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2012年9月29日 (土)

09/29 【読】 文藝別冊-ビル・エヴァンス(河出書房新社)

文藝別冊-ビル・エヴァンス(河出書房新社)

ジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスの作品と生涯について、評論家、音楽家、エッセイストらの記事を集成した作品。2001年2月第1刷。2012年5月に増補新版として刊行された。ムック形式、1200円とお求め安い価格設定がうれしい。

まず断っておくのだけれど、亭主はビル・エヴァンスのファンでは、ない。

確かにアルバムは持っているし、オーディオチェックの際にはかならず"Waltz for Debby"の"My Foolish Heart"を聴くほど定番になっているのだけれど、彼の演奏を生で聴いたわけでも、全ての彼のアルバムを聞いているわけでも、ましてや彼のアルバムの中の任意の1曲を挙げられて「ああ、あれはね・・・」とひとくさりできるほどの知識もない。 おそらく世間的には「マニア」な人々が、自身の知識と語彙とウィットネスを存分に発揮した本・・・というのが本書を読んでの第1印象。

亭主の場合、各記事がビル・エヴァンスのことを書いているのだということは理解しているのだけれど、日本語としても絵がさっぱり浮かんでこない。もちろんこれを好んで読むような人は、「ふんふん」と鼻歌交じりに読んではときどき「えーちがうだろー」と突っ込みを入れられるのだろうけれど、つっこみはおろか鼻歌すら出ないのがつらい。共通認識というか共通言語というか、が絶対的に足りない。もっとも、ビル・エヴァンスの生涯や彼へのインタビューなどは非常に興味深く、また楽しく読めるのだけれど、ことマニアの皆さんの文章には、どこか屈折した(ある種のコンプレックスのような)ものが感じられた。

このマニアの皆さんの屈折ぶりの原因をつらつら考えてみるに、どうやらビル・エヴァンスを手ばなしには賞賛できないある種の「ひねくれ」が原因のようだ。エヴァンスは、当時「黒人音楽」だったジャズの中では異色の「白人」であり、顔を極端に鍵盤に近づけて弾く内省的な演奏スタイル(と演奏)は当時かなり異色だった。後年電子ピアノに手を出してみたり、ジャズ入門者が必ず一度は進められる「ジャズ入門者にオススメ」のアーティストだったりとエピソードには事欠かない(だからムックが作られる)のだが、 マニアの皆さんにとって、「ジャズ入門者にオススメ」のアーティストの解説など自身のプライドが許さなかったのだろう。いや、せめてムックとしてエヴァンスを特集するならば、それぞれの曲の解説くらいあってもよさそうと思うのだが・・・。

そんなマニア向けの本にあって、なにやら異色を放つのが寺島靖国(吉祥寺・メグの店主)と後藤雅洋(四谷・イーグルの店主)の対談。どちらもジャズ喫茶のオヤジ、しかしその性格はまるきり異なる。オーディオを趣味とする豪快な寺島氏と、ジャズ研究を趣味とするマイペースな後藤氏の組み合わせはまさに一触即発、いや、そこかしこでいざこざが起きている。喧嘩を吹っかけ反応を楽しむ寺島氏と、ひたすら冷静に、しかしトゲのある言葉で応対する後藤氏の対談は、どこに話が進んでいくかさっぱりわからない。本書でも最長の30ページを費やしてのバトルはまるでネットの炎上をみるかのよう、基礎知識抜きで面白い。

・・・対談記事は別格として、とにかくマニアのための本。一気呵成に読む、というよりも、自身の知識の深さに応じて、またビル・エヴァンスを聴きながらぽつぽつと読むのがよいのかもしれない。(2012.09.29)

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