりします。

シャッターを見ると思わず安堵してしまうとか、バリアに抵抗があるとか、40過ぎた大の大人がいまでも現役で感じてしまうのですから、 テレビの影響って、すごいですね。

・・・それよりなにより、すさまじくどうでもいい話でしたね(^^;)

03/02 【聴】 Pure Spa Hawaii / Makana, Water Music(652194284-2)

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ハワイ出身の若きスラック・ギター奏者、Makanaのアルバム。リゾート・ホテルのスパやエステなどに音楽を提供しているWater Music社が、世界のリゾート音楽をコンセプトに企画したものなのだそうだ。本作はハワイの伝統音楽をMakanaのギターでフィーチャーしたアルバムとなっているが、他のシリーズにはアジア、カリブ海、ゴールドコースト、インド、メキシコ、タヒチなどもあるそう。

(Makanaとしては)これまでのポップス的なアプローチの作品とは一線を画する、オーガニックなヒーリング音楽集。伝統音楽ありメロウなギター曲あり、ゴンチチばりのリゾート音楽ありと、確かにハイアット・リージェンシー・ホテルのロミロミ(ハワイ風マッサージ)のBGMにでも使われていそうな曲ばかりだ。もちろんMakana自身によるヴォーカル曲も含まれていて、BGMとしてのみ使われるような匿名性の高い作品、というわけではなさそう。あまりにスムーズすぎて、ついつい時間のたつのを忘れて聴いてしまう。13曲入りだが、アルバム全体が46分ちょっとと短めなのもまたスムーズと感じる一因だろうか。

個人的にはMakanaの個性が前面に押し出されているほうが好みなのだけれど、こういう企画ものがあっても悪くない。というか、むしろ「良い」。ハワイもMakanaも大好きな亭主、本作を聴きまくっては癒されている。

2013年3月 1日 (金)

03/01 【読】 「情報の呼吸法-Ideaink 01-(津田大介、朝日出版社)」

「情報の呼吸法-Ideaink 01-(津田大介、朝日出版社)」

ジャーナリスト/メディア・アクティヴィスト、一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事。著作権問題、ネットカルチャー、ソーシャルメディアなどを専門とし、 関連著書を多数執筆。国内においてはTwitter活用によるリアルタイムなジャーナリズムのオーソリティとしても知られる津田大介氏がソーシャルメディアの活用について記した書。2012年1月刊。批評家で現代思想・メディア文化論を専門とする東浩紀氏とのトークイベントの様子も収録している。

マイクロブログとして国内で注目を集め、東日本大震災以降はリアルタイムに状況を伝えるメディアとして急速な普及を遂げたTwitter。また当初は実名登録でユーザー登録が伸び悩んだものの、近年は着実にユーザー数を伸ばしつつあるFacebook。現代の日本にあって欠かすことのないこれらソーシャルメディアの過去・現在そして未来を解説したものが本書となる。ユーザが自由に発信者、伝達者となりうるソーシャルメディアは、 これまで情報のハブとして機能してきたテレビやラジオ、あるいはネットのニュースサイトとは異なる全く新しい「社会」を形成する可能性を持っている。常に最新の情報を、広範囲かつ隠蔽することなく拡散するソーシャルメディアは、地震や津波などといった非常時だけでなく、ビジネスにおける資金集めや政治活動など、社会の根幹にあるシステムすら大きな効果を発揮する。本書では、津田氏がこれまで蓄積してきたソーシャルメディア活用のノウハウを惜しげもなく紹介している。日々蓄積されていく膨大な情報からどうやって正しい情報を抽出するか、情報を得るため、どのようにアンテナを張るべきか、情報の発信力を高め、いかにして持続していくか―――個人的な趣味の範疇から、社会全体を動かすムーブメントまで、津田氏がカヴァーする範囲は限りなく広い。 東日本大震災復旧・復興支援のための各種イベント、被災地からのリアルタイム中継、著作権小委員会での議論の内容をTwitter経由でネットへと拡散する"tsudaる"行為などなど、氏のこれまでの活動が実績となって説得力を高めている。

一方、まるまる一章を費やしての東氏との対談では、ソーシャルメディアが政治活動・社会活動にきわめて有効であり、社会を直接変えうる力になるとの論を展開する。フランスの思想家・ルソーが論じた「一般意思」が、実は現在の「セカイ系」と呼ばれる若者たちの思想、個人的な悩みがセカイの問題へと直結する思想にきわめて近い位置にあることが東氏によって明かされるあたりがクライマックスだろうか。

津田氏の著作はこれまでにも何冊か読んでいて、読むたびにもうそろそろ引き出しはあけつくしただろうと思っているのだが、なかなか底が見えない。津田氏のバイタリティ・・・でもあるだろうが、もしかしたらこれがソーシャルの力、人々の力を少しづつ積み上げた結果得られる力なのかもしれない。

ちなみに当方、Kindle版を買いました。(2013.03.01) 

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