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2012年7月 3日 (火)

07/03 【読】「手づくり英語発音道場−対ネイティブ指数50をめざす(平澤正夫、平凡社新書)」

「手づくり英語発音道場−対ネイティブ指数50をめざす(平澤正夫、平凡社新書)」

1929年京都府生まれ。フリーランスのジャーナリストで環境・医療・食品・マスコミ・英語教育などの分野に造詣の深い著者が、自身の英語経験からネイティヴ・スピーカに理解されるための発音テクニックを記した書。2003年初版。

この「読」のコーナーは、いわゆる「参考書」や「技術書」については(たとえ読んだとしても)紹介しない―――というルールを決めて記事を書いている。「参考書」や「技術書」は基本的には拾い読みが多く、ひとつの作品として最初から最後まで通して読む、ということがほとんどないからだ。実際、亭主自身ほかの英語関連の書籍は、それがたとえ新書であってもほとんど紹介していないのだけれど―――。

著者である平澤氏は幼少時、戦後間もない時期に進駐軍の基地に出入りし、兵士から英語を習っていたのだそうだ。おおよそ標準的とはいえない軍隊の英語、しかも内容は女性の容姿の話ばかり・・・といういささか特殊な環境の中で、氏はネイティブに通用する英語を模索していく。もとより英語環境のなかで育ってこなかった日本人が、日本語の発音の枠組みの中で、いかにしてネイティブたちに自身の英語を伝えていくか。100%の発音は不可能だとしても、せめて50%の発音ができれば不自由はない。本書では日本人には理解されにくい発音について、14の課程をもって説明する

―――だけならば本書を紹介することは、おそらくなかったろう。

本書が面白いのは、そんな発音のテクニックに加え、現在の日本人をとりまく英語学習環境のことごとくが問題であると指摘する点にある。幼少時からの英語教育、社員へのTOEICの強要、中学〜高校〜大学と長年にわたる英語教育にもかかわらず、全くといっていいほど上達しない学生たちの英語力、そして「コーヒー」「ラジオ」「コンピューター」など耳を覆わんばかりに悲惨な「ひらがなイングリッシュ」と、氏の憤懣はやるかたない。「コーヒー」ではなく「カフィ」、「ラジオ」ではなく「エリオゥ」、「コンピューター」ではなく「クンピュール」。なるほど、日本語の枠組みをもってしても、ネイティヴに理解してもらえそうな発音になりそうだ。昨今のノウハウ本にはない英語教育への痛烈な批判とぼやき節が、本書に、氏の半生を綴ったエッセイ、あるいはジャーナリストによるノンフィクションとしての価値を持たせている。

多少説教臭いところもあるが、まずは拝承と読んで吉。できれば実際に読んで、発音してみるとさらに説得力が増す。(2012.07.03)

―――とここまでを記事としてアップロードしたのだけれど、なんだかずいぶんと茶化したような記事になっているような気がしたので、追記。

本書では、これまで学校あるいは自己啓発の中で軽視されてきた発音記号と、それら記号の発声方法にかなりの紙面を割いている。rとlをどう区別するか、曖昧な母音など日本語には存在しない音をいかにして発声するかを、日本語の枠組みの中で説明しており、本書を「手づくり」と称する理由ともなっている。英語成立の経緯や、発音に揺らぎが生じた理由など周辺情報も含め、総合的に知識習得できる点は興味深い。

本題と外れた部分でぼやきが多かったり、「坊主憎けりゃ」的な批判が多かったりと灰汁の強い文章ではあるが、全体的には実用的かつ実践的な内容に仕上がっている――― ので念のため。

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