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2012年3月26日 (月)

03/26 【読】 「サウスバウンド上/下(奥田英朗、角川書店) 」

「サウスバウンド上/下(奥田英朗、角川書店) 」

収入を妻の稼ぎに頼り、税金を払わず、子供を学校に行かせることにすら難色を示す自称フリーライター「上原一郎」と、そんなアナーキーな男を父に持ってしまった主人公「二郎」の波瀾万丈な生活を描いた小説。上下巻、2005年刊、文庫は2007年。先輩のYさんオススメの作品。

主人公二郎は小学六年生。妹を含む家族四人で、中野ブロードウェイの近くにある借家に住んでいる。母親は近所で喫茶店を営んでいて、家の収入はほぼ母親による。父親は日がな一日家に居て、時々やってくる税務署の職員や民生委員に議論をふっかけてはトラブルばかり起こしている、全共闘時代の生き残りのような存在。決して豊かではないが二郎自身はそんな生活を当たり前と受けとめ、友達や妹と好奇心一杯の子供生活を送っている...あたりが導入部だろうか。中学生とのいざこざから家出したり、女湯を覗きに行ったりとイベント満載の日々は、スタンド・バイ・ミーや鉄コン筋クリート、浦安鉄筋家族を思わせる。もっとも、そこから少しづつ世界が変容し、独特の世界観が展開されるのだが...そこからどう展開するかは読んでのお楽しみ。

本書を勧めてくれたYさんは本書を「とにかく痛快な小説」と評していて、亭主もまた同じ意見。特に上巻と下巻で世界観や価値観、善悪までもがぐるりと転換するあたりは、現代を舞台にしながらファンタジーの趣きすらある。亭主自身、上巻の終わりあたりから読むペースが次第に早くなり、下巻はまさに一気呵成、あっという間に読み終えてしまった。読後の感想は、まさしく痛快。しかし甘ったるい余韻もあって、なかなか不思議な読後感でもあった。この読後感は...うーん、物語の結末を説明することになるので詳しく語れないのが残念。

むりやり説明するならば、SFやファンタジー、あるいはミステリといったガジェットを一切使わずに実現した、ヒロイック・ファンタジーといったところか。 (2012.03.26)

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