« 12/18 ただいま絶賛衰弱中 | トップページ | 12/24 メリークリスマス »

2012年12月23日 (日)

12/23 【読】 「勝負脳の鍛え方(林成之、講談社現代新書)」

「勝負脳の鍛え方(林成之、講談社現代新書)」

脳神経外科。日本大学医学部付属板橋病院にて救急救命に携わり、「脳低温療法」など画期的な救命方式を考案する著者が、スポーツや勉強、ビジネスにおける「勝ち方」について脳科学の観点から解説した書。

事故などにより植物状態となった患者の意識を、「脳低温療法」により回復することに成功した著者。植物状態にあっても本人はしっかりとした意識を持ち、外界からの情報を取り込んで自ら感じ、考え、記憶しているという患者の証言から、人間には「内意識」と「外意識」という二つの意識があるという独自の理論にたどり着く。「意識」「心」「記憶」の3つの働きを調整する「ドーパミン系神経群」を「モジュレーション神経群」と名づけ、モジュレーション神経群が人間の「心」「技」「体」へどう影響するかを考察したのが本書―――といったところか。

帯には「北島康介絶賛!」「諸見里しのぶ推薦!」などと景気の良い言葉が踊っていて、思わず手にとってしまうインパクトがある。脳科学の専門家が、日ごろライバルたちとしのぎを削るスポーツマンやビジネスマンたちに、必勝のテクニックを伝授する、となれば、誰しもがよしいっちょう読んでやろうではないかと思うに違いない。ただし内容はといえば、「脳科学」というより、「人生指南」に近い。サイコサイバネティックス理論を応用せよ―――と高尚な言葉で期待させるも、次にくる言葉は

「目的と目標を明確にする」
「目標達成の具体的な方法を明らかにして実行する」
「目標を達成するまで、その実行を中止しない」

うーん。そりゃそうですけどね。

そのほかにも多くの「必勝のテクニック」が語られているのだけれど、どうにもぱっとしないというか、ずばっと心に切り込んでくるものがない。「最初から100%集中せよ」「相手の攻撃は最大のチャンス」・・・などとなにやらそれらしい文句が並ぶものの、読んでみると至極当然、「やられた!その方法があったのか!」という感じがまったくしないのだ。氏が画期的な治療法を開発した医者である、という実績をかって読むから読めるものの、そうでなかったら読む気が起こらない。

さらに不満なのは、持論の正当性を、様々な事例から都合よく引用している点。イチロー、野口みずき、ジム・ブラドック(ボクシング)などそうそうたる面々の業績が引用されるものの、引用するスポーツのジャンルや行動のポイントに一貫性がないため、まるでとってつけたような説明に終始している。いくら実績があるとはいえ、「あれもプラズマ」「これもプラズマ」とやられると、読んでいるほうもいい加減にせいとうんざりしてくる。たとえば氏が一人のアスリートのトレーニングを監修し、たとえば水泳、たとえばマラソンと、ひとつのジャンル・一人の体験に絞って、実績を語るならばまだよいのだが・・・。

事例研究も節度を守らないとわけがわからなくなる、という好事例かと。

« 12/18 ただいま絶賛衰弱中 | トップページ | 12/24 メリークリスマス »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 12/23 【読】 「勝負脳の鍛え方(林成之、講談社現代新書)」:

« 12/18 ただいま絶賛衰弱中 | トップページ | 12/24 メリークリスマス »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
フォト
無料ブログはココログ